三ツ林弥太郎の発言 (科学技術委員会)
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○三ツ林国務大臣 第百八回国会に当たり、科学技術庁長官といたしまして、所信を申し述べさせていただきます。
政府におきましては、昨年三月、当面の科学技術政策の基本を定めた科学技術政策大綱を閣議決定したところでありますが、今後は、その基本方針に沿って、我が国の科学技術の振興に積極的に努力してまいる所存であります。
すなわち、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心とする創造性豊かな科学技術の推進を政策の機軸とし、国際社会の発展のために積極的な貢献を行っていくなど国際性を重視した展開にも配慮しつつ、科学技術振興のための諸施策を一層強力に推進してまいります。
また、近年、人間及び社会と科学技術の関係がますます深まってきております。我々が安心して科学技術の成果を享受し、より豊かな未来を築いていけるよう、安全性の確保に万全の配慮を払うなど、常に人間及び社会のための科学技術という原点に立って、科学技術の振興に努めてまいる所存であります。
引き続き、昭和六十二年度における科学技術庁の主要な施策につき申し上げます。
第一は、科学技術行政の総合的展開であります。
このため、科学技術会議の方針に沿って運用される科学技術振興調整費の拡充を図ってまいります。特に、国際社会への貢献という観点をも踏まえたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムに関する調査を進めるとともに、国際研究交流の促進、受託研究への弾力的対応等を図ってまいります。
第二に、創造的・基礎的研究の充実強化とその国際的展開であります。
まず、二十一世紀の技術革新を目指した先端的基礎研究を、国際的に開かれた体制のもとで長期的に行う国際フロンティア研究の充実を図ってまいります。
また、創造科学技術推進制度につき、新たに三課題の研究に着手するなど、その拡充に努めてまいります。
第三は、研究開発のための基盤の整備であります。
まず、広範な分野の基礎研究に飛躍的な成果をもたらすことが期待される高性能の放射光施設の技術的諸問題等について調査研究を行います。
また、研究交流促進法を円滑に運用し、産学官等の研究交流を一層促進してまいります。
さらに、科学技術情報の効率的な流通を図るため、各種データベースの拡充、新オンライン提供システムの開発等を引き続き進めるとともに、国際科学技術情報ネットワークの構築、機械翻訳システムの整備等国際対応の強化を図ってまいります。
また、研究開発の推進に不可欠な遺伝子資源の収集、保存、提供体制を強化するため、ジーンバンク事業等を推進してまいります。
第四は、科学技術国際協力の推進であります。
国際化の進展に伴い、国際交流の重要性が一段と高まりつつある情勢にあって、国際協力プロジェクトに積極的に参加していくとともに、米国、西ドイツ、フランス等との二国間の科学技術協力を初めとする幅広い分野における欧米先進国との協力、ASEAN諸国等開発途上国との協力など、特に人材交流及び共同研究に重点を置いて国際協力の推進を図ってまいります。
第五は、原子力研究開発利用及び安全対策の推進であります。
原子力の研究開発利用につきましては、安全確保を大前提として、引き続き積極的に取り組んでまいります。
まず、原子力安全対策につきましては、昨年四月に発生したソ連チュルノブイル原子力発電所の事故をも踏まえ、原子力安全規制行政及び環境放射能調査体制の充実を図るとともに、安全研究等の推進を図り、安全確保に万全を期す方針であります。
次に、原子力発電の円滑な推進を図るためには、自主的な核燃料サイクルの確立が不可欠であり、ウラン濃縮、使用済み燃料の再処理、放射性廃棄物の処理処分等について所要の技術開発等を強力に進めるとともに、民間における核燃料サイクル施設建設計画の推進に必要な措置を講じ、円滑な事業化を促進することといたしております。
また、核燃料の有効利用を図るため、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉計画の推進等新型動力炉の開発を積極的に進めてまいります。
人類の究極のエネルギー源と言われる核融合につきましては、昭和六十二年末の臨界プラズマ条件達成を目指して、臨界プラズマ試験装置JT60による実験を継続することとし、原子力船につきましても、引き続き研究開発を進めることといたしております。
さらに、新たな技術革新を生み出し得る先端的・基盤的原子力研究の推進を図るため、高温工学試験研究炉の設計研究、放射線の高度利用研究などを進めてまいります。
また、電源三法の活用による原子力施設立地地域住民の福祉の向上及び地域振興のための施策等を講ずるなどにより、国民の理解と協力を得つつ、原子力の研究開発利用の推進を図ってまいります。
第六は、宇宙開発の推進であります。
宇宙開発につきましては、宇宙開発政策大綱に示された方針に沿って、自主技術開発を基調としつつ、国際的活動との調和を図りながら積極的に推進していく所存であります。
まず、日本、米国、欧州、カナダで共同して進めている宇宙ステーション計画に本格的に参加することとし、我が国の実験モジュールの開発に着手します。
また、通信、放送、観測及び共通技術の各分野の人工衛星の開発等を引き続き行うほか、新たに、技術試験衛星Ⅵ型の開発に着手するとともに、海洋観測衛星1号bの研究を行います。
さらに、一九九〇年代における大型人工衛星の打ち上げ需要に対処するため、二トン級の静止衛星打ち上げ能力を有するHⅠロケットの開発を引き続き推進いたします。
第七は、海洋開発の推進であります。
海洋国家日本としては、海洋科学技術に関する研究開発を積極的に推進していく必要があります。
このため、海底鉱物資源や地震予知の研究等に不可欠な六千メートル級潜水調査船の建造を引き続き進めるとともに、その支援母船の建造に着手いたします。また、海中作業実験船「かいよう」を用いた潜水作業技術の研究開発など、総合的な海洋科学技術プロジェクトを積極的に推進いたします。
第八は、ライフサイエンスの振興であります。
広範な分野において人類福祉に貢献するライフサイエンスの関連施策について、人間系科学技術を中心に、がん関連研究、老化研究などを強力に推進いたします。
第九は、物質・材料系科学技術の研究開発の推進であります。
さまざまな技術開発を進める上で基盤的な重要技術として期待されている物質・材料系科学技術について、超電導材料などの高性能機能材料の研究を初めとする先端的な研究開発を推進してまいります。
第十は、地球科学技術の推進であります。
地球観測技術の研究開発等を進めるとともに、さまざまな自然災害の防止、軽減を目的として、地震予知、震災対策、火山噴火予知、雪害対策等の研究を中心に、防災科学技術の推進を図ってまいります。
最後は、各般の重要な総合研究等の推進であります。
航空技術の研究開発につきましては、ファンジェットSTOL実験機「飛鳥」の飛行実験を引き続き進めるとともに、革新航空宇宙輸送要素技術の研究開発に着手いたします。
さらに、レーザー科学技術研究等の基礎的研究の推進を図るほか、資源の総合的利用のための方策等を進めてまいります。
以上、昭和六十二年度における科学技術庁の施策に関し、その概要を申し述べましたが、これらの諸施策を実施するために、昭和六十二年度予算といたしまして、一般会計三千三百三十七億円、産業投資特別会計四十三億円、電源開発促進対策特別会計九百四十六億円を計上いたしました。
私は、二十一世紀に向かって平和で豊かな社会を築いていくためには、英知を結集して科学技術の振興を図っていくことが不可欠であると痛感いたしており、我が国の科学技術のより一層の発展のために、誠心誠意努力してまいる所存でありますので、委員各位の一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手)