上谷清の発言 (法務委員会)
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○上谷最高裁判所長官代理者 起訴前の和解と申しますのは、これはもう委員御承知のとおり、本来は裁判所が紛争についていろいろ事情を聞いてあっせんをしながら和解をまとめ上げていくという制度でございますが、実際にはこれが、即決和解という言い方で呼ばれていることからもわかりますとおり、申し立ての前に当事者間で十分話し合いが進められまして、紛争の解決につきまして実際は条項等もほぼまとまった段階で裁判所に申し立てられてくるというのが多いわけでございます。そのために、例えば今問題になっております土地に関する権利の移転について国土利用計画法等の規制等がありましても、当事者の方から積極的に規制内容について説明をしてもらう、それを受けて裁判所が検討するという機会が非常に乏しいという実情にございます。
ただ、統計的な数字では即決和解の数は非常に多うございますが、これは、今回の問題がございまして、東京周辺の裁判所に土地の権利の移転に関する事件の大体の割合をサンプル的に調べていただきましたところ、多いところで一割強、少ないところですと五%前後というふうな数字になっておりまして、件数としては少のうございます。それから、特に規制の対象となるような広い面積の事件というのはそう多くはございません。私どもの方で、果たしていわゆる悪用と申しますか、脱法行為が行われたかどうか、必ずしも把握できないわけでございますけれども、全体としてまだ。そう多くの数が悪用されているというほどではないように思います。しかし、そうは申しましても、土地の権利の移転に関する規制が脱法的に行われるということがあると困りますので、私どもの方としても、今回こういうことが問題になったのを機会に、各裁判所にせんだっての国会で改正されました改正法の内容とか、それから今回問題にされている内容等をお知らせいたしますとともに、実務の取り扱いについて役立つような事情をいろいろとお知らせしたわけでございます。
つまり、仮にこういうふうな脱法行為を防止しようということになりますと、先ほど申しましたとおり当事者の方から進んで資料を出してくれるということを期待しにくいものでございますから、どうしても裁判所の方で進んで規制があるかどうか、それから従前の経緯がどうかということを調査しなければいけないわけでございます。そのための材料を裁判所が持たなければいけないわけでございます。ちょうど今国土庁から御説明ございましたとおり、国土庁の方では、各都道府県の方で裁判所からの照会があればできるだけ迅速に裁判所の照会にこたえる態勢をつくりたいというお話がございまして、これは私どもの方としてもそういう情報を知らせていただきますとこういう脱法行為の防止のために大変有益でございますので、そういうことであればぜひともお願いしたいということで、国土庁の方から各種の照会先を御連絡いただき、その照会先へ連絡すれば規制の対象になる土地であるかどうか、何平米以上が規制の対象になるか、あるいはまた国土利用計画法二十四条の規定にございます適正でない価格というのがどのくらいの金額なのかというふうな資料を教えていただける、そういうふうな態勢をつくっていただき、そのことを私どもの方で全国の高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所に連絡したわけでございます。
これは即決和解でございましても、その他の裁判上の和解あるいは調停、いずれも司法裁判所が独立した判断によってされることになりますので、私どもの方としては、事務当局としてかくかくしかじかの取り扱いをしてほしいという趣旨で、通達というような形で流すわけにはまいりませんので、材料を提供しまして各裁判所の判断の資料を豊富にしていただく、そういう趣旨で連絡をさせていただいたわけでございます。今後、八月一日から施行されるいわゆる監視区域の指定につきましても、指定がなされた場合にはその資料等をそれぞれの裁判所に速やかにお送りいたしまして、裁判官が容易に必要な資料を収集しまして、適切な和解、調停等の処理ができるような態勢を整えてまいる所存でございます。