科学技術委員会

1987-05-14 衆議院 全253発言

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会議録情報#0
本国会召集日(昭和六十一年十二月二十九日)(
月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
  委員長 原田昇左右君
  理事 小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 平沼 赳夫君 理事 牧野 隆守君
   理事 粟山  明君 理事 小澤 克介君
   理事 矢追 秀彦君 理事 小渕 正義君
      有馬 元治君    菊池福治郎君
      櫻内 義雄君    竹内 黎一君
      中山 太郎君    羽田  孜君
      村井  仁君    森山 欽司君
      若林 正俊君    木間  章君
      村山 喜一君    安井 吉典君
      貝沼 次郎君    冬柴 鉄三君
      山原健二郎君    佐藤 孝行君
―――――――――――――――――――――
昭和六十二年五月十四日(木曜日)
    午前九時三十分開議
出席委員
  委員長 原田昇左右君
  理事 小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 平沼 赳夫君 理事 粟山  明君
   理事 小澤 克介君 理事 貝沼 次郎君
   理事 矢追 秀彦君 理事 小渕 正義君
      有馬 元治君    菊池福治郎君
      櫻内 義雄君    竹内 黎一君
      中山 太郎君    羽田  孜君
      若林 正俊君    木間  章君
      村山 喜一君    安井 吉典君
      冬柴 鉄三君    山原健二郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)     三ツ林弥太郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     矢橋 有彦君
        科学技術庁長官
        官房会計課長  武田  昭君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  中村 守孝君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  藤咲 浩二君
        科学技術庁研究
        開発局長    長柄喜一郎君
        科学技術庁原子
        力局長     松井  隆君
        科学技術庁原子
        力安全局長   佐々木壽康君
 委員外の出席者
        環境庁大気保全
        局企画課長   奥村 明雄君
        外務大臣官房審
        議官      林  貞行君
        厚生省生活衛生
        局食品保健課長 大澤  進君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管
        理課長     神田  淳君
        消防庁地域防災
        課長      次郎丸誠男君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事長)     林  政義君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      植松 邦彦君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団業
        務部長)    奈古 俊彦君
        科学技術委員会
        調査室長    工藤 成一君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十六日
 辞任
  村井  仁君
三月五日
 辞任         補欠選任
  山原健二郎君     不破 哲三君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  有馬 元治君     相沢 英之君
  菊池福治郎君     宇野 宗佑君
  竹内 黎一君     細田 吉藏君
  中山 太郎君     山下 元利君
同日
 辞任         補欠選任
  相沢 英之君     有馬 元治君
  宇野 宗佑君     菊池福治郎君
  細田 吉藏君     竹内 黎一君
  山下 元利君     中山 太郎君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  冬柴 鉄三君     大久保直彦君
  不破 哲三君     山原健二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  大久保直彦君     冬柴 鉄三君
同月三十日
 辞任         補欠選任
  冬柴 鉄三君     大久保直彦君
同日
 辞任         補欠選任
  大久保直彦君     冬柴 鉄三君
五月一日
 辞任         補欠選任
  森山 欽司君     村井  仁君
同月十四日
 理事矢追秀彦君同日理事辞任につき、その補欠
 として貝沼次郎君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
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原田昇左右#1
○原田委員長 これより会議を開きます。
 議事に入るに先立ち、この際、謹んで御報告申し上げます。
 長らく本委員会の委員として御活躍されておりました森山欽司君が、去る五月二日、逝去されました。まことに哀悼、痛惜の念にたえません。
 ここに、委員各位とともに故森山欽司君の御冥福を祈り、謹んで黙祷をささげたいと存じます。
 御起立を願います。――黙祷。
    〔総員起立、黙祷〕
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原田昇左右#2
○原田委員長 黙祷を終わります。御着席を願います。
     ――――◇―――――
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原田昇左右#3
○原田委員長 この際、理事辞任についてお諮りいたします。
 理事矢追秀彦君より、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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原田昇左右#4
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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原田昇左右#5
○原田委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に貝沼次郎君を指名いたします。
     ――――◇―――――
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原田昇左右#6
○原田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興の基本施策に関する事項
 原子力の開発利用とその安全確保に関する事項
 宇宙開発に関する事項
 海洋開発に関する事項
 生命科学に関する事項
 新エネルギーの研究開発に関する事項以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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原田昇左右#7
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
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原田昇左右#8
○原田委員長 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 三ツ林国務大臣から科学技術行政に関する所信を聴取いたします。三ツ林国務大臣。
