中曽根康弘の発言 (本会議)

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○国務大臣(中曽根康弘君) 赤桐議員にお答えをいたします。
 まず、直間比率是正の御質問でございますが、戦後四十年間にわたる社会経済情勢の著しい変化に即応いたしまして、シャウプ税制以来の税制に対し全般にわたって根本的な見直しを行うことにより、二十一世紀を展望した新しい税制を確立することは、ぜひとも行わなければならない喫緊の課題であると考えております。
 今回の税制改正法案は、税制全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえて、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を取りまとめたものでございます。
 今後の税制改革の展望につきましては、さきの衆議院議長のあっせんにおける、直間比率の問題もあり税制改革は急務である旨の御指摘を踏まえまして、政府としても、この協議会の推移を見守りつつ、慎重に検討してまいる考えでおります。
 二兆円規模の減税実施の御要望でございますが、今回政府が提案しました減税案は、中堅所得者層の税の重圧感、不公平感に配慮して、働き盛りの中堅サラリーマンの税負担を大幅に軽減し、あわせて内外からの内需拡大の要請にこたえるために行うものであります。減税規模でも、当初案の約一兆円に比しまして三千億円程度の上積みが図られ、一兆三千億円程度といたしましたところ、衆議院において、この案に対して、与野党幹事長・書記長会談における与党からの提案を踏まえ、議院修正による減税の上積みが行われまして、この修正を含めた減税額は、昭和六十三年度において地方税を含めて二兆円を超えるものとなり、現下の厳しい財政事情を踏まえたぎりぎりのものであると考えております。
 マル優問題でございますが、非課税貯蓄制度について何らかの方法により不正利用を防止して存続すべきではないかとの御指摘については、巨額の利子所得が課税ベースから外れており、給与所得、事業所得との間で税負担の不公平をもたらしていること等、現行制度自体が抱えている基本的問題点の解決には役立たないと考えられる。
 また、老後生活に充てるための所得の確保の問題であれば、老年者控除の水準や年金に対する課税のあり方等との関連で総合的に考えるべきであって、利子課税のあり方との関連でのみ取り上げることは必ずしも適当ではないと考えられます。
 金持ち優遇ではないかという御質問でございますが、今回の改組は、現行非課税貯蓄制度に内在するさまざまな問題を解消するための抜本的な見直しの必要から起こったものであります。これは本格減税のための恒久財源を確保するためにもまた不可欠であると考えておる次第であります。
 一律分離課税は、利子所得の発生の大量性、その元本である金融商品の多様性、浮動性といった特異性に配慮して、簡素、中立、効率といった要請にもこたえるものとして採用したものであります。一律分離課税への移行は、むしろ高額所得者に負担の増加を求め、実質的な公平を進めるものになるものと考えられます。したがって、金持ち優遇であるという御指摘は当たらないと思います。
 減税財源につきましては、恒久財源を確保しつつ実施することが必要であります。
 今回の税制改正法案における減税の恒久財源については、利子課税制度の改正を中心として、期限の付されておる税制上の特例措置その他のものまで含めれば、何とか財源措置に見合ったものとなっておると思われますが、それによる税収が平年度化して歳入増加が完全に実現するには、なお時間を要するところであり、そのための財源措置については、今後各年度における歳入歳出両面を通ずる財政運営全体の中で処理してまいる考え方でございます。
 売上税問題に関する御質問でございますが、売上税は廃案となりましたが、将来、直間比率を含む各税制の抜本的改革というものは議長あっせんにもございまして、与野党の課題であり、我々がこの問題を放棄したものではないのでございます。これを政権の座を維持するための方便にしているという発言は当たらないものなのであり、政府としては、あくまでもこの衆議院議長のあっせん案に基づく総括的な税制全般の改革を目指して、その入り口としてこのような改革に与野党の御協力をいただきながら入ろうと、そういうふうにしているものなのであります。大きな将来の問題については、協議会の御論議等も見守りたいと思っておると申し上げたとおりであります。
 売上税を計上したままの予算に対する御批判でございますが、売上税関連部分の手直しは、見積もりである歳入予算の手直し及び歳出予算に計上された売上税分の削減であり、直ちに手直ししなくても支障は生じないものと考えております。政府としては、今後他の補正要因の動向も十分見きわめた上で、例えば第二次補正というような考えに立って、次の機会に御指摘の部分についてあわせて手直しをいたす考えでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 110915254X01019870904_008

発言者: 中曽根康弘

speaker_id: 15356

日付: 1987-09-04

院: 参議院

会議名: 本会議