中曽根康弘の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 川崎議員の御質問にお答えをいたします。
 まず円高の問題でございますが、昨年九月のG5以降ドル高是正が進展をいたしまして、これが一面においては米国内の保護主義の動きを鎮静させる役割を果たしております。が、一面におきましては、為替相場の動きが余りにもちょっと急激でありました。そういう意味におきまして、いわゆる円高不況あるいは景気の停滞感というものが輸出産業を中心に出てきていることは事実でございまして、政府は、それらの情勢にかんがみまして総合経済対策を策定し、その着実な実施を行わんとして今回の補正予算を提出しておるところでございます。
 為替相場の変動自体は、自由経済下におきまして、自律的な変動というものを我々は適当なものであり、それが長期的安定に資すると考えておりますが、しかし、余りいわゆる乱高下というようなことが行われるという場合にはやはり適当な調整措置を講ずる必要がある。そういう意味においていわゆるマネージド・フロートシステムと申しますか、管理変動相場制というものが適当であり、今後もそういう考えに立って進めていく考え方でおります。
 次に、景気の停滞の問題でございますが、我が国の景気を見ますと消費、個人消費あるいは住宅あるいは非製造業投資、この点はまだかなり底がたいものがありまして、景気を支えている大きな力になっておりますが、やはり急激な円高による輸出関係等から景気停滞感が広がっていることも事実でございます。現在においては内需と外需、製造業と非製造業の間に景気の二面性がかなり強く出てきております。そこで、「昭和六十一年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」、九月十九日の総合経済対策の決定にのっとりまして、調和ある対外経済関係の形成に一面努めると同時に、内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、雇用の安定を確保することが肝要であると思ってこの政策を推進しているところでございます。この対策を実効あらしむるためにも補正予算の早期成立を期するとともに、その対策を着実に前進せしめていきたいと考えておるところでございます。
 次に、四%成長の問題でございますが、六十一年度の成長率の見通しにつきましては、まだ第一・四半期の実績が出たのみでありまして、現段階で確たることを申し上げることは困難でございます。いずれにせよ、「六十一年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」の考え方にのっとりまして、今後とも内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、また、いわゆる円高差益の還元を徹底いたしまして、そして景気に対する好条件を整えてまいりたいと考えておるわけでございます。そのためにも補正予算の早期成立を期するとともに、今回御提案申し上げている法律案等につきましても、できるだけ早期の成立を希望してやまないところでございます。
 六十五年度特例公債依存体質脱却の問題でございますが、この努力目標の達成は容易ならざる課題ではありますが、ぜひともこれはなし遂げなければならないと考えております。予算編成あるいは国有財産の売却あるいは機動的な金融政策、弾力的運営、こういうような諸般の政策を総合させまして実現してまいりたいと考えております。
 構造不況と失業に対する対策でございますが、石炭、鉄鋼、非鉄金属等を初めといたしました我が国産業の業況、一部のこれらの産業については厳しい状況にありまして、雇用面への影響も我々は看過できないところであります。こういう情勢にかんがみまして今回の政策を決定いたしまして、できる限り四%成長に近づけるべく内需を中心にして努力をしておるところでございます。
 次に、経済の空洞化の問題でございますが、我が国の高い経済力の蓄積を生かしまして、海外直接投資等を通じて国際分業体制の構築を図ることは、国際的に調和のとれた経済構造の実現、世界経済の活性化と拡大均衡に貢献するものと一面考えております。しかしまた、一面におきましては、内需主導型の経済成長を国内的に図りまして、技術開発、情報化の推進等を通じて産業の発展基盤を保持すると同時に、新しい産業分野を開拓して雇用機会を創出する、中小企業に対してもこれを徹底して図っていく、そのことが大事であると考えまして、これらにつきましても、いわゆる空洞化現象というものがどういうような日本経済に対する影響を及ぼすか等も十分検討の上、ただいま申し上げましたような政策を強化してまいるつもりでおります。
 減税の問題につきましては、いわゆる所得減税、政策減税の問題については、去る十月十六日の与野党国対委員長会談における合意を踏まえ、与野党の実務者会談の協議を見守っておるところでございます。
 いわゆる新型間接税と公約の問題でございますが、税制調査会は、選挙中の私の発言等を十分念頭に置きつつ、幅広い観点から議論を行い、その報告を取りまとめてきていると思います。どのような形の新しい間接税を選択するかという問題については、私の公約を守り、今後与党ともよく相談をし、世論の動向も見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
 税制改革の手順につきましては、答申におきましては、現行税制のゆがみ、ひずみ、重圧感を除去して、国民の理解と信頼に裏づけられた税制の確立を行うという見地からその基本的方向を示したものでありますが、具体的内容については、「国民世論の方向を見極めるべき点もあるところから、ある程度選択の幅をもった形でとりまとめること」と税調の答申でもしておるところであります。政府といたしましても、このような答申の趣旨を踏まえ、国民の選択の方向を十分に酌み取りつつ改革案をまとめて、六十二年度税制改正において国会の御審議を得るように努力してまいりたいと考えております。
 アジア・太平洋地域の協力の問題でありますが、大幅な貿易黒字問題への対処は目下の重要な我々の課題であると思っております。そのためにも、市場アクセスの改善、内需の拡大、経済構造調整等に積極的に取り組んでおるところであります。また、開発途上国の経済社会開発への支援を通じ南北問題の解決に資することは、自由世界第二位の経済力を有する我が国の国際的責務であると考えておりまして、特に我々もその一員であるアジア・太平洋地域につきましては、重点地域といたしておりまして、その経済社会開発のために、我が国二国間政府開発援助の約七割をこの地帯に投入しておるわけです。さらに、貿易、投資及び技術移転の分野においても、各国のニーズを踏まえまして、今後とも適切な協力を行ってまいりたいと思います。
 訪中につきましては、中国の近代化は、中国のみならずアジア、ひいては世界の発展にとっても重要なものであると考えております。かかる認識のもとに、従来より経済、技術面での協力を行ってきておりますが、今後とも可能な限りこのような協力を行ってまいりたいと考えております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕

発言情報

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発言者: 中曽根康弘

speaker_id: 15356

日付: 1986-10-31

院: 衆議院

会議名: 本会議