橋本龍太郎の発言 (本会議)
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○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一点として、高知沖及び千歳上空におけるニアミスの事実関係につきまして御報告を申し上げます。
機長の報告によりますと、八月十一日の高知沖における異常接近は、全日空三五四便鹿児島発名古屋行きが、レーダー管制下において高度二万九千フィートで飛行中、串本の西南西約百八十キロメートル付近において海上自衛隊U36A訓練支援機と接近したというものであります。
一方、八月十九日の千歳上空の異常接近は、全日空三三九便新潟発千歳行きが、千歳のレーダー管制下において高度一万二千フィートで飛行中、千歳の東約二十五キロメートル付近において航空自衛隊F15戦闘機と接近したというものであります。
これらの事例は、目下事実関係の調査に入っておりまして、調査結果はできるだけ早く発表できるようにいたしたいと考えております。
次に、日本航空の完全民営化の理由いかんというお尋ねでありますが、日本航空は、戦後我が国が速やかに自主的な国際航空運送事業を開始するため特殊法人として設立されたものでありますが、その後の航空輸送の著しい発展により、同社も含めて我が国の航空企業の基盤が強化されてまいりました。
この結果、国際線、国内線ともに競争の促進が可能となり、それによって利用者利便の向上を図ることが適当であると考えられ、そのためにも企業間の競争条件の均等化を急ぐ必要があると考えられるに至っております。
また、とかく親方日の丸意識などが批判されております日本航空の体質改善のためには、完全民営化により自主的かつ責任ある経営体制を確立することが適切であると考えられまして、これらにより経営の効率化、サービスの向上等を私どもは期待をいたしております。
また、中期計画は、日本航空が企業として独自に完全民営化に対応した企業運営の目標として定めたものでありまして、増収と経費削減に努め、安定的な配当を継続し得る企業基盤の確立を目指したものであります。
本計画は、日航としての基本的な目標を掲げたものでありまして、その達成につきましては、今後の具体的な経営施策を待つ必要がある部分も多いと考えられますが、最大限の努力によってこの目標が達成されることを期待いたしております。
今後、日本航空が安全運航を確保しながら、全社一丸となって具体的経営改善施策に取り組めば、私どもは、会社が目標としている安定的な配当をし得る経営基盤の確立は十分可能であると考えております。
また、ボーイング747−400型機は、ボーイング社が機長及び副操縦士の二名で運航できるよう設計開発中の航空機であり、日本航空では現在、乗員編成会議の答申を受け、さらに新機材導入検討委員会を設けて慎重に検討した上で結論を出す予定であると聞いております。
運輸省としては、日本航空が同型機の導入を決定いたしました場合には、製造国政府の厳しい安全性審査に合格することを前提として、耐空証明の機会において、二名乗員による安全性についての慎重な検討をいたしてまいりたいと考えております。
また、日本航空の職場における安全衛生委員会につきお尋ねがございました。
御指摘のように、労働安全衛生法に基づいて安全衛生委員会が設置をされております中に、日本航空乗員組合など一部の組合が参加いたしておりません。これにつきましては、会社側からは、従来から関係の組合に対して安全衛生委員会への参加を呼びかけておると聞いておりますが、組合の方から委員の推薦が行われていないと聞いております。運輸省としては、この事態が労使の努力により改善されることを期待しております。
また、個別の労使問題に私どもは介入する立場にはございませんけれども、航空輸送事業という非常に公共性の高い事業を監督している立場から、日本航空の労使関係に深い関心を有しております。
殊に、日本航空が今後完全民営化を控え、厳しい競争状況の中で的確に事業を遂行していくためには、労使双方が信頼関係に基づく健全な労使関係をつくり上げていくことが必要であると考えておりまして、労使双方の関係者の努力を期待いたしております。
組合の数につきましては、一企業一組合が望ましいと思いますが、これはまさに労使間の問題であり、あるいは労働組合間の問題であると申し上げてもよろしいかと存じます。
また、近年の円高傾向に伴い、国際航空運賃について、外国発の外貨建ての航空運賃を円に換算した場合、日本発運賃よりも安くなっているといういわゆる方向別格差の問題を生じております。この現象は、変動相場制のもとではある程度不可避的なものでありますけれども、長期にわたって相当な格差が続く場合には、航空会社の経営状況も勘案しながら、漸次この縮小のための措置を講じてきております。
昨年度は、太平洋線、欧州線、豪州線につき日本発の運賃を引き下げ、外国発の運賃を引き上げる措置をとりました。また、本年の七月には、太平洋線につきまして、日本発を七・四%値下げをすると同時に、アメリカ発運賃を五%引き上げるといった措置を実施したところでありまして、今後ともに適切な対応をしてまいりたいと考えております。
また、国際路線を運営いたします航空企業におきましては、確かに外貨建ての収入と外貨建ての経費というものがございますが、この比率がほぼ等しくなっておりますために、円高そのものによる直接の差益はほとんど発生をいたしておりません。しかし、原油の価格低下等に伴って、燃料費についてはかなりの費用削減を見ております。そこで、私どもは、こうした点に着目をしながら、各種割引運賃の拡充でありますとか、国際航空運賃の引き下げ等の措置を講じてまいっております。ただ、航空企業の経営状態そのものは、議員の御質問の中にも一部ございましたように、五十七年以降運賃の設定が行われておりませんこともあり、厳しいものがあることは御理解をいただきたいと存じます。
また、国内航空運賃の南北格差につきましては、北海道方面は需要量が一般に少ないこと、また季節波動が大きいことから他方面に比べて割高になることはやむを得ない面もありますが、これに加えて、運賃設定後におきまして飛行ルートが短縮され、割高感を増幅しておる面があることは否定できません。今後の運賃改定に際しましては、このような点も考慮して対処してまいりたいと考えておりますが、本件につきましては、航空運賃問題懇談会において、現在意見の取りまとめをお願いいたしておりまして、この御意見等も踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
また、一昨年八月の日本航空一二三便の事故発生以来、運輸省といたしましては、日本航空に対して業務改善勧告を行い、点検整備の強化、整備要員の増員など整備体制の充実強化を指導いたしますと同時に、航空事故調査委員会の勧告を踏まえて、大規模な構造修理を行う場合の管理体制に係る指針等を定め、航空運送事業者を指導してまいりました。
日本航空におきましては、これらを受け、整備要員を事故後大幅に増員するなど整備体制の強化を図っておるところでありますが、運輸省としては、今後も整備作業の質及び量に対応した整備体制が十分確保されるよう指導監督してまいりたいと考えております。
運輸省自身につきましても、昭和六十一年度から航空局に整備審査官を置き、航空会社の整備全般について一層きめ細かい指導監督を実施いたしておるところであります。
また、日本航空の政府所有株式の放出の方法等につきましては、大蔵省において、国会の御審議を踏まえながら、国有財産中央審議会の議を経て検討されるものと聞いておりますが、運輸省としては、運輸政策審議会の答申にもありますように、この放出に当たりましては、今後の日本航空の円滑な事業活動の維持にも十分配慮する必要があると考えております。
なお、売却益につきましては、財政当局に空港整備財源として用いるよう要望いたしてまいりました結果、本年度予算におきまして、売却益の一部を活用し、六百二十二億円が産業投資特別会計から関西国際空港株式会社に対して出資されることになっております。
以上、答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣栗原祐幸君登壇、拍手〕