内田禎二の発言 (科学技術委員会)
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○内田参考人 日本電気グループの内田でございます。
私は、お手元の資料にございますように「光科学技術の応用」、その中でもエレクトロニクスの分野への応用ということで、光エレクトロニクス関係を中心に御報告をさせていただきたいと思います。ただ、応用と申しましても多種多様で、一応お手元の資料に網羅的には書いておりますが、本日は、時間の関係上、重要なものを選択的に御報告させていただきます。
最初に、一ページでございます。光エレクトロニクスは一九六〇年、昭和三十五年にレーザーが初めて実現したわけでございますが、その後急速に発展し、現在ちょうど四半世紀、二十七年目でございまして、マイクロエレクトロニクスとともに光エレクトロニクスは現在の高度情報化社会を支える非常に大きな基盤技術になってきております。現在の日本の生産規模でございますが、後で詳細御報告いたしますけれども、昭和六十一年度にはついに一兆四百億円ぐらいになっております。さらに、十年後には十兆円のビジョンを描ける段階になっております。
次に、二ページの下の二−二図をごらん願います。これは、光エレクトロニクスというものが従来のエレクトロニクスとどういう関係にあるかということを示した図でございます。
一番上のカーブのC&Cと書いてありますのは、コンピューターと通信が融合しました情報化産業というものが一九七〇年代から急速に伸びてきているわけでございますが、実はこれを支えている技術が半導体に代表されるMEと書いてありますマイクロエレクトロニクスでございます。それから少しおくれまして、OEと書いてありますオプトエレクトロニクスがございます。ただ、今後九〇年代後半から二十一世紀を展望いたしますとこれでも不十分で、さらに私どもとしてはバイオエレクトロニクスというものがあらわれてくるのではないかと考えております。こういう位置づけにお考え願いたいと思います。
それから、三ページは省略しまして四ページに移らせていただきます。
この下の四−一図にレーザー技術の各種の応用分野を書いておりますが、一番下の根元から左の方になりますと時間の制御ということで、それは例えば光通信、現在北海道から九州まで日本全国光ファイバー通信網が完結されております。その上に月面測距、例えばテレビでもいろいろ出ておりますが、月までの距離が非常に正確に、現在数センチのオーダーまではかられるようになっております。その次のちょっと太い幹でございますが、レーザー計測、空間の制御というのでは光メモリー、例えば昨年度コンパクトディスクその他では三千億円ぐらいの産業になっております。さらに画像処理、ホログラフィー、この関係では立体写真などが出ております。その次のレーザー分光、光波の利用というところを見ますと、例えば同位体濃縮、ウラン235の分離の問題とかそういうのが出ております。最後に、光エネルギーの利用としましては、超精密加工関係あるいはレーザー核融合というような応用が出ております。
次の五ページをお願いします。その応用の中でも特にエレクトロニクスに関係あるものを五ページにまとめております。先ほど申しましたような計測、加工それから核融合利用がございます。その次には、最近非常に大きく伸びております光通信、今後大きな応用対象と考えられる光交換、さらに三番目としまして光情報処理・家電関係の応用、こんなことが今後大きく伸びるだろう。
次の六ページには、御参考までにレーザーには最近こういうものがあるということを書いておりますので、これは後でごらんいただければ幸いでございます。
それで、七ページに光エレクトロニクスの国内生産規模というふうに書いてありますが、これは一番下に書いてあります光産業技術振興協会というところが各関連企業に毎年アンケートを行っておりまして、それによる生産規模の統計でございます。先ほど申しましたように、昭和六十一年度にはちょうど一兆円に達しておりまして、その中の大きなものとしましては光通信関係、これはその表の中の光部品関係のところに発光素子というのがありますが、その半分ぐらい、それから光ファイバーケーブル、コネクタープラグ、そういうものを足しまして、下の欄の一番最後の光応用システム、光通信システムを足しますと二千五、六百億円ぐらいが昭和六十一年度の規模になる。それから、その次に大きい応用が、先ほど申しましたコンパクトディスク、いわゆるオーディオディジタルに代表されます光ディスクでございまして、これはそのほかにビデオディスクとか最近はコンピューター用のディスク、そしてさらにはコンパクトディスクROMといいますか、電子出版ということで大きな電話帳とか大きな辞書が一冊の光ディスクの中に入る、そういう大きな分野、これが約三千億円ぐらいの規模になる。それで、八ページの下の図にございますように、これも予測でございますからわかりませんが、十年後の昭和七十年度には一応十兆円ぐらいにいくのではないかと期待しております。
