榊春夫の発言 (農林水産委員会)

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○榊参考人 農林年金理事長の榊でございます。
 私どもの農林年金につきましては、これまで先生方から一方ならぬお世話をいただいておりますことにつきまして、厚くお礼を申し上げます。
 それでは、農林年金制度の実施機関を預かっております立場から、制度の現状なり今回の改正法案について申し上げます。
 まず、現状でございます。農林年金制度は、昭和三十四年一月に厚生年金から分離独立して以来二十七年目を迎えておりますが、諸先生方及び関係者の皆様の御協力のもと、その目標としておりました市町村共済組合と同等の制度内容に構築されておりまして、農林漁業団体役職員の老後保障制度として職域内に定着しており、農林漁業団体の健全な発展を図るために必要な有能な人材確保に大きく貢献しております。
 まず、組合員数につきましては、四十八万五千人台に達しており、毎年増加はしておりますものの、ここ数年の組合員数の伸びは、農林漁業団体を取り巻く厳しい環境を反映して停滞傾向を示しております。
 他方、年金受給者につきましても、年々増加しておりまして、現在では十四万人台に達しており、特に、制度の中心的な年金給付であります退職年金の受給者数は、全年金者数の六割に当たる八万五千人に達しております。
 平均年金額につきましては、年金受給者の組合員期間が延びてきておりますことと、国家公務員給与の上昇率によるスライドや物価スライドの年金額の改定によりまして相当な水準にまで達しており、例えば新たに農林漁業団体を退職した入の退職年金の月額では、十五万七千円程度の水準にまで達しております。
 また、年金業務につきましては、このほか、組合員の福祉を増進するための福祉事業として組合員の保健や保養に資する施設の経営、組合員の臨時の支出に対する貸し付けなどの業務を行っておりまして、特に、住宅取得の資金の融資などの福祉貸し付け事業につきましては、年金積立金のおよそ一割に当たる約一千億円の還元融資となっておりまして、現在組合員とのつながりを深める面で大きな成果を上げております。
 次に、年金財政の状況について若干述べさせていただきたいと思います。
 農林年金が預かっております年金積立金は一兆円に達しております。しかし、年金受給者が増加していること、年金支給額が増大してきていること、平均寿命の延びによる年金の受給期間が延びてきていること、また、組合員数の伸びが停滞していることなどの要因が重なり合いまして、財政事情は大きく変化しつつあります。
 昭和五十九年度について見ますと、単年度収支全体では、年金積立金の自主運用や農林漁業団体の自助努力による全国農林漁業団体振興会からの助成金などによりまして黒字となっており、年金積立金は増加しておりますものの、年金制度の収支の中心であります掛金収入と給付金支出とを見ますと、給付金支出を常に上回っておりました掛金収入が、制度発足以来初めて給付金支出より下回るという状況が生じてきております。
 以上、現状の概略を申し上げましたが、本制度の運営に当たりましての課題につきまして若干申し上げてみたいと思います。
 まず、年金制度は世代間の相互扶助を前提として成り立つことが基本であります。農林年金は一万二千余の多種多様の団体で構成され、これらの団体が全国に散在しておりますことから、本制度の職域年金制度としての役割、年金制度を取り巻く情勢などにつきまして積極的なPRを行い、制度の安定的な運営につきましての理解と合意を得ることに努力していかなければならないと考えております。
 次に、今年度は、来年度から適用する新掛金率の基礎となる五年目ごとの財政再計算の年に当たっておりまして、今日までの財政状況につきましての農林漁業団体や組合員への学習活動を土台といたしまして、新掛金率への円滑な移行のため、年金財政の健全化についての理解浸透に努めていかなければならないと考えております。
 また、農林年金の業務は、その性格上、組合員や年金受給者と長期にわたって関係するものでありますので、組合員資格や給与の届け出、掛金の徴収、年金の裁定などの業務につきまして、系統組織など関係団体の協力を得まして、一層の適正かつスムーズな運営に努めていかなければならないと考えております。
 最後に、今回の改正案につきまして若干の所見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、今回の改正案は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るための改正であり、職域年金制度としての性格にも配慮がなされていると考えております。すなわち、給付設計につきましては、他の共済組合と同等に仕組まれており、基礎年金の上乗せとして、厚生年金相当部分の年金額に、その二割に当たる職域年金相当部分の年金額を加えたものをもちまして本制度が支給する年金額となっており、従来どおり厚生年金より厚みを持ったものとなっておりまして、制度創設の経緯に十分配慮がなされているものと考えております。
 しかし、一方で給付の適正化が図られているわけですが、今日の厳しい財政事情や現行制度のままでは成熟段階の掛金率が現行の四倍にも達するという将来見通しからも、今回の給付の適正化は避けて通れないものであると考えております。
 次に、この改正案は、現行制度の給付設計を大きく変革するものでありますが、その激変緩和措置としまして、中高齢者への一定の配慮がなされておりますほか、年金受給者の年金額についての既得権も保全されております。また、農林水産省や関係者の御尽力によりまして、退職、障害共済年金の在職支給の導入や職務上災害への最低保障額の設定などの本制度の独自性への配慮もなされておりますことを考えますと、私としましては妥当なものであると考えております。
 最後に、今回の改正案が抜本的なものであることから、十分な御審議をいただくことはもちろんでございますが、私ども制度の実施機関を預かっている者といたしましては、現行制度からの円滑な移行に万全を期する責務がございますこと、また、この改正案の実施が国民年金法等一部改正法と同時実施できなくなった場合には、その改正が行われるまでの間、被扶養の妻が無年金となるおそれがあること、制度間格差がさらに深まることなどの問題が生じますことから、これらの点についても特段の御配慮をお願いする次第であります。
 以上をもちまして私の意見とさせていただきます。(拍手)

発言情報

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発言者: 榊春夫

speaker_id: 10390

日付: 1985-11-26

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会