小渕恵三の発言 (本会議)
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○小渕恵三君 ただいま議題となりました昭和六十一年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この予算三案は、去る一月二十四日本委員会に付託され、同月三十一日竹下大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、二月三日から質疑に入り、公聴会、集中審議、分科会を含めて二十二日間審査を行い、本三月八日討論、採決をいたしたものであります。
まず、予算の概要について申し上げます。
六十一年度一般会計予算の規模は五十四兆八百八十六億円であり、前年度当初予算に対し三%の増加となっております。
歳出については、引き続き既存の制度、施策の見直し等を行っており、その結果、国債費及び地方交付税交付金を除いた、いわゆる一般歳出の規模は三十二兆五千八百四十二億円と、前年度当初予算に対し十二億円の減少となっております。
歳入については、租税及び印紙収入は、現行法による増収見込みのほか、租税特別措置の整理合理化、たばこ消費税の引き上げなどの税制改正を行うこととしている結果、前年度当初予算に対し五・二%増の四十兆五千六百億円になると見込まれております。また、公債の発行額は、建設公債五兆七千億円、特例公債五兆二千四百六十億円、合計十兆九千四百六十億円を予定しており、これは、前年度当初発行予定額を七千三百四十億円下回っております。公債依存度は二〇・二%となっております。
特別会計はその数が三十八でありますが、特定土地改良工事特別会計を、本年度以降国営土地改良事業特別会計に改組することとしております。
政府関係機関の数は十二でありまして、前年度と変わりありません。
なお、財政投融資計画の規模は二十二兆一千五百五十一億円であり、前年度当初計画に対し六・二%の増加となっております。
次に、質疑について申し上げます。
質疑は、国政の全般にわたって行われたのでありますが、そのうち主なものについて申し上げますと、
第一に、経済の見通し及び今後の経済運営についてであります。
「政府は、昭和六十一年度の経済見通しについて、実質経済成長率が前年度に比し四%程度増加すると見ているが、果たしてこの達成が可能かどうか疑問である。急速な円高の進行、原油価格の値下がり等があって、我が国の景気が今後どうなるのか心配である。それにもかかわらず、政府の内需振興に対する積極的政策が乏しい。例えば、大幅減税が見送りになっている。賃金の大幅上昇は、春闘に対する財界の見方が厳しいため、期待できない。これでは、個人消費が伸びる見込みは全くない。一般会計の公共事業費は毎年減り続けている。民間の企業設備投資や住宅投資等は伸び悩んでいる。そして、急激な円高により深刻な打撃を受けた輸出関連中小企業を救済しなければ、景気に対し重大な悪影響を与えることになる。このように、国民は景気の先行きを非常に懸念している。六十一年度の景気、経済見通しに対する政府の見解を伺いたい。また、今後、四%成長を達成させるため、思い切った総合経済対策を打ち出す必要があるのではないか」との趣旨の質疑がありました。
これに対し、政府から、「最近の急激な円高による輸出関連中小企業の不振などにより、経済の先行きに対する不安が強まっていることは事実である。円高にはデメリットもあるがメリットもあるし、また、石油価格の低下もプラス効果になると考えられる。政府は、昨年十二月、二回にわたって内需喚起のための政策を打ち出し、さらに、一月末に公定歩合の引き下げが行われた。二月には、補正予算が成立し、公共事業の追加契約が可能となった。円高対策についても、特定中小企業者のための臨時措置法が成立した。公定歩合も近く再び引き下げられる予定である。来年度予算の一般会計の公共事業費は減っているが、財投などを含めると、前年度を上回る事業量を確保しており、設備投資減税と住宅減税も相当な規模で拡充している。政府としては、六十一年度予算の成立と、今までとってきた各種施策の総合的な中で、さらに、民間活力もつけ加えながら、総体的な内需拡大を図っていくこととしており、そういうものを全部合わせると、年度間を通じて実質四%の成長は必ず可能であると思っている。また、四%成長確保のため必要な財政的、金融的手段は、今後とも積極的にとっていくつもりである。なお、賃金引き上げの問題は労使間において決める事柄であるから、政府が介入すべきではないが、リボルビング報告の中で指摘されていることは念頭に置いている」旨の答弁がありました。
第二に、財政の再建についてであります。