それで九ページに移りまして、一番大きなエレクトロニクス関係の応用につきましては、通信への応用ということがあります。通信への応用ということをちょっと詳細に述べさせていただきます。
昭和三十五年にレーザー発振が始まって以来大変大きな応用と考えられておりましたが、空中を伝搬させるものは霧や雨でなかなか応用しにくいということがありました。その後ガラスの光ファイバーができまして、ちょうど昭和四十五年に低損失の光ファイバーと送信源としての室温連続発振の半導体レーザー、そして高感度の光検出器の三要素が偶然にも〇・八ミクロン、可視の波長よりちょっと長いところで実現したために、光ファイバー通信の実用化というものは非常に大きく膨らんだわけでございます。
光ファイバー通信の特徴は、その下の六−一表に示してありますように、非常に損失が少ない。具体的な例を申しますと、四百メガビットの回線といいますと、ちょうど電話五千回線を電気の信号で伝送しますと、従来の電気の同軸ケーブル、テレビの同軸ケーブルを思い浮かべていただければよろしゅうございますが、同軸方式は一・五キロメートル間隔に中継器を置く必要があるのに対して、光ファイバー方式は三十キロメートルぐらい、最近では三百キロメートルぐらいまでのものができております。したがいまして、特に海底ケーブルシステムを考えた場合に、中継器の数が少ないということは経済的に非常に大きなメリットでございます。そのほかにいろいろな特徴がございますが、漏話がない、電磁誘導を受けないという特徴がございます。
十ページに移ります。この特徴を使いまして、昭和四十九年に東京電力、関西電力が、現在東京の中には二十五万四千の高圧のケーブルが地下に埋設されておりますが、それが発電所あたりに雷が落ちますと遮断されます、それの高圧ケーブルの遮断の電流が隣の信号線に影響を与えまして、約一万アンペアぐらいの電流が隣の信号線に流れます。それを従来の電気ケーブルを使いますと大変でございますので、それを光ファイバー化するということで、世界で初めて野外実証実験をやった。その後、昭和五十年ごろからNTTも本格的に光通信を取り上げてきました。
それで、次の十一ページをごらんいただきたいと思います。一番上の図で、左側に短波長帯〇・八ミクロンと書いてありますが、これが先ほど昭和四十五年にこの波長帯で光ファイバーの低損失のものができ、半導体レーザーもでき、検出器も非常に高感度のものができたと申しましたが、当初は、昭和五十年代前半は、この〇・八ミクロン短波長帯の光通信でございましたが、現在ではその右の方に書いてあります長波長帯の一・三ミクロンの光通信が全盛の時代でございます。これは海底ケーブルも含めてであります。といいますのは、先ほど申しましたように距離が相当に延びる。例えば短波長帯は十キロメートル間隔の中継器に対しまして、長波長帯ですと三十キロ、将来は百キロメートルというふうになる。
その次の十二ページをごらんいただきたいと思います。そこの第六−二回に書いておりますように、NTTの回線が旭川から鹿児島まで日本縦断ルートが昭和六十年二月八日に完成いたしております。
次の十二ページをごらんいただきたいと思います。これは日本に限らずヨーロッパ、アメリカも同じでございまして、アメリカでも、米国本土くまなく光ファイバー通信網が敷設されております。六−四図に書いておりますが、さらに最近では、太平洋横継海底光ケーブルシステム、トランスパシフィック・ナンバースリーでございますが、これもKDD、ATT間の契約ができまして、昭和六十三年度までには完成する予定でございます。ちょうどグアムとハワイがございますが、グアムのちょっとハワイ寄りのところに海中分岐とございますが、これから右の方がアメリカ側で、左側は、この海中分岐よりグアムを含めて日本側の担当になっております。同じく大西洋横断のトランスアトランティック・ナンバーエイトも、昭和六十三年には完成する予定でございます。すべて現在は長波長の一・三ミクロン帯の通信で、光海底ケーブルの場合は約五十キロメートル前後の中継器間隔になっております。
