中曽根康弘の発言 (本会議)

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○国務大臣(中曽根康弘君) 古賀議員にお答えをいたします。
 まず、先ほど小野さんも古賀さんも御指摘になりましたスキーバスの遭難事故につきましては、お亡くなりになりました皆様方に心から哀悼の意を表する次第でございます。
 また、小野さんからも今後の対策についていろいろ御指示がございましたが、やはり運転員が過労に陥っているかいないか、車体の整備が十分であったかどうか、その他の問題等につきましても厳重に検討も加え、調査もいたしまして、このような事故が再び起きないようにいたしたいと思います。冬になりますとスキーバスが約十万台運行されるそうでございます。そういう面からも、この事故を再び起こさないように、政府としても万全の策を講ずる考え方でございます。
 次に、政局担当に関する決意について御質問がございましたが、今、日本は歴史的な転換期にあると考えております。我々は、一面において、過去四十年の業績を振り返ると同時に、二十一世紀に向かっての準備をし、渡り廊下を形成する大事なときであります。
   〔議長退席、副議長着席〕こういう決意に燃えまして、まず平和の価値、民主主義と自由の価値、これらの問題をよくかみしめて、これらを基本として、今後の日本をさらに発展せしむべく、諸般の政策を講じてまいりたいと思っております。
 次に、軍縮の問題でございますが、この点につきましても、先ほど申し上げましたように、ことしは軍縮と平和の年である、こう申し上げました。国連あるいは各国間における軍縮会議等の場所におきまして、我々の目標を実現できるように今後とも努力をし、一つ一つ実績を上げていくように努力してまいりたいと思っております。
 訪米の成果でございますが、私は、レーガン大統領との会談でまず強調したのは、八五年は軍縮と平和の年にぜひしようではないか、実りある年にしようではないかと、そういう基本的なことをまず申し上げまして、レーガン大統領も非常な熱意を示されまして、私は、その会談のときの感じとして、これは真剣に成果を得るように臨むつもりだなと、そういうふうに感じました。果たせるかな、ジュネーブにおけるシュルツ・グロムイコ会談はその方向に一歩前進しつつあります。しかし、我々は、幻想は抱かない、しかし一つ一つ着実に、現実にこれを進めるように今後とも粘り強く努力してまいるつもりでございます。
 次に、市場開放問題でございますが、先ほど申し上げましたように、アメリカ側からは電気通信、エレクトロニクス、医薬品、医療器具、木材等について特に指摘があり、要請があったことは事実であります。我が方からは、アメリカがいわゆるソフトランディングを行って、過激な急激な政策を行わないように、それから保護主義に対する徹底的闘いを持続してもらいたい、それから金利の是正の問題についても特に考慮してもらいたい。日米間には約五%の金利の開きがあります。これが、日本の資本がアメリカに流出する最大の一つの原因でもあります。この問題を放置して貿易のバランスを是正するということも難しい状況にもあります。その点も強く指摘し、要請もしてきたところであります。この対策につきましては閣僚会議及び次官会議等を通じまして、各省事務次官の努力等を促しまして、今懸命の努力をしているところであります。
 米国の戦略防衛構想とはいかんという御質問でございますが、これはそのとき、日米会談における説明によりますれば、これは核兵器ではない、通常兵器である、そして大陸間弾道弾等が飛来してくる途中でこれを無力にするという方策である。そしてそれは核兵器を廃絶に向けるための我々の道具と考えておる、しかしこれは長期間を要し、研究の段階である、こういう説明がありました。我々は、核兵器を廃絶するための道具であり、非核兵器であり、防御兵器であるという点において画期的な発想であると思います。これが有効に適切に運用されれば核兵器廃絶もむなしくはないという希望を持たせられるに至ったのであります。そういう意味において、研究についてはこれを理解し、今後、情報の提供及び協議ということを要望して、先方も了承した次第なのであります。
 日ソ間の問題につきましては、北方領土問題を解決して平和条約を締結する、この基本的な構えをあくまで貫き、しかも対話を持続的に粘り強く行いまして、諸般の懸案問題を解決してまいりたいと思います。
 現在、二百海里の漁業交渉が進行しておりまして、かなり厳しい状況にございますが、日本及びソ連の隣同士の今後の長いつき合いも考えまして、お互いの間で話し合う十分な余地を持って、そして円満なる妥結、長期的安定を目指して努力してまいりたい。特に、北洋漁業に従事する多数の漁業者の切実なお気持ちを体して、最善を尽くすということをこの際申し上げる次第であります。
 防衛費の問題につきましては、今まで我が党が申し上げましたような諸般の政策を基本にいたしつつ、節度のある必要最小限の防衛費という考えで実行してまいりたいと思っております。基本的には、しかし防衛計画の大綱水準にできるだけ早く到達するという基本的な考え方を持ち、その考えに立ちまして、しかも諸般の国策との調整、調和を考えつつ、今後努力してまいるということでございます。
