北口博の発言 (内閣委員会在外公館に関する小委員会)
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○北口小委員長 これにて懇談を閉じます。
この際、小委員間の協議により一言申し上げます。
御承知のとおり、本小委員会は、第百回国会以降設置され、在外公館にかかわる諸問題について調査を行い、必要に応じて小委員長所見を述べておるところであります。
また、最近におきましては、本年三月ないし四月の内閣委員会において、在外公館の名称位置給与法改正案が審査された際、外交実施体制の強化等について質疑が行われ、附帯決議が付されました。
さらに、本年八月下旬から九月初旬にかけて、内閣委員で構成された調査議員団が、欧州等各国における在外公館の実情等を調査されました。
以上のような経緯にかんがみ、本小委員会は、本日、最近における在外公館にかかわる主要な問題について外務省から説明を聴取した後、協議懇談を行ったのでありますが、その結果、本小委員会といたしましては、昨年に引き続き、在外公館の整備等について小委員長の所見を述べるべきであるとの結論に達しましたので、この際、私から所見を申し上げます。
今や戦後四十年余を経まして、経済面は言うに及ばず、政治、社会、文化面等多面にわたり先進国、途上国の我が国に対する期待は著しく増大しております。しかしながら、我が国の外交実施体制は残念ながら主要先進国に対して大きく立ちおくれているのが現状であり、早急に我が国の国際社会における地位にふさわしい外交実施体制を整備強化する必要があると考えるのであります。
そこで、第一は、在外公館施設の整備拡充であります。
在外公館施設は、我が国外交の第一線拠点として十分に整備された状態にあることが必要であり、また同時に、任国において我が国を代表する機能を備えている必要がありますが、現在の在外公館施設の中には、老朽化や狭隘化したものもあり、また修繕も不充分で、機能面及び対面上問題があるばかりでなく、在外職員の士気にも影響を及ぼしかねない施設もあります。
現下の財政事情の中で短期間にすべての在外施設の整備充実を図ることは困難と思われますが、引き続き必要な措置をとっていくことが必要だと思われます。
第二は,在外職員の不健康地対策の強化であります。
我が国の百七十に及ぶ在外公館のうち半数以上の九十八公館がいわゆる不健康地にあり、そこに在勤する在外職員は、全在外職員二千三百三十五名のうち一千二百名余りを占めております。
自然、衛生、治安等の面で厳しい環境下にある在外職員が、少しでも安んじて外交活動に専念できるよう各種対策を一層充実していくことが、我が国外交実施体制の強化の上でも必要であり、引き続き各種対策の充実が必要と考えます。
第三は、在外職員の定員の増員であります。
我が国外務省の定員は米国の四分の一、英国、フランスの二分の一程度であり、西独、イタリアをも下回っております。本省、在外ともに、定員の増強については引き続き努力する必要があると考えます。
第四は、海外子女教育問題であります。
在外邦人子女数が激増する中で、在外邦人が子女教育問題に煩わされることなく本来の任務に専念し得るよう、日本人学校の増設、教員の確保、校舎等の施設設備の改善、子女教育手当の充実等、海外子女教育の拡充を引き続き強力に進める必要があると思います。
第五は、在外公館の警備対策であります。
警備対策の強化につきましては、世界的にテロの多発化、犯罪の増加傾向が続く中で、我が国在外公館に対する脅迫事件や公館侵入事件などの事件も既に九十九件と、ほぼ昨年の倍近い事件が発生しているという憂慮すべき状態にあると言われています。在外公館及び職員の安全は我が国の外交を推進していく上での大前提とも言うべきものであり、このため、警備対策を引き続き強力に推し進めていくことが急務であると考えます。
第六は、緊急時の邦人保護であります。
緊急時の邦人保護対策の強化につきましては、先般の南イエメンのクーデターやフィリピンの政変の例にも見られましたように、外国における緊急事態の発生に際しては、在外公館の邦人保護に対する国民の期待には極めて大きなものがあります。このような国民の期待にこたえるためにも、緊急時の邦人保護対策に遺漏なきを期す必要があると考えます。
第七は、在外公館の事務処理体制と通信体制の強化であります。
在外公館は、情報を収集、分析、報告し、訓令を執行する上で、最大限の能率・迅速性を備えているべきであります。
本省と在外公館とを結ぶ通信網は外交活動を支える中枢神経の役割を果たすものであり、常に強化、近代化を図る必要があります。六十二年度においては、高度データ通信システムをさらに拡充する等、一連の通信近代化計画をさらに推進することが必要と考えます。
また、秘密保全は情報収集機能の維持強化及び外交活動の安全、円滑なる実施にとり不可欠の柱でありますので、最近の技術進歩に対応した保秘対策強化のための諸設備の配備等を強力に実施していくことが重要であると考えます。
以上の諸点は、いずれも、内閣委員会または本小委員会において従来から取り上げられてきた問題であり、内閣委員会で審査した在外公館関係の法律案に毎回付されている附帯決議の趣旨と同様のものであります。
政府は厳しい財政情況のもとにおいて、ただいま申し上げた諸点についてはできる限りの配慮をされてはおりますが、まだ、問題が多く残されております。
もちろん、外務省においても限られた予算の中で経費の効率的な使用に最大限の努力を払うべきであることは、申し上げるまでもありません。
しかし、我が国の国際社会における地位の重大性にかんがみ、昭和六十二年度外務省予算においても、以上に述べました外交実施体制の強化に係る諸問題については特段の配慮が払われてしかるべきものと考えております。
以上であります。
この際、児玉健次君から発言の申し出がありますので、これを許します。児玉健次君。