荻原宏康の発言 (科学技術委員会)
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○荻原参考人 一番最初に、第一点の大型開発云々のところでございますけれども、一つは確かに大型開発はそうなんですが、大型開発は、目標がかなり具体的でないものはつかみどころがなくて、推進が実際にはできません。したがって、例えば磁気浮上列車開発、これは成ります。ところが、超電導酸化物というのは材料なんです。これは普通は大型の展開ができないものです。出てくるのを待たなくてはいけません。ここは基礎的な部門あるいは目的基礎といったところをいかに強化して援助をするかということになります。したがって、今申し上げましたように、同じ大型の中でも、推進の仕方を恐らく分けなくちゃいけないので、全体を包括することはできないだろう。ただし、目標を持った大型プロジェクトというのを開発することによって、材料開発にしても素材開発にしても非常にステイミュレートされるのです。そのことを大事にした大型開発でおるべきだという感じがします。
それから、ヒューマンフロンティアの方で申し上げます。
ちょっと過去のことを申し上げますが、一九七三年、これはNATOが主催して超電導の大型応用というのを、先ほどごらんに入れた超電導線がまだあれほどのものになっていない時代にやった。これはNATOですから、ソ連圏を除くほとんどの国の第一線の特に若い研究者がNATOの金で集まりまして、十日間ほどホテルにこもりきりでいろいろなディスカッションをしました。そのときの仲間というのは今に続いています。しかも、三十代の前半ぐらいのときから私はそれに参加したわけですけれども、そのときの横のつながりというものでほとんど古い――古いと自分で言ってはいけないのですが、今の金属系の超電導線について国際的な競争は全くなかったと思っています。協力だけだったと思っています。
ですから、例えばドイツの原子力研究所カールスルーエには、日本の超電導線が使われたマグネットで世界一を出したという自慢が出ています。それから、先ほどニオブ3スズという話をしましたが、ブルックヘブン・ナショナル・ラボラトリーの中にはやはり日本人で末永さんという教授がいて非常に活躍をしている。同じくMITの中にはビッターズ・ナショナル・マグネット・ラボラトリーという超電導あるいは磁気関係の非常に有名な研究所がありますが、ここは岩佐教授というのが大活躍をして、やはりつなぎ合っています。したがって、いいものはアメリカヘ持っていく、アメリカのいいものは日本へ持ってくることによって交流が非常にうまくいっているというぐあいに思っています。ですから、若い時代のそういう仕事というのは非常に大事だということです。
それから、もう一つは、京谷さんが先ほど、宮崎で二度ほど磁気浮上の国際会議をやった。今度の話の中で三月十八日のアメリカのフィーバーのあった後で「ビジネス・ウイーク」が取り上げていて、日本は早速この話を聞いてコンソーシアムをMITIがつくったぞというニュースを流している中で、アメリカ人の意見を聞いているところがあるのです。そのときに、GEのベンチャービジネスとして超電導線を売る会社として独立したIGCという会社があるのですが、そこのプレジデントのロズナーという人が日本人にとって非常にいいことを言っています。それはこう言っているのです。日本というのは今までずっと、超電導が非常に大きなポテンシャルを持っているということを見つけて、それをコンスタントに育ててきている。アメリカというのはそうじゃなくて、ショートサイトじゃなかったか。一つは、日本のやり方をきちんと見てきた人は、それだけのことをきちっと言えるわけです。それだけのものを日本が今までも提供してきたのです。これからも恐らくやっていくし、そういうことに対しては全然問題ないと思うのです。
ところが、ちょっと異常なというか不審に思うことは、先ほど田中先生がおっしゃられました磁気浮上列車に関しては日本は負けるじゃないかという話があるのです。アメリカは今までスポット的にやったりやらなかったりというのがぼんぼん出てきましたけれども、コンスタントなこれに対する技術的な政策というのでしょうか、実行はほとんどなかったと思います。それにもかかわらずなぜそういう人がそういうことを言えるのか。つまり、自分たちあるいはアメリカが今やっているという実感がどこにあって負けると言っているのかというのは全く理解できません。つまり、本当のことで言ってみると、超電導というものには今までタッチもしていなかったし携わっていないけれども、一つの国策としてしか技術を見ていない人がそういう言い方をしている。したがって、超電導という立場に立って国際的に今までどう展開してきたか、あるいは日本がどうコントリビュートしたかということを一遍きれいに整理してみると、今の話は整理できていくのだろうというぐあいに考えています。これがヒューマンフロンティアに対する人間的な交流の中でも大切だろうと思います。
第三点は京谷さんへの質問でしたので、私はこれで終わります。