中曽根康弘の発言 (本会議)
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○国務大臣(中曽根康弘君) 猪熊議員にお答えをいたします。
まず、ソ連との事件の問題でございますが、先
ほども申し上げましたように、ソ連のポクロフスキー通商代表部代表代理が東京航空計器株式会社のフライト・マネジメント・システムの研究に関連した資料を違法に入手いたしました。我が国法に触れた方法でありましたので、我が国としては出頭を要請していたところでございますが、これに協力しなかったということでやむを得ず退去を要請した次第なのであります。
また、竹島防衛駐在官の行為につきましては、諜報活動があった由でありますが、報告によればそれは事実無根であると、こう報告を受けておるものであります。
いずれにせよ、今回ソ連がとった処置については甚だ遺憾でありまして、日ソ友好に水を差すというふうに考えざるを得ません。この問題が日ソ友好関係に悪影響を及ぼさないように我々は希望もしておりますし、こういうようなことが繰り返されないように強くまた希望もしておるものでございます。SDIその他の関係があるからという憶測もありますが、ソ連側の考え方の憶測についてはこれを差し控えたいと思っております。
いずれにせよ、日本としては正当の理由により主権の範囲内の処置としてとった措置であり、それは対抗措置でもなければ報復措置でもないのであります。
この案件が日ソ外相会談その他に影響を及ぼすかどうかという御質問でございますが、私は及ぼすものではないと考えております。
次に、財政運営の基本方針の問題でございますが、政府は、臨調及び行革審の答申の基本線に沿って財政運営を行っております。したがいまして、行革審の答申にも基づきまして臨時緊急の措置、対応はこれを認められておりまするので、来年度の概算要求基準にいたしましても一般行政経費はマイナス一〇%を貫いておりますが、社会資本や公共事業についてはこれを例外としておる、そういう方針をもって対処しておるところでございます。今回の補正予算もそのような緊急措置の一環として編成されたものであり、財政改革の基本方針のもとに、NTT株式売却収入を活用するほか、特例公債の増発を回避した、こういうことであります。
我が国財政の厳しい状況にかんがみまして、財政の対応力をできるだけ早く回復するため、今後とも財政改革を推進するとともに、経済情勢には適切に対処してまいりたいと考えております。
マル優廃止、一律分離課税の問題でございますが、今回政府が提出した税制改正法案においては、利子所得の発生の大量性、その元本である金融商品の多様性、浮動性といった特異性に配慮いたしまして、簡素、中立、効率といった要請にもこたえるものとして一律分離課税を採用したものなのであります。
一律分離課税への移行は、むしろ高額所得者に実質的には負担増を求める結果になり、実質的な公平を進めるものであると我々は考えております。
増収額と財源との関係でありますが、利子課税制度の見直しによる改正増減収額については現在精査中であり、利子課税制度の改正による税収が平年度化して、歳入増加が完全に実現するまでにはかなりの時間を要するものと考えていることは御指摘のとおりです。所得税減税を利子課税制度の改正を恒久財源として行うとの趣旨は、所得税減税と利子課税制度の改正がいずれも恒久的な制度改正として行われ、平年度において比較さるべきものであるという点において考えるべきであると思います。
NTT株による国債の上乗せ償還の問題でございますが、上乗せ償還を行って、国債残高の減少に努めることも考えられますけれども、現下の経済情勢に緊急に対処する必要があるため、最終的には国債償還財源に充てる前提で、一時的にNTT株式売却収入の実績の一部を活用し、社会資本の整備の促進を図る、こういう措置をとったものであり、理由は、国民共有の財産であるNTT株式というものは、国民共有の負債の償還があるいは資産として残るものに充当したい、そういう方針に基づくものなのであります。
NTT株売り払い収入見込みと処分方法でございますが、具体的な収入見通しについては、先ほど大蔵大臣も申し上げましたように、いろいろなファクターがありまして困難でございます。
今回の御審議をお願いしている法案により、NTT株式売り払い収入の実績の一部については、国債整理基金の円滑な運営に支障のない範囲内で社会資本の整備の活用に努めると、こういうことにした次第であります。
減税財源としてこの株式売り払い収入を充てるということにつきましては、やはり恒久的な財源措置を必要とするという観点から、適当でないと考えた次第なのであります。
土地の私権の問題でございますが、土地は生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤となる限られた資源であり、適正かつ合理的な土地利用の実現を図ることが極めて重要であります。
そのためには、土地の私的な保有、処分、利用に対して、公共的な立場から制限及び誘導を行うことが有効である場合もあると思います。
しかしながら、これは国民の財産権に深くかかわる問題であり、土地に対する制限や負担についての議論を深め、諸方策の整備充実を図る必要があると考えます。
先日、新行革審に対しまして、地価等土地対策に関する基本的かつ総合的な改革方策について提言を願いたいと要請もし、政府としても、これらの検討を踏まえつつ、総合的な土地対策を積極的に推進をいたします、
国公有地の売却方針につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございますが、国有地は国民共有の財産であることから、極力公共部門において有効活用を図ることを基本としております。
処分に当たっては、公用、公共用優先の原則のもとに、地方公共団体に対して優先的に処分する方針でおります。
地方公共団体等から利用要望のないものについては、有効利用の観点から民間処分としております。
公有地についても、住民共有の財産であることにかんがみ、公用、公共用優先の考え方のもとに、有効活用を図ることが必要と考えます。
国鉄清算事業団用地の処分方針でございますが、国鉄清算事業団の用地は、同事業団に帰属した約二十六兆円に及ぶ膨大な債務を償還して、国民負担をできるだけ軽くするための重要な財源であるので、処分に当たっては、投機的取引を防止し、かつ地価の高騰を招かないよう厳格な条件を付した上で、適正な価格により処分する方針でおります。もちろん、この中には信託制度というようなものも当然活用の方針として考慮していい場合もあり得ると思います。
土地政策との関連につきましては、国鉄清算事業団の用地について、その土地利用に関する計画を策定した上で、有効かつ適切に利用されるよう処分が行わるべきものと考えているところ、今後の具体的な処分の方法等については、国鉄清算事業団に置かれている資産処分審議会において各方面の意見を聞きつつ、適切に対処するよう国鉄清算事業団を指導する所存でございます。
残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