水谷弘の発言 (本会議)

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○水谷弘君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案について、反対討論を行います。
 今我が国は、円高不況の中で対外不均衡の是正を迫られ、そして産業構造転換という歴史的な変革を余儀なくされております。すなわち、対外不均衡是正のための円高誘導策は肝心の不均衡是正に寄与せず、急激な円高は我が国経済を円高不況に陥れ、ただただ産業界に構造調整を強要するという結果を招いているのであります。本来であれば、六十二年度予算において、大幅所得税減税、生活関連社会資本整備の拡大など、内需拡大を柱とした拡大均衡型の積極財政へと大胆な転換を図るべきでありました。にもかかわらず、四年連続で一般公共事業費をマイナスとし、個人消費拡大のための所得税減税よりも、逆に消費を萎縮させ抑え込む売上税導入、マル優廃止を企図したのであります。
 その結果がいかなる事態を招いたか。まだ本予算の成立していない段階において、パリで開かれたG7、先進国蔵相会議等で名指しで内需拡大を迫られ、国会でも財政の追加が議論されたことは周知のところであります。したがって、本予算成立後わずか二カ月も経ずして大型補正予算を編成しなければならないということは、本予算が欠陥予算であったことを裏づけるもので、中曽根内閣の責任は極めて重大であります。これまでの中途半端な緊急臨時の財政出動では効果は一時的であり、内需主導による経済成長、産業構造のスムーズな転換といった要請にこたえることはできません。
 以下、補正予算案に反対する主な理由を申し述べます。
 第一に、補正予算案では所得税減税が見送られているということであります。
 我々は、内需拡大を図るとともに、重税、不公平にあえぐ中堅サラリーマン層の税負担を軽減するために、二兆円規模の所得税減税の実施を主張してまいりました。しかし、政府・自民党は、マル優制度の廃止に固執し、これが実現できなければ緊急経済対策に掲げられた一兆円の減税すら実施できないという態度をとり続けているのであります。マル優制度は、老後や病気への備え、住宅の取得等、庶民の自助努力に利用されており、この実情を無視して、不正利用があるから制度を廃止するというのでは、角を矯めて牛を殺すのたぐいであり、まさに弱い者いじめで、財源あさりと言わざるを得ません。マル優制度等非課税貯蓄制度は、いわゆるグリーンカード制により限度額管理を徹底して公正を期し、存続すべきであります。
 私は、この際、六十二年度所得税減税については、速やかに六十一年度決算剰余金及びNTT株式売却収入を財源に二兆円規模で実施すべきと考えます。また、所得税減税のための恒久財源については、不公平税制の是正によって確保すべきであり、有価証券譲渡所得などキャピタルゲイン課税の強化、マル優を除く利子配当所得課税の総合課税化など、直接税の中の不公平の是正を強く主張するものであります。
 第二の理由は、生活関連の公共投資が十分確保されていない点であります。
 補正予算案では一兆二千億円の一般公共事業が内需拡大の柱となっておりますが、五十六年度以降積はいないしマイナスに抑制されてきた経緯からいって、規模も必ずしも十分とは言えません。その上、この公共事業は住宅、居住環境整備などが中心となるべきでありますが、それにもかかわらず、公共事業の配分は従来とほとんど変わっていないのであります。特に重視しなければならない住宅対策費の配分比率は四・一%であり、下水道、環境衛生等の居住環境整備費を加えても、配分比率は二四・六%にとどまっているのであります。我が国の生活関連社会資本の整備は、欧米先進国に比べて著しくおくれており、生活大国を目指すためにも、中長期的な計画のもとに、大都市を中心とした住宅、居住環境の整備の促進を強く訴えるものであります。
 また、NTT株式の売却収入は国民共通の資産であり、国民に還元する方法として、公共事業財源に限定することなく、幅広い活用方法を検討すべきであります。さきにも述べたとおり、我が党は、六十二年度の所得税減税の財源として充てることを主張するものであります。
 第三に、雇用対策、中小企業対策への配慮が不十分な点であります。
 急激な円高の進行による雇用調整の名のもとに大量失業が発生し、雇用情勢は一層深刻化してきました。この五月、完全失業率は三・二%、失業者数は百九十一万人と過去最悪であります。しかしながら、政府の雇用対策は失業予防がほとんどであり、雇用機会の創出の面では十分とは言えない実情にあります。特に経済企画庁の地域別の新規雇用の見通しによると、六十年から六十八年までに生ずる新規雇用のうち五二・三%が東京圏で占められております。一方、北海道、北陸、中国、四国などは極めて厳しく、地域間の格差はますます拡大する傾向があるとされていることからも、政府は速やかに雇用の厳しい情勢を認識して、雇用機会の拡大のために地域主導の多角的な取り組みを行うべきであります。
 また、中小企業の経営も次第に深刻化しつつあり、民間調査機関の調べによると、急激な円高が始まった六十年十一月以来の円高倒産件数が、この六月千件を超えたのであります。今後も、親企業の海外進出等の影響もあり、下請企業の倒産の激増が予測されますが、金融、税制上の対策はもとより、下請代金支払遅延等防止法の強化、中小企業向け官公需の拡大等、実効ある対策が急務であります。第四に、大型補正予算の編成が地方財政を圧迫している点であります。六十二年度の補正予算の地方負担は約一兆二千億円で、六十一年度補正予算の二千五百三億円と比べると実に約四・八倍、地方単独事業分八千億円を加えると二兆円規模となっています。この地方負担については、全額を地方債発行で手当てするという従来の方式を改めないと、地方自治体の財政は大きな圧迫を受け、公共事業の実効性も期待できません。公共事業を円滑に執行するため、地方負担については、六十一年度決算剰余金などによる地方交付税の特別加算を行うべきであります。
 最後に、防衛費の減額修正を十分に行っていない点であります。
 我が党は、予算委員会の質疑において、売上税負担分の不用額、円高差益分を減額することによって防衛費はGNP比一%の枠内に十分おさまることを示しました。防衛力増強政策の歯どめであり、我が国の平和政策の一つである防衛費のGNP比一%枠の突破は断じて容認できません。改めてその堅持を強く要求します。
 以上、反対の主な理由を申し述べまして、私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 110905254X00519870717_012

発言者: 水谷弘

speaker_id: 31030

日付: 1987-07-17

院: 衆議院

会議名: 本会議