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三ツ林弥太郎#9
○三ツ林国務大臣 第百八回国会に当たり、科学技術庁長官といたしまして、所信を申し述べさせていただきます。
 政府におきましては、昨年三月、当面の科学技術政策の基本を定めた科学技術政策大綱を閣議決定したところでありますが、今後は、その基本方針に沿って、我が国の科学技術の振興に積極的に努力してまいる所存であります。
 すなわち、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心とする創造性豊かな科学技術の推進を政策の機軸とし、国際社会の発展のために積極的な貢献を行っていくなど国際性を重視した展開にも配慮しつつ、科学技術振興のための諸施策を一層強力に推進してまいります。
 また、近年、人間及び社会と科学技術の関係がますます深まってきております。我々が安心して科学技術の成果を享受し、より豊かな未来を築いていけるよう、安全性の確保に万全の配慮を払うなど、常に人間及び社会のための科学技術という原点に立って、科学技術の振興に努めてまいる所存であります。
 引き続き、昭和六十二年度における科学技術庁の主要な施策につき申し上げます。
 第一は、科学技術行政の総合的展開であります。
 このため、科学技術会議の方針に沿って運用される科学技術振興調整費の拡充を図ってまいります。特に、国際社会への貢献という観点をも踏まえたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムに関する調査を進めるとともに、国際研究交流の促進、受託研究への弾力的対応等を図ってまいります。
 第二に、創造的・基礎的研究の充実強化とその国際的展開であります。
 まず、二十一世紀の技術革新を目指した先端的基礎研究を、国際的に開かれた体制のもとで長期的に行う国際フロンティア研究の充実を図ってまいります。
 また、創造科学技術推進制度につき、新たに三課題の研究に着手するなど、その拡充に努めてまいります。
 第三は、研究開発のための基盤の整備であります。
 まず、広範な分野の基礎研究に飛躍的な成果をもたらすことが期待される高性能の放射光施設の技術的諸問題等について調査研究を行います。
 また、研究交流促進法を円滑に運用し、産学官等の研究交流を一層促進してまいります。
 さらに、科学技術情報の効率的な流通を図るため、各種データベースの拡充、新オンライン提供システムの開発等を引き続き進めるとともに、国際科学技術情報ネットワークの構築、機械翻訳システムの整備等国際対応の強化を図ってまいります。
 また、研究開発の推進に不可欠な遺伝子資源の収集、保存、提供体制を強化するため、ジーンバンク事業等を推進してまいります。
 第四は、科学技術国際協力の推進であります。
 国際化の進展に伴い、国際交流の重要性が一段と高まりつつある情勢にあって、国際協力プロジェクトに積極的に参加していくとともに、米国、西ドイツ、フランス等との二国間の科学技術協力を初めとする幅広い分野における欧米先進国との協力、ASEAN諸国等開発途上国との協力など、特に人材交流及び共同研究に重点を置いて国際協力の推進を図ってまいります。
 第五は、原子力研究開発利用及び安全対策の推進であります。
 原子力の研究開発利用につきましては、安全確保を大前提として、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 まず、原子力安全対策につきましては、昨年四月に発生したソ連チュルノブイル原子力発電所の事故をも踏まえ、原子力安全規制行政及び環境放射能調査体制の充実を図るとともに、安全研究等の推進を図り、安全確保に万全を期す方針であります。
 次に、原子力発電の円滑な推進を図るためには、自主的な核燃料サイクルの確立が不可欠であり、ウラン濃縮、使用済み燃料の再処理、放射性廃棄物の処理処分等について所要の技術開発等を強力に進めるとともに、民間における核燃料サイクル施設建設計画の推進に必要な措置を講じ、円滑な事業化を促進することといたしております。
 また、核燃料の有効利用を図るため、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉計画の推進等新型動力炉の開発を積極的に進めてまいります。
 人類の究極のエネルギー源と言われる核融合につきましては、昭和六十二年末の臨界プラズマ条件達成を目指して、臨界プラズマ試験装置JT60による実験を継続することとし、原子力船につきましても、引き続き研究開発を進めることといたしております。
 さらに、新たな技術革新を生み出し得る先端的・基盤的原子力研究の推進を図るため、高温工学試験研究炉の設計研究、放射線の高度利用研究などを進めてまいります。
 また、電源三法の活用による原子力施設立地地域住民の福祉の向上及び地域振興のための施策等を講ずるなどにより、国民の理解と協力を得つつ、原子力の研究開発利用の推進を図ってまいります。
 第六は、宇宙開発の推進であります。
 宇宙開発につきましては、宇宙開発政策大綱に示された方針に沿って、自主技術開発を基調としつつ、国際的活動との調和を図りながら積極的に推進していく所存であります。
 まず、日本、米国、欧州、カナダで共同して進めている宇宙ステーション計画に本格的に参加することとし、我が国の実験モジュールの開発に着手します。
 また、通信、放送、観測及び共通技術の各分野の人工衛星の開発等を引き続き行うほか、新たに、技術試験衛星Ⅵ型の開発に着手するとともに、海洋観測衛星1号bの研究を行います。
 さらに、一九九〇年代における大型人工衛星の打ち上げ需要に対処するため、二トン級の静止衛星打ち上げ能力を有するHⅠロケットの開発を引き続き推進いたします。
 第七は、海洋開発の推進であります。
 海洋国家日本としては、海洋科学技術に関する研究開発を積極的に推進していく必要があります。
 このため、海底鉱物資源や地震予知の研究等に不可欠な六千メートル級潜水調査船の建造を引き続き進めるとともに、その支援母船の建造に着手いたします。また、海中作業実験船「かいよう」を用いた潜水作業技術の研究開発など、総合的な海洋科学技術プロジェクトを積極的に推進いたします。
 第八は、ライフサイエンスの振興であります。
 広範な分野において人類福祉に貢献するライフサイエンスの関連施策について、人間系科学技術を中心に、がん関連研究、老化研究などを強力に推進いたします。
 第九は、物質・材料系科学技術の研究開発の推進であります。
 さまざまな技術開発を進める上で基盤的な重要技術として期待されている物質・材料系科学技術について、超電導材料などの高性能機能材料の研究を初めとする先端的な研究開発を推進してまいります。
 第十は、地球科学技術の推進であります。
 地球観測技術の研究開発等を進めるとともに、さまざまな自然災害の防止、軽減を目的として、地震予知、震災対策、火山噴火予知、雪害対策等の研究を中心に、防災科学技術の推進を図ってまいります。
 最後は、各般の重要な総合研究等の推進であります。
 航空技術の研究開発につきましては、ファンジェットSTOL実験機「飛鳥」の飛行実験を引き続き進めるとともに、革新航空宇宙輸送要素技術の研究開発に着手いたします。
 さらに、レーザー科学技術研究等の基礎的研究の推進を図るほか、資源の総合的利用のための方策等を進めてまいります。
 以上、昭和六十二年度における科学技術庁の施策に関し、その概要を申し述べましたが、これらの諸施策を実施するために、昭和六十二年度予算といたしまして、一般会計三千三百三十七億円、産業投資特別会計四十三億円、電源開発促進対策特別会計九百四十六億円を計上いたしました。
 私は、二十一世紀に向かって平和で豊かな社会を築いていくためには、英知を結集して科学技術の振興を図っていくことが不可欠であると痛感いたしており、我が国の科学技術のより一層の発展のために、誠心誠意努力してまいる所存でありますので、委員各位の一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。拍手
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原田昇左右#10
○原田委員長 次に、昭和六十二年度科学技術庁関係予算について説明を聴取いたします。矢橋官房長。
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矢橋有彦#11
