社会労働委員会

1985-04-19 衆議院 全341発言

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会議録情報#0
昭和六十年四月十九日(金曜日)
    午前九時三十二分開議
出席委員
  委員長 戸井田三郎君
   理事 稲垣 実男君 理事 小沢 辰男君
   理事 丹羽 雄哉君 理事 浜田卓二郎君
   理事 池端 清一君 理事 村山 富市君
   理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君
      伊吹 文明君    古賀  誠君
      斉藤滋与史君    自見庄三郎君
      谷垣 禎一君    友納 武人君
      長野 祐也君    西山敬次郎君
      野呂 昭彦君    林  義郎君
      藤本 孝雄君    箕輪  登君
      網岡  雄君    多賀谷眞稔君
      竹村 泰子君    森井 忠良君
      竹内 勝彦君    森田 景一君
      森本 晃司君    小渕 正義君
      塚田 延充君    浦井  洋君
      小沢 和秋君    菅  直人君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 山口 敏夫君
 出席政府委員
        労働大臣官房審
        議官      中村  正君
        労働大臣官房審
        議官      白井晋太郎君
        労働大臣官房審
        議官      野見山眞之君
        労働省労政局長 谷口 隆志君
        労働省労働基準
        局長      寺園 成章君
        労働省職業安定
        局長      加藤  孝君
 委員外の出席者
        環境庁水質保全
        局水質管理課長 小林 康彦君
        通商産業省基礎
        産業局化学製品
        課長      松井  司君
        労働大臣官房国
        際労働課長   佐藤ギン子君
        労働省労政局労
        働法規課長   廣見 和夫君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 菊地 好司君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 加来 利一君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 齋藤 邦彦君
        自治省行政局公
        務員部公務員第
        一課長     紀内 隆宏君
        参  考  人
        (全日本電機機
        器労働組合連合
        会政策企画局
        長)      阿島 征夫君
        参  考  人
        (東京商工会議
        所理事・事務局
        長)      小野  功君
        参  考  人
        (信州大学経済
        学部教授)   高梨  昌君
        参  考  人
        (日本事務処理
        サービス協会監
        査)      宮川 尚三君
        参  考  人
        (全日本自治団
        体労働組合副委
        員長)     山本 興一君
        社会労働委員会
        調査室長    石黒 善一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
 辞任          補欠選任
  橋本 文彦君      竹内 勝彦君
同日
 辞任          補欠選任
  竹内 勝彦君      橋本 文彦君
    ―――――――――――――
四月十九日
 育児休業法案(糸久八重子君外二名提出、参法
 第三号)(予)
 育児休業法案(中西珠子君外二名提出、参法第
 四号)(予)
同月十八日
 食品添加物の安全確保等に関する請願(井出一
 太郎君紹介)(第三二七三号)
 同(稻村佐近四郎君紹介)(第三二七四号)
 同(宇野宗佑君紹介)(第三二七五号)
 同(小渕恵三君紹介)(第三二七六号)
 同(鹿野道彦君紹介)(第三二七七号)
 同(梶山静六君紹介)(第三二七八号)
 同(片岡清一君紹介)(第三二七九号)
 同(金丸信君紹介)(第三二八〇号)
 同(倉成正君紹介)(第三二八一号)
 同(小泉純一郎君紹介)(第三二八二号)
 同(小宮山重四郎君紹介)(第三二八三号)
 同(國場幸昌君紹介)(第三二八四号)
 同(佐々木義武君紹介)(第三二八五号)
 同(佐藤隆君紹介)(第三二八六号)
 同(櫻内義雄君紹介)(第三二八七号)
 同(田村元君紹介)(第三二八八号)
 同(谷垣禎一君紹介)(第三二八九号)
 同(玉置和郎君紹介)(第三二九〇号)
 同(玉沢徳一郎君紹介)(第三二九一号)
 同(戸井田三郎君紹介)(第三二九二号)
 同(友納武人君紹介)(第三二九三号)
 同(中川秀直君紹介)(第三二九四号)
 同(中村靖君紹介)(第三二九五号)
 同(丹羽兵助君紹介)(第三二九六号)
 同(橋本龍太郎君紹介)(第三二九七号)
 同(原田昇左右君紹介)(第三二九八号)
 同(福田一君紹介)(第三二九九号)
 同(吹田愰君紹介)(第三三〇〇号)
 同(藤本孝雄君紹介)(第三三〇一号)
 同(船田元君紹介)(第三三〇二号)
 同(宮下創平君紹介)(第三三〇三号)
 同(武藤嘉文君紹介)(第三三〇四号)
 同(森下元晴君紹介)(第三三〇五号)
 同(山崎平八郎君紹介)(第三三〇六号)
 同(山下元利君紹介)(第三三〇七号)
 同(若林正俊君紹介)(第三三〇八号)
 小規模障害者作業所の助成に関する請願(小澤
 潔君紹介)(第三三〇九号)
 男女雇用平等法の法制化に関する請願(伏屋修
 治君紹介)(第三三一〇号)
 健康保険本人の十割給付復活に関する請願(東
 中光雄君紹介)(第三三一一号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(伊藤
 宗一郎君紹介)(第三三一二号)
 同(森井忠良君紹介)(第三三一三号)
 医療保険制度の改善等に関する請願(新村源雄
 君紹介)(第三三一四号)
 同(森井忠良君紹介)(第三三一五号)
 公共事業による失業対策推進に関する請願(森
 井忠良君紹介)(第三三一六号)
 児童扶養手当制度の改悪反対に関する請願(上
 田卓三君紹介)(第三三一七号)
 健康保険本人の十割給付復活等に関する請願
 (東中光雄君紹介)(第三三一八号)
 労働者派遣法の制定反対に関する請願(岡崎万
 寿秀君紹介)(第三三八一号)
 同(経塚幸夫君紹介)(第三三八二号)
 同(工藤晃君紹介)(第三三八三号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第三三八四号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第三三八五号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第三三八六号)
 同(瀨長亀次郎君紹介)(第三三八七号)
 同(田中美智子君紹介)(第三三八八号)
 同(津川武一君紹介)(第三三八九号)
 同(辻第一君紹介)(第三三九〇号)
 同(中川利三郎君紹介)(第三三九一号)
 同(中島武敏君紹介)(第三三九二号)
 同(中林佳子君紹介)(第三三九三号)
 同(野間友一君紹介)(第三三九四号)
 同(林百郎君紹介)(第三三九五号)
 同(東中光雄君紹介)(第三三九六号)
 同(不破哲三君紹介)(第三三九七号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三三九八号)
 同(藤田スミ君紹介)(第三三九九号)
 同(正森成二君紹介)(第三四〇〇号)
 同(松本善明君紹介)(第三四〇一号)
 同(簑輪幸代君紹介)(第三四〇二号)
 児童扶養手当制度改悪反対に関する請願(土井
 たか子君紹介)(第三四〇三号)
同月十九日
 労働時間の短縮促進等に関する請願(天野光晴
 君紹介)(第三四四四号)
 中国残留日本人孤児対策に関する請願(天野光
 晴君紹介)(第三四四五号)
 福島県の最低賃金改定促進に関する請願(天野
 光晴君紹介)(第三四四六号)
 福祉予算の拡充等に関する請願(北口博君紹介
 )(第三四四七号)
 老人医療費の無料等に関する請願(福島譲二君
 紹介)(第三四四八号)
 労働者派遣法反対等に関する請願(浦井洋君紹
 介)(第三四四九号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三四五〇号)
 社会福祉の充実等に関する請願(岡崎万寿秀君
 紹介)(第三四五一号)
 同(経塚幸夫君紹介)(第三四五二号)
 同(津川武一君紹介)(第三四五三号)
 同(中島武敏君紹介)(第三四五四号)
 同(林百郎君紹介)(第三四五五号)
 同(藤田スミ君紹介)(第三四五六号)
 同(松本善明君紹介)(第三四五七号)
 国立療養所長寿園の存続等に関する請願(浦井
 洋君紹介)(第三四五八号)
 児童扶養手当制度の改悪反対に関する請願(上
 田卓三君紹介)(第三四五九号)
 年金の官民格差是正に関する請願(池端清一君
 紹介)(第三四七六号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四七七号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四七八号)
 在宅重度障害者の暖房費支給に関する請願(池
 端清一君紹介)(第三四七九号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四八〇号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四八一号)
 在宅重度障害者の介護料支給に関する請願(池
 端清一君紹介)(第三四八二号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四八三号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四八四号)
 重度障害者の終身保養所設置に関する請願(池
 端清一君紹介)(第三四八五号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四八六号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四八七号)
 労災年金と厚生年金等の完全併給に関する請願
 (池端清一君紹介)(第三四八八号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四八九号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四九〇号)
