前田勲男の発言 (商工委員会)
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○前田勲男君 産業活動等の実情に関する調査のため、去る十月七日、八日の両日にわたって行われた委員派遣について御報告いたします。
派遣委員は、下条委員長、松岡理事、市川理事、木本委員と私の五名で、日程は、七日、麒麟麦酒高崎工場、富士通長野工場を視察後、長野市内のホテル会議室で、東京通産局、長野県、長野市、上田市、長野県経営者協会、長野商工会議所、長野県中小企業団体中央会及び長野県商工会連合会から説明、要望を聴取いたしました。翌八日は、地場伝統工芸としての松本家具工芸協同組合を視察し、松本商工会館において、松本市、大町市、塩尻市及び以上三市の商工会議所、経協中信支部及び中央会松筑支部から説明、要望を聞き、最後に諏訪精工舎富士見工場を視察いたしました。
以下、視察先の概要について申し上げます。
まず、東京通産局の管轄する関東甲信越一都十県の概況でありますが、この区域は我が国で最も工業集積度の高い地域で、年間工業出荷額は約百兆円、全国の四二%を占め、鉱工業生産の伸びも最も高いところであります。特に最近では、群馬、長野、山梨県等の内陸県の伸びが大きく、鉱工業生産指数の伸び率は過去五年間で全国平均二四%、東通管内三一%に対し、長野県では六六%と極めて高い伸びを示し、工場立地についても先端産業関係では、昨年は臨海県五十三件に対し内陸県百十五件であり、ハイテク産業を中心に内陸指向が強くなっているのが近年の特徴であるとの説明でありました。
次に、長野県経済の概況でありますが、県の説明によると、本県は山岳・高原地帯が多く、従来農業県の色彩の強い県でありましたが、近年は先端技術産業の工業立地と地域の伝統技術に支えられる地場産業の振興に力を注いでおり、昭和五十七年度以降、工業立地件数は三年連続して全国一
位となっております。工業製品出荷額も五兆円を超え、対前年伸び率で見ると五十七年度以降二年連続二けた台の伸びを示し、その構成も電機、精密機械等の先端的な業種が工業出荷額の六五%を占め、工業県へと飛躍的に発展しつつあります。
長野県は、このような先端産業の進出と長年培ってきた技術力を背景に、産学住が有機的に結合された技術都市圏を目指し、テクノハイランド構想を策定して県政の中核に据え、現在構想の具体化に取り組んでおります。
次に、各地方自治体及び商工団体から我々に寄せられた要望事項等でありますが、その詳細は、各団体から文書で提出されているものについては、これを本日の会議録に掲載していただくよう委員長にお願いし、ここでは骨子だけの報告にとどめます。
まず、長野県要望の第一点は、テクノポリス対象地域を拡大し、浅間テクノポリス圏域の承認が受けられるように配慮されたい。第二点は、中小企業対策予算を増額されたいというものでありました。
長野市からは、工業用地の確保が困難となっているので、市街化調整区域に自治体が行う工業団地の開発が認められるよう都市計画法を改正されたい。
上田市からは、浅間テクノポリス圏域の中核都市でありながら高速道路と新幹線に恵まれていないので、この早期実現を図られたいとの要望がありました。
次に、長野県経営者協会からは、第一に北陸新幹線、関越自動車道上越線、松本空港ジェット化等の高速交通網の整備促進、第二に国道十八号線軽井沢−松井田間の災害の早期復旧、第三に法人税の一・三%上乗せ措置を来年度以降は延長させないこと。
長野商工会議所からは、商工会議所連合会の要望として、六十一年度に駒ケ根市に商工会館の建設を計画しているので、国の補助を受けられるよう配慮されたい。
中央会からは、県下の中小企業組織化の課題として、みそ、しょうゆ、木工など地場産業の組織化は一〇〇%進んでいるが、機械工業は余りにも急速な発展を遂げたため組織化がおくれ、特に円高のしわ寄せを受ける輸出関連先端産業の下請企業の組織化が今後の大きな課題であるとの説明があり、要望事項としては、大型間接税導入の見送り、小企業等経営改善資金の金利引き下げの二点があり、
商工会からは、目下円高の進行が工業部門の関心の的になっており、輸出産業の下請企業は受注単価の切り下げ、手形期間の長期化等に大きな不安を抱いているので、中小企業の円高対策に特段の配慮を願いたい。
松本市からは、商業関係では、中央道長野線により同市が県の流通の中心地となるので流通団地の造成、工業関係では、この地域のきれいな水と空気を汚さないIC等ハイテク産業中心のアルプスハイランド構想を進めているので、これらの計画に対し、松本空港ジェット化を初め、国政レベルの支援、指導をお願いしたい。