○矢橋政府委員 昭和六十二年度科学技術庁関係予算の概要を御説明申し上げます。
 昭和六十二年度一般会計予算において、科学技術庁の歳出予算額三千三百三十六億七千四百万円を計上いたしており、これを前年度当初歳出予算額と比較いたしますと、三十一億九千二百万円、一%の増加となっております。また、電源開発促進対策特別会計において、科学技術庁分として、歳出予算額九百四十五億五千二百万円を計上するほか、産業投資特別会計から、日本科学技術情報センターに対し、四十三億円の出資を予定いたしております。以上の各会計を合わせた科学技術庁の歳出予算は四千三百二十五億二千六百万円となり、これを前年度の当初歳出予算額と比較いたしますと、四十七億七千二百万円、一・一%の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為限度額として、一般会計一千三百九十三億五千三百万円、電源開発促進対策特別会計八百二十億六千万円を計上いたしております。
 さらに、一般会計予算の予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を二千八百二十八億円とするとともに、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ等の債務の限度額を二百八十億円とし、これに基づく借入金を使用済み燃料再処理施設の操業費等の一部に充てることといたしております。
 次に、予算額のうち主要な項目につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 第一に、科学技術行政の総合的展開を図るための経費として八十四億八千三百万円を計上いたしました。これにより、科学技術会議の方針に沿って、科学技術振興に必要な重要研究業務を総合的に推進するための科学技術振興調整費について、創造的・基礎的研究の充実を中心として拡充するとともに、同会議の審議機能を充実することといたしております。
 なお、昭和六十二年度の科学技術振興調整費においては、国際社会への貢献という観点をも踏まえたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムに関する調査を進めるとともに、国際研究交流の促進、受託研究への弾力的対応等を図ることといたしております。
 第二に、創造的・基礎的研究の充実強化とその国際的展開のため、四十六億九千三百万円を計上いたしました。
 まず、技術革新の根幹となる新しい科学的知見を発掘するため、多分野にまたがる領域における先端的基礎研究を、流動的で国際的にも開かれた体制のもとに長期的に行う国際フロンティア研究を充実することとし、これに必要な経費として十五億三千五百万円を計上いたしました。
 また、産学官のすぐれた研究者を弾力的に組織化して、次代の技術革新を担う創造性豊かな新技術を創出することを目的とした研究を推進する創造科学技術推進制度を拡充することとし、これに必要な経費として三十一億五千八百万円を計上いたしました。
 第三に、研究開発のための基盤の整備のため、九十四億三千百万円を計上いたしました。
 まず、広範な分野の基礎研究に飛躍的な成果をもたらすことが期待される放射光施設について、技術的諸問題等の調査研究を行うために必要な経費として六千九百万円を計上いたしました。
 次に、民間等との共同研究の促進、研究公務員等の国内及び海外研修への派遣、ハイテクコンソーシアム制度による先端的研究成果の展開、新技術の企業化の促進等に必要な経費として二十四億九千九百万円を計上いたしました。
 また、日本科学技術情報センターにおける科学技術に関する各種データベースの整備、情報提供機能の向上のための新オンライン提供システムの開発、国際科学技術情報ネットワークの構築等内外にわたる科学技術情報の流通を促進するために必要な経費として、一般会計に二十億七千三百万円を計上するとともに、産業投資特別会計から同センターに対し四十三億円の出資を予定いたしております。
 また、遺伝子資源の収集、保存、提供体制の強化等に必要な経費として四億九千万円を計上いたしました。
 第四に、科学技術国際協力を通じた国際社会への積極的貢献を図るため、日米協力を初めとする先進諸国との協力、ASEAN諸国等開発途上国との協力、人材交流等の国際協力に必要な経費として二百九十七億一千九百万円を計上いたしました。
 第五に、原子力の研究開発利用及び安全対策の推進のため、二千七百三十三億六千三百万円を計上いたしました。このうち、一般会計予算において一千七百八十八億一千百万円を計上しておりますが、その大略を御説明申し上げます。
 まず、原子力安全規制行政及び環境安全対策については、ソ連チュルノブイル原子力発電所の事故をも踏まえ、原子力利用における安全の確保に一層の万全を期するため、原子力安全委員会の運営、放射能測定調査研究などに必要な経費として十九億八千二百万円を計上いたしました。
 次に、日本原子力研究所においては、原子力施設等の安全性に関する試験研究、核融合の研究開発、高温工学試験研究炉の設計研究、放射線高度利用研究、原子力船に関する研究開発等を進めることとし、これらに必要な経費として九百九十四億六千二百万円を計上いたしました。
 また、動力炉・核燃料開発事業団においては、高速増殖炉の実験炉の運転等新型動力炉の研究開発を進めるとともに、ウラン資源の海外調査探鉱、遠心分離法によるウラン濃縮パイロットプラントの運転等核燃料サイクル確立のための研究開発を進めることとし、これらに必要な経費として六百四十二億八千九百万円を計上いたしました。
 また、放射線医学総合研究所における重粒子線の医学利用に関する研究及び放射線の内部被曝に関する研究並びに国立試験研究機関及び理化学研究所における原子力試験研究に必要な経費等として百三十億七千八百万円を計上いたしました。
 次に、電源開発促進対策特別会計歳出予算額のうち、科学技術庁分として九百四十五億五千二百万円を計上しておりますが、その大略を御説明申し上げます。
 まず、電源立地勘定においては、原子力施設の立地を一層促進する見地から、原子力施設の周辺地域の住民等に対する給付金の交付及び周辺地域における雇用確保事業の推進に必要な経費として十三億六千四百万円を計上いたしました。また、地方公共団体の公共用施設の整備に必要な交付金に充当するため三十五億一千百万円を計上するほか、放射線監視対策、原子力防災対策などの原子力安全対策等に必要な経費として七十七億二千百万円を計上いたしました。
 また、電源多様化勘定においては、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉に関する研究開発等新型動力炉の開発を進めるとともに、使用済み燃料再処理技術の開発及びウラン濃縮原型プラントの建設等ウラン濃縮技術の開発に必要な経費として動力炉・核燃料開発事業団に七百七十二億六千四百万円を計上するとともに、原子炉解体技術の開発、レーザー法ウラン濃縮技術の開発等を推進する経費として四十六億九千二百万円を計上いたしました。
 第六に、宇宙開発の推進のため、九百四十五億六千九百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙開発事業団において、技術試験衛星Ⅵ型の開発に着手するとともに技術試験衛星Ⅴ型、通信衛星三号、静止気象衛星四号、放送衛星三号及び地球資源衛星一号の開発を進めるほか、海洋観測衛星一号bの研究等を行うこととしております。また、HⅠロケット及びHⅡロケットの開発を進めることとしております。さらに宇宙ステーション計画の開発段階に参加することとし、実験モジュールの開発等に着手するほか、第一次材料実験システムの開発を行うこととしております。これらに必要な経費として九百二十六億四千八百万円を計上いたしました。
 また、航空宇宙技術研究所におけるHⅡロケット用液酸液水ロケットエンジン要素の研究等宇宙科学技術の基礎的、先行的研究を進めるための経費等として十九億二千百万円を計上いたしました。
 第七に、海洋開発の推進のため、七十七億二千七百万円を計上いたしました。
 まず、海洋科学技術センターにおいて、六千メートル級潜水調査船の建造を進めるとともに、その支援母船の建造に着手するほか、潜水調査船「しんかい二〇〇〇」による深海調査技術の研究開発、海中作業実験船「かいよう」による水深三百メートルを目標とする潜水作業技術の実海域実験等を行うこととし、これらに必要な経費として七十五億一千六百万円を計上いたしました。