 重度身体障害者の雇用に関する請願(池端清一
 君紹介)(第三四九一号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四九二号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四九三号)
 身体障害者家庭奉仕員の採用に関する請願(池
 端清一君紹介)(第三四九四号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四九五号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四九六号)
 国公立病院における脊髄損傷者の治療に関する
 請願(池端清一君紹介)(第三四九七号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四九八号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四九九号)
 労災被災者の脊髄神経治療に関する請願(池端
 清一君紹介)(第三五〇〇号)
 同(梶山静六君紹介)(第三五〇一号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三五〇二号)
 健康保険・国民健康保険による付添介護人派遣
 等に関する請願(池端清一君紹介)(第三五〇
 三号)
 同(梶山静六君紹介)(第三五〇四号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三五〇五号)
 労災年金のスライドに関する請願(池端清一君
 紹介)(第三五〇六号)
 同(梶山静六君紹介)(第三五〇七号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三五〇八号)
 身体障害者の福祉行政改善に関する請願(池端
 清一君紹介)(第三五〇九号)
 同(梶山静六君紹介)(第三五一〇号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三五一一号)
 脊髄保損傷治療技術の研究開発に関する請願(
 池端清一君紹介)(第三五一二号)
 同(梶山静六君紹介)(第三五一三号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三五一四号)
 労災年金の最低給付基礎日額引き上げに関する
 請願(池端清一君紹介)(第三五一五号)
 同(梶山静六君紹介)(第三五一六号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三五一七号)
 労災脊髄損傷者の遺族に年金支給等に関する請
 願(池端清一君紹介)(第三五一八号)
 同(梶山静六君紹介)(第三五一九号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三五二〇号)
 労災重度被災者の暖房費支給に関する請願(池
 端清一君紹介)(第三五二一号)
 同(梶山静六君紹介)(第三五二二号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三五二三号)
 労働者災害補償保険法の改善に関する請願(池
 端清一君紹介)(第三五二四号)
 同(梶山静六君紹介)(第三五二五号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三五二六号)
 労働者派遣法の反対等に関する請願(小沢和秋
 君紹介)(第三五七二号)
 児童扶養手当制度改悪反対に関する請願(竹村
 泰子君紹介)(第三五七三号)
 身体障害者の雇用対策等に関する請願(竹村泰
 子君紹介)(第三五七四号)
 医療保険制度の改善等に関する請願外四件(竹
 村泰子君紹介)(第三五七五号)
 国立腎センター設立に関する請願(亀井静香君
 紹介)(第三五七六号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第三五七七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
四月十九日
 福祉予算の増額等に関する陳情書外五件
 (第二九四号)
 国立病院・療養所の充実強化に関する陳情書外
 二件
 (第二九五号)
 国立療養所道北病院の存続と整備拡充に関する
 陳情書(第二九六
 号)
 国立療養所奄美和光園の存続に関する陳情書
 (第二九
 七号)
 医療保険制度の充実等に関する陳情書外八件
 (第
 二九八号)
 原爆被害者援護法即時制定に関する陳情書外三
 十九件
 (第二九九号)
 はり、きゆう、マッサージ治療費の助成制度に
 関する陳情書外一件
 (第三〇〇号)
 健康保険本人十割給付の復活等に関する陳情書
 (第三〇一号)
 国民健康保険財政改善に関する陳情書外二件
  (第三〇二号)
 使用済み乾電池及び蛍光管の処理対策に関する
 陳情書(第三〇三
 号)
 児童手当制度の充実に関する陳情書外二件
 (第三〇四号)
 年金積立金の運用に関する陳情書
 (第三〇五号)
 外国残留日本人及び帰国者に対する特別措置法
 制定に関する陳情書
 (第三〇六号)
 中国残留日本人孤児対策の強化に関する陳情書
 (第三〇七号)
 高山公共職業安定所益田分室廃止反対に関する
 陳情書
 (第三〇八号)
 失業対策事業の推進に関する陳情書外一件
 (第三〇九号
 )
 季節労働者の雇用促進等に関する陳情書外八件
 (第三一〇号)
 高年齢者の雇用安定に関する陳情書
 (第三一一号)
 シルバー人材センターの制度的基盤の確立に関
 する陳情書外一件
 (第三一二号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労
 働者の就業条件の整備等に関する法律案(内閣
 提出第五九号)
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労
 働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に
 伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提
 出第六〇号)
     ――――◇―――――
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戸井田三郎#1
○戸井田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人から意見を聴取することにいたしております。
 御出席を願っております参考人の方々は、全日本電機機器労働組合連合会政策企画局長阿島征夫君、東京商工会議所理事・事務局長小野幼君、信州大学経済学部教授高梨昌君、日本事務処理サービス協会監査宮川尚三君、全日本自治団体労働組合副委員長山本興一君、以上でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両案につきまして、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと思います。
 なお、議事の順序は、初めに参考人の方々から御意見を十五分程度お述べいただき、次に委員諸君からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、まず阿島参考人にお願いいたします。
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阿島征夫#2
○阿島参考人 ただいま委員長の方から御紹介にあずかりました電機労連の阿島でございます。
 電機労連及び上部団体であります中立労連の代表という立場から、きょうは率直な意見をまず述べさせていただきたいと思います。
 まず、電機関係で申し上げますと、情報処理労働者が今回の法案に非常に大きなかかわりを持っているということでございますので、これを主としてお話を申し上げたいと思います。
 情報処理労働者の現状でございますが、情報処理労働者と一口で言いましても、システムエンジニア、俗にSE、こういうふうに言われております、それからプログラマー、オペレーター、キーパンチャー、こういうものを一括して情報処理労働者もしくはソフト労働者、こういうふうに呼んでいるわけでございますが、現在、通産省等の推定によりますと、確かな数はわかりませんが、国内に約四十万人おる、こういうふうに推定をされるわけであります。また、このうち情報処理サービスだとか、いわゆるソフトウエアハウスで働く人たちは約二十万人ぐらいいるのではないだろうか。また、そのうちの三分の一ないし四分の一が派遣労働者として従事をしているのではないだろうか、こういうふうに私たちは推定しておるところでございます。
 電機労連加盟の大手電算機メーカーの工場を見てみますと、ソフトウエア工場というのがございますが、この工場の約半数が派遣労働者で賄っておるわけであります。つまり派遣労働者を受け入れているという現実にあるわけであります。また逆に電機労連は、派遣労働者を組合員といたしまして派遣をしているという、こういう労働組合も何社か加盟になっているわけでございます。
 こうしたソフト労働者の需要については非常に大きな成長があるわけでございまして、大体今後昭和六十五年ぐらいまでに四割以上の増加率でふえるのではないだろうか、こういうように推定をしているところでございます。
 ところが、この需要に見合ってこのソフト労働者がふえないというのが現在の状況でございまして、通産省の推定で申し上げれば、昭和六十五年度にはこうしたソフト労働者すべてで百六十万人の需要があるだろう、これに対して供給側の労働者の数は百万人くらいということでございまして、約六十万人不足をするということが予想されておるわけでありまして、現在もう既に慢性的なソフト労働者不足でございますが、ますますこの傾向がはっきりする、こういうふうに推定しておるわけでございます。
 また、こうしたソフト労働者のうちの派遣労働者の契約につきましては、大部分が現在請負契約か業務委託契約、こういう形態で派遣されているわけでございますが、我々が調査したところによれば、実質的には派遣労働者として働いているわけでございます。つまり大多数の派遣労働者は、現在は契約のいかんにかかわらず派遣という形態で労働に従事している、こういう現実があるわけでございます。
 こうした情報処理労働者の現状を分析した上で、電機労連は問題点として数点挙げておるわけでございますが、まず第一に、これらの派遣労働者は約三千社とも四千社とも言える中小ソフトハウスの非常に経営基盤の弱いところから派遣されているケースが多いわけでありまして、中には正規の雇用契約もない、つまり派遣期間だとか派遣先の労働条件の明示だとか、こういった契約のない非常に不安定雇用の労働者が多いということが言えるのではないかと思います。私たちはこれを何とか常用労働者に変えさせていかなければならないだろう。不安定雇用から安定した雇用に変えさせるというのが、まず第一の私たちの運動の考え方でございます。