将来こういう光通信がどのように進展していくかということでございますが、その次の十四ページをごらん願います。先ほど申し上げましたように、昭和四十五年に発見されたときは短波長帯〇・八ミクロンでございましたが、現在は、そこに書いております一・三ミクロン帯の直接検波受信というものが中継間隔約三十キロメートルで、現在これが全盛時代でございます。ことしから来年にかけましてさらに一層中継距離が延ばせる低損失のファイバーが使える一・五ミクロン帯の直接検波受信というものが出てきますと、中継距離は百キロ近くに延びる。さらに五年先ぐらいを考えますと、一・五ミクロン帯の光ヘテロダイン受信という新しい受信方式が出てきますと、これがさらに百五十キロぐらいまで距離が延びる。
ここで持に言っておきたいのは、実はこの光通信は、一・三ミクロン帯の直接検波受信それから一・五ミクロン帯と言いましたが、これは確かに電気通信に比べまして距離が何十倍に延びるといいましても、原理的には非常にプリミティブな段階でございます。半導体レーザーから変調して、光ファイバー伝送路を通して受ける、光のダイオードで検波していますから、ちょうど戦時中使いました鉱石ラジオの段階でございます。ところが、やはり先ほど黒田先生からもお話がございましたように、レーザーが非常にいいものがだんだん出てきまして、非常にきれいなサインウエーブの波が発振するようになりました関係上、ちょうど戦後鉱石受信機、まあ再生受信機からさらにスーパーヘテロダインのラジオが出てきたと同じように、この光も全く光ヘテロダイン受信機というのがやっと今出てくる段階になった。これもそこに書いておりますように、同調可能な単一周波数の半導体レーザー、周波数が電気的に高速に変えられる半導体レーザーが出てきたためにこういうものが将来可能になる。そういうわけで、光通信は非常に特徴があると思いますが、方式的にはまだまだな部分がございます。
さらに、この光通信は現在の波長は一・五ミクロンでございますが、さらに基礎研究を進めまして、五ミクロン帯とか十ミクロン帯というあたりを研究しますと、例えばそういう超低損失の光ファイバーができますと、一千キロメートルが無中継で伝送できるというような遠赤外の光ファイバーということも現在基礎研究が行われている。そういうものが可能になれば当然それに必要な発振器、受信器の開発も行われるだろう。
光通信の最後に申し上げたいのは、一番最初に申し上げました、空中を飛ばせる光通信は地球上では問題があったわけでございますが、現在人工衛星間では、マイクロ波が非常に広がっていくのに対しまして、レーザーは非常に指向性を絞っていきますから、将来人工衛星間の通信ということで再び脚光を浴びるだろうというのが光通信の実情でございます。
次に十五ページに移らせていただきます。現在、日本全国、アメリカも含め、ヨーロッパも含めまして、通信の伝送路、光ファイバーの幹線網が完成しております。ところが、これは東名高速、東北自動車道路その他の高速自動車道路が完備いたしましても、けさもそうでございますが、瀬田のインターで非常にそこで狭くなるわけです。ですから、伝送路は広くても交換機に達しますと、交換機の速度は伝送路の数十分の一のスピードしか通しません関係上、将来この交換機も先のままでやれば非常に広帯域の、特にテレビ電話その他画像情報がふんだんに使えるような時代がやってくるのではないかというふうに現在言われている。それで、現在通信関係では交換の光交換ということが次期の大きな目標に挙がっておりますが、この関係は日本が世界の先頭を切っております。しかし、まだ基礎研究の段階であります。
それから次は十六ページでございますが、情報処理・家電への応用であります。これは十七ページの絵をごらん願います。まず右側のいわゆるコンピューター関係の演算というところがございますが、ただしこれに関しましては現在の半導体のデバイスが大変進歩しておりまして、特殊な場合を除いて光が入ったりディスクが入ってくることはかなり将来だと思います。ところが左側の幹にありますように、入力では例えば文字の読み取り装置とか、最近スーパーに行きますとバーコードをレーザーで読んでいる。さらに出力ではレーザープリンター、これは非常に最近漢字の歌も高速で出るようなものができております。さらにメモリーとしましては、その上に書いてありますような各種の光ディスク。