 また、関係省庁の協力を得て、黒潮の開発利用調査研究、海洋遠隔探査技術の開発研究等を進めることとし、これらに必要な経費として二億一千百万円を計上いたしました。
 第八に、ライフサイエンスの振興のため、百十九億八百万円を計上いたしました。
 まず、理化学研究所において、前述の国際フロンティア研究の一環として老化の仕組みの解明のための研究を推進するとともに、がん本態解明のための研究、脳・神経系及び免疫系科学技術の研究等を推進するほか、細胞・遺伝子の保存、提供事業等を行うための経費として二十五億二千四百万円を計上いたしました。
 次に、がん研究を支える共通基盤技術等についての研究開発を積極的に進めるため、科学技術振興調整費及び新技術開発事業団の委託開発制度から三十七億八千九百万円の充当を見込んでおりますほか、創造科学技術推進制度において発生遺伝子に関する研究等を実施するための経費として十七億九千七百万円を計上いたしました。
 さらに、放射線医学総合研究所において、前述の重粒子線の医学利用に関する研究のほか、放射線によるがん診断、治療のための研究を進めることとし、このための経費等として三十七億九千八百万円を計上いたしました。
 第九に、物質・材料系科学技術の研究開発の推進のため、金属材料技術研究所、無機材質研究所における各種試験研究を進めることとし、これに創造科学技術推進制度及び国際フロンティア研究における材科研究の経費を加え七十三億三千七百万円を計上いたしております。また、科学技術振興調整費から、二十一億円の充当を見込んでおります。
 第十に、地球科学技術の推進のため、百八十二億三千二百万円を計上いたしました。
 まず、地球観測技術研究開発等の推進については、地球資源衛星一号及び静止気象衛星国号の開発、海洋観測衛星一号bの研究等を実施するため、百五十六億七千七百万円を計上いたしました。
 また、防災科学技術の推進については、関東・東海地域における地震予知研究、地震発生機構に関する研究等の地震予知研究、震災対策研究、雪害対策研究等を実施するため、国立防災科学技術センターの予算を中心に二十五億五千五百万円を計上いたしました。
 最後に、その他の重要な総合研究等を推進するため、百八十九億八千八百万円を計上いたしております。
 まず、航空宇宙技術研究所において、ファンジェットSTOL実験機「飛鳥」による飛行実験、革新航空宇宙輸送要素技術の研究開発等航空技術の研究開発を推進するための経費として八十八億八千万円を計上いたしております。
 次に、理化学研究所については、国際フロンティア研究及び原子力関係の経費のほか、ライフサイエンス研究、レーザー科学技術の研究等を推進するための経費として九十六億八百万円を計上いたしております。
 また、地域エネルギー総合利用の実証調査及び資源調査所における各種調査等資源の総合的利用方策の推進のため必要な経費として三億六千二百万円を計上するほか、科学技術の広報啓発活動の推進に必要な経費として一億三千八百万円を計上いたしております。
 以上、簡単でございますが、昭和六十二年度科学技術庁関係予算につきまして、その大略を御説明申し上げました。
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原田昇左右#12
○原田委員長 以上で説明は終わりました。
     ――――◇―――――
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原田昇左右#13
○原田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長林政義君、同理事植松邦彦君及び同業務部長奈古俊彦君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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原田昇左右#14
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
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原田昇左右#15
○原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若林正俊君。
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若林正俊#16
○若林委員 ただいま行われました三ツ林大臣の所信表明に対しまして、自由民主党を代表し、科学技術政策の基本的な進め方とバイオテクノロジーに関し、私の日ごろ考えていることを申し上げながら御質問をさせていただきます。
 今日はまさに科学技術の時代であり、我が国の平和と繁栄の持続は科学技術の振興にかかっていると言っても過言ではありません。
 翻ってみれば、我が国は、第二次世界大戦後、瓦れきの山の状態から急速な発展を遂げ、今日のような豊かな社会を建設し、先進国の一員としての地位を占めることができました。石油を初めとする天然資源に乏しい我が国がこのような発展を遂げることができましたのは、日本人の積極的な技術開発とその成果を利用して産業の振興に努力してきた結果に負うととろが大きいと思います。この流れを一言にして言えば、海外からの先進技術の導入とその改良による生産技術の優位性をばねに、鉄鋼、造船、自動車、家庭用電気製品などを中心として高度成長を遂げてまたということでしょう。また、高度成長のひずみとして出てきた公害問題も公害防止技術の開発によって克服し、さらに、二度にわたる石油危機も省エネルギー技術などで巧みに対応し、先進工業国の中で最も安定した経済発展を続けています。
 このように人的資源以外に誇れる資源を持たない我が国が今やアメリカ、ソ連に次ぐ経済大国になり得た背景には、技術開発の成果があるわけであり、今後とも科学技術の振興は我が国にとって最も重要な国民的課題であると言えます。
 しかし、我が国内外の諸情勢を展望いたしますと、我が国が現在享受している平和と繁栄の将来は決して平たんなものであるとは言えないと思います。
 まず、国際情勢を見てみますと、欧米先進諸国は慢性的な経済不振と失業問題に直面し、開発途上国の多くは、今日なお近代化への道を模索しております。このため、国際的な経済発展は鈍化し、御承知のように、我が国とアメリカ等との間では通商摩擦が増大し、経済戦争とまで言われるような危機的局面が生じています。一方、韓国、東南アジア諸国といった中進国からの追い上げも急で、我が国産業にとっては、まさに前門のトラ、後門のオオカミといった厳しい状況になっています。
 また国内的には、消費需要の多様化、産業の成熟化、あるいはいわゆる産業の空洞化による経済的活力の沈滞化が問題となりつつあります。さらに、過去に比べて低い経済成長の中で、今世紀末にはかってどの国も経験したことのない速いテンポで高齢化社会を迎えることとなり、社会福祉、雇用、産業、財政など、多くの分野で困難な問題に直面することでしょう。
 また、一時期、東京などの大都市圏と地方との社会的、経済的な格差は縮まってきたと言われ、地方の時代などと言われた時期がありました。しかし、近年の円高、貿易摩擦問題などにより輸出関連産業が打撃を受け、ひいては我が国経済そのものが停滞してきており、その中で地方の都市はその存立基盤である企業の縮小、廃止などにより極めて深刻な影響を受けています。その意味で、東京圏と地方の格差は逆に拡大しつつあるとも言えます。このような厳しい内外環境への対応を誤れば、今日までに築いてきた我が国の安定的成長の基盤はたちどころに揺らぐことになるでしょう。
 一方、最近では科学技術をめぐる国際競争が激化しており、一部では技術情報の海外流出を規制しようとする動きさえ出ています。まさに欧米先進諸国との摩擦も半導体等の製品から技術そのものへ、すなわち川下から川上へと拡大の様相すら見せております。また、最近では、外国が従来のように我が国に対して革新的技術を供与しなくなる傾向が見られ、我が国からの独自な技術ないし技術情報の提供なしには諸外国から技術を導入することが難しくなりつつあります。まさに国際競争の中に調和ある国際協調を見出す必要があり、科学技術政策に課せられた責務は極めて大きいものがあります。
 冒頭に述べましたように、今日はまさに科学技術の時代であり、歴史的に見ても、科学技術がこれまでの我が国の経済発展の原動力や社会的諸問題の解決のかぎとしての役割を果たしてきたこと、それにもかかわらず今後は今までのように外国の技術の導入に安易に頼ることができなくなってきていることをあわせ考えますと、我が国の今後の発展は、我が国自体が自主的かつ創造的な技術開発をしていくことができるかどうかにかかっていると言っても過言ではないと思います。