 次に、こうした労働者の労働条件の実態を見てみますと、派遣先における時間外労働が極めて多い。また、この時間外労働の手当であります残業手当についてもきちっとした計算で支給されていない、こういうような実態もあるわけでございます。つまり、派遣元と派遣先の労働時間の差とか労働条件の差、こういうものが非常にあいまいになっている。たまたま電機労連に加盟しておりますソフト労働者の組合は、きちっとした協定化によってこれを確保しているわけでございます。しかしながら、労働組合のない多数の中小のソフトハウスの労働者につきましては、派遣先における労働条件が派遣元の労働条件と大きな差のある中で働いているのが現状でございます。つまり、こうした派遣先における労働条件を向上させるのが私たちの第二の目標でございます。
 三番目に、派遣先における職場環境の悪さ、また安全衛生における十分なる派遣先における使用者責任が現状の法制下では認められていないわけでございます。具体的に申し上げれば、職場環境でいきますと駐車場とか食堂とかロッカー等での派遣先の正規従業員との間の差別、また、そうした差別の改善要求が派遣先に対して出しにくい、また通りにくいのが現状であります。こうしたことから、派遣先における使用者責任を明確化させるということが第三の我々の論点でございます。
 四番目に、現在技術革新が極めて激しい状況でありまして、ソフト労働者といいますのは、その職種上こうした技術革新に十分ついていくような教育訓練が施されないとスクラップ化していくという厳しい現実があるわけでございます。ところが、我々の調査、またその他の調査によれば、派遣先における教育訓練はほとんどされていない。また、派遣元における教育訓練においても、なかなか派遣労働者はこれを受ける機会が少ないわけでございます。こういうような第四番目の問題点が現実に存在するわけでございます。
 こうしたことから、電機労連は、三年前から電機労連独自で派遣労働者に対する対策指針をつくりまして、今のようなことをカバーできるような取り組みをしてまいりましたが、これはあくまでも電機労連傘下の組合に対しての対策指針でありまして、今回の法案につきましては、契約内容の明確化、職場環境、安全衛生問題における派遣先使用者の責任、作業場所の移動にかかわる問題等の協議、派遣労働者の能力、技能向上にかかわる教育訓練の問題等、電機労連の対策指針が盛り込まれておりますので、我々としては早期にこの法案の成立をお願いする立場でございます。つまり、現在ソフトの派遣労働者が、いわゆる四十四条におきます日陰者扱いから、きちっと法的に認知され、また行政による保護が加えられることが必要ではないかと考えております。
 冒頭申し上げましたように、派遣労働者というのは、経済のソフト化、サービス化の流れの中で就業形態の多様化の一環としてとらえられるものでございます。こうした就業形態を否定するのではなく、いかに安定的に労働市場に定着させるかという観点からの対応が必要ではないかと思います。また派遣先企業に対して、安全衛生面における使用者責任というものも法的にきちっと定める必要があると思います。こうした意味からもこの法案につきましてはぜひ早期の成立をお願いするところでございます。
 ただ、労働者供給や職業紹介を電機労連及び中立労連は否定するものではないということを一点つけ加えておきたいと思います。逆に、電機労連といたしましても労働者供給事業というものを将来組合活動の一環として十分発展させていきたいと考えているところでございます。したがって労働組合が労働者供給事業を十分やっていって、ほかの通常の会社との競争力が損なわれないような一定の整備を、今後政府に、また国会にお願いしていきたいと考えているわけでございます。
 具体的に申し上げれば、労働者供給事業におきます労働者は派遣先で健康保険に入らなければなりませんが、現実問題としてソフト労働者の派遣につきましては、短い派遣の期間では三カ月とか、長いものは三年ぐらいあるわけでございますが、非常に短い派遣期間がございますので、こうしたところでは派遣先で健康保険に入ることは非常に難しい状況になっております。したがいまして、労働者供給事業に対する社会保険事務所の取り扱い等の一定の整備を今後お願いしていきたいと考えているわけでございます。
 以上、簡単ではございますが、この法案の早期成立をお願いする立場から意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。拍手
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戸井田三郎#3
○戸井田委員長 ありがとうございました。
 次に、小野参考人にお願いいたします。
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小野功#4
○小野参考人 東京商工会議所の小野でございます。
 この法律案につきまして私の意見の結論を最初に申し上げますと、私はこの法案に賛成でございまして、その速やかな成立を希望するものでございます。以下、賛成の理由を申し述べます。
 第一は、法律と実態との間の著しい乖離は解消されなければならないと考えるからであります。この法律案の対象となっております事業は、実態としては既に広く存在し、社会的にも今や定着しております。しかも今日までこれらの事業が存在することによって生じてきた弊害というものはほとんどなかったのではないかと私は思うわけでございまして、むしろ雇用機会の拡大を初め社会、経済の各面で少なからぬ貢献をしていると思われますにもかかわらず、法律的にはその存在が極めてあいまいでありまして、極論すれば、実態はあるのに法的には存在しないという甚だ異常な事態となっておるのであります。したがいまして、今後これらの事業の健全な発展を促し、かつまたこれらの事業に既に従事しておられる非常に多くの労働者の保護と福祉を図るためにも、実態に即した法的整備が急務であるのではないかと考える次第でございます。
 賛成理由の第二は、いわゆる労働者派遣事業が労働力の需要と供給の二つの面からそれぞれのニーズにこたえて発生し、かつ増加してきているのだという点でございます。すなわち、労働力需要サイドから見ますと、御高承のように産業構造の変化やサービス経済化の進展などによりまして企業の営業形態というものが大変多様化してきておりまして、これに伴いまた雇用形態も多様化せざるを得なくなってきておりますが、その中には、我が国の伝統的な雇用慣行とされてまいりましたいわゆる終身継続雇用、あるいはこれと裏腹の関係にございます集団一律管理といったものになじまないような業務がふえてまいっております。
 例えば、企業がその情報処理システムを大きく変更しようというような必要が生じてきた場合などは、自社内の情報処理技術者のほかに一時的に大量の技術者を必要とするケースもございますし、ビルの管理や警備といった業務にいたしましても、その仕事の性格上一般の従業員が就業していない時間、例えば従業員が帰ってしまった夜間とか、そういう方々が出勤していない休日というものが主たる就業時間になるような場合も決して少なくございません。しかも、警備にいたしましてもあるいはビルメンテナンスにいたしましても、近年は各種の先端技術を使い、とりわけ情報処理機器を活用しながら作業するというケースが非常にふえてまいりまして、当然このためには高度な専門技術、専門知識を持った方たちの協力が必要になってきておるわけです。
 もしもこうしたすべての事業を企業がいわゆる自己完結主義的に一貫して行おうということになりますと、その人事管理は極めて複雑化せざるを得ませんし、かつまた経営コストを著しく上昇させることにもなることは明らかであります。
 さらにまた、御高承のように今日女子の職場進出が大変目覚ましく、既に全勤労者の三分の一を超えるところまで伸びてまいりましたが、これらの女子の勤労者のうちの六割を超える部分が既婚者でございます。ということは、必然的にこういう女子の従業員を雇用している企業にとりましては出産に伴う産前産後の休暇といったものは避けられないわけでございますし、また最近は、一部の企業で普及を見せつつある育児休業制度というものもございますが、こうした休業中の方にかわるいわば代替要員というものはぜひとも必要になってくるわけでございます。
 こうした面からも、即戦力になり得るようないわゆるテンポラリーワーカーと申しましょうか、こういう方々、特に経理部門あるいはOA機器の操作といった面での熟練した臨時あるいは短期の雇用ということが強く求められておるわけでございます。
 以上は需要サイドからの要因でございますが、他方供給サイドと申しましょうか、いわば労働者の側にも、近年はいわゆる専門職志向というものが大変強まってきておりまして、この方々にとりましては、常に専門的な技術を生かし、かつまた専門技術を絶えず磨き続ける、そういうことのできるような就労形態を望む傾向が徐々に強まってまいっておるわけでございます。
 また、さきに述べましたように、既婚の女子労働者が非常に増加しておりますが、この方々は例えば家庭と仕事、仕事と育児あるいは自分の余暇時間といったようなものの両立を図っていくために自分の希望する日時等に合わせて働きたいという強い願望がございまして、特に過去にそれぞれ仕事をお持ちになっていらっしゃる方々、しかもそこで専門的な知識、技術を身につけられた方々にとりましては、これを生かせる場としていわゆる人材派遣会社といったものへの登録が極めて急速に普及しているようでございます。この点については後ほど宮川参考人などからもお話があろうかと思います。
 さらにまたつけ加えるならば、御高承のように我が国は急速に高齢化社会に入りつつありまして、働く意思と能力を持っておる高齢者の方々に適職を与えるということが国家的な急務であろうと私は思うわけでございますが、派遣事業の中には、例えば決算期だけ働く退職経理マンとか新入社員教育だけを引き受ける企業の元教育担当者といった方々が既に派遣労働者として働いているケースもあるわけでございます。今後これがきちんとルール化されるならば、こういう高齢者の方々にとっても働く機会が大変ふえるであろうと私は思うわけでございます。
 以上申しましたように、需要供給の両面からの必要にこたえて広がりを見せている労働者派遣事業というのは、こうした意味ではまさに新しい労働力の需給システムの一つではないかと私は考える次第でございます。
 本法律案の成立、施行によって、これまで申し上げましたように新たな雇用機会の創出と企業経営の合理化といういわば一石二鳥の効果を期待いたしますがゆえに、私は本法律案に賛成する次第でございます。
 なお、これに関連いたしまして、私は次の二点についての希望を申し上げたいと思います。
 一つは、この法律案が成立いたしますと、その適用分野とか各種の規制措置の細部について中央職業安定審議会等において審議決定されることになると思います。その際、いわゆる悪貨が良貨を駆逐するということのないような一定のルールを設けることは当然必要だと思いますし、現に法案でも、特に派遣元に対しては各種の規制を講じることがうたわれております。そのことは当然必要だと思いますが、しかしながら、行き過ぎた規制によって民間の創意工夫や企業努力を圧殺してしまうことにならないよう十分な配慮をお願いしたいと思うわけでございます。
