田渕哲也の発言 (本会議)

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○田渕哲也君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました臨時教育審議会設置法案に関し、総理並びに文部大臣に質問を行うものであります。
 民社党は、結党以来、教育を重視し、教育国家建設の提唱を初め、中央教育委員会構想、中高一貫教育の推進、教育憲章の制定などさまざまな教育政策を提言し、その実現に努めてまいりました。
 しかし、現在我が国における教育はまことに憂うべき状態にあると言わなければなりません。その一例を少年非行にとれば、昭和五十七年の刑法犯少年の数は十九万一千九百三十人と、前年に比べ七千二十八人増加し、戦後最高を記録しております。またその内容も、傷害、恐喝といった粗暴犯が著しく増加しているのであります。単に青少年の非行のみならず、落ちこぼれ、登校拒否の増大等、最近の教育の荒廃を見るとき、教育改革は急を要する国民的課題と言わなければなりません。
 この見地から、民社党は本年一月十七日の党首会談において、教育改革に国民の総力を結集して取り組むために、いわゆる教育臨調の設置を提唱いたしました。我々は、中曽根総理が本法案を国会に提出されたことを評価するものでありますが、問題は、それが真に国民の望む教育改革につながるものとなるかどうかであります。ここで改めて新機関の性格、審議のあり方などについてお尋ねしたいと思います。
 まず第一に、臨教審を設置すべき理由についてであります。
 教育の荒廃、青少年非行の激増、社会環境の悪化などの問題は単なる一時的な特異現象ではなく、教育現場はもとより、社会全体の利己的な風潮、学歴偏重などに加え、都市問題といった今日の社会のあり方にかかわる幅の広い、根の深い問題であります。したがって、国民の英知と総力を結集してその改革に取り組まねばなりません。
 これまで教育改革については、昭和四十六年の中教審答申を初め幾つかの注目すべき提案がありました。しかし、文部省の無気力、日教組等の抵抗により改革はほとんど実行されず、教育の荒廃をそのまま放置する結果となっております。これは、教育が文部省、日教組及び教育関係者という狭い枠の中で取り扱われ、国民のコンセンサスの上に立脚して政治を挙げて取り組む体制がなかったことに原因があると考えます。中教審の限界もまた同様であると言わねばなりません。
 今や教育の抱える諸問題の解決は一刻もゆるがせにできない状況にあり、文部省、中教審といった既存の縦割り行政の枠組みを超えた全国民的視点で教育をとらえ直すことが不可欠であります。我々は臨教審設置の意義はまさにここにあると考えるのでありますが、総理並びに文部大臣の御所見をお伺いいたします。
 第二に、国民合意の形成についてであります。
 国家百年の計は青年の教育にありと申しますが、教育改革は我が国将来の存亡にかかわる民族的課題であり、いやしくも時の政権や与党の政治的道具に利用されるようなことは断じてあってはなりません。また、一部の政党や教職員団体に見られるように、教育の場に政治的イデオロギーを持ち込み、政府が行おうとする教育改革にはすべてこぶしを振り上げて反対し、上からの押しつけであると専断するような態度もまた、国民的基盤の上に立つ教育改革の推進に背を向けるものと言わざるを得ません。
 総理は、教育改革をトップダウン方式でなく、ボトムアップ方式で行いたい旨の発言をされております。私も改革の成否は国民合意の形成にかかっていると考えます。その意味において、私は、衆議院段階で審議会委員の選任について国会の同意を必要とし、また審議会の答申や意見の報告が国会において行われるよう修正がなされたことに賛意を表するものであります。
 しかし、さらに審議会の運営の過程で、逐次広く国民の意見を聞くための公聴会を開催するとともに、審議会は、結果だけでなく、審議の経過を国民に公表し、それに対する意見を吸い上げるというフィードバック方式をとるよう提案するものであります。総理は国民合意の形成に向けてどのような方策をとられるつもりか、お伺いをします。
 第三に、政治的中立の確保について伺います。
 教育は政治的には中立であるべきであり、特定の政党を支持したり、特定の政治意識を醸成せしめるようなことが教育の場で行われてはなりません。しかし現実には、文部省と日教組の職務権限についての争いや、違法ストとその処分をめぐる争いなどに見られるように、その背後には政治的イデオロギーの対立があり、政治が教育現場に深く入り込んでおります。これはまことに遺憾なことと言わねばなりません。一部には、当審議会の運営の過程において政治色の強いものになりかねないとの危惧もあるようですが、審議会の中立性の維持についてどのような方策をとられるのか。また、教育の政治的中立を確保するための行政機構のあり方についても審議会で議論すべきであると考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 第四は、教育基本法についてであります。
 総理並びに文部大臣は、教育基本法を変える考えはない旨の見解を繰り返し述べられておりますが、私は事の本質を取り違えてはならないと思います。教育基本法の精神を堅持することは当然です。それは、教育が民主的で平和的な国家や社会の形成者にふさわしい人格の完成を目指して行われること、すべての国民がひとしくその能力に応ずる教育を受ける機会を与えられること、政治的偏向や宗教の強制の排除等々憲法の精神の尊重にほかならないのであります。例えば義務教育年限の変更や、教育のために国や地方公共団体が行うべき事項の拡充など、時代の変化に対応するために具体的な施策について同法を改正することは差し支えないばかりでなく、むしろ必要と思いますが、いかがですか。総理並びに文部大臣の御答弁をお願いいたします。
 最後に、文教予算についてお伺いします。
 来年度の予算編成の作業がスタートしようとしておりますが、臨教審の答申をまつまでもなく、
国が教育内容の充実と条件改善に常に努力しなければならないのは当然であります。四十人学級の実現への努力や教科書無債の継続、私学助成の充実など必要な施策を進めるため、来年度においても十分な予算を確保すべきだと思いますが、文部大臣の予算編成に向けての決意をお聞かせいただきたい。
 また、総理は、審議会が予算編成に間に合う時期に何らかの改革案を答申した場合、それを来年度予算に反映される意思があるのかどうか、御所見をお伺いします。
 以上、私は、臨時教育審議会が国民の総意、総和を結集し、荒廃した我が国の教育の立て直しのため大きな役割を果たすものとなることを期待しつつ、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 田渕哲也

speaker_id: 21232

日付: 1984-07-13

院: 参議院

会議名: 本会議