 今日、我が国は、国民総生産が世界全体の一割を超えるようになり、その経済力にふさわしい国際的役割を果たすことが強く求められています。その要請にこたえるためには、我が国が世界の技術革新をリードし、世界経済の成長の核を提供し、また、人類の福祉向上に役立つようにすることこそ大切だと思います。
 これまで我が国が歩んできた外国技術の導入路線に対しては、技術ただ乗りだとして欧米諸国から強い批判が出ています。このような批判にこたえ、みずから生み出した創造的科学技術により国際的な貢献を図っていくことは、世界経済の一割国家、そして技術先進国としての当然の責務ではないでしょうか。
 科学技術は、歴史上常に世界経済を活性化させる有力な手段でありましたし、南北問題や食糧問題、人口問題などさまざまな社会的問題を解決するためのかぎとしてその役割を果たしてきました。今後、我々が二十一世紀に向けてより豊かで活力ある人類社会を築き上げていくためには、人類が現在直面している地球規模の環境負荷の増大、資源の枯渇、人間疎外や事故の大規模化などに見られるような技術と人間との緊張関係の増大、さらには、急速に到来しつつある長寿社会への対応など、多くの問題にその場しのぎではなく根本的に取り組んでいくことが必要だと思います。そのための最も有力な手段が科学技術であり、その振興を通して我が国が世界に貢献することが強く望まれています。
 一方、近年の科学技術の研究内容は高度化し、研究費が増大し、高度で大型の試験研究施設が必要となってきたこと、さらに創造的科学技術を進めるに当たっては、異なる分野での密接な交流が不可欠となっていることなどからも国際的な研究協力が従来以上に重要になってきており、この点からも我が国が世界に貢献できる余地は大きいと考えられるのであります。
 また、技術進歩の流れから見ると、現在は新たな技術革新の胎動期ではないでしょうか。一九八〇年代に入って、マイクロエレクトロニクス、情報関連技術の進歩は予想をはるかに超え、新素材、バイオテクノロジーなど新しい分野での技術革新の芽生えも目覚しいものがあります。二十一世紀には、現在夢と思われているようなこと、例えば、がんの撲滅や老化の防止、地震の高精度の予知、コンピューターによる外国語の完全な自動翻訳などが可能になるかもしれません。科学技術は、二十一世紀の文化、文明を積極的に創造するという極めて重要な役割を果たすことになるでしょうし、二十一世紀の社会全体の仕組みが科学技術によって大きな変革を遂げるに違いありません。その際忘れてはならないことは、常に科学技術と人間との調和ある発展を図り、その上で科学技術を人間、社会の新しい発展と進歩に役立てていかなければならないという、いわば人間中心の考えだと思うのであります。
 そこで、大臣に伺いますが、以上のように科学技術は単に我が国立国の基盤であるのみならず、まさに次世代への人類社会発展のかぎであると言っても過言ではなく、さらに今後の人間、社会に深い関係を持つことから、科学技術の振興は我が国にとって極めて重要でありますので、まずその基本的な考え方について、所信表明でお伺いいたしましたが、さらに大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。
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三ツ林弥太郎#17
○三ツ林国務大臣 ただいま先生から科学技術の重要性に関しまして非常にありがたいお話をいただきました。
 御質問の関係は、我が国の科学技術振興の基本的な考え方ということでございますが、御案内のように、資源に乏しい我が国が豊かで安定した社会経済を維持していくためには、人間の知的創造力にその生存基盤を求めていくことが必要であります。したがって、二十一世紀に向けての発展には、諸外国以上に科学技術の振興に期待するところが大きいわけでございまして、これは今後の我が国の重要な政策課題と考えております。
 このような状況にかんがみまして、政府は総合的な科学技術の展開を図るため、科学技術政策大綱を昨年三月に閣議決定したところであります。この大綱におきましては、次の三点を基本方針といたしております。まず、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心として、創造性豊かな科学技術の振興を図る。二番目に、人間及び社会のための科学技術という原点に立ち、人間及び社会と調和した科学技術の発展を図る。三番目に、国際社会における我が国の果たすべき役割の増大に対応し、科学技術面での国際的貢献が重要であるとの認識のもとに、国際性を重視しつつ科学技術の展開を図る。今後、この大綱を基本といたしまして、長期的観点から総合的、機動的な科学技術政策の展開を図ってまいる所存であります。
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若林正俊#18
○若林委員 ただいま三ツ林大臣から科学技術政策大綱に基づきます力強い所信を伺ったところでございます。その点に関しまして、やや踏み込んでさらに御質問をさせていただきたいと思います。
 今、とうとうたる技術革新の世界的潮流に少しでも乗りおくれるようなことがあれば、ごく短期間で世界の水準から取り残されるおそれがありますので、現在の適切な対応のいかんがあすの日本の運命を決めると言っても過言ではない状況にあると思います。
 このような重要な時期に当たり、我が国は、従来のように先進国からすぐれた技術を導入し、改良発展させるといった追随型の技術開発ではなく、創造性に富んだ自主技術の開発が必要不可欠です。確かに今までは、導入技術を中心として我が国はその科学技術の水準を向上させ、その結果、我が国は驚異的な経済の繁栄を得ることができました。今や我が国は、エレクトロニクス等特定の分野においては世界のトップクラスに位置することができましたが、今後新たな発展が期待される基礎的・先導的な科学技術分野、例えば新物質・新材料の創出、ライフサイエンスの基礎的な分野などにおいては、残念ながらなお立ちおくれていると言わざるを得ません。我が国が今後の存立基盤を科学技術に求め、かつ、世界の科学技術のトップランナーになっていくためには、創造的な科学技術の振興が不可欠なのであります。
 しかしながら、これは一朝一夕になし得ることではありません。地道な基礎研究の積み重ねにより初めて達成できるものです。二十一世紀を考えた場合、基礎研究に対する我が国の現在の取り組みではいささか不安と言わねばなりませんが、我々は、今こそ創造的な基礎研究を強力に推進するシステムを考え出していくとともに、資金、人材など研究資源を惜しむことなく注ぎ込んでいかなければならないと思います。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、国として次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究を強化するためにとのような方策を講じようとしているのか、お聞きしたいと思います。
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三ツ林弥太郎#19
○三ツ林国務大臣 お話しのように、独創的な基礎的研究の強化は、まず科学技術政策大綱においても特に指摘されておるところでありまして、我が国が二十一世紀に向けて発展していくためには不可欠と認識をいたしております。このため、政府といたしましては、基礎的研究における国や大学の役割の重要性にかんがみまして、具体的には、例えば大学等における科学研究費補助金、特別研究員制度の拡充、二番目に新しいタイプの基礎的研究システムである理化学研究所の国際フロンティア研究システム、新技術開発事業団の創造科学技術推進制度等の充実、三番目に科学技術振興調整費による基礎的・先導的研究の強化等、基礎的研究を重視した施策を遂行しているところでございます。
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若林正俊#20
○若林委員 ただいま三ツ林大臣から大学あるいは国立研究機関などによります研究開発を拡充強化していく、こういうお話がございました。そのことに関しまして、なお若干踏み込ましていただきたいと思います。