 希望の第二は、現在労働大臣の許可による民営職業紹介事業がございますが、これらの職種の中には実質的には派遣事業に近いものもあるように私は思われます。この際、民間職業紹介事業につきましても労働者派遣事業との関連で十分な見直しをお願いしたいと思いますとともに、民営職業紹介事業にかかわる各種規制につきましても緩和を図られるように要望いたしたいと思う次第でございます。
 甚だ簡単でございますが、以上で私の陳述を終えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。拍手
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戸井田三郎#5
○戸井田委員長 ありがとうございました。
 次に、高梨参考人にお願いいたします。
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高梨昌#6
○高梨参考人 信州大学経済学部の高梨でございます。
 私は、この政府提案の労働者派遣事業法の立案に当たりまして、労働省に設置されております中央職業安定審議会の労働者派遣事業等小委員会の座長を務めまして、審議会としての意見の取りまとめの責任を負ってまいりました。こういう立場から、この政府提案の法案の中身は審議会の意見をほぼ生かしているという点で総括的には賛成の立場で私の御意見を申し述べたいと思います。
 まず、中央職業安定審議会での審議の経過と審議の方法でございますけれども、御承知かと思いますが、昨年の二月に労働者派遣事業問題調査会の報告が政府に提出されまして、それを受けまして中央職業安定審議会の中に労働者派遣事業等小委員会が昨年の三月発足いたしました。これは中央職業安定審議会の労、使、公益それぞれ三名ずつの代表から構成された委員会でございます。都合十六回にわたりまして小委員会での審議を経て、昨年十一月に安定審議会の総会に小委員会報告を提出いたしました。審議会総会でそれが了承されて労働大臣に提出されるという、こういうような運びでございました。
 さて、問題はこの小委員会の審議でございますが、派遣事業につきましてはさまざまな御意見がございます。強く反対される御意見も一方にございますと同時に、また早急にこの派遣事業法で派遣契約形態の事業についての何がしかのルール規制をしていただきたい、こういうような御希望もございます。そういうようなことで、果たして小委員会で短時日のうちにうまく労使の方々のさまざまな賛成、反対の御意見を集約できるかどうか、正直なところ、私も発足当初にはまだ自信もございませんでした。
 まず、そういう実情でございますので、現在日本の産業構造が大きく転換している中で、さまざまな労働力需給システムがございますが、こういうような労働力需給システムというものは実情はどういうような状況になっているのかという、この実態の把握の作業を進めました。とりわけ、派遣的契約形態で行われると思われます事業分野につきましては、関係業界の方々、また派遣社員を活用されているユーザーの方々、またそこで働く派遣社員の方々から、この小委員会で事情聴取を行い、同時に関係資料の提出を求めました。
 こういうような作業を積み重ねまして、実態として存在する各種の労働力需給システム、これのタイプ分けを行いました。その中から、現行職業安定法四十四条で禁止される労働者供給事業というのはどういう需給システムを想定しているのか。また職安法施行規則四条一項で定めます請負契約事業というのはどういうような需給システムを前提にしているのか。また、とりわけオイルショックの後、企業の雇用調整策ということでできるだけ余剰人員を失業者として投げ出さないように企業が雇用を抱えるために、出向契約事業というものがかなり普及いたしました。政府もこれらの出向契約については助成金を給付してできるだけ解雇しないように努めてきたところでありますが、この出向契約事業、このシステムはどうなっているのか。
 それからまた雇用契約に基づく職業紹介という需給システムがございますけれども、この実態はどうなっているのか。それと、新たに労働者派遣契約事業というものは需給システムでどういう実態的な状況にあるのか、こういうような実態把握に努めました。その中で労働者派遣契約事業、こういうものの特徴を浮かび上がらせる、こういう作業を一方でいたしました。
 それからもう一方では、これもさまざまな御意見があるところでございますけれども、現行の法律制度、とりわけ職業安定法と労働基準法が問題でございますけれども、これらの法律並びに政令、省令、それから行政通達がいろいろございますけれども、これらを整理、分析し、検討を加えた上で、法制上これらの各種の需給システムはどのように取り扱われているのか、このことを整理いたしました。
 こういうような二つの作業を進めまして、この両者を関連づける。その中から浮かび上がってまいりましたのが、労働者派遣契約というのは、派遣元がみずから労働者を雇用し、派遣先での指揮命令系統下で働く、こういう形態でございます。これと類似は在籍出向契約がそうでございます。こういうような、派遣労働者を含めれば三者の法律上また指揮命令系統上の関係がございます。こういうようなタイプの契約形態であるということを、このことを私も小委員会で初めて明らかにいたしました。
 その上で、そうなればこの労働者派遣契約に基づく事業に対する公的規制の実効ある方法はどういうものか、これを法律案にうたった場合にはどういうように具体化できるか、こういうような作業を進めました。
 あわせて、当然派遣契約事業を見直して法的に位置づける場合には、現行法でもございます労働組合のみ例外的に許可されて行える労働者供給事業というものがございます。これについてもさまざまな問題がございます。私などは、労働組合がもっと熱心に労働者供給事業活動をしていただきたいとかねがね労働組合の方々にも申し上げたところでございますが、どうも現行の法律や政省令でそれが活動しにくい、こういう部面もございますので、労働者供給事業活動を労働組合がもう少しスムーズに行えるようにこの辺の改定を考えたらどうかということ。それからまた、民営企業が行います有料の職業紹介事業がございますけれども、現在二十八職業ですけれども、これらについてももう少し活性力を持って需給システムとして大いに役に立てるように位置づけたい、こういうようなことで、この検討作業と現行法の整備の問題も検討いたしました。
 以上のような作業を小委員会で続けてまいりまして、最終的には十一月に小委員会報告をまとめた次第でございます。
 なお、この小委員会の審議を進めるに当たりまして、当然さまざまな御意見もございますので、審議の中途でそれぞれ区切りに応じて安定審議会の総会に御報告申し上げ、そこでの全体の公労使の方々の御意見を伺い、また必要に応じて労使各側の方々にはそれぞれ組織にお持ち帰り願って、そこで御検討いただき、その検討を踏まえながら小委員会の次のステップの議論に進む、こういうようなことで、可能な限り労使双方の方々の合意を図れるように私は努め、そういうような審議を進めてまいりました。そこで、最終的には大筋の合意を得られて小委員会報告としてまとめられた次第でございます。
 なお、もちろん労使の各側の方々からさまざまな御意見がございます。これは立法政策上、法律というのは制度的には少なくとも論理的首尾一貫性が必要でございます、そうしなければ法律としてなかなか有効に機能しないという問題もございますので。その筋道に抵触しない限り、それぞれの御意見は最大限私は取り入れてまとめた、こういうように考えておる次第でございます。もちろん、まだ若干の異論が残されておりますけれども、おおむね妥当という、こういうことで労使の同意を得られた次第でございます。
 なお、この派遣契約事業とか出向契約事業につきましては、三者の法律関係でございます。派遣元の雇用主責任、包括的な使用者責任は派遣元でございますが、指揮命令という部分的責任が派遣先に移ります。こういうような三者の法律関係は、当然労働基準法上の問題も呼び起こしますので、労働基準法研究会にも研究、検討を御依頼申し上げ、その基準法研究会の御意見も踏まえてここで派遣事業法なるものの仕組みを考えた次第でございます。
 以上が私どもの小委員会での審議の進め方でございますが、そういうようなことも経まして昨年十一月に安定審議会から労働大臣に報告書を提出し、それに従いまして今年一月、政府は法案要綱を作成し、再度安定審議会に諮問をいたしました。安定審議会でもまた小委員会を開いて政府提案の法案要綱、またその法律案なるものを検討いたしました。これについても、その派遣事業等小委員会の報告の筋に従って政府案が起案されている、こういうことでおおむね妥当という意見をまとめた次第でございます。したがって、今回の政府提案立法につきましては、安定審議会の意向を十分反映した立法である、私はこういうように判断している次第でございます。その意味で、この法案について賛成、こういう御意見を申し上げたい。
 それからなお、時間もございませんから、もう一つ、先ほど小野参考人、阿島参考人からも意見が申し述べられましたけれども、一つだけ最後に補足しておきたい論点がございます。
 こういうような派遣事業法を必要とする経済的、社会的背景の問題でございますが、私は三つの点に注目したいと思います。
 今日、産業構造、就業構造が非常に高度化してまいりました。第三次産業化とかサービス経済化とか、こういうような産業構造の変動が急激に起きております。これを進めておりますのは、ME技術を中心といたします新しい技術的進歩でございまして、これが日本の経済の活性力を維持し、また経済成長率を高めていく大変な起動因になっておるわけでございますけれども、この過程で職業が大変専門的に分化してまいりました。こういうような専門的、技術的職業の需要が急速にふえてきたということでございます。これをいかに活用するかということは、日本の経済にとって大変重要な問題でございます。そのような専門的、技術的職業、これを中核にして誕生したのが派遣事業形態だと私は思います。私は、これは一種の新しいタイプの対事業所サービス業、こういうような業態であると考えます。これが第一点でございます。
 第二点は、企業経営は絶えず効率性を維持し、企業としての活性力を維持することが、まさに企業社会としての、企業人としての最大の使命でございます。この過程で、それぞれ企業が本体事業で抱え込むべき事業分野、業務分野と、そうでない間接業務分野とがございます。これらの間接業務分野はそれぞれ専門の業者に外注、委託した方がはるかに経済効率なり経営効率が高まります。こういうような外注、委託形態の一つとして派遣形態が進んできたということでございます。
 また、直接的な事務管理部門にいたしましても、臨時的に仕事がふえる場合がございます。こういうような臨時的、突発的にふえる、例えばプログラム開発とか技術の開発とか、こういう際にプロジェクトチームをつくりますけれども、こういうようなところに専門、技術職を派遣していただく、こういうようなことも企業の活性力、またコストの増加を防ぐ一つの有力な手段でございます。そういうようなことから、派遣契約事業が成長してくる基盤が与えられているということでございます。経済学の言葉で申しますと、まさに社会的分業の利益がこれによって発揮される、こういうことでございます。
