上田卓三の発言 (本会議)

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○上田卓三君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 今日、我が国人口の高齢化が急速に進行しつつあるもとで、高齢化社会における社会保障の根幹をなす年金改革は、緊急に解決を迫られている重要な政治課題であります。老後の生活を第二の人生にふさわしく、豊かで生き生きとしたものにするために、すべてのお年寄りに健康で文化的な生活のできる年金を保障することが急務となっております。しかしながら政府は、今日に至るまで制度の抜本改革を怠り、ただただ矛盾を拡大させてきました。これまでの年金制度が複雑であったため、制度間に抜きがたい格差を生じ、掛金と給付の均衡を欠き、成熟度の高い国鉄共済が破綻に瀕するなどの混乱を来した原因と責任は、挙げて政府にあるのであります。
 ことし春の国民年金、厚生年金の改正、基礎年金制度の導入と、今回の共済年金法の改正案など一連の改正案は、要は、危機に瀕した国民年金と国鉄共済を、厚生年金及びその他の共済年金とどんぶり勘定することで救済しようとするものであり、その結果は、年金給付水準の大幅な引き下げ、給付開始年齢の六十五歳への引き上げ、国庫負担の削減という、年金改悪以外の何物でもありません。これは、公的年金制度に対する国の責任を全く放棄し、国民にその負担を転嫁するものであります。
 今回、共済年金にも導入されようとしている基礎年金の基本的な問題点は、四十年加入、月額五万円という生活保護基準にも満たないその支給額と、しかもそれを保険料方式で行う点にあり、すべての国民に最低生活水準を保障するという、一九七七年十二月の社会保障制度審議会の答申で提起された基本年金の本来のあり方と、全くかけ離れた内容となっていることであります。また、国庫負担が現行の制度に比べて大幅に引き下げられる反面、定額保険料が高過ぎて国民の負担にたえ得ないことも問題であります。既に去年の数字で、国民年金の保険料免除者が全体の一六・七%、三百十万人にも達している事実は、定額保険料方式の国民年金制度が早晩立ち行かなくなることを示しております。
 さらに、婦人の年金権も確立されたとは到底言えず、夫婦関係や雇用関係の変動によって資格要件が左右され、無年金者やそれに近い低額年金者が大量に出ることが予想されるのであります。結局、我が党の基本年金構想のように、税方式で均一最低保障年金を実現することが、国際的な例にもかない、我が国公的年金制度を真に安定させる基礎となることは明らかであります。基礎年金の水準、費用負担のあり方等について、国民年金法の附則の規定に基づいて早急に検討に着手することを強く要求するものであります。
 さらに、厚生年金、共済年金とも支給開始年齢が本則六十五歳とされたことは、いまだ我が国の定年制が五十五歳から六十歳への移行期にあり、六十歳定年制すら完全に実施されていないという雇用実態を無視したものと言わざるを得ません。特に共済年金の場合、退職年金であり、この制度上の矛盾は重大です。六十歳からの特別支給の財源が国庫負担なしとされたことも、年金財政を圧迫し、結局六十五歳支給を強要するものであり、容認できません。
 共済年金の政策改定の根拠に賃金スライドの要素が明確に規定されていないのも問題であります。職域年金部分を懲戒処分によって支給停止とすることは、年金を労務管理の手段に使う悪質なものと言わざるを得ません。報酬比例部分の国庫負担はゼロとされ、基礎年金の三分の一国庫負担と合わせても、国庫負担が大幅に削減される一方、保険料は次々と引き上げられ、最終的には掛金率は、実に一カ月二十万円の収入で三万四千五百円にもなるとされています。これは、労働者負担の限界というものをはるかに超えているのであります。
 共済年金四法案に対して我が党が四党共同で提案した十二項目にわたる共同修正要求事項に対して、政府は、いまだ全く誠意ある回答を行っておりません。特に、職域年金部分の改善、報酬比例部分の算定基礎のとり方の改善、既裁定者のスライド停止を行わないこと、年金スライドに賃金スライドを加味すること、懲戒処分による職域年金カットをやめることなど、基本的な諸点について修正が行われない限り、今回の改正案をそのまま承服することはできないのであります。
 さらに、基本的な問題点として国鉄共済の救済問題があります。本年四月から開始されたばかりの財政調整五カ年計画は、国鉄の分割・民営化方針のもとで、二年後には再び完全に行き詰まることになります。このように国鉄共済を破産するに任せて国鉄の分割・民営化方針を打ち出した国鉄再建監理委員会と、その答申をやすやすと受理し、最大限の尊重を約束した政府の無責任さに対して、深い怒りを感じざるを得ません。そもそも国鉄共済年金財政の破綻は、戦後、満鉄などの引き揚げ職員を大量に国鉄が抱え込んだことなどの歴史的経過と、国の運輸政策、国鉄経営の矛盾と失敗を抜きに論議することはできないのであります。したがって、その救済策は、基本的に国の責任において解決、実行されるべきものであります。これ以上労働者に負担転嫁を行う年金制度の財政調整は、断じて行うべきではありません。
 政府は、国鉄共済の救済策について、六十一年度中に結論を得て立法措置に入るとしているものの、その具体的内容は全く明らかではありません。いわんや六十五年度以降の対策については、全くの白紙状態であります。しかし、この問題を抜きに共済年金制度の一元化も、公的年金制度全体の統合一元化も、そのめども見通しも立たないことは明らかであります。私は、ここで、国鉄共済問題とともに、基礎年金制度のあり方も含めて抜本的な見直しを行い、公的年金制度一元化の方向と内容を速やかに国民の前に明らかにするよう、改めて政府に要求するものであります。
 急速に進行する高齢化社会のもとで、すべての国民に豊かで安心できる老後を保障するために、年金制度の真の意味での確立と一元化が今日ほど求められているときはありません。さらに、年金制度に加えて、老後の健康、雇用、生きがい、孤独の解消など、総合的な高齢化対策が必要とされています。日本の社会保障制度、長時間労働など低い水準が経済摩擦の背景の一つにあるとのOECDの指摘をまつまでもなく、我が国の福祉水準は、諸外国に比べてまだまだ立ちおくれています。臨調行革の名のもとに軍備拡大、福祉切り捨ての政策を続けることは、内需をますます切り縮めて経済摩擦を激化させる結果をもたらさざるを得ません。
 我が党は、既に発表している暮らせる年金構想の実現を初め、高齢化社会に対応する福祉施策の充実と改革を強く要求し、取り組んでいくことを最後に申し上げて、私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 110305254X00919851203_021

発言者: 上田卓三

speaker_id: 22814

日付: 1985-12-03

院: 衆議院

会議名: 本会議