 基礎的研究は申すまでもなくリスクが大きく、直ちに生産技術に結びつかないために、民間企業には多くを期待できません。また、その成果の公共性から見ても国が大きな役割を担わざるを得ず、どうしても国の研究所や大学の役割が重要になってくると思われます。今の国立研究所は、行政の必要性に基づいて研究を進めています。しかし、今後は重点的に基礎的研究を強化していく体制を整備していくべきだと思います。
 殊に独創的な研究は、若い研究者の頭脳によってなされる場合が多いことはよく知られています。我が国のノーベル賞受賞者を見ても、例えば江崎玲於奈氏は三十三歳でエサキダイオードを発明しているし、福井謙一氏も同じく三十三歳でノーベル賞の受賞理由となったフロンティア理論を構築していると聞いております。一説によると、独創的なアイデアがピークとなるのは三十歳前後と考えられ、この三十歳前後のアイデアを生かすことが独創的研究開発の大きな推進要因となると考えられます。すなわち、三十歳前後の若手研究者が自主的な研究を推進し、能力さえあれば人、物、金をある程度自由に動かすことができるような仕組みを確保することが大切だと思います。その点から、国立研究機関が現在直面している研究者の高齢化、研究体制、組織の硬直化等の諸問題は創造的研究の推進にとって大きな問題であり、その抜本的解決が不可欠であると思います。
 一方、大学は、本来基礎的研究の中心的な役割を担うところであると同時に、教育機関として人づくりの機能を持つ場でもあります。しかしながら、時として研究の指導的立場にある年長の研究者の判断により研究課題の選定、予算の配分、人事等の決定がなされるといった徒弟制度的な体質が残っている一面もあります。創造的な研究の多くが自由な雰囲気の中で優秀な若手研究者のアイデアから生まれていることを考えるならば、従来のような閉ざされた体質をかえて、技術評価システムの確立や競争原理の導入などによって人事の硬直化を打破し、科学技術全体の振興という観点から開かれた体質に脱皮していくことが必要ではないでしょうか。文部省の大学行政とも十分協議して真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 一方、創造的な科学技術の推進に当たっては、創造的な人材を育てていくことが極めて大切です。日本人には創造性がないと言う人もいますが、過去においても、例えば、鈴木梅太郎氏がビタミンB1を発見したり長岡半太郎氏が原子模型を発表したりしたように、日本人の手による幾つかの世界的業績もあります。今後は、特にこのようなすぐれた資質が埋もれることなく十分発揮されるような人材育成、研究所における研究体制等の環境条件の整術が重要だと思います。例えば、創造的研究を振興するためには独創性を育てるような研究評価を採用することもまた重要でしょう。研究者も人の子であり、よりよく評価される方に向かって進むものだと思います。研究管理者が独創性を重視して評価すれば、組織は自然に独創性を生む方向に動くと思います。そのためには、独創性を重視する研究評価の確立が必要なのではないでしょうか。確かに創造性豊かな人材を育てるということは、日本の社会の年功序列制や家庭における情操教育など、政策だけでは対応し得る問題ではありませんけれども、政府としても政策の展開に当たって十分な配慮が必要だと思います。
 そこで大臣、創造的な研究開発の推進のための条件整術をどのようにしていこうと考えておられるのか、基本的なお考えをお伺いしておきたいと思います。
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三ツ林弥太郎#21
○三ツ林国務大臣 先生の力説されております創造的・基礎的研究の強化、これにつきましては、今後とも全力を傾注してまいる所存でございます。
 ただいまの条件ということでございますけれども、昨年三月閣議決定された科学技術政策大綱においても、創造性豊かな科学技術の振興を図るため、これを支える体制、推進条件の整備強化を図ることが重要と指摘をされております。人間の創造性を育て、引き出すためには、家庭環境、教育制度、社会制度等に左右される面も多いことでございますが、本大綱を踏まえて、国としてはすぐれた人材の育成、独創性を重視する研究評価の確立、柔軟な組織体制の確立等の施策を実施してきているところでございます。
 具体的には、従来からすぐれた若手研究者に対し研究の場を与えるための特別研究員制度の充実、独創的な研究者を研究リーダーに選任し、そのリーダーの裁量のもとに研究を実施する新技術開発事業団の創造的科学技術推進制度の拡充、科学技術会議における研究評価のための指針の策定、科学技術振興調整費を活用した基礎的研究の強化など、各般の施策の推進に努めてきているところでございます。さらに、基礎的研究の担い手となる国研の中長期的あり方を科学技術会議においても審議しているところでございまして、今後ともこの方針に沿って一層施策の充実に努めてまいる所存でございます。
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若林正俊#22
○若林委員 今大臣から御説明がございましたけれども、若い研究者がそれぞれの専門専門相寄りまして共同して課題に取り組む、そういうプロジェクトチームを課題ごとに弾力的に編成をしていく、こういった人事面も含めました配慮が行われなければ、なかなか形の上で制度を整えて予算をつけても実効が上がらない。大変難しい分野と思います。ぜひともこのような雰囲気づくり、自由な環境づくりというものに御配慮を願いたいと思います。
 次に、こうした基礎研究の中で、近年とりわけ大きな注目を受けておりますバイオテクノロジーについて伺わせていただきます。
 既に御承知のように、産業革命以来、先進国は膨大な石炭、石油といった化石燃料を消費して工業製品をつくり出し、社会経済の発展を果たしてきたところであります。至って軽便かつ経済的な化石燃料の使用は、まさに近代社会の発展と軌を一にして伸びてきました。したがって、これら石炭、石油の確保は国の死命を制する問題となっており、多くの国際的紛争もこれを契機として起こったことが珍しくありませんし、あるいは近く第一次オイルショック、第二次オイルショックがいかに世界経済に甚大な影響を与えたかは、私どもの記憶に新しいところであります。さらに、近年化石燃料の使用によって環境問題や全地球的な気象問題までも引き起こされることが明らかとなり、今までのように無条件に化石燃料に頼り切っていくということは許されない状況となってきております。
 こうした中で思い起こされるのが、従来の工業的な手法とは異なる生物を利用した生産方法であります。農業は有史以来人間が利用してきた生産手法であり、これにより私たちの先祖は長い歴史を生き抜いてきたわけであります。高温、高圧、急激な化学反応を中心とした工業的生産方法にかわって、常温、常圧、緩やかな化学反応で必要なものを、しかも循環的に生産する生物的生産方法に着目することは、大変意味のあることであります。とりわけ、最近バイオテクノロジーとして発展してきた分野は、分子生物学など最先端の科学技術として結晶してきた分野であり、基本的には、今私が申し上げてきた化石燃料の時代からバイオの時代への転換をもたらす重要な技術分野と考えるのであります。
 とりわけ、我が国では、バイオテクノロジーの分野においては、みそ、しょうゆ、酒などの醸造を初め伝統的な産業活動が活発で、技術の蓄積が多いのであります。例えば、酒づくりのときに行われる火入れは低温殺菌の手法としてパスツールが発明する二百年も前から行われていたことであり、我々の先祖が経験から学んだ事実をいかに技術として活用していたかがしのばれるのであります。また、風雨に強く連作が可能で収量が多い稲の開発は、気象の変化が激しく耕地面積の乏しい我が国にとっては必須の事柄であり、多くの新品種が作出され、利用に供されてきているのであります。またさらに、昆布のうまみ成分であるグルタミン酸は、明治時代に池田博士が世界で初めて抽出に成功したものであります。このような発酵あるいは農業などの実務に即したいわゆる応用研究、実用化開発については、我が国は世界に冠たる水準を歴史的に確立してきております。
 さて、今日注目を浴びているバイオテクノロジーの歴史は極めて新しいものであり、第二次大戦後、二十代のアメリカのワトソンと三十代の英国のクリックによって、遺伝子が二重らせん状のDNAから成り立っていることが発言されて以来、多くの革新的な発見、発明が相次ぎ、極めて急速に進歩を遂げてきている分野であります。この分野の技術の発展には、我が国からも東京大学の長野泰一博士によるインターフェロンの発見、大阪大学の岡田善雄博士による細胞融合の成功等、偉大な貢献があるのでありますが、その中心となったのはやはり欧米諸国の学者であると言われております。このことは、ノーベル医学・生理学賞の受賞者がいまだ我が国からは出ていないということからも明らかでありますし、また、一国の科学技術水準は論文の引用数によってはかられると申しますけれども、ある資料によりますと、引用度の高い千人の研究者のうち七百三十六人がアメリカ人、八十五人がイギリス人で、我が国からの研究者は十一人という調査のあることからも、そのことは否定できないことだと思うのであります。