 それから第三番目は、最後でございますが、今日パート形態で働く方々、また短時間就業の方々がふえております。これらのパートとか短時間就業を希望する女性の方々が大変ふえているという実態がございます。それからまた、高老齢で、フルタイムの労働でなしにパートタイムで働きたいという、こういうような御希望の方々も大変多うございます。
 ところが、これらの方々の雇用機会は、現状で十分に提供されているかというと、そうではございません。御承知のように、日本の企業は、とりわけ大企業とか公務員が典型的にそうでありますけれども、新規学卒者を新規に採用し、その以後それぞれ企業の中で熟練技能、職業的知識を身につけて昇進昇格していくという、こういう終身雇用、年功賃金制の労使関係がございます。この雇用慣行は私は堅持すべきだと思いますけれども、この雇用慣行のもとでは中途入職は大変困難でございます。
 ところが、派遣事業形態というのはこれらの中途入職の機会を提供している。とりわけ、子育てを終わって再度職業戦線に出てきたいという女性がどんどんふえているわけでございますけれども、これらの女性の方々の就業意欲を生かせる雇用機会は必ずしも広うございません。これに十分な機会を提供しているのが、私は派遣事業形態だと思っております。
 それから同時に高齢者対策、これは大変重要な問題でございますけれども、高齢者の受け皿会社を各企業はできるだけ失業者として高齢者を投げ出さないために工夫、改善されているところでございますけれども、これらの高齢者に対する雇用機会もこれらの派遣事業が提供している。こういうプラスの面を私は大いに評価する必要があるのではないか。そのためには、これらの事業のルールが必要でございますので、今回、そのルールを定め、派遣元、派遣先が負うべき責任、それから派遣社員の賃金、労働条件の維持改善、これに役立つようなルールづくりを私は考えた次第でございます。
 以上で、私は、政府提案の立法について総括的に賛成ということで参考人の陳述を終わりたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。拍手
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戸井田三郎#7
○戸井田委員長 ありがとうございました。
 次に、宮川参考人にお願いいたします。
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宮川尚三#8
○宮川参考人 ただいま御紹介にあずかりました日本事務処理サービス協会の監査を務めております宮川と申します。
 私は、現在、マンパワージャパン株式会社の経営統括マネジャーとして働いております。僭越な表現でございますが、日本におけるテンポラリー・ワーク・サービスの歴史というものは私どもの会社の歴史と重なる点が多々ありますものですから、私の立場、ときどきマンパワージャパンの立場でお話し申し上げた方がよく御理解いただけるのじゃないかと思います。まずはそのことをおわび申し上げます。
 まず、この事務処理サービス業の実態をお話しする前に、私としましては、このいわゆる派遣労働者と派遣先企業、また派遣元企業の関係をお話ししてみたいと思います。特に派遣労働者につきましてはぜひ皆様に御理解をいただきたい、このように思います。
 マンパワービジネスで働くフィールドスタッフ、私どもは派遣労働者をこのように呼んでおりますが、この労働者像がどういうものであるかということを申し述べたいと思います。全く従来の常用雇用型の労働者像と違うのでございます。つまり、フリーワーカーとして、自分の能力を使って、自分の時間管理のもとに、自分に適合した業務を、自分の選択によって労働に従事する労働者なのです。
 私どもが八年前から実施していますフィールドスタッフの意識調査から若干例を引いて御説明申し上げたいと思います。
 昨年七月に第八回の意識調査を行ったのですが、マンパワースタッフ八千名のプロフィルを申し上げますと、その構成年齢は、二十五歳から二十九歳が三〇%、三十歳から三十四歳が二六・四%、つまりこの層が五〇%強を占めているわけです。そうして平均年齢は現在三十一・六歳になっております。これは第一回の調査から見ていきますと年々高くなっております。
 次に、その家族構成というものを見てみますと、未婚が六七・二%、既婚が三二・八%の比率になっています。
 さらに、マンパワーで仕事をしようと思った動機につきまして調べてみますと、「希望の時間、期間に働ける」という方が四二・九%、「能力と経験を生かしたい」という方が一三・二%、「年齢制限がない」一二・四%、「再就職まで仕事がしたい」五・五%、「いろいろな職種を経験できる」五・五%、「一つの企業に縛られたくない」五・二%と挙げています。
 また、それを裏づけるようなことだと思いますが、マンパワースタッフになってよかったと思うことということで、「時間を自由に使える」ということを三一・八%の方が挙げています。「自分の経験、能力が生かせる」という方が二九・八%、こういうふうに高い比率を示しています。少し変わったデータになると思いますが、「年齢に関係なく仕事ができる」という方が一八・〇%。先ほど高梨参考人の方からもお話がございましたと思いますが、女性の再就職というものは、なかなか日本の現状において年齢の問題というのが大きく存在すると思います。こういう点からもこういうシステムというものは一つの有効なシステムだと考えられます。
 もう一つ、当社の宣伝めくと思いますが、「マンパワーはすぐれた事務処理サービス会社である」という項目に五・九%の数字があらわれています。私としては感謝しています。それでは「今後もマンパワースタッフとして仕事を続けていきたいと思うか」という設問に対しまして、六六・九%の人が「思う」と答えているわけです。
 さらにもう一つ重要なことは、先ほども申し上げましたけれども、このフィールドスタッフの方々は自分の意思で仕事を選択するということができるわけです。
 もう少し具体的に申し上げますと、私どもの支店のサービス担当者が業務の内容とか時間であるとか場所であるとか等を連絡しますと、フィールドスタッフの方は自分の能力、条件に合っているかどうか判断してその業務に就労するかどうかを決められるわけです。例えば晴海の方の倉庫会社というようなところで英文ワープロ、そういう英文の仕事があっても、自分がどうも場所的にそこまで行く時間がないということであれば、それを拒否することも可能なわけでございます。つまりフリーワーカーとして、先ほども申し上げましたように、その能力を使って自分の時間管理のもとで自分に合った仕事を選択していくという新しい労働者像だということです。
 次に顧客、つまり派遣先企業の実態を申しますと、私どもが、これも毎年実施しておりますが、新規顧客先調査というものをやっております。それの第十回の調査から引用してみたいと思いますが、まずマンパワーサービスを導入した動機につきましては、「社員では間に合わない」ということを四九%の方が挙げております。「社員が退社」したという方が二三%、「社員が休んだ」一〇%、その他一八%となっております。つまり、業務量が一時的に増加したときに社員の方々の負担を減らそうということで導入されるケースが多いわけでございます。
 次に、導入したスタッフの数を見ますと、一人というのが七六%を占めております。これも前の理由を裏づけているものではないかと思います。
 さらに、サービス期間について見ますと、二日以上一週間未満が二四%と最も多く、次に三週間以上三カ月未満が二〇%、一週間以上三週間未満が一五%、一日が一二%、三カ月以上六カ月未満と、六カ月以上が、同じくそれぞれ九%となっています。
 では、今後導入計画はあるのかという設問に対しまして、「時々使いたい」という方が七一%、「計画なし」という方が一七%、「定期的に使いたい」という方が八%となっています。つまり、一時的に事務作業のオーバーフローをカバーするために使われていて、しかも少人数の導入であるということが明確に言えると思います。
 そしてマンパワースタッフに対する評価としては、技能、能率、勤務中の態度、社員との協調性、時間を守るなどのすべての点で高い評価を受けています。
 また、マンパワーサービスの体制に対する評価も、「必要なときに必要なサービスが得られた」とするものが八一%、「希望したとおりの人数が確保された」と言っている方が九〇%。これは複数回答になっておりますからそういう数字になります。
 マンパワーの窓口担当者に対しては、「面倒見がよい」という方が五四%、サービス料金に対しては、「適正」という方が六二%となっております。これは先ほどもお話がございましたように、民間企業のサービスに対する姿勢と経営効率というものが表現されているのではないかと思います。昨今アメリカにおいても地方公共団体の行政の民間委託ということが大きく取り上げられて、その効率が云々されておりますが、形が変わっていても類似のケースじゃないかと思います。
 それでは、派遣元である私どもマンパワージャパンのシステムはどういうものかといいますと、単に人を右から左に動かす人的サービスとして把握するのではなくて、労働力の総合的な需給システムとして運用しなければならない、このように思っております。つまり、派遣労働者と派遣先企業とが満足するシステムの確立と言うことができるんじゃないかと思います。フィールドスタッフ側は自分の能力、技能の正しい評価、その活用ということが大きなテーマでしょうし、派遣先企業としては的確かつ迅速なサービスが得られるということが条件であると思います。
 そういうためには、マンパワーは適正な技術査定方法の開発とかスタッフ教育等の付加価値向上の施策をとっています。一例としまして、アメリカで五千万ドルかけて開発されましたスキルウエアの導入に約三億の費用を投じたり、キャリアパスプログラムの開発に四%の開発費を投入しております。このように、マンパワーとしてかなりそういう管理体制というものに投資をしているわけでございますが、例えば一例としましては、八千名の人の週給をコンピューターを使って給与計算をいたしたりしております。こういうように、管理体制の充実ということがこのシステムの運用上どうしても必要なことだと思います。
 また、当然法治国家である日本でこのシステムを運用していくわけでございますから、労働基準法上の施策というものをできる限り取り入れようという遵法精神で臨んでおります。千五百時間を超しますと五日間の有給休暇であるとか、労働保険の適用とか、保養施設の充実等も図っております。
 以上が三者のトライアングルにつきましての御説明でございますが、最後に協会の立場としましてお話し申し上げますと、昨年七月に日本事務処理サービス協会が創立されまして、現在二十二社が加入しております。先ほどからございましたように、この協会内部におきまして、この法制化に対して従来の法のはざまにいたところから脱却して、一つの枠づけの中で認識されるということは結構であるという意見が大半を占めております。しかし、中には、その枠づけが余りにも実態からかけ離れて本来のこの需給システムの機能を果たさない法制化ならば、現状のままの方がいいのじゃないか、自由競争の中で一つの需給システムを持っていった方がいいのじゃないかというような強硬な意見を持っていらっしゃる会員もいらっしゃいます。
 一例を挙げますと、中職審で審議されました対象業務でございますが、単に名称の列挙で制限するということは、現代の複雑な事務処理に合わないのではないか。例えば事務ということをとっても、現在は事務室の一角にオフコン、パソコンの端末機が置かれ、自分で営業データ、管理データを入力するのが常識ということになっております。