 ちなみに、防衛費突出と言われておりますが、数字を調べてみますと、主要経費との比較においては、昭和三十年と昭和六十年とを比べますと、社会保障関係費は約九十一倍です。文教、科学技術振興費は三十七倍です。防衛費は二十三倍です。一般歳出は約四十倍。一般会計は約五十二倍になっております。こういう数字を見ますと、防衛費突出とは必ずしも言えないのであります。ちなみに、外国との比較を見ますと、米国が約六・五%、西ドイツは四・一%、英国が五・三%、フランスが四・二%、日本が〇・九%です。一人当たりの国防費負担を見ますと、アメリカが約二十一万円、西独が十一万円、英国が十万円、フランスが十万円、日本は二万二千円であります。こういう情勢を見ますと、必ずしも突出とは言い得ないと、このように考えます。
 次に、一%の問題につきましては、先ほど申し上げましたようにできるだけこれを守っていく、しかし防衛計画の大綱水準達成に努力もしなければならない、人勧やGNPの成長等々の要素も考えなければならない、したがってまだ不確定でありますと。もしこれを改革しなければならぬという事態が出た場合には、これは当然あるいは国防会議あるいは閣議等で討議され、いわゆる節度ある防衛力のあり方についていろいろ検討すべき問題であると考えております。
 次に、経済情勢の問題でございますが、これらは大蔵大臣あるいは関係閣僚に御答弁願いたいと思いますが、昭和六十年度におきましては名目六・一%、実質四・六%の達成は可能であると考え、また努力をいたします。
 市場開放につきましては、先ほど申し上げましたが、特に対外経済問題閣僚会議、これを活用いたしまして、この会議を中心にして、各省事務次官が自分の所管事項について最大限の努力をするように指示したところでございます。やはりこの市場開放問題については日本がアンフェアであるという誤解を与えていることが一番残念なことなのであります。こういう問題については逃げないで、堂々と正面から取り組んで、言うべきことは言い、先方のまた聞くべきことは聞き、そしてお互いが率直な話し合いで胸を開いて立ち向かうようにということを特に指示したところであります。
 しかし、彼我のいわゆる文化や社会制度の相違から来ているギャップがあります。このギャップを埋めるという努力も日本もしなければなりませんし、アメリカや外国もしなければならないのであります。そういう点についての努力をさらにするように指示したところでございます。何といっても、日本がアンフェアである、不公正である、そういうことを外国から指摘されることだけは断じてやめるようにしたい、そう思っておるのであります。
 木材製品につきましては、関税引き下げの問題は非常に難しいということを先方にも伝えておりますが、今後の情勢も十分考慮し、慎重かつ適切に対処してまいります。
 ドル高是正の問題につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。やはりいろいろ考えてみますというと、アメリカ経済がなお強気で上昇の方向にあるということ、それから万一の危機の際にアメリカに投資しておくことが一番安全である、いわゆるセーフティーヘーブン、そういうような考え方があってどうしてもドル高ということがやまないのであります。しかし、政策的に見ましても、このドル高が世界経済に及ぼしておる大きな影響にかんがみまして、我々はアメリカともよく話し合って、これはいわゆるソフトランディングの政策の一環としてもこれを低下させるようにお互いに努力してまいりたい、そう思っておるのであります。
 行革につきましては、行革大綱及び今回の地方行革大綱等を推進いたしまして、営々として持続的に努力してまいるつもりでございます。特に、本年は地方行革大綱を決めまして、地方の給与、定員管理、組織機構の簡素化、あるいは地方公共団体においておのおの行政改革推進本部等をつくっていただいて、そうして各府県、市町村ごとに行政改革の大綱を策定し、公表し、自主的総合的な行政改革を推進するように要請したところです。私は先般都道府県の総務部長・企画部長会議に出席いたしまして、特にこの行革の推進、あるいは緑の展開等につきまして要請したところであります。総務部長会議に総理大臣が出席するということは全く異例なことでありますが、ことしは地方行革が非常に重要な国民的関心事でありますから、政府の責任としてもこれを推進してまいりたいと思っておるから行ったのであります。
 国鉄再建につきましては、再建監理委員会の意見を尊重して、関係法令の整備その他所要の措置を実行いたしたいと思っております。
 財政改革につきましては、六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却を行うということを全力を尽くして今後もやりたいと思っております。今回は、国債の一兆円減額、あるいは電電公社等の公社の株式の処分可能なものについて国債整理基金にこれを組み入れる、そういう方策を講じまして、大きく一歩前進したものと考えております。
 増税なき財政再建については、これは理念として今後も我々は堅持し、その心構えで努力してまいります。歳出面、歳入面におきまして、おのおの適切妥当な措置を行いまして、この目的に向かって進むつもりであります。
