斎藤十朗の発言 (本会議)

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○国務大臣(斎藤十朗君) 沼川議員にお答えいたします。
 まず、一部負担の引き上げについてのお尋ねでありますが、人口の高齢化が急速に進む中で、老人医療費の増加は避けられない状況にあります。この老人医療費をどのように適正なものとし、国民全体がいかに公平に負担していくかが緊急の課題であると考えております。現在、四兆円を超える老人医療費のうちお年寄りの一部負担は一・六%であり、残りの大部分は若い世代の負担に負っている実情にあります。このため、増加の避けられない老人医療費をお年寄りも若い世代も公平に負担するという観点から、今回の改正をお願いしているものであります。今回の改正では、お年寄りが払いやすい定額制を維持し、外来については月の初めに一回だけ支払えばよいという現在の仕組みは変えないこととしており、また、年金や高齢者世帯の所得の実態から見て無理なく負担していただけるものと考え、また、必要な受診を抑制するものではないと考えております。ぜひ御理解のほどお願いを申し上げたいと思います。
 入院時一部負担との関連で御指摘の在宅対策の充実でございますが、本格的な高齢化社会の到来を控え、可能な限り、家庭を中心とした日常生活の場で必要な医療や看護、介護が行われるよう訪問看護、ホームヘルプサービス等在宅サービスの充実を図ってまいる考えでございます。また、保険外負担の問題につきましても、従来からその負担を適正な範囲のものとする等指導、是正に努めており、今後ともその徹底を図ってまいります。
 次に、加入者按分率についてのお尋ねでございますが、今回の加入者按分率の引き上げは、保険者間の老人加入率の格差を是正し、どの保険者も同じ割合で老人を抱えるようにすることにより老人医療費の負担の公平を図るものであります。これは国庫負担の削減を目的とするものではなく、長寿社会にふさわしい公平な負担のシステムを確立するための改正であり、ぜひとも御理解をいただきたいと考えております。
 次に、加入者按分率に関連しての国保の問題についてお答えいたします。
 まず、退職者医療の影響につきましては、先ほど中沢議員にお答えしたとおり、今後とも市町村国保の安定的な運営が行われるよう配慮してまいる所存であります。国保の国庫補助については、事業主負担がないことや低所得者が多いことなどを勘案して、他制度に比べ高率の補助となっており、また、現下の厳しい国家財政から見ても補助率の引き上げは困難でございます。
 次に、老人保健法施行後の諸事情の変化についてのお尋ねでございます。
 まず、老人の加入が国保に集中し、医療保険の間の老人加入率の格差がさらに拡大してきております。このため、老人保健制度を支える医療保険制度の財政状況は大きく変化してきております。また、先般、健康保険法の改革が行われ、給付と負担の公平化を目指す医療保険制度の一元化が方向づけられ、老人保健制度もその方向に沿って見直しをする必要が生じております。このような状況の変化を踏まえ、老人加入率の違いによる負担の不均衡を是正し、老人医療費を公平に負担するという制度の基本理念の徹底を図る観点から、加入者按分率を引き上げることといたしたものでございます。
 次に、老人保健施設についてのお尋ねであります。
 その整備につきましては、昭和七十五年を目途に二十六万ないし三十万床程度の整備を計画的に進めていく考えであります。このため、法改正後モデル事業を実施することとしており、また、昭和六十二年度予算概算要求においては、本格実施のため百カ所の施設整備のための補助金と低利融資制度の創設を要求しているところでございます。また、その医療費への影響でありますが、在宅対策等の推進とあわせて老人保健施設を計画的に整備した場合には、老人医療費の伸び率は、現在のまま推移する場合に比べ約二ポイント程度低下するものと見込んでおります。
 また、老人保健施設は医療費と措置費の削減策ではないかとの御批判でありますが、この施設は寝たきり老人等の医療と生活の両面のニードに積極的に対応するため、今回の老人保健法の改正案に盛り込んだものであり、単なる財政対策として御提案申し上げたものではございません。
 また、特別養護老人ホームにつきましては、ここ数年間毎年度八千人程度のペースで整備を進めてきているところであり、今後とも着実にその整備を推進し、待機者の段階的解消に努めてまいる所存であります。
 老人保健施設は、生活サービスとともに医療サービスを提供するものであり、医療計画上、地域の病床数を算定する際は、その入所定員数を一定の割合をもって一般の病床数として扱うこととしているものであります。老人保健施設の創設により、老人に対する医療の提供は、入院治療の必要な方は病院で、入院治療の必要はないが在宅療養の困難な方は老人保健施設で対応することとなるわけであります。このため、これまで入院していた方もその状況により老人保健施設への入所が適切な方であれば老人保健施設へ移られることが予想されるなど、それぞれの状態に適合したサービスが提供されることになると考えており、必要な医療の量的削減や医療の質の低下をもたらすものではないと考えております。
 痴呆性老人につきましては、精神病院において専門的な医療等が必要な方を除きまして、老人保健施設においても対象者として考えられると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕

発言情報

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発言者: 斎藤十朗

speaker_id: 20119

日付: 1986-10-17

院: 衆議院

会議名: 本会議