コンパクトディスクをお聞きになった皆さんはおわかりでございますが、大変音質がいい。これは傷をつけてもほとんど何も変化はございません。それからコンパクトディスクとCD−ROM、これはリード・オンリー・メモリーでございますが、電話帳からいろいろな人事、一冊のものがこの中に入りますので今後電子出版という大きな分野が発展するということで、これは非常に大きな革新を与えると思っております。さらに、我々の世界はいまだ音声を中心にした世界でございますが、将来画像情報が入ってきますと、画像情報というのは大体音声の一千倍の伝送容量が必要でございまして、画像情報の蓄積には光ディスクというのが非常に不可欠です。これにはさらに、例えば〇・六ミクロン帯の、現在〇・七八ミクロンという赤の光の半導体レーザーをつくっていますが、もう少し短いところの半導体レーザーの開発が期待されています。
それから、十九ページに移ります。まず計測への応用では、先ほど申し上げましたようにいろいろな観測関係、計測に使われておりますが、一番記憶に新しいのは一九六九年にアメリカの衛星が月へ行きまして反射鏡を置いてきました。その反射鏡というのは立方体の角を切りましたような反射鏡でございまして、どんな方向から光が来ても必ず来た方向に光を返すという反射鏡を置いてきたわけです。それに地球上からレーザーを与えますと、約四十万キロの月面までの距離を最近では数センチの精度ではかることができる。それから、人工衛星を飛ばしておりまして、これにレーザーを与えてこれの距離を正確に何カ所かではかることによって正確に離島間、大陸間の距離がはかれる。それで例えば地震の予知などに使うことができる。まあ日本列島が十センチぐらいずつ動きつつある、そういうことにも使われるようになった。
それから二十ページに移ります。加工への応用でございますが、これは007の映画でよく鉄の扉をレーザーで切る、そういう応用もございますが、むしろそれよりも電子、半導体関係の応用、非常に超精密加工に使われております。これは非常に局所的な、しかも真空を要さないという特徴があります。今後セラミックのような、例えばセラミックエンジンなどもございますが、セラミックのようなものの加工、これは刃物で加工しますと割れてしまいますが、それをレーザーで加工するというような用途も一つございます。
それから二十一ページ、医学への応用でございますが、網膜剥離関係では、既にコアギュレーターということでアルゴンレーザーで網膜を癒着する、こういうことがやられておりまして、最近ではがんの診断、治療というようなことにも応用されております。
二十二ページに移ります。レーザーの核融合に対しましては、JT60のようないわゆるトカマク型、トーラス型に対しまして一つはレーザーの核融合、これは大阪大学のレーザー核融合研究センターでも行われておりますし、アメリカではローレンス・リバモア研究所で非常に大きなレーザー核融合の実験が行われております。さらに、ウラン235の分離に対してもレーザー法というような研究が行われております。
省略しまして二十五ページに移らしていただきます。半導体デバイスの製造プロセス等への応用と書いておりますが、まず十の一のレーザー光の応用でございます。従来のレーザー光の応用というのは、レーザーで半導体を、いわゆる光を単なる熱のエネルギーに変えまして、熱エネルギーとして半導体への応用を考えておりますが、そうではなくて、最近レーザーの持っておるいわゆるエネルギーレベルを使いまして、そこに書いてありますようなレーザーCVD、これは薄膜の化学的気相堆積とか結晶成長を通していろいろなことができるようになっております。これは何が特徴がといいますと、現在のLSIは局所的なところにだけ成長させることはなかなか不得意でございますが、これはレーザーをある部分に当てますと、周りに影響を与えなくてその部分だけに特別の結晶成長をさせることができるというようなことで、非常にこれが期待をされている。
それから十の二、放射光の半導体製造プロセス等への応用でございますが、先ほど来上坪先生からもお話がございましたように、この関係は私どもエレクトロニクス関係では大変注目しているわけでございます。そこにも書いておりますように、現在御指導を受けながら高エネルギー研究所の施設を共同利用させていただいておりますが、あれはいろんな基礎研究の多目的——直径数百メートルございますが、将来考えますと、直径が四、五メーターぐらいで十億円というような小型専用の放射光の発生設備を私どもとしては大変希望しております。