「大蔵省が提出した「財政の中期展望」、仮定計算例によると、昭和六十五年度に赤字公債依存体質から脱却するには、毎年一兆三千百億円ずつ赤字公債を減額しなければならないが、そういうことは不可能である。国民は、そのうち福祉が削られるのではないかと心配している。財政再建の努力も限界に来ていると思うが、それでも六十五年度赤字公債からの脱却方針は持ち続けていくのか」との趣旨の質疑がありました。
これに対し、政府から、「今まで厳しい歳出削減を行ってきたが、新しい要素として、電電株の売却費を計算できる状態になり、また、税の問題もやっと税制調査会に持ち込むことができた。このように毎年新しい措置が少しずつ浮き彫りにされてきている。六十五年度赤字公債依存体質からの脱却は、非常に困難なことであるが、今全く不可能であると断定すべき状態でもない。今、仮にこの旗をおろすと、それによって、歳出膨張圧力が噴き出し、これまでいろいろ批判を受けながら、四年間も一般歳出を前年度以下に抑えた苦労が水泡に帰してしまうおそれがあるから、やはり、かたくななまでにもこの旗を掲げていかなければならないと考えている」旨の答弁がありました。
第三に、税制の改革についてであります。
まず、その進め方について、「政府は、春に減税を打ち出し、選挙で国民の歓心を買い、選挙が終わったら増税案を出すように税制調査会に諮問しているようであるが、そんなやり方はない。増税は一応置いておき、まず、六十一年度に思い切った大幅減税に踏み切るべきではないか。また、春に打ち上げる減税は何を出そうとしているのか。そして、財源をどこから持ってこようとしているのか。財源に全然触れないのでは国民が変に思わないか」との趣旨の質疑がありました。
これに対し、政府から、「シャウプ税制以来三十五年もたち、税のひずみ、ゆがみ、国民の重税感がかなり出てきている。国民が一番欲しているのは、これをどう解消してくれるのかということであるから、まず減税案をつくってもらう。そして国民の皆さんに批判してもらい、落ちつく先を見る時間的余裕を置く。そして、秋にそれに相応する財源措置を含んだ最終的な答申をもらい、これを法律化して実施に移そうという手順で税制調査会にお願いしている。したがって、そういうスケジュールで進行しているから、途中において大がかりな減税を行うことはできない」旨の答弁がありました。
次に、大型間接税導入の可能性について、「政府は新しい税制を確立し、安定した歳入構造の確保を目指すと言っているが、後になって、減税よりも多い増税が出てきたのではかなわない。六十二年度に大型間接税を導入することにならざるを得ないと政府は考えているのか」との趣旨の質疑がありました。
これに対し、政府から、「税制調査会には、増減それぞれ中立的な立場で、税制のあるべき姿を諮問している。課税ベースの広い間接税については、従来から同調査会の検討の対象になっており、後半の審議で取り上げられる可能性はある。しかし、それを採用するかしないかは、答申をもらった後の政策選択の課題になると考えている」旨の答弁がありました。
第四に、防衛関係費についてであります。
「防衛費の対GNP比一%の問題は、一昨年も昨年も通常国会で論議してきたが、昨年秋の臨時国会の衆参両院予算委員会においても熱心に論議され、政府見解として確認答弁をしている。すなわち、昭和六十一年度予算に係る編成においても一%枠を守るというのであるが、これは、三木内閣の防衛費に係る閣議決定については、その趣旨を尊重し、補正予算を含めて、六十一年度中は一%枠を守るというように解釈してよいか」との趣旨の質疑がありました。
これに対し、政府から、「去年とことしは多少状況も違ってきていると思う。時代も違うし、あるいはGNPや経済動向がどうなるかという点も非常に違ってきつつある。しかし、六十一年度予算編成においては、一%以内にとどめたところである。三木内閣の一%以内にとどめたいという閣議決定は、尊重し、守りたいと思っている」旨の答弁がありました。
第五に、国鉄改革問題についてであります。
まず、国鉄改革を進めるに当たっての政府及び国鉄の姿勢について、「政府は、国鉄再建監理委員会の答申に基づいて基本方針を決定し、国会に対する法案提出の準備を進めてきたが、その過程において、再建監理委員会の答申を金科玉条、不動のものとして、既に国鉄の民営・分割、長期債務、余剰人員等が決まっているという前提の上に立ち物事を処理しようとしている。特に、国鉄は、「民営になる」というポスターを駅の各所に張ったり、パンフレットを配って、既定の事実として宣伝し、準備している。国鉄関係法案の審議がまだ国会で行われていない段階でそういうことをすることは、一体国会を何と考えているのか」との趣旨の質疑がありました。