 こういうような実態をよく踏まえていただいて、この法制化を御審議いただきたい、このように思います。
 ちょっと時間が過ぎまして、大変失礼いたしました。拍手
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戸井田三郎#9
○戸井田委員長 ありがとうございました。
 次に、山本参考人にお願いいたします。
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山本興一#10
○山本参考人 私は、全日本自治団体労働組合に所属します山本です。
 私は、先ほど御発言されました高梨先生と同じに、中職審派遣事業等小委員会の末席を汚しながら、労働側の委員としてこの問題に対応してきたものでありますが、現在審議されております労働者派遣法案に基本的に反対する立場をまず明らかにしながら、その理由として、法案成立の暁に生ずるでありましょう心配な点、あるいは問題な点、それらについて以下幾つかの意見を述べたいと思います。
 まず第一に心配する点としましては、労働者派遣事業の法制化是非に関連する問題であります。言いかえれば、労働者派遣事業を制度上認めることによって生ずる多くの影響であります。
 御承知のように、日本の雇用失業状況は、先進諸国と比べて相対的には今よい状況にあるというふうに言われています。日本経済は一九六〇年代後半以降、世界に比類のない高成長を遂げて今日に至っておりますが、このような日本経済を支えてきた要因の一つは、特殊日本型とも言われるいわゆる日本的雇用慣行にあったことは間違いないと考えます。すなわち、年功序列体系、終身雇用制を中心とする慣行があったことが大きく貢献して日本経済を発展させ得たと考えます。
 当然のことでありますが、日本的雇用慣行にしても、それは一定不変ではなくて、事実として経済の発展に伴う産業構造の変化あるいは社会的条件の変化に対応して、少しずつ変化していることは当然です。しかし、現状における労使関係を規定している背景を考えてみますと、やはり依然として日本的雇用慣行が存在していると言えます。私は、労働者派遣法がこの日本的雇用慣行にかなり大きな影響を与えるものとして心配するのであります。
 具体的に言えば、従来の民間における会社には正社員がいる。そしてその他に一部の臨時の社員がいるという基本型が考えられたと思うのです。もちろん、この中には他社の従業員が請負としてその事業所内で仕事をしているという姿も想定されるでしょう。しかし、基本的な姿はやはりその会社の社員がほとんどであるという形だと思います。
 ところが、労働者派遣というものが一般的に行われる、それも事業として広く行われた場合には、会社の基本的な姿というものは変化せざるを得なくなると思うのです。他社の社員が事業所内にかなりいて、そしてその他社の社員に自社の社員同様に指揮命令する者がその他社の社員を使用することになります。さらにこの姿が一般化することになれば、従来の会社の姿はその基本が大きく変わることになるわけです。そうなると、従来の雇用慣行もいや応なしに大きく変化せざるを得ないと思います。事業所内の特定の業務分野については、他社の社員が業務を行うことになるわけですし、同じ職場で同じ人から仕事の指揮命令を受けていながら、実は雇用主が異なる労働者がいるという状態ができることになります。極端な場合では、所属する会社が異なる労働者で構成された職場、寄り合い世帯の職場ができ上がることになると考えられるわけであります。
 このような会社の姿、職場の状態というものが想定されるとしても、一挙に一般化するとは考えませんが、従来の雇用慣行なり職場における秩序といった企業経営の支柱となっている分野に対して大きな影響を及ぼす要因が急激に変化することになる、その契機に今回の労働者派遣法がなるのではないかという点をまず強調しておきたいわけであります。
 最近、労働者派遣事業といいますか、人材派遣会社が急増してきているという状況があるわけですが、その背景には行政の対応の不十分さがあったことも事実ですし、それと同時に、企業経営の立場でのコストダウン、省力化の追求といったことがあるわけであります。
 私が申し上げたい心配な点の二つは、経済合理性の追求が先行され、そしてそれが第一義的に考えられることになると、従来の雇用慣行が持っているいい点が押しつぶされてしまって、結果として、日本経済全体を見ると大きな損失になる、経済合理性の追求とも逆行することになる可能性、危険性があるのではないかという点であります。労働者にとってみましても、雇用不安などの問題に発展することになり、心配であるということであります。
 したがって、この労働者派遣法の検討は、慎重の上にも慎重を期してなされなければならないのではないかと考え、提案されている政府原案を拝見して、心配せざるを得ない点が幾つも目につくわけであります。この法律がこのまま制定されることは大きな問題だと考えているところであります。
 さて次に、法案上の具体的な問題点につきまして、限られた時間でありますから十分述べることはできませんが、主要な点に幾つか触れてみたいと思います。
 問題点の一つは、使用者責任の問題であります。
 現行の労使関係法では、使用者と雇用主は同一であることが前提で組み立てられていると理解をしています。労働者は雇用主である使用者から仕事について指揮命令を受けて働くことになっていまして、使用者としての責任の所在が明らかに労働者が認識できる形で労働者の保護が図られていると考えています。ところが、労働者派遣事業を法案のような規定によって認めるとしますと、雇用主と使用者が別人になることが認められることになり、労働者は自分の雇用主からは就業場所、就業時間、業務内容などの就業の条件については指示されますが、実際の労働についての具体的な指揮命令は、派遣された先でそこの使用者からなされることになります。すなわち雇用関係と使用関係が新たに分離されることになる点です。
 労働者の保護、労働者の基本的権利を擁護する立場から見た場合、このような雇用と使用の分離が行われること、実際には労働者を指揮命令する使用者が現行の法律上の使用者としての責任を負わなくてよくなることが労働者にとってはマイナスに作用するのではないかと危惧されるわけであります。
 問題点の二つは、労働力需給調整システムと営利事業との関係について触れます。
 法案第一条の目的に示されているように、「労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに」云々とありまして、労働者派遣事業は労働力需給調整の面で社会的な役割を果たすことが期待されるがゆえに民間事業であっても認めるようにしようということだと思います。
 ここで問題になるのは中間搾取との関連であります。現行の労働基準法第六条では「中間搾取の排除」を規定し、「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」こととされています。労働者派遣法をめぐっての論議で指摘されていることですが、労働者派遣事業を認めることは中間搾取を容認することであって、労働基準法第六条の空文化につながるという指摘であります。
 私は、労働者派遣事業が果たしている労働力需給調整の面での社会的役割を中間搾取の危険を冒してまでも公認すべきものであると評価するかどうかだと考えますが、この点は否定的な立場をとらざるを得ないわけであります。仮に労働者派遣事業が果たしている役割を積極的に評価するとしても、その事業活動を進める上で必要最小限度の範囲での手数料的なものの徴収は認められると考えますが、労働者派遣を事業として営むことによって利益をむさぼるようなことがあってはならないと考えるのが当然だろうと思います。不当な利益を得ることができるような事業はもちろんでありますが、中間搾取を規制できないような制度はつくるべきでないと考えます。
 むしろ現行法制のもとにある労働力需給システムの改善などによって需給調整機能を高める行政努力こそが今日重要なのではないかと感じております。率直に申し上げて、法案で言う一般労働者派遣事業につきましては民営職業紹介事業として位置づけるべきだと考えます。
 問題点の三つは、適用対象業務に関する問題であります。
 法第四条におきまして、一定の要件に該当する業務を政令で限定することとされていますが、第四条で規定してある要件というのは抽象的な規定あるいは一般的な指標であって、とにかく業務を適用対象として限定する場合の客観的な基準とはなり得ない規定であるという点であります。したがって、適用対象業務が容易に拡大される可能性があるということです。この点はあらかじめ中央職業安定審議会の意見を聞くことが義務づけられていますが、それだけでは業務の範囲を限定する方法としては万全なものではないと考えるわけであります。
 法案上の具体的な問題点としては、派遣先に対する規制措置として、海外への派遣や特定の企業にのみ派遣を行う事業は禁止されるべきであると考えます。また、派遣期間の制限や、派遣された労働者が請負業務で他の事業所に派遣されるような場合の規制措置などが、以上申し上げた以外にも問題点として指摘できるわけであります。
 最後に、どうしても申し上げなければならない問題があります。
 それは、この労働者派遣法が制定されたとして、この制度の目的に沿って適正な運用をどのようにして確保するのかという問題であります。
 派遣労働者の保護、雇用の安定を確保するためには、法の規定に照らして違法な行為は厳格に取り締まりを行う必要があると考えます。もしこのことが不十分であるとすれば、現行の職安法のもとにおける現状よりもっと複雑な労使関係をつくり出すことになると考えられるからであります。
 以上、私は、労働者保護の観点から今後における問題点を指摘しい今後における慎重な審議を希望して、私の意見を終わります。ありがとうございました。拍手
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戸井田三郎#11
○戸井田委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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戸井田三郎#12
○戸井田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷垣禎一君。
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谷垣禎一#13
○谷垣委員 自由民主党の谷垣禎一でございます。きょうはお忙しいところ貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。
 時間の関係がございますので、早速お伺いいたします。まず最初に高梨参考人にお伺いしたいと存じます。
