渡辺美智雄の発言 (エネルギー対策特別委員会)

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○国務大臣(渡辺美智雄君) 第百四回国会における参議院エネルギー対策特別委員会の御審議に先立ちまして、エネルギー政策に関する私の所信の一端を申し上げます。
 最近のエネルギー情勢を見ますと、国際石油需給は、近年の石油需要の低迷に加え、最近のOPEC及び非OPEC諸国の増産圧力により緩和状況にあり、石油価格についても、スポット物を中心に値下がりを見ております。
 現在の石油情勢がどのように落ちつくかについては、なお情勢の推移を見守る必要がありますが、エネルギー政策の推進に当たっては、我が国が国内エネルギー資源に乏しく、また、石油輸入のホルムズ依存度の高さに示されるように、先進国の中でも極めて脆弱なエネルギー供給構造を有していることを改めて認識する必要があります。
 また、中東情勢は依然として流動的であり、国際石油需給も中長期的には逼迫化の方向にあるとの見方が一般的であることにも留意する必要があります。
 こうした状況のもとにおきまして、我が国の国民生活、経済活動の存立基盤であるエネルギーの安定供給を図り、また、エネルギー大消費国としての我が国の国際的な責務を果たすためにも、エネルギー政策の一層の充実が要請されるところであります。
 私は、このような認識のもとに、安定供給の確保を基本として、経済性の一層の向上にも配慮しつつ、以下の施策を積極的に推進していく考えであります。
 まず第一に、石油の安定供給基盤を整備することであります。
 我が国は、石油危機を契機に、多様なエネルギー源の開発、導入に努めてまいりましたが、石油は依然として一次エネルギー供給の大宗を占め、今後とも、国民生活、産業経済を支える主要なエネルギー供給源であることに変わりはありません。このような見地から、依然、不安定な国際エネルギー情勢に対処するため、国家備蓄の積み増し、備蓄基地計画の推進、民間備蓄の円滑な維持等、石油備蓄政策を着実に推進いたします。また、中長期的観点から石油の安定供給を図るため、内外における石油の自主開発を引き続き推進してまいります。
 特に、石油の安定供給を支える石油産業においては、現在、需要の低迷等により設備の過剰が顕在化しており、さらに、本年一月からガソリン等の輸入が開始されたことに見られるように、国際化への積極的な対応が求められております。このため、石油精製業について、過剰設備の処理の円滑化及び体質強化のための新技術の開発の促進など、必要な支援を行ってまいります。これらに加え、引き続き揮発油販売業の近代化の推進、LPGの安定供給の確保等のための所要の施策を実施してまいります。
 第二に、石油代替エネルギーの開発導入の促進であります。
 我が国の脆弱なエネルギー供給構造を改善する上で、石油代替エネルギーの開発導入を図ることは重要な課題であります。石油代替エネルギーにつきましては、その開発導入に長期間を要することにかんがみ、現下の流動的な石油情勢に左右されることなく、中長期的な視点に立って、計画的かつ着実に施策の推進を図っていくことが必要であります。
 まず、原子力発電につきましては、今後、電源多様化の中核を担うと期待されておりますので、安全性の確保に万全を期しますとともに、信頼性、経済性の一層の向上を目指してまいります。また、原子力発電の安定的発展を推進する上で必要不可欠な核燃料サイクルの事業化を推進するため、立地の円滑化、技術開発等の総合的施策を実施してまいります。この他、石炭火力発電の一層の効率化、貴重な国産エネルギーである水力、地熱の発電利用の促進にも力を注いでまいります。さらに、電源立地につきましては、引き続き電源地域の産業振興に重点を置きつつ、その推進を図っていく考えであります。
 以上に加え、石油代替エネルギーについては、石炭液化・ガス化、石炭からの水素の製造、太陽光発電等の新エネルギーを中心とする技術の開発を促進するとともに、導入面においても、引き続き地方都市ガス事業の原料の天然ガス化、コールセンター建設等を推進することとし、資金面、技術面の支援措置を講じてまいります。
 石炭鉱業につきましては、現在、石炭鉱業審議会におきまして、今後の中長期的な石炭政策のあり方について検討が行われております。これを踏
まえ、内外炭価格差の拡大等の新たな情勢に応じた石炭政策を樹立し、今後その一層の合理化を図ってまいりたいと考えます。
 第三は、省エネルギーの推進であります。
 我が国の省エネルギーは、官民挙げての創意工夫によりこれまで多大な成果を上げてきました。省エネルギーは、エネルギー制約の緩和のみならず、経済活動の活性化にも資するものであります。また、我が国独自の努力により、今後とも着実な成果を期待し得る分野であります。今後、世界経済の成長に伴ってエネルギー需要も着実な増加が見込まれることをも踏まえ、我が国としても引き続きその推進を図ってまいります。
 以上、今後のエネルギー行政を展開するに当たって、私の所信の一端を申し上げました。今後とも、引き続きエネルギーの安定供給を確保するため、中長期的な観点に立脚して、総合的なエネルギー政策の推進に全力を尽くす考えてあります。
 委員各位におかれましても、一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

発言情報

speech_id: 110413809X00219860325_008

発言者: 渡辺美智雄

speaker_id: 9286

日付: 1986-03-25

院: 参議院

会議名: エネルギー対策特別委員会