これに対し、政府から、「国鉄再建監理委員会は、法律に基づいて、国鉄の改革、事業の再建等について審議し、昨年、意見の答申があった。政府はこれを尊重しなければならないと法律に明記されているところであるから、政府は、国鉄改革のための基本的方針、余剰人員雇用対策の基本方針、長期債務等の処理方策等を順次閣議決定し、国民に知ってもらうとともに、国会の論議を通じて、政府の方針を理解していただくよう取り進めてきた。同時に、国鉄に対しても、このような改革路線であるから、当然、諸準備を怠りなくするよう指示している。特に重要な余剰人員対策については、一人といえども路頭に迷わせるわけにはいかないので、国鉄当局は、誠意を持って各方面に出向いてお願いしてほしいと指示し、御努力いただいているという事情を御理解願いたい」旨の答弁がありました。
次に、長期債務の処理について、「政府の決めた処理方針によると、旧国鉄に長期累積債務として残る三十五兆九千億円については、用地売却その他でできるだけ処理をし、残った十六兆七千億円を最終的に国の責任、国民の負担という形にしようとしている。その前提となる処理の中で一番大きいのは土地の売却で、約五兆八千億円を見込んでいるが、これはどういう根拠で、どういう資料に基づいて出したものか明らかにされたい。もしこれらの土地が二倍、三倍に売れるとすれば、国民の負担すべき額は直ちに減少することになるのではないか」との趣旨の質疑がありました。
これに対し、政府から、「資料については、国鉄再建監理委員会から説明を受けた売却可能用地の試算表を提出する。国鉄の長期債務等の処理に伴う用地売却については、国民負担を極力圧縮すべく、今後第三者機関を設けるなど、適切な措置を講じ、国民の理解と協力が得られるよう対処する」旨の答弁がありました。
以上申し述べましたほか、衆議院議員定数配分規定の是正と解散権、靖国神社への公式参拝などの政治問題、米ソ首脳会談、日ソ外相会談と北方領土、フィリピン情勢、東京サミットへの取り組みなどの外交問題、SDI、いわゆる戦略防衛構想への研究参加、シーレーン防衛と個別的自衛権との関係、OTH、超地平線レーダーの導入などの防衛問題、貿易摩擦の解消、円高差益の還元、公定歩合の再引き下げ、民間活力の活用、国庫補助率の見直しなどの経済、財政問題、学校教育のあり方、いじめ、体罰の一掃などの教育問題、国立病院、療養所の統廃合、老人保健制度の改正、労働時間短縮と週休二日制推進などの厚生、労働問題、今後の農政のあり方、林業の振興、日ソ漁業交渉などの農林水産問題、国鉄の余剰人員対策、造船不況対策、東京湾横断道路の建設、明石大橋の架橋などの運輸、建設問題等、国政の各般にわたって熱心な質疑応答が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
最後に、予算修正問題について申し上げます。
二月二十日、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、社会民主連合から、所得税、住民税減税の実施、景気対策、社会資本整備の拡充など十三項目を内容とする昭和六十一年度予算修正共同要求が提示され、また、同月十七日、日本共産党・革新共同からも別途、予算組み替え要求が提示されました。
その後、本問題について与野党間で種々協議が行われたのでありますが、三月四日、自由民主党・新自由国民連合から、所得減税については、六十一年中に成案を得る。住宅、教育、パート等政策減税については、今国会中に結論を得る。内需拡大等については、一層適切な経済運営等に努めるなど六項目について、回答が行われました。
かくて、本日、質疑終了後、日本共産党・革新共同から、昭和六十一年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、正森成二君から趣旨の説明が行われました。
次いで、予算三案及び動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党・新自由国民連合を代表して原田昇左右君から、政府原案に賛成、動議に反対、日本社会党・護憲共同を代表して佐藤観樹君、公明党・国民会議を代表して二見伸明君、民社党・国民連合を代表して吉田之久君から、それぞれ政府原案及び動議に反対、日本共産党・革新共同を代表して瀬崎博義君から、同党提出の動議に賛成、政府原案に反対の意見が、それぞれ述べられました。
討論終局後、引き続き採決いたしました結果、日本共産党・革新共同提出の動議は否決され、昭和六十一年度予算三案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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