 先生は本法案のもととなるこの構想をお進めいただくに当たって中心的な立場でお取りまとめに御苦労をいただいたわけでございますが、その中で、先ほどお話を伺いますと、現在の派遣業の実態把握あるいは現在の法制の中で派遣業をどう法律的に類型化してくるか、大変御苦労をいただいて貴重な作業をしていただいたわけでございます。その中でいろいろ労使の御意見をお取りまとめいただくこと大変御苦労があったと存じますが、これは長期間にわたりました中で大変議論の応酬があったように伺っております。先ほど山本参考人の御意見の中にも若干そのことがあらわれていたのではないかと思いますが、先生の目からごらんになって労使それぞれの意見はどこが一番根本的な対立点であったのか、それをどのような観点から御集約をいただいたのか、その点をお伺いしたいと存じます。
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高梨昌#14
○高梨参考人 お答え申し上げます。
 まず第一点は、先ほど山本参考人も陳述されましたが、問題は日本のよき雇用慣行である終身雇用、年功賃金、これは非常に雇用の安定した労働施策でございますけれども、この雇用慣行を脅かすのではないか、これは労使各側から提示された御意見でございます。
 そこで、その問題につきましては、この派遣事業法の対象業務、これは法律上は原則だけ定められておりまして法案通過後には政令でこれをうたっていかなければならないわけでありますけれども、その際、業務指定については可能な限り安定した雇用との調整を図って限定していくという立場で私は意見の集約を図りました。もちろん私は日本的な雇用慣行を堅持すべきだという点では見解を異にしておりません。ただ、すべての雇用分野を終身雇用、年功賃金で覆い尽くせるかというとそうでない、これも実態でございます。
 先ほど申しましたように、専門、技術職の分野というのはどちらかといえば職業別労働市場で横断的に企業間を移動するという性質をもともと持っております。その多くの人は正社員の身分を持っておりますけれども、そうでない情報処理サービス技術者とか、事務処理の中でも専門、技術職の方々は大体そういうような移動をすると思います。この移動を否定するわけにはいかないわけで、それはそれでその線引きを明確にしようということが一つ私が考えた論点でございます。
 それからまた、今まで正式なルールがございませんから、正社員のやるべき業務分野と派遣社員なりパートの社員がやるべき業務分野の線引きが、現状はそれほど明確ではないと思います。この法案ができますればその辺の線引きが非常に明確になって、社会的分業の利益はより一層発揮できるのではないか、こういうような判断でおります。
 なお、もう一つ、これは先ほど経営者側よりも主として労働側から提示された御意見でございますが、中間搾取の問題がございます。派遣事業というのは賃金のピンはねをしているのではないか、こういう意見が強く出されました。
 その実態については、表現上は不当な利益という言葉もございますし、こういうようなことについて、派遣事業は、現状は先ほど申しました幾つかの需給システムのタイプ分けをしていきますと労働者供給事業に類似しているけれども、そうでもない。労働者供給事業の場合には雇用と使用は供給先でございますが、派遣事業の場合には雇用と使用主としての包括的責任は派遣元にございます。こういうように形態が違っておりますから、直ちに他人の就業に介入して賃金のピンはねをするというような形態ではないのじゃないか。もちろん、不当な利益かどうかとなりますと、これは現行法では独占禁止法に基づいて独占的行為に基づく超過利潤は法の規制対象、行政の規制対象になります。これは不当な利益になる。
 それから、不当な利益を上げるに当たっての賃金の問題ですが、賃金は最低賃金法で定める地域別最賃が最低を押さえているわけですから、これに違反すれば明らかに不当な利益になりますが、それに違反しない限り、市場賃金相場で払う限りは別に違法でございません。それぞれ企業間競争なり労働者との取引なり、組合があれば組合との団体交渉なりでそれなりの賃金相場が決まり、それでそれなりの利潤が得られる。たまたま利潤が多いか少ないかということは不当か正当かとは話の次元が違う、こういうふうに私は判断したわけでございます。
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谷垣禎一#15
○谷垣委員 そういたしますと、今先生からお答えいただきましたことから判断いたしますと、一つは雇用環境への影響という点につきましては、具体的にこれから政令でどう業種を指定していくかということになると最終的なことはおっしゃれないと思いますが、今の時点でこの法案が日本の雇用の場でどういうふうに機能していくのか、あるいは影響を及ぼしていくのか、どういう見通しを持っていらっしゃるでしょうか。
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高梨昌#16
○高梨参考人 先ほど申しましたように、業務指定の原則は、法律上書かれているのは専門的、技術的職業ですね、経験を必要とする業務。業種じゃございません、業務。それからもう一つは終身雇用とか年功賃金という人事労務管理なり労使関係になじみにくい業務、これが法律でうたわれた原則でございます。それからもう一つ法律でうたわれておりますのは、港湾運送業務、建設業務。それぞれ港湾労働法、建設労働者雇用改善法がございます。それぞれ請負業務ということで業務をやっています。その他政令で定める、こうなっています。これは適用除外。この原則がうたわれておりますが、それ以外に、法律でうたわれてない、審議会で審議し、その報告でもうたっているところでございますけれども、製造業の直接生産工程業務ですね、これについては業務の範囲に入れないということですね。
 これは安定審議会の審議の際、業務指定の際にそれは十分配慮する、といいますのは職業安定法施行規則四条一項の一部改正が昭和二十七年になされましたけれども、それまで造船業とか鉄鋼業、建設業の労務下請、造船、鉄鋼の社外会社でありますが、これは合法的存在でございませんでした。そこで施行規則四条一項の一部改正によって請負事業ということではっきり位置づけたわけでございまして、そういうようなことで製造業の直接生産業務については今社外会社制度が分業の利益ということで定着しているので、この分野には派遣事業の参入を認めないということ、これは審議会での労使の同意のあった事項でございます。
 それから、あとさまざまな業務例の表示の問題がございますけれども、これは私も随分派遣事業の実態調査をして、私はもともと実証的研究が専門でございますので、資料は段ボール十箱ぐらいございますけれども、相当精査したつもりでございます。ただ派遣契約事業というものがタイプ分けされておりませんので、政府の行政的な統計がないことは事実でございます。これがタイプかけできれば行政的にそこでの数量、どれだけの事業者がいるか、労働者がいるか、また、そこでの賃金、労働条件がはっきり明確に区分して把握できると思います。現状は労働条件がよい人もおりますし、当然悪い人もおります。そういうようなことは実態把握していきたいと考えております。
 その際、一体、業務の表示を含めてどうしていくか、もう少し詳しく調査して、その上で業務表示は考えたい、この点についてはまだ意見がすっきり一致しておるわけではございません。それぞれ業界の方々も、先ほど宮川参考人から意見がありましたようにさまざまな御意見があることは十分承知しております。
 以上でございます。
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谷垣禎一#17
○谷垣委員 どうもありがとうございました。
 次に、小野参考人にお伺いしますが、先ほどもあらわれておりました雇用環境に対する悪影響あるいは常用雇用の代替化を進めるのじゃないかといったような危惧があるわけでございますが、使用者側のお立場から見てそのあたりをどのように判断しておられるか、伺いたいと存じます。
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小野功#18
○小野参考人 お答えいたします。
 先ほど山本参考人も申されましたように、我が国の雇用慣行は、従来一言で言えば終身雇用慣行と申しておりまして、具体的に申しますと、職業上の知識や経験がない新規の学卒者をある一定時期に募集採用いたしまして、これを長い期間かかって育てながらいわゆる定年まで雇用を保障するということでございます。この雇用慣行のよさについては私も山本参考人と全く同じような理解を持っているわけでございます。こういう慣行が日本の労働者の労働の質を高め、かつ企業への帰属意識を高め、さらにまた、労使関係の安定に役立ってきたことは申し上げるまでもないことでございます。したがいまして、この終身雇用慣行をできるだけ維持したいというのは、企業におきましては、使用者もまた労働組合も共通の強い願望となっていると思うわけでございます。
 しかしながら、実態を見ますと、今日、願望は願望として、事実がそのとおりに行われているかあるいは貫けるかどうかということになると、そうはいかないであろう要因がたくさん出てきております。例えば私どもは幸いに、今極めて少産少死時代になっておりまして、一人の労働者の労働生涯もどんどん長くなっております。四十年ないし五十年というふうになっておりますが、一方、雇用の場である企業の方はどうかといいますと、これは史上空前の多産多死時代を今迎えておるわけでございます。私ども東京商工会議所のスタッフがごく大ざっぱな試算をしたことがございますが、それによりますと、全法人企業のうち、年間約四%の企業が姿を消し、ほぼ同じ四%くらいが生まれてくる、つまり四%の新陳代謝率がある。ということは、引き直せば、一つの法人企業の平均寿命はわずか二十五年ということになります。
 こう申し上げますと、それは多く中小零細企業のことであろう、こういうふうにお考えになる方が多いと思いますが、例えば東京証券取引所の一、二部に上場している企業、これは日本の企業群をピラミッドに例えれば、まさにその頂点にある企業だと思いますけれども、例えば二十年前の一、二部上場企業と今日の一、二部上場企業を比べますと、この二十年間に約一六%の一、二部上場企業が姿を消しておりまして、逆にまた、今日の上場企業のうちの二十数%、二五、六%だと思いますが、それは二十年前には上場していなかったか、あるいはまだ生まれていなかった企業もある、こういうことが厳然たる事実としてあるわけです。
 さらにまた、先ほどもお話に出ておりますけれども、今や非常に多くの女子労働力に日本経済は依存せざるを得ないわけです。申し上げるまでもないことでございますが、従来の終身継続雇用というのは、あくまでも男子労働者を前提にしておるわけでございます。しかしながら、女子は、継続して雇用し、継続して就労、一日たりともあるいは一年たりとも断絶なく続けて雇用し得る条件を満たしているのはごく少数だろうと思います。こういうようなことになりますと、これが通るのは男子だけであるということにもなりかねないと思うわけです。
 したがいまして、企業における雇用形態あるいは就労形態と申してもよろしいと思いますけれども、これは今後極めて多様化してくると思います。そういう中にあって、企業としては、もちろん何でもかんでも外の労働力に依存するとか、すべて外注するとか、要するに終身雇用ならざる従業員にすべて置きかえるというようなことを考えている企業は極めて少ないと思います。やはり企業としても、従来の集団一律管理から、複合的なより高度な労務人事管理の確立に今や必死に取り組んでおります。
