木内良明の発言 (本会議)
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○木内良明君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和六十一年度予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。
昭和六十一年度予算は、我が国が抱える諸問題を解決するために大きな役割を担っております。懸念されている景気後退を食いとめるとともに、対外経済摩擦を緩和するために内需の拡大は最優先課題であり、このことは、財政再建を推し進める上でも、円高によって影響をこうむる中小企業の経営を守るためにも、欠くことのできない条件であります。また、六十一年度予算は、内需拡大とあわせ、国民生活の防衛、さらには高齢化社会への対応という面からも、大きな役割を果たさなければならないのであります。ところが、政府予算案は、ここ数年の予算編成と同様に財政の帳じり合わせを先行させ、我が国が抱えるこれらの課題に真正面からこたえる内容とはなっていません。
この一カ月余にわたる予算審議において、我々は、さまざまな角度から政府予算案の矛盾をただしてまいりました。その結果、我が党は、日本社会党、民社党、社会民主連合と共同で予算修正要求を政府・自民党に提出したのであります。遺憾ながら政府・自民党は、重点項目に絞った四野党の共同修正要求に謙虚に耳を傾けようとしなかったのであります。このような政府・自民党の態度は、少数意見の尊重という議会制民主政治のルールを踏みにじるものであり、国民の声に背を向けるものと言わざるを得ません。
私は、政府・自民党に猛省を促すとともに、共産党を除く与野党の幹事長・書記長会談の合意事項を、政府・自民党が誠意を持って実行するよう強く要求するものであります。(拍手)
以下、政府予算案に反対する主な理由を申し述べます。
反対する理由の第一は、政府予算案が、我が国経済の最大の課題である内需拡大に積極的な取り組みをしていないことであります。
政府は、六十一年度経済見通しにおいて、実質経済成長率を四・〇%と予測し、そのうち内需の寄与度を四・一%と見込んでいるのでありますが、政府予算案には、この目標を達成するための政策的裏づけは、全くと言っていいほど見当たりません。すなわち、個人消費の伸び悩みが内需拡大の障害になっているにもかかわらず、昨年度に引き続き所得税減税が見送られ、また、一般会計の公共事業費は、災害復旧費を含め二・三%のマイナスとなっているのであります。このままでは、実績見込みで内需寄与度が大幅に下方修正された六十年度と同じ轍を踏むことさえ懸念され、内需拡大は、かけ声だけに終わるおそれが極めて強いと言わざるを得ません。共産党を除く野党四党が、二兆三千億円の所得税、住民税減税の実施、住宅減税の拡大、六千億円の公共事業費の追加等の予算修正をと迫ったのも、内需拡大を是が非でも実現しなければならないと、そう考えたからにほかならないのであります。
私は、我が国経済の最大の課題である内需拡大に真正面からこたえようとしていない政府予算案を、到底認めることはできないのであります。(拍手)
反対する第二の理由は、政府予算案は、政府が掲げる六十五年度赤字国債脱却という目標を事実上破棄し、財政再建を大きく後退させていることであります。
六十五年度に赤字国債の発行から脱却するためには、六十一年度の赤字国債発行額は、六十年度より少なくとも一兆円程度の減額が必要であります。ところが、政府予算案においては、その減額額はわずかに四千八百四十億円にとどまっています。この結果、六十五年度赤字国債脱却は、どう見ても不可能になったと言わざるを得ないのであります。しかも、本来的な行財政改革を棚上げしたまま、一般歳出を抑制するために、地方自治体向け補助金の一律削減や後年度へ巨額な負担の繰り延べを行うなど、財政再建と逆行する中身となっております。また、政府は、「増税なき財政再建」を堅持すると言いながら、六十一年度においても、たばこ消費税の引き上げを予定しているのであります。「増税なき財政再建」の公約をますます後退させている政府の態度は、見逃しにできないのであります。
私は、この際、政府があくまでも六十五年度赤字国債脱却を目指すというのであれば、その手順と方法を明らかにする、国民の納得いく財政再建計画を示すよう要求するとともに、政府が画策している大型間接税の導入を断念するよう強く求めるものであります。
反対する第三の理由は、政府予算案が、所得税減税の見送りや福祉の後退、公共料金の値上げ等によって、国民生活に著しい負担を押しつけようとしていることであります。
所得税減税は、国民生活の防衛という面から見ても極めて重要であります。累進構造を持つ我が国の所得税制のもとにあっては、六十一年度に所得税減税が見送られることになれば、年収四百万円、夫婦子供二人の典型的なサラリーマン世帯の場合、五%のベアがあると、所得税は十一万五千円から十三万一千二百円と一三・三%上昇し、これに住民税、社会保険料が加わると、年収に占める手取り額の比率は八七・七%から八六・九%に下がるという矛盾が生ずるのであり、少なくともこのような実質増税は避けなければならないのであります。この意味で、私は、さきの与野党合意に基づいて、六十一年中の所得税減税の実施を改めて要求するものであります。
社会保障関係費では、特に老人保健法における医療費の自己負担分の大幅引き上げは、到底認めることはできません。外来一カ月四百円を千円に、入院については、二カ月を限度に一日三百円を入院中一日五百円にという大幅引き上げは、お年寄りの負担能力をはるかに超えるものであり、差額ベッド、付添看護料などの保険外負担の重圧等を考慮すると、真に必要な受療をも抑制するおそれがあり、お年寄りの生活と健康に重大な影響を及ぼすものであると言わざるを得ないのであります。また、国鉄運賃、国立大学授業料等公共料金の値上げは、国民生活に大きな負担を押しつけるものであります。
反対する第四の理由は、政府予算案が、地方財政に国の負担を転嫁しようとしていることであります。
行政施策全般の見直しや、国と地方の事務負担及び費用分担のあり方等を検討することなく、六十一年度においても一兆一千七百億円もの補助金の削減を強行しようとするのは、臨調の答申にも反するものであります。結局、補助金の削減措置は、国の負担を地方自治体に転嫁する以外の何物でもないのであります。確かに一応、財政金融上の措置は講じられているものの、主に建設地方債の増発とその元利償還に対する交付税上の措置によるものであり、地方自治体の公債費負担率を高め、地方財政を窮地に陥れるものであります。国と地方自治体との行政権限の再配分や財源の再配分などに取り組まず、財政の帳じり合わせのために地方自治体に負担をしわ寄せするようなやり方については、断じて認めるわけにはまいりません。(拍手)
最後に、他の一般歳出が厳しく抑制されているにもかかわらず、防衛費の伸び率を異常に突出させていることであります。
政府予算案の防衛費の伸び率は、六・五八%も異常突出させておりますが、これに六十年度と同じように給与改善費一%アップ分を加えると七・〇四%にもなり、政府公約の防衛費GNP比一%枠とのすき間はほとんどなくなるのであります。防衛費のGNP比一%枠は、国民世論の確固たる支持を背景に、今や日本の平和政策として定着をしているのであります。私は、六十一年度の防衛費は、人事院勧告の完全実施による人件費の増額を含めてもGNP比一%枠以内に確実にとどまるよう、経費節減等の措置を講ずるよう強く要求するものであります。
以上、昭和六十一年度予算三案に反対する主な理由を申し述べましたが、当面する厳しい経済状況を克服するために、適切な財政経済運営を行うよう強く要望をし、討論を終わるものであります。(拍手)