 そこで、事務当局からで結構でありますが、このような中で我が国のバイオテクノロジー研究の現状が一体どうなっているのでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
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長柄喜一郎#23
○長柄政府委員 バイオテクノロジー分野の現状でございますが、この分野の研究は、先生の御指摘のとおり非常に古くからあるものでございます。最近、バイオテクノロジーといいますと、分子生物学の発展に相当する遺伝子組みかえとか細胞融合、こういう非常に新しい分野も出てきておりまして、これが発展いたしますと医学、農学、農業、環境保全等あらゆる分野で利用できるということで、次の技術革新をもたらすものだろう、こういうふうに見られておるわけでございます。
 政府といたしましては、昭和四十六年以来バイオテクノロジー、ライフサイエンスの研究が非常に重要であるという科学技術会議の答申もいただいておりますし、種々の答申をいただいております。
 現状でございますが、政府の予算といたしまして、各省庁含めまして六十一年度が約五百五十億円でございます。六十二年度は約一割ふえて六百億を超えたというようなことでございまして、非常に力を入れている分野でございます。ただ、残念ながらと申しますか、特に米国等と比較いたしますと、基礎分野でございます遺伝子の組みかえ、細胞融合、それから作物の育種の問題、医薬品の開発、こういう分野についてはおくれている。ただ、日本の伝統的な発酵法に基づく新しい物質の合成、こういう点については外国より進んでいるわけでございまして、我々といたしましては、特に基礎研究の分野に力点を置いてこの研究を今後とも推進していきたい、こう考えているところであります。
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若林正俊#24
○若林委員 技術蓄積の多いバイオテクノロジーの分野で我が国に基礎的な研究成果がなお少ないというのは、今お話がございましたように、一つには研究費の不足に起因しているのではないかというふうに考えられるのであります。例えば、今お話にございました米国でありますが、保健、医療分野の研究を担当している国立衛生研究所の年間研究開発予算のみで約八千億円でありますが、これは、我が国の産学官すべての応用研究を含む研究開発費に匹敵する額です。したがって、研究費を大幅に増額し、基礎的・創造的研究を拡充することが我が国にとって緊要な課題と考えるのであります。政府においても、今後、バイオテクノロジー分野の研究開発を強力に推進するようにお願いしておきます。
 さて、先ほど申し上げたように、組み替えDNA技術や細胞融合技術等先端的技術の発展により、バイオテクノロジーは新たな時代を迎えようとしているのであります。私たちの身近な場面でどのような応用が可能かを考えてみますと、まずその第一に医療関係が挙げられます。従来製造が困難であった新たな医薬品の大量かつ安価な生産、生体に影響の少ない医薬品の提供がこのバイオテクノロジーによって可能となります。糖尿病の治療に必要なインシュリンは化学的な合成が困難なため、従来、豚の膵臓から抽出されており、極めて高価な薬品でありますけれども、これが最近では遺伝子を組みかえた大腸菌による生産が実用化されてきております。また、小人症の治療に必要なヒト成長ホルモンなども、現在積極的に開発が進められているのであります。また、B型肝炎、インフルエンザ、マラリア等のワクチン開発にも組みかえDNA技術は活用されてきています。バイオテクノロジーは、さらに治療や疾病の予防などにも大きく役立つものと期待されております。我が国における死亡原因の第一位となっているがんについては、中曽根総理の提唱により対がん十カ年総合戦略が策定され、研究開発資源の効果的な集中的な投入によりさまざまな発がん遺伝子が発見されているのは御承知のとおりであります。また、エイズにつきましても、病原ウィルスの遺伝子は捕捉されてきているのであります。こうした研究の成果を見ますと、私たちがこのような病気の苦痛から解放される日が必ず来るだろう、このように信じられる次第であります。
 しかしながら、現状においてこの分野における私たちの知見はまだまだ小さいと言わなければなりません。遺伝子がどのような条件、メカニズムで体内で発現し、疾病に至るかということは、ほとんど解明されていない状態であります。実際、我々が持っている生命現象に対する理解は、残念ながら極めて未熟な状態であると言わなければならないのです。健康な状態についてみても、認識、思考、免疫による生体防御などの高次の生命現象についてはいまだ初歩的な知見しか得られておらず、さらに、システムとしての生命現象の解明には長期にわたる取り組みが必要となっています。
 このように考えると、私たちがバイオテクノロジーに対して取り組むべき姿勢もおのずから明らかであると思います。人類は今まで多くのフロンティアに挑戦してきました。最近では宇宙、これは長い間人類の夢でありましたが、ついに人類は月に第一歩をしるし、土星や金星の内側をのぞくに至りました。また深い海の底、そこにすむ不思議な生物や地球創成の秘密は、私たちに無限の知識を供給してくれます。そして、こうした意味で私たちに残った最後のフロンティアが実は私たち自身の問題、すなわち生命現象であったわけであります。
 そこでお伺いいたしたいのですが、こうしたことから、人間における生命現象の研究について科学技術庁はどのような取り組み方をしておられるのでしょうか。
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長柄喜一郎#25
○長柄政府委員 人間の生命現象といいますのは、非常に複雑で、非常に高度なものがございます。そういうことで、先生の御指摘のように人間の生命現象というものの解明はまだ進んでおりません。ただ、これが進みまして脳・神経あるいは免疫、老化のメカニズム、こういうことがわかってまいりますと、これを医療、工学、薬学、こういうところへ応用されるものというふうに考えておりまして、人間系の科学技術はバイオテクノロジーの中でも特に重要なものだというふうに考えております。
 この人間の科学技術の研究につきましては、総理大臣の諮問機関でございます科学技術会議でも指摘されておりまして、実は昨年春に決定したわけでございますが、長寿社会を迎えてだんだんと老化が進む、この老化がなぜ進むのか、これをいかにすれば防止できるのかという研究目標を政府としては決定しております。さらに、引き続きまして現在進めておるわけでございますが、脳・神経、またエイズ等を解明するための免疫の研究、こういうものの研究目標を同じく科学技術会議において検討されております。政府としましては、この方針に基づきまして、免疫、脳・神経、それから長寿社会のための老化の研究等を進めたい。科学技術庁では科学技術振興調整費を活用いたしますほか、理化学研究所、新技術開発事業団、放射線医学総合研究所、こういうところでも人間系の科学技術の推進に努めているところでございます。なお、この人間系科学技術を進めます場合非常に注意をしなければいかぬことは、人間の尊厳の問題ということに大変注意を払って慎重に進めなければいかぬということでございます。
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三ツ林弥太郎#26
○三ツ林国務大臣 若林先生の農業とバイオテクノロジーとの関係について、私もちょっと申し上げておきたいと思います。
 今局長の方から人間における生命現象、バイオテクノロジーの関係はお話がありましたけれども、実は農業との関係も最近非常に世界的といいますか、日本の方でも非常に活発に進んできたわけであります。そういうふうな関係から、私どもの方も積極的に進めよう、こういうことにいたしておりまして、私も長官に就任いたしましてから、サンシャインのバイオの展覧会であるとか、最近は晴海のバイオの農業関係の博覧会であるとか、また、農林次官が機構の長になりました生物系特定技術推進機構というのが大宮にできましたので、いち早くそこに参りまして、組織であるとか研究の目標だとかいろいろお話を承ってきたわけでございますけれども、先生非常にバイオテクノロジーと農業の関係に御熱心でございますので、私もそういうふうに懸命に努力しているということをひとつ申し上げておきたいと存じます。
