小野功の発言 (社会労働委員会)
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○小野参考人 お答えいたします。
先ほど山本参考人も申されましたように、我が国の雇用慣行は、従来一言で言えば終身雇用慣行と申しておりまして、具体的に申しますと、職業上の知識や経験がない新規の学卒者をある一定時期に募集採用いたしまして、これを長い期間かかって育てながらいわゆる定年まで雇用を保障するということでございます。この雇用慣行のよさについては私も山本参考人と全く同じような理解を持っているわけでございます。こういう慣行が日本の労働者の労働の質を高め、かつ企業への帰属意識を高め、さらにまた、労使関係の安定に役立ってきたことは申し上げるまでもないことでございます。したがいまして、この終身雇用慣行をできるだけ維持したいというのは、企業におきましては、使用者もまた労働組合も共通の強い願望となっていると思うわけでございます。
しかしながら、実態を見ますと、今日、願望は願望として、事実がそのとおりに行われているかあるいは貫けるかどうかということになると、そうはいかないであろう要因がたくさん出てきております。例えば私どもは幸いに、今極めて少産少死時代になっておりまして、一人の労働者の労働生涯もどんどん長くなっております。四十年ないし五十年というふうになっておりますが、一方、雇用の場である企業の方はどうかといいますと、これは史上空前の多産多死時代を今迎えておるわけでございます。私ども東京商工会議所のスタッフがごく大ざっぱな試算をしたことがございますが、それによりますと、全法人企業のうち、年間約四%の企業が姿を消し、ほぼ同じ四%くらいが生まれてくる、つまり四%の新陳代謝率がある。ということは、引き直せば、一つの法人企業の平均寿命はわずか二十五年ということになります。
こう申し上げますと、それは多く中小零細企業のことであろう、こういうふうにお考えになる方が多いと思いますが、例えば東京証券取引所の一、二部に上場している企業、これは日本の企業群をピラミッドに例えれば、まさにその頂点にある企業だと思いますけれども、例えば二十年前の一、二部上場企業と今日の一、二部上場企業を比べますと、この二十年間に約一六%の一、二部上場企業が姿を消しておりまして、逆にまた、今日の上場企業のうちの二十数%、二五、六%だと思いますが、それは二十年前には上場していなかったか、あるいはまだ生まれていなかった企業もある、こういうことが厳然たる事実としてあるわけです。
さらにまた、先ほどもお話に出ておりますけれども、今や非常に多くの女子労働力に日本経済は依存せざるを得ないわけです。申し上げるまでもないことでございますが、従来の終身継続雇用というのは、あくまでも男子労働者を前提にしておるわけでございます。しかしながら、女子は、継続して雇用し、継続して就労、一日たりともあるいは一年たりとも断絶なく続けて雇用し得る条件を満たしているのはごく少数だろうと思います。こういうようなことになりますと、これが通るのは男子だけであるということにもなりかねないと思うわけです。
したがいまして、企業における雇用形態あるいは就労形態と申してもよろしいと思いますけれども、これは今後極めて多様化してくると思います。そういう中にあって、企業としては、もちろん何でもかんでも外の労働力に依存するとか、すべて外注するとか、要するに終身雇用ならざる従業員にすべて置きかえるというようなことを考えている企業は極めて少ないと思います。やはり企業としても、従来の集団一律管理から、複合的なより高度な労務人事管理の確立に今や必死に取り組んでおります。
しかしながら、それをもってしてもなおかつ、先ほど二、三の例を申し上げましたように、この企業の長期雇用になじまない業務、また長期就労を望まない労働力というものはかなりあろうと思います。したがいまして、この法律によってその辺の需給のミスマッチが解消するということは日本の雇用政策上も極めて有効ではないかと私は思う次第でございます。