 さらに、税制改革につきましても、これは課題といたしまして、公平、公正、簡素、選択という観点に立ちまして、これから検討課題としてとらえてまいりたいと思っております。
 脱体系の内容的なあり方については、税調等において今後審議される問題であり、政府としては白紙であるということを申し上げる次第であります。
 教育改革につきましては、文部大臣から御説明があると思いますが、今や全国民の世論に従いまして、全体的な見直し、根本的改革の時期に入っていると思います。臨教審の答申が出た場合には、できるだけ速やかにこれを尊重して実行したいと思います。
 高齢者対策につきましては、何といっても高齢者対策の基本は、高齢者の健康を維持することと、それから生きがいを与えること、そのためには働く場所を欲しいと言われる方にはそれを保障する、この三つが実は大事ではないかと思いまして、今後とも努力してまいるつもりであります。定年後の雇用延長の促進とか、あるいはシルバー人材センターの活用とか、あるいは短時間勤務の推進、さまざまな対応があり得ると考えております。
 次に、農業の問題でございます。
 前から申し上げているとおり、農は国のもとであり、かつ農は生命産業であると申し上げまして、普通の工業とは性格が違うわけであります。まず第一に農地の流動化等による経営規模の拡大、それから農業生産基盤の整備、技術の開発普及、これら各般の施策を展開してまいりたいと思っております。食糧の問題は安全保障の問題とも絡みまして重要な問題であり、備蓄等の問題も適切に考えていくべき問題であると考えております。
 中小企業の政策につきましては、技術革新あるいは情報化の進展、あるいは国民ニーズの多様化等に対応するような中小企業の改善改革が必要であります。技術力の向上あるいは情報の供給、人材養成の強化あるいは金融措置等、これらの措置につきまして十全の措置を講じてまいります。
 科学技術につきましては、先般十一月に科学技術会議の答申がございまして、まず創造性豊かな科学技術の振興、科学技術と人間及び社会との調和ある発展、国際性を重視した展開、この三つが指摘されました。そして、これらにつきましては、科学技術会議等を中心にして、特に産学官の研究開発組織の柔軟かつ多様な組み合わせ等も考慮いたしまして、答申の線に沿って推進してまいります。
 先端科学技術につきましては、総理を議長として関係閣僚を含めた科学技術会議を活用いたしまして、今、基本的総合調整を図っております。そして、今回の予算におきましても、これらの基礎科学技術等につきまして特別に推進するために、電電公社等の株式の一部の利益をもってこれの研究を推進する等の措置も講じておるところであります。
 建国記念の日につきましては、これは全国民の祝日であります。したがいまして、全国民が喜んで参加し得るような内容のものにすることが望ましい、そう考えておりまして、今いろいろ調整しておるところであり、ぜひ参加させていただぎたいという熱望に燃えておる次第であります。
 将来、政府の主催とするかどうかという点は、これは国民一人一人がお祝いをするというもので、祝日全部を政府主催とするということはいかがなものかとも考えられ、目下のところ政府主催は考えておりません。
 次に、グリコ・森永事件でございますが、このような新しい社会に出てまいりました知能犯に対しましては、社会的影響が甚大であります。そのために防圧、検挙に今全力を尽くしておりまして、通信機のディジタル化とかそのほかの諸般の対策も今追加的にやっておるところでございます。
 法制上の問題については、今、自民党及び関係当局において検討中でございます。
 参議院改革の問題でございますが、日本国憲法第四十二条は、「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」と定め、第四十三条第一項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と、こう決められて、いわゆる二院制を採用しておるところでございます。二院制を採用しておる理由は、議会に民意をより正しく反映させる、そして議事の公正、慎重を期す、第一院が活動不能となった場合にもでざるだけ民主的に国務を処理するという実際的必要、第二院の存在というものはそういう意味で認められていると思うのであります。第二院はこれにふさわしいものとする。いわゆる参議院につきましては良識の府という点が特に期待されておるところであり、参議院の皆様方のそのような御努力を私たちは熱望しておる次第でございます。
 今回、参議院を考える会による参議院改革に関する御提言も拝聴、拝読いたしました。参議院の使命をさらに深めるために、真摯な御意見として非常に敬意を表しておる次第であり、この御検討が各党間に進められるように期待しておるところでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 110215254X00519850129_009

発言者: 中曽根康弘

speaker_id: 15356

日付: 1985-01-29

院: 参議院

会議名: 本会議