中曽根康弘の発言 (本会議)
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○国務大臣(中曽根康弘君) 田沢議員にお答えをいたします。
まず、教育の現状とその原因、背景をどう認識し、かつ審議会で教育改革の課題としてどのような内容を検討するかという御質問でございます。
現在の教育制度は、戦後の我が国の興隆と繁栄に大きく貢献してきたことは否定できないと思っております。しかし、最近の社会の急激な変化あるいは教育の量的拡大、これらの大きな変化は教育のあり方に大きく影響しておりまして、さまざまな問題点が指摘されておるところでございます。特に、家庭、社会あるいは学校、教師、学歴、試験、こういうようなさまざまな問題が国民の側からも指摘されておるところであると思います。さらに、国際化の問題も重要な問題になっていると思います。
そういうような意味から、教育は国民の文化を継承してさらにこれを創造的に発展させるという大きな仕事があり、我々としては、二十一世紀に向かって世界的日本人をつくっていただこう、そういう大きな理念に基づきまして、このような審議会によって御検討願いたい。そういう意味においては全面的に現在の教育のあり方自体を検討していただきたいと思っておるところでございます。制度、運用、あるいは社会環境その他すべてを含めてお願いいたしたいと思っておるのです。
具体論といたしましては、私はかつて七つの問題点を指摘したことがございます。第一は、六・三・三・四制の学校制度の改革全体の問題。それから高校入試制度を改善する。特に偏差値教育のあり方等について検討を加える。それから、共通一次試験を含む大学入試制度あるいは高等教育の改革というものを考えていただく。さらに、児童生徒の人間形成に資するために社会奉仕活動やあるいは集団宿泊訓練など、こういうものをひとつぜひ考えていただきたい。さらに、情操教育あるいは道徳教育を充実して、心身ともに豊かでたくましい青少年の育成を考えるべきではないか。さらに、国際社会に活躍し得る日本人の育成を目指して、国際理解教育の充実あるいは語学教育の改善、あるいは大学の国際化等も検討していただくべきである。さらに、教員の養成、採用、研修等を通じて教員の資質の向上に努めるとともに、すぐれた社会人の教育界への受け入れ等も検討していただきたい。
こういうような具体的なポイントもかつて申し上げたところでございますが、これらは私の念願で個人的な希望でございますけれども、今度の審議会において参考にしていただければありがたいと思っております。いずれにせよ、その審議会が取り上ぐべき課題その他は、審議会みずからがお考えいただくべきことであると考えております。
次に、二十一世紀を展望して我が国の教育はどうあるべきかという基本的な理念、その役割、重要性について見解を伺いたいというお尋ねでございます。
我が国教育の基本理念は憲法、教育基本法に明
示してございますが、今後は、総合的な人間教育あるいは教育の国際化、人間主義、人格主義等の観点からの検討が必要であると思います。教育には、我が国のすぐれた文化を継承してその創造的発展を目指し、また時代の変化に主体的に対応し得る人間を育成するという重要な使命があると認識しておりまして、それらの問題をぜひお取り上げ願えればありがたいと思っております。
さらに、教育改革を行うについて財政的配慮が必要であると思うがいかんという御質問でございます。
もとより教育の改革は必ずしもすぐ財政負担を伴うものとは考えられませんが、必要な改革は当然これは実施しなければならないと思っております。なお、現下の財政事情は非常に深刻なものがあり、財政改革にも最大限の努力が必要ではありますけれども、教育につきましても効率化あるいは重点化ということが必要ではないかとも考えております。しかし、いずれにせよ、答申をいただきましたならば、これを検討いたしまして必要なことは実行しなければならないと考えております。
次に、臨教審を総理直属の審議会とした理由はいかがであるかという御質問でございます。
我々は、このたびの教育改革は、二十一世紀に向けて我が国社会における教育諸機能全般にわたる総合的検討をお願いしたいと思っておるわけであります。こういう意味から、教育を国民的広場の中に据えて、そして全国民的協力のもとにこれを改革せんとするものであり、かつまたこれが答申をいただきました上は、全内閣の力を挙げてこれを実行していく、そういう意味におきまして、各省庁の協力も十分得られるような体制を今から整えておこう、こういう考えに立ちまして総理大臣の諮問機関として設置し、政府全体としてこれに取り組むという姿勢を示した次第なのでございます。
次に、教育基本法制定以来のこれまでの論議の経緯と、今日基本法が国民にどう受け入れられていると考えているか、第一条にこのような文言を入れた理由はいかんという御質問でございます。
教育基本法制定以来、これについていろいろな御議論があったことは私も承知しております。基本法は、現行憲法を敷衍して教育の理念と基本原則を定めたものであります。具体的には、自由民主主義の理念及び普遍性を持った人間像というものが中心に据えられていると思っております。
第一条の「教育基本法の精神にのっとり、」とは、教育改革を推進するに当たっては、この基本法のもとに、その精神を受けてこれを進めるということを法律上明らかにいたしたものでございます。
臨教審では幅広く自由に検討することが必要であるという御質問でございますが、臨教審は、長期的展望のもとに我が国社会の教育機能全般にわたり検討せんとするものであり、国会の御審議を踏まえつつ、審議会自身でいろいろ内容についてはお決めいただくことが適当であり、自由闊達な御議論を期待しておる次第でございます。
次に、委員の選任についての御質問でございます。
委員は、広く国民各層の意見が反映されるように、各方面の方々を網羅する必要があると思います。特に、教育問題等に関する見識のすぐれた、また経験の豊かな方々、そして大局観に立って物を御判断できる方々が適当ではないかと思います。本法案が成立次第、文部大臣の意見を聞きながら人選を進め、両議院の同意を得て速やかに委員を任命いたしたいと思います。でき得べくんば今国会中に承認手続を行いたいと念願しておりますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
残余の答弁は文部大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