 しかしながら、それをもってしてもなおかつ、先ほど二、三の例を申し上げましたように、この企業の長期雇用になじまない業務、また長期就労を望まない労働力というものはかなりあろうと思います。したがいまして、この法律によってその辺の需給のミスマッチが解消するということは日本の雇用政策上も極めて有効ではないかと私は思う次第でございます。
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谷垣禎一#19
○谷垣委員 ありがとうございました。
 私は、この法案が需給調整システムとして大いに機能していくだろうという立場でございますので、批判的立場の山本参考人にもお伺いをしたかったのですが、質問時間が終了いたしましたので、これで終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
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戸井田三郎#20
○戸井田委員長 村山富市君。
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村山富市#21
○村山(富)委員 本日は、お忙しい中を参考人の諸先生方には貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。
 なお多くの問題点もございますので、すべての参考人に御意見を承りたいのですけれども、時間の関係もございますから御了承いただきまして、まず阿島参考人にお尋ねをしたいと思うのですが、情報処理労働者の場合、今受け入れている労働者の数が多いかあるいは派遣されている労働者の数が多いか、実態がおわかりになればお聞かせをいただきたいと思うのです。
 それからもう一つは、特に親会社と子会社の関係ですね。子会社の方から親会社に派遣されるといったような場合には、親会社の方はどうしてもやはりすべての支配権を持っていますから、したがって子会社で働いておる労働者がそこで労働協約をいかに立派なものを結んでも、なかなか派遣先では適用されない、こういったような不都合な問題が起こるのではないかと思うのです。これは先ほど山本参考人の御意見にもあったように承りましたけれども、そういう問題についてどのようにお考えになっていますか、御意見をお伺いしたいと思うのです。
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阿島征夫#22
○阿島参考人 お答え申し上げます。
 現実の問題として非常に流動的な労働市場が情報処理産業の中では起こっておるわけでございまして、派遣先に行っている労働者の数、また派遣元の数というものは実態的に正確には我々つかめない立場でございますし、また行政の統計の中にも、大分探したのですが、そういう調査はやっておられないという実態がございます。
 それから第二点目でございますが、親会社へ派遣するがためにそういうような特別な会社をつくるということに対しては、我々としても基本的に反対の立場でございます。
 現在、実際的な状況を電機労連の中で見てみますと、そういう場合には親会社の工場の中に、子会社のソフト会社が同じ構内に工場を持ちまして、派遣という形態ではなくて、親会社は親会社、子会社は子会社、並行的に同じ構内にソフトウェア工場をつくっておる、こういう実態がございますので、今先生がおっしゃったような非常にぐあいの悪い事態というものは電機労連傘下の組合の中には起きていない、こういうように考えております。
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村山富市#23
○村山(富)委員 次に、山本参考人にお尋ねをしたいと思うのですけれども、先ほどあなたの御意見の中に対象業務をやはり限定すべきだという御意見があったわけですね。これは今度の法案の中身を見ますと、もちろん中央職業安定審議会の意見を聞きながら、政令事項になっておるわけですね。したがって、もう少しこの手続というものはやはり考えておく必要があるのではないかというように思うのですけれども、もし御意見があればお聞かせをいただきたいと思うのです。
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山本興一#24
○山本参考人 きょうそれぞれ各側の御意見がありましたように、率直に申し上げまして、この法案が成立をした暁に労働者派遣法にかかわっての業務指定が中央職業安定審議会で協議される。私は、先ほど来申し上げてきましたように、そして使用者側の参考人の方もおっしゃっておりましたように、今の日本のよき雇用慣行というものは堅持をするし、それを中心になされるという御意見はあるのですが、果たして具体的な業務限定ということになりますとどのようなことになっていくかということは、率直に申し上げてその見通しは全くないわけであります。私ども労働側としては、でき得る限り限定するように主張してまいりましたし、今後もしていかなければならないというふうには思いますが、その保証は一つもないわけです。
 そこで、今後この委員会でどのような審議が進められるか私にはわかりませんけれども、この問題に限っては、国連で言うような拒否権というようなもので少数意見についても一定の保障をさせるようなものがない限り、今後における対象分野の決定に当たっての手続についてはいろいろ問題が生じるのではないか、そういうふうに考えます。
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村山富市#25
○村山(富)委員 続いて山本参考人にお尋ねしますけれども、派遣先と派遣元、先ほど御意見もありましたが使用関係と雇用関係が分離される。仮に想定した例を考えてみますと、派遣元で雇用関係や労働条件がいろいろ決められておる、派遣先で使用される、そうした場合に、派遣先でトラブルが起こった場合に派遣先には労働団体交渉応諾の義務がない、こうなってまいりますと、トラブルが起こったところで働いておる労働者は大変困るのではないか、身分にも影響するというようなことが起こり得るのではないかという気がいたしますが、そういう関係についてはどのようにお考えになりますか。
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山本興一#26
○山本参考人 この点につきましては、小委員会の審議の中でその報告書の末尾に労働側の統一意見というものを幾つか述べているわけでありますが、その中でも、私としては団体交渉応諾義務が当然派遣先の使用者にも課せられるべきという主張をしてまいりましたが、全体としては限定された問題についてのみは少なくとも団体交渉の応諾義務が派遣先使用者にあってもいいのではないかという意見を持っているわけであります。
 それは、今後この業態がどのような動きをしていくかわかりませんけれども、少なくとも企業間の競合、それによるダンピング、そうした問題は想定されるわけでありまして、その際における派遣元と派遣先との派遣契約の中における契約料金、そのことが結果として派遣労働者の賃金、労働条件を規制してしまうということは当然として出てくるわけでありますし、派遣元が倒産をしたような場合に派遣先がどのような責任を負うのか、そのことすらはっきりしていないわけであります。
 したがって、この法案で言う派遣先における苦情処理機関の設置という問題は、日常的な就業条件その他については有効でありましょうけれども、労働者の生活の根幹にかかわる問題については、挙げてどちらかと言えば派遣元にその雇用責任を課しているにすぎないわけでありまして、今日、労働法的にいいまして労働者の労働条件に影響をもたらす場合はそれは使用者であるといった意味合いの四十七年横浜地裁の判例からいっても、この問題についてはもう一つ突っ込んだ検討がされていいのではないか、こういうふうに思います。
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村山富市#27
○村山(富)委員 次に、これは阿島参考人の御意見の中にもございましたけれども、労働組合が労働者供給事業をやられておる、せっかくそういう制度ができているわけでありますけれども、実態を見ますと、それほど効果を上げてないのではないか、あるいは発展をしてないのではないかというふうに見受けられるわけであります。それがそういう状況にあるのは一体どういうところに理由があるのだろうか、あるいはまたこの事業を今後発展をさせるためにはどのような制度の改正なり手だてが必要なのだろうかということにつきまして、阿島参考人と山本参考人に御意見があれば承りたいと思います。
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阿島征夫#28
○阿島参考人 お答えいたします。
 労働者供給事業が思うようにいってないということは、一番大きな責任は労働組合自体が余り積極的でないということに原因があったわけでありまして、我々もその点は深く反省をしているところであります。今後は例えば私たちの情報処理分野におきましては積極的に労働組合も関与していきたいと考えているところでございますが、現行では、冒頭の意見でも述べましたように、通常の民間のそういった派遣業者との競争力という点を考えてみますと、非常に大きな問題として社会保険の問題がございます。
 残念ながら、労働者供給事業をやっているところにおきましては事業所として認められない、したがって派遣先で入らなければならない、これが非常に煩雑な手続であることは御高承のとおりでございます。したがって、派遣先でも、失業保険とか労災というのはともかくといたしまして、健康保険につきましては入ってないというケースが非常に多い。これは、労供事業に応募に来たときに、健康保険ありますかと聞かれれば、それは現行では派遣先で入っていただきますということにならざるを得ないわけであります。そういった点で労供事業が民間のそういった会社と競争力が十分発揮できるような一貫したいろいろな整備をぜひお願いをしたいと考えているところであります。
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山本興一#29
○山本参考人 私も考え方は阿島さんとそう大きくは変わりませんが、先ほど高梨先生がおっしゃいました労働組合の労供事業にかかわる許認可の規制の問題が一つ。
 次には、労働組合が労供事業を行うに当たって社会的な包容力といいますか、そういった問題が我が国の場合まだはぐくまれていない、そういった社会環境というものも一つあるかと思いますが、決定的に労供事業が低位に置かれているのは、労供事業に従事する労働者の社会保険の適用問題だろうと思います。職安法の建前からいって一つは公共職業紹介、二つには有料職業紹介、そして労働組合の労供事業、こういうふうに法令上規定をされている問題が今日このような状態になっているのは、その点に大きな問題があると思います。したがって、でき得ればこの法案審議の過程で労供事業にかかわる労働保険、社会保険の適用問題についてもぜひ御審議をお願いしたい、こう思います。
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