次の二十六ページをちょっとごらんいただきます。放射光がなぜ必要がでございますが、縦軸に集積度、例えばメモリーに一メガビット、四メガビット、いろいろ書いてありますが、現在十六メガビットぐらいまでの半導体、超LSIまでには水銀灯のg線が使えます。ところが十六メガビットというと大体〇・五ミクロンの寸法でございますが、それが〇・二五ミクロンぐらいになってきますと、レーザーの中でもエキシマレーザーというものを使ったパターンの焼きつけ装置が必要でございます。ところが、さらにこれが〇・一ミクロン前後になりますとSR、いわゆる放射光が必要でございます。では何でこんなに半導体関係が容量をふやしたいかというと、先ほど申しましたように将来画像情報を扱うとなりますと、どうしても一ギガビットぐらい、現在一ギガビットのいろいろな問題を起こしておりますが、一ギガビットぐらいのメモリー、メモリーに限らずそのぐらいの集積度の半導体素子がありますと、現在のテレビ情報を非常にふんだんに扱って簡単に各家庭で画像の処理ができるという時代になります。それにはこういう専用の放射光設備がぜひ欲しい。
二十七ページに移ります。このような関係で、現在エレクトロニクス各メーカー文部省の高エネルギー研究所の御指導を受けながら、現在あの設備の中の幾つかのビームを共同利用させていただいて将来の高精細パターンの転写技術を研究しております。
その他半導体への放射光の応用としましては、先ほど上坪先生からございましたように、(2)(3)制に触れてありますような各種プロセス、分析、評価への応用がございますが、これなども例えば(3)のところで、現在の半導体デバイスというものはそれをつくる化合物半導体などの結晶が非常によくないと、それの上につくったデバイスも高性能化が得られないわけでございます。そういう結晶材料の強化には、この放射光の非常に強い高輝度、位相のそろったものを使って最近の実験をいたしましても非常に大きな成果を与えて、将来のデバイスの高性能化に大きく貢献をするものと考えております。
最後に、(4)のバイオエレクトロニクスの応用。これも上坪先生からお話がございましたように、例えばたんぱく質の構造変化などがございますと、それは放射光を使いますと非常によくなる。そういう生体メカニズムが将来バイオコンピューターのようなバイオエレクトロニクスの方に反映することも考えられる。
二十八ページに移ります。これにつきましては、黒田先生からも御説明がございましたように、一応日本と各国の比較でございますが、かなり独断的な比較でございますが、通信関係では確かに日本は進歩していると申しましても、やはり医療、エネルギー関係、ハイパワーのものとか基礎研究に近い面に関しましては日本はかなりおくれておる、その辺ははっきりしております。
二十九ページに移ります。以上、レーザーを中心といたします光エレクトロニクスというものが現在一兆円の規模といいましても、先ほど申し上げましたように、昭和三十五年にレーザーが発明されてからレーザー産業が起きたのは、大体二十年たって一九八〇年ごろからです。ですから、サイエンスで大きな芽が出ましても、実際の大きな産業規模になるには最低二十年はかかるというふうに考えております。そういう意味では、多少具体的な例でございましたが、先ほどの筑波の放射光設備に関しても、あれができたときに、将来の超々LSIのようなファインパターンに使うということを我々エレクトロニクスメーカーは実は考えてはいなかったわけでございます。ああいう科学技術の大きな設備、ビッグサイエンスというものがあったおかげで我々はそういう利用ができる。これはやはり科学と技術の相関関係で、そして一方、そういう科学に根差した技術が伸びることによってまた科学がさらに一層促進される、そういう関係にあるのではないかと思っています。
それで、レーザー関連の技術に関しまして申せば、大出力化、短波長化、波長可変化、小型化、こういう基礎研究がさらに必要でございますし、もう一つ、それの利用技術、これの高度化技術も大変必要だと思っております。
最後に申し上げたいのは、やはりサイエンスを、現在、超電導のような場合もございますが、放射光の設備その他考えますと、ビッグサイエンスとはここでは言いませんが、やはり相当な金額を投じないと科学の芽も出ないという状況に、実はそういうものの中からまた幾つかが工業的に発展してくるというような段階になっていますので、ぜひこの放射光の設備に関しましては今後国の強化策をお願いしたいと思います。
以上でございます。