中曽根康弘の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 堀議員にお答えをいたします。
税制という問題が国民的な重要性を持っておる課題であるということは全く同感でございます。
それで、この法案をつくるにつきましても、御存じのように、政府は、昭和六十年の四月に自民党の税制調査会でこの論議を始めていただき、九月に政府税調に諮問いたしましていろいろ御論議も願い、政府税調は国民の皆さんの御議論も承って、そして翌年の秋に政府に答申をした。それを今度は党税調が引き受けまして、今お話しになった山中会長のもとに党として白熱的な議論を交わしたことは、皆さんもテレビで御存じのとおりなのであります。そういうようなかなりの手続をしまして、我々としてはこの法案を提出いたしました。
しかし、通常国会におきましては、遺憾ながら審議も十分行われずに挫折したことはまことに残念でございましたが、今回はまた出直しをいたしまして、周到な配慮をもちまして、いろいろな新しい仕組みも考えて再提出をしたわけです。
その上に、八月七日の幹事長・書記長会談におきましては、野党の御議論も入れまして、党でも相談した結果、「二千億円を上積みし、六十三年度において、地方税を含め二兆円を超える額とする。利子課税制度の改組の実施時期については、六十三年四月一日とする。財形貯蓄の利子は非課税とする。利子課税制度のあり方については、総合課税への移行問題を含め、五年後に見直しを検討する。」こういうような思い切った譲歩もいたしまして、周到な配慮も示したと私たちは思うのであります。
このような考えに立ちまして本法案を提出したのでございまして、我々の考え方は以上のような考えに立って責任を持って提案したということを申し上げる次第なのでございます。
次に、一人一店舗に限りマル優を残すという過去のお話を承りました。私は、平生堀さんの御見識には心から敬意を表しておる者で、あの当時としては、過去の戦時中の制度、貯蓄組合等を廃止するための合理的な制度であったと思うのです。しかし、今日のように日本の貯蓄はこれだけ膨大になりまして、また、御自身がおっしゃっているように、乱用され、悪用されて、これは目を覆うばかりの状態もなきにしもあらずである。
そういう情勢のもとに、給与所得や事業所得や法人所得との間の不公平をどういうふうに是正するか。貯蓄奨励といった目的は、一応は今の状態ではもう過ぎておって、国際的な摩擦を起こしている、こういう状態になりましたならば、やはりもうここで考え直すときではないか。堀さんがおっしゃるように、一人一店舗というようなお考えもしかるべきお考えではあると思いますけれども、その必要が今日あるか、ほかのものとの不公平というものを考えてみた場合に、公正の原理からどういう態度が正しいか、そういうふうに我々は考えた。
しかし、我々の方は、やはり社会的に弱い方である老人や母子家庭や身体障害者の皆さん、あるいはさらに財形貯蓄にいそしんでおる勤労者の皆さんには特別の配慮をしておるわけです。堀さんの先ほどの「堀・武藤レポート」を読みますと、そういう社会的に弱い人も何も特別に恩典を与える必要はない、税は同じように扱え、ただし、そういう人は社会保障で面倒を見なさい、そうおっしゃっておりますけれども、その点は我々は非現実的であると考えて、弱い人は守ってあげるという考えに立脚しておるものなのでございます。(拍手)
次に、ただいま主税局の問題についていろいろ御言及がありましたが、我々は国会議員でございまして、国会で審議をして、国会の権威において議論を尽くしていく、これがやはり国会というもののあり方ではないか。やはり審議を尽くすということが国会議員の責任で、審議を拒否するということは国会議員の責任に反するのではないかと私は考えておる。(拍手)その内容について、賛否はみんな違います。各党によっても違います。しかし、その考えの違うことを審議を通じて国民に明らかにするということが国会議員の責任である、そのように我々は考えておるのでございます。(拍手)
大蔵省のやり方につきましても、批判すべき点はかなりあると考えますけれども、しかし、我々はやはり国会議員としてさらに高度の立場に立って考え方を述べ、最終決定をすべきものである、こういうふうに考えておる次第でございます。
残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