大町市からは、高瀬川堤防道路建設の支援と工業再配置補助金制度の存続。
塩尻市からは、研究開発型企業を育成するための金融面での配慮。
松本商工会議所からは、小規模事業指導費補助金の概算要求四百三十八億円の予算化。中央東線のスピード化、松本空港の整備促進。
大町商工会議所からは、中央道長野線豊科インターから糸魚川に至る高速道路の建設。
塩尻商工会議所からは、松本、大町、塩尻の三商工会議所共同の要望として小企業等経営改善資金の現行金利七%を六・五%に引き下げること。
経協中信支部からは、高速交通網の整備と法人税の一・三%上乗せ措置を延長させないこと。
中央会松筑支部からは、商工中金の金利引き下げと技術改善費補助金が中小企業にもっと利用しやすくなるよう、申請の受け付け時期等について窓口を広くすることの要望がありました。
以上の要望について、派遣委員の側からは下条委員長を中心に見解が表明され、質疑、意見交換等の懇談が行われました。
次に、視察先の工場等の概要について申し上げます。
麒麟麦酒高崎工場は、同社十四工場の一つで、昭和四十年に開設、ビールと清涼飲料を製造しており、従業員四百人、出荷額は昨年度税込みで八百六十億円、同社全体の八%を生産している中堅工場で、昭和五十七年には省エネルギーの優良工場として通産大臣から表彰を受けております。
ビール業界は、現在他の酒類との競争が激化し、低成長の時代に入っており、特に昨年は、酒税引き上げの影響を受け五%のマイナス成長を記録しました。会社からは、日本のビールに対する酒税は世界で一番高く、小売価格の約半分を占めている。ビールは大衆酒であり、税金が低ければ需要はまだまだ伸びるので、同酒税の引き下げを願いたいとの要望がありました。
次に、富士通長野工場は、昭和四十一年にコンピューター・ファコムの一貫量産工場として開設され、現在は周辺装置分野の磁気記憶装置、プリント板ユニット等を製造しております。従業員三千七百人、生産高は年間三千億円で、製品の高度な技術的要求にこたえるため、プリント基板の製造から周辺装置の組み立て、最終検査に至るまで多数のコンピューターや自動試験機を駆使しており、コンピューターがコンピューターをつくる我が国でも最新鋭工場の一つとして製品の高性能化、高信頼性を目指して努力しているとの会社の説明でした。
次に、松本家具は、家具工芸協同組合の説明によると、この地区には古くから木工芸の伝統技術があり、昭和五十一年に国から伝統的工芸品の指定を受けているが、家具では松本が全国で最初のケースでありました。現在は従業員約二百人、生産額は年間八億円、材料は長野産の木材を極力使用しており、手づくりが中心でありますが、伝統的和だんす等は洋風化した生活様式に次第に合わなくなり、最近の製品の主流は洋風テーブル、いす等に移っております。
業界の抱えている課題は、一つには、材料が天然木なので入手が次第に難しくなり、かわる材料の研究開発も進めていること、もう一つは、伝統工芸の技能を受け継ぐ後継者の確保が高学歴化社会の中で大変困難になり、これからは人材の養成、確保が当面の最大の課題となっているとのことでした。
次に、諏訪精工舎富士見工場は、同社が時計の分野で培ってきた精密技術と水晶ウォッチで開発された電子技術を結集して、昭和五十五年に開設した半導体の一貫製造工場で、消費電力の少ないシー・モス・ICを生産しております。従業員千二百人、生産額は年間三百億円で、この工場は八ケ岳山ろく海抜手メーターに位置し、清浄な空気ときれいな水、質の高い労働力に恵まれ、しかも中央高速道に隣接しているというLSI工場として絶好の条件のもとに、森林公園工場として建設されました。
日米間の半導体価格差についての我々の質問に対する会社の説明によると、ICのコスト差は、製造工程における歩どまりの違いで決まり、ここで生じる価格差が日米半導体摩擦の根本的原因である。例えば六十四Kスタティックラムで見ると、日本では材料に対する製品歩どまりが六〇%から七〇%であるのに対し、アメリカではこれが四〇%以下であって、不良品を出す割合がそのままコストの差となってあらわれている。精度の高いLSIの品質管理はじんあいとの戦いであり、日米間の歩どまり差は、機械の差ではなく、従業員のじんあいに対する感覚や心構え等対応の違いから生じるものであるとの説明がありました。
視察先の概要は以上でありますが、今回の現地調査に当たり御協力をいただいた東京通産局、長野県、群馬県を初め関係各位に対し、厚くお礼を申し上げて報告を終わります。