若林正俊の発言 (科学技術委員会)
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○若林委員 三ツ林大臣は大変に農業の問題に造詣が深く、御熱心に取り組んでいただいておりますことに心から敬意と感謝を日ごろ申し上げている次第でございます。
つくば万博におきましても、あのトマトのお化けのようなものに黒山のような人だかりがしておりまして、多くの一般の人たちが農業分野におきます新しい品種の作出などについても大きな関心を寄せているところでございます。この問題につきまして、さらに私自身考えておることなどをこの機会に大臣に聞いていただきたいと思うのでございます。
申すまでもなく、気候や土地、地力に影響されないで、同時に、高品質、多収穫の産物を安定的に供給をして消費者のニーズの多様化にも対応したバラエティーのある農業生産の展開をしていかなければいけない、こういう時代であります。既にこうした観点から、ラン、菊、ユリなどの園芸植物の品種改良、イチゴ、リンゴ、ブドウなどの苗のウイルスフリー化、キャベツとコマツナの雑種の千宝菜、キャベツと白菜の雑種のハクランなどの新作物の創出が組織培養により実用化されてきています。また、病気に強い稲を目指したヒエと稲の融合体のヒネとか、耐寒性にすぐれたオレンジを目的としたオレンジとカラタチの融合体のオレタチなどが細胞融合によってつくられてきているのであります。
このように植物では、細胞融合、組織培養といった細胞、組織レベルでのバイオテクノロジーは順調に発展してきているところでありますが、植物では明らかにされている遺伝子が少ないというようなことから、そのような発展にもかかわらず組みかえDNA技術の適用についてはなかなかなお困難な問題がございます。したがって、耐病性、耐寒性などに関与している種々の遺伝子の探索技術、目的細胞への遺伝子導入技術の研究が農業にとっても急務となっているのであります。
このように、比較的変化の少なかった農業のやり方についても、今後は大きく変わろうとしています。しかし、農業にバイオテクノロジー、特に組みかえDNA技術を適用する際には、農業が一般には屋外の活動であるということから、環境への影響が重要な問題となってまいります。既に、先月でありますが、アメリカでは作物に対する霜の害を防止するために、霜の原因となる凍りやすいバクテリアの遺伝子を操作して凍りにくくしたものを農薬として散布する実験が行われておりますが、これに先立ってアメリカの環境保護庁等が慎重に検討を行った末、安全に問題なしと判断して踏み切ったというふうに聞いております。これまで、組みかえDNA技術につきましては、一歩ずつ着実に安全性の検討と確認が行われてきたところでありますが、遺伝子を組みかえた生物を環境へ放出する場合には、生態系への影響を綿密に評価し、従来にも増して安全の確保を図ることが重要と考えられるのでありまして、十分な安全性を確保して進めていただきたいと思うのでございます。御要望だけ申し上げておきます。
なお、バイオテクノロジーの応用分野としては、既にお話がございましたような医薬、農業のみならず、バイオリアクターとしての工業利用、廃棄物処理などがあり、それそれ効率の高い微生物、酵素及びその利用方法が研究されています。このようにバイオテクノロジーはさまざまな分野で応用が進められるとともに、その基礎となる微生物、植物、動物などの各種生命体の機構解明が進められております。これらの研究には、生物学はもとより、医学、農学、工学等幅広い分野からのアプローチが不可欠であり、研究に向けられている努力を有機的に連係していくためには、その基礎となる生物資源の確保、各種情報の集積と流通、研究に必要な実験動物、試薬、計測機器等の開発、供給が前提となります。特に、近年のエレクトロニクスや情報技術の進歩により、従来の試験管での実験を離れ、生体を生きているままで計測することや、遺伝子レベルでの情報を大量に処理することも可能となっております。ますます研究開発の総合的な取り組みが重要になってくるのでありますが、これらは多くの基礎研究に共通していることでもあります。バイオテクノロジーの推進については、特にこうした必要性が高いように思います。
そこで最後に、バイオテクノロジー関係の研究開発推進の基盤となります施策について、その取り組み方を事務当局からお伺いしておきたいと思います。