林ゆうの発言 (法務委員会)

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○林ゆう君 去る九月一日から三日までの三日間、太田委員長、猪熊理事、諫山理事、秋山委員、西川委員と私、林の六名は、検察及び裁判の運営に関する調査の一環として、最近における司法行政及び法務行政に関する実情等につき調査のため、北海道に行ってまいりました。
 派遣日程の第一日目は、札幌高等裁判所において、札幌高等裁判所、札幌高等検察庁、札幌地方裁判所、札幌家庭裁判所、札幌地方検察庁、札幌法務局、札幌矯正管区、札幌刑務所、札幌少年鑑別所、北海道地方更生保護委員会、札幌保護観察所及び札幌入国管理局の各機関から管内概況につき説明を聞き、懇談を行い、第二日目は、札幌刑務所の実情を視察し、第三日目は、函館地方裁判所において、函館地方裁判所、函館家庭裁判所、函館地方検察庁、函館地方法務局、函館少年刑務所、函館少年鑑別所、函館保護観察所等の各機関から管内概況につき説明を聞き、懇談を行った次第であります。
 今回の委員派遣におきましては、第一に、司法行政及び法務行政に関する管内概況、第二に、裁判所及び法務省関係の庁舎施設及び宿舎の営繕状況、第三に、委員会に対する要望事項及びその他参考になる事項を主要な調査項目といたしました。
 以下、その概要を御報告いたします。
 まず第一に、司法行政及び法務行政に関する管内概況についてであります。
 裁判所関係では、民事、行政事件について札幌、釧路地裁で増加を示しているところもありますが、全般的には減少ないし横ばいの状況にあります。また、管内地裁、簡裁を通じて、昭和五十九年、六十年と、破産事件、執行事件、督促事件が急増しております。これはサラ金、クレジット関係及びこれらに起因する自己破産等によるものであります。その他、管内簡易裁判所の統合問題を抱えていること、裁判官その他の職員は二年ないし三、四年のローテーションのもとに活発に仕事に励んでいること、また、経済不況のため競売の未済事件が増加していることなどの状況であります。
 次に、検察庁関係につきましては、札幌高等検察庁管内における受理、処理件数は各庁とも逐年増加しております。犯罪の動向としては、全般的には平穏に推移しているものの、依然として凶悪事件が後を絶たず、暴力団を初め、覚醒剤、少年、交通等にかかわる犯罪も増加の傾向にあり、楽観を許さない状況にあると言えます。
 次に、法務局関係でありますが、広い地域に小規模分散の機構となっており、その整理統合が問題となっております。北海道における登記事件数は、その開発と経済の発展成長に伴って増加してまいりました。ちなみに、昭和四十年と昭和六十年の登記事件数を比較しますと、甲号事件数で約一・六倍、乙号事件数で約四・二倍となっております。加えて、一般人の登記申請及び相談事件の増加、今後の国鉄のあり方の変化に伴う登記事件数の増加を考えますと、登記事務処理体制の充実は急務であります。
 また、人権擁護関係におきましては、いじめ問題はもちろん、北海道特有の問題であるウタリに対する差別解消のためにも積極的な努力がなされております。
 次に、矯正施設関係でありますが、矯正管区の定めた重点施策に基づいて、各刑務所ともにそれぞれ施設の運営方針を定め、刑務作業及び被収容者の教育等を行っております。
 札幌刑務所の被収容者には再入者が多く、しかも暴力団組員や覚醒剤、麻薬患者等が相当数占めており、これらの者の改善更正は困難をきわめ、このため刑務所職員の日々の勤務は多大な負担を強いられているのが現状であります。しかも、職員は世代交代期に当たり、平均年齢三十六歳でありますが、活発な意欲で経験の不足を補っておるとのことであります。なお、経済不況に当面して、刑務作業は困難な問題を抱えておりますが、鋭意克服に努力しています。
 次に、地方更正保護委員会及び保護観察所でありますが、最近の保護観察対象者には、犯罪、非行の罪質等が複雑、多様化しており、これらの処遇困難者に対しては、保護観察官の直接関与を強めるとともに、分類処遇や集団処遇の実施に力を注いでおります。
 また、保護観察官の仕事に対する民間側の協力体制としましては、保護司、更正保護会、更正保護婦人会、BBS会等の組織がありまして、保護対象者の更正援助、地域における非行、犯罪防止活動、更生保護会収容者に対する慰問、激励等に多大な御努力がなされております。
 第二に、裁判所及び法務省関係の庁舎施設及び宿舎の営繕状況について述べます。
 まず、庁舎施設でありますが、裁判所関係は全体として整備された状況になっておりますが、札幌管内の倶知安簡易裁判所、函館管内の森、八雲簡易裁判所は、昭和二十年代に建築されたれんがづくり建物であり、今後もこれらの裁判所が存置されるとするならば、改善の検討が必要かと思われます。
 検察庁の庁舎施設につきましても、おおむね整備されております。
 次に、法務局の庁舎施設でありますが、逐年整備されつつあるとはいえ、なお、北海道は積雪寒冷地のため建物の損耗度が高く、老朽化した庁舎や登記事件数等の増大に伴う事務量の増大と能率機器の導入により狭隘となっている庁舎があり、早急な解決が望まれています。特に、函館管内では、早急に新営で対処すべき庁として、寿都支局、森出張所が挙げられております。
 また、北海道地方更生保護委員会管内の更生保護官署の庁舎におきましても、事務室の狭隘、面接室の不足のところが認められ、早急な解決が望まれます。
 次に、宿舎の営繕状況でありますが、一般に宿舎事情は安定しているものの、法務局においては、交通事情が悪く、支局、出張所間の距離が離れているものが多く、宿舎の増設が望まれるところであります。
 第三は、本委員会に対する要望事項及びその他参考になる事項についてでありますが、裁判所、検察庁、矯正管区、地方更生保護委員会、入国管理局等からは特段の要望事項はありませんでした。
 ただ、札幌法務局及び函館地方法務局からは、人員、施設、宿舎等について要望が出されております。すなわち、一、登記事務量の増大に対処するため、また、職員の健康管理からも法務局職員の増員を図る。二、事務室の狭隘化、駐車場の不足、積雪等による利用者の不便を解消するため、庁舎施設の整備拡充を図る。三、遠隔地の職員のための宿舎確保を図る等であります。いずれも相当な要望であると思料いたします。
 さて、以上、今回の視察の概要を申し上げましたが、私ども親しく現地に臨み、関係部局の職員がそれぞれの持ち場におきまして、日夜多大な御苦労を重ねられ、特に矯正関係の職員の方々にあっては、一人当たり数十人に及ぶ受刑者を受け持って、人間的な信頼関係を基礎として矯正に努力されている姿に接し、いたく感銘した次第であります。なお一層の御健勝、御発展を願ってやみません。また、調査に当たり、現地の各関係機関等から終始懇切丁寧な御協力を賜りましたこと、並びに最高裁判所及び法務省から種々の御便宜をお取り計らいくだされたことを厚く感謝申し上げる次第でございます。
 以上御報告申し上げます。

発言情報

speech_id: 110715206X00119861023_011

発言者: 林ゆう

speaker_id: 28428

日付: 1986-10-23

院: 参議院

会議名: 法務委員会