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若林正俊#27
○若林委員 三ツ林大臣は大変に農業の問題に造詣が深く、御熱心に取り組んでいただいておりますことに心から敬意と感謝を日ごろ申し上げている次第でございます。
 つくば万博におきましても、あのトマトのお化けのようなものに黒山のような人だかりがしておりまして、多くの一般の人たちが農業分野におきます新しい品種の作出などについても大きな関心を寄せているところでございます。この問題につきまして、さらに私自身考えておることなどをこの機会に大臣に聞いていただきたいと思うのでございます。
 申すまでもなく、気候や土地、地力に影響されないで、同時に、高品質、多収穫の産物を安定的に供給をして消費者のニーズの多様化にも対応したバラエティーのある農業生産の展開をしていかなければいけない、こういう時代であります。既にこうした観点から、ラン、菊、ユリなどの園芸植物の品種改良、イチゴ、リンゴ、ブドウなどの苗のウイルスフリー化、キャベツとコマツナの雑種の千宝菜、キャベツと白菜の雑種のハクランなどの新作物の創出が組織培養により実用化されてきています。また、病気に強い稲を目指したヒエと稲の融合体のヒネとか、耐寒性にすぐれたオレンジを目的としたオレンジとカラタチの融合体のオレタチなどが細胞融合によってつくられてきているのであります。
 このように植物では、細胞融合、組織培養といった細胞、組織レベルでのバイオテクノロジーは順調に発展してきているところでありますが、植物では明らかにされている遺伝子が少ないというようなことから、そのような発展にもかかわらず組みかえDNA技術の適用についてはなかなかなお困難な問題がございます。したがって、耐病性、耐寒性などに関与している種々の遺伝子の探索技術、目的細胞への遺伝子導入技術の研究が農業にとっても急務となっているのであります。
 このように、比較的変化の少なかった農業のやり方についても、今後は大きく変わろうとしています。しかし、農業にバイオテクノロジー、特に組みかえDNA技術を適用する際には、農業が一般には屋外の活動であるということから、環境への影響が重要な問題となってまいります。既に、先月でありますが、アメリカでは作物に対する霜の害を防止するために、霜の原因となる凍りやすいバクテリアの遺伝子を操作して凍りにくくしたものを農薬として散布する実験が行われておりますが、これに先立ってアメリカの環境保護庁等が慎重に検討を行った末、安全に問題なしと判断して踏み切ったというふうに聞いております。これまで、組みかえDNA技術につきましては、一歩ずつ着実に安全性の検討と確認が行われてきたところでありますが、遺伝子を組みかえた生物を環境へ放出する場合には、生態系への影響を綿密に評価し、従来にも増して安全の確保を図ることが重要と考えられるのでありまして、十分な安全性を確保して進めていただきたいと思うのでございます。御要望だけ申し上げておきます。
 なお、バイオテクノロジーの応用分野としては、既にお話がございましたような医薬、農業のみならず、バイオリアクターとしての工業利用、廃棄物処理などがあり、それそれ効率の高い微生物、酵素及びその利用方法が研究されています。このようにバイオテクノロジーはさまざまな分野で応用が進められるとともに、その基礎となる微生物、植物、動物などの各種生命体の機構解明が進められております。これらの研究には、生物学はもとより、医学、農学、工学等幅広い分野からのアプローチが不可欠であり、研究に向けられている努力を有機的に連係していくためには、その基礎となる生物資源の確保、各種情報の集積と流通、研究に必要な実験動物、試薬、計測機器等の開発、供給が前提となります。特に、近年のエレクトロニクスや情報技術の進歩により、従来の試験管での実験を離れ、生体を生きているままで計測することや、遺伝子レベルでの情報を大量に処理することも可能となっております。ますます研究開発の総合的な取り組みが重要になってくるのでありますが、これらは多くの基礎研究に共通していることでもあります。バイオテクノロジーの推進については、特にこうした必要性が高いように思います。
 そこで最後に、バイオテクノロジー関係の研究開発推進の基盤となります施策について、その取り組み方を事務当局からお伺いしておきたいと思います。
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長柄喜一郎#28
○長柄政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、我が国のバイオテクノロジーの特に基礎部分におきまして諸国におくれているということの原因の一つに、先生の御指摘の研究開発の基盤の整備がおくれているということがあろうかと思います。科学技術庁は、各省庁の研究の推進の裏方、調整役を担っておりまして、基盤の整備については従来より意を用いてきたところでございます。特に、遺伝子資源の確保、微生物の系統保存、また、バイオテクノロジー関係のデータベースの整備、実験動物の開発、いろいろな計測機器等の開発に大変力を入れてきたところでございます。今後とも、このような基盤の整備につきましては関係省庁ともよく協力し、調整しながらさらに進めたいと思っております。
 なお、先生が先ほど要望されました遺伝子組みかえの環境への放出の安全性確保の問題でございますが、農業関係の研究開発は主として農林水産省がやっておりますけれども、安全性問題は従来から科学技術庁を中心として進めております。我我としましても、特に生態系への影響はどうかというようなことを十分確認しながら安全性の確保に努めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
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若林正俊#29
○若林委員 どうもありがとうございました。
 先端科学技術の代表としてバイオテクノロジーについて伺ってまいったわけでありますけれども、このことは、結局すべての先端科学技術に共通していくように思われるのであります。例えば、研究の進め方について幾つかの問題を取り上げましたが、これ以外にも研究協力のあり方など、ぜひ触れたかった問題があります。昨今、民間企業においても基礎研究が拡充されつつありますし、最近の超電導研究などを見ましても、大学、国の研究所、企業等がこぞって科学の最先端をめぐっていい意味での熾烈な競争を展開しているわけで、基礎、応用、開発の垣根がなくなりつつあります。応用、開発だけでなく基礎研究においても、産学官がそれぞれの特徴を生かしながら協力できる領域が拡大しつつあると言えるのではないでしょうか。その観点から、昨年度成立を見た研究交流促進法を今後十分に活用して、研究の交流を進めていく必要があると考えているのでありますが、この点についてはまだ機会を改めて伺わせていただきたいと思います。
 以上、私の考えを申し述べながら幾つかの質問をしてまいったわけでありますが、最後に、最も大切な点に触れたいと思います。
 それは、個々の政策の重要性もさることながら、いかに我が国の基礎的・先導的研究の底辺を拡大し、二十一世紀の種となるものを生み出していくかという総合的な視点であります。我が国の国民一人当たりの基礎的研究に使用している資金は、政府の機関で見た場合、アメリカの二分の一、西ドイツの四分の一にとどまっているのが現状とのことでありますが、これだけの経済大国となった我が国としては、基礎的研究に対しGNP、国民総生産の一定の割合、何%かを割り当てまして、その成果は日本の二十一世紀のためにも使い、世界にも還元していくという政策を私は新たに打ち出すべきではないかと思うのであります。これがすなわち国内においては長い目で見たときの社会経済の構造の転換であり、内需の拡大にもつながり、世界の国々との摩擦の解消にもなると考えますので、大臣におかれましてはぜひとも総合的な見地から一層我が国の科学技術の研究開発、振興に御尽力いただきますように切に要望をいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
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