渡辺四郎の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○渡辺四郎君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に御質問いたします。
 冒頭に、地方税の柱であります住民税が多額にわたり紛失した事件が起きております。このことについてお伺いいたします。
 福岡県京都郡苅田町で、住民税が長年にわたり町収入役名義の裏口座に振り込まれ、数千万円が使途不明と言われている事件が報道されてから既に五カ月以上経過をいたしました。マスコミの報道内容からも、これほど公務員の業務上横領、背任の疑いがあるのに、なぜ事件の解明にこんなに時間がかかるのか、これは納税者だけでなくて、多くの方々が疑問を持っています。
 法務大臣、納税者の立場からも、ぜひひとつ事件の早期徹底究明を求めていただきたいと存じますが、その捜査の進捗状況についてお示しいただきたいと思います。
 続いて税制改革について伺います。
 まず、総理にぜひとも明らかにしていただきたいのは、税制抜本改革、さらには大型間接税については放棄したのか否かという点であります。
 昨年は減税の裏には売上税がくっついてまいりました。今度はそんなことはないのかあり得るのか、国民の前に明示すべきであると考えます。
 第二に、ことしは地方財政にとっていろいろな意味で異常な状態が続いております。
 当初予算編成時において、政府は、売上税創設、マル優廃止を既成事実化させるため、その部分の自治体予算への計上を強要しました。しかし、六十二年度地方財政計画は、売上税、マル優廃止法案が廃案となる中で、その税目すらも消え、政府予算全体とともに根拠なき財政計画の状態が続き、今や地財計画自体が地方財政に混乱を与え、自治体の財政運営を大きく阻害しております。
 そこで、この際、総理は、こうした混乱を招いたことについて全国の自治体に謝罪し、その責任の所在を明らかにしていただきたいと考えます。
 第三に、政府の説明によると、売上税、マル優の影響額及び法人関係税の増税の見送りによる地方税収の落ち込みは、六十二年度交付税に特例加算するとされています。しかし、その財源はもともと六十一年度決算剰余金の交付税繰入分であり、地方の固有財源であります。国の責任による地方の税収減を地方固有の財源で穴埋めするということは、すなわち地方財政に責任と負担を転嫁することにほかなりません。なぜ国の自前の財源で補てんをしないのか、大蔵大臣、自治大臣から地方が納得し得る御答弁を求めたいと思います。
 税制改革と地方税について伺います。
 私は、シャウプ以来の税制抜本改革とされながら、なぜ地方の意見が全く考慮されていないかということを問題にしたいと思います。今日において税制改革を行うのであるなら、国と地方の税源の再配分は当然検討されてしかるべきであります。しかし、大蔵省と自治省は、抜本改革に当たり、早々と国と地方に中立という覚書を取り交わしております。
 私は具体的に提案したいと思います。
 その一つは、国による地方に影響を与える政策の変更、特に税、財政制度の改革については、地方の意見、意思を尊重すべきであると考えます。地方税改革等について自治体に何らの発言権もないというのは余りにも理不尽ではないでしょうか。この際、総理の明快な御所見をお伺いしたいと思います。
 二つ目は、抜本改革と言いながら、社会保険診療報酬課税の適正化、法人事業税の改善、非課税特別措置の廃止など、地方税改正の懸案事項は何ら手がつけられていません。何ゆえこうした数々の課題を放置しているのかという点であります。
 例えば社会保険診療報酬に対する事業税の非課税等は、地方税における不公平税制の象徴であり、財源的にも約六百億円の減収を招いております。また、国の租税特別措置という政策的税制優遇になぜ地方が一律に従わなければならないのか、自主課税権の著しい侵害と言えますが、自治大臣の具体的な答弁をお伺いします。
 次に、地方税改正についてお伺いをします。
 第一に、所得税の最低税率は一〇・五%で据え置かれ、個人住民税は二・五%を三%と〇・五%引き上げられ、また税体系刻みの改正で、一部ではありますが、中堅所得層以下には一ないし二%の引き上げとなり、逆に高所得層は一ないし二%の減税となるようです。税収の関係から最低税率を引き上げたりすることは問題であります。私も住民税の応益負担主義という考え方を全面的に否定するものではありませんが、所得課税である以上、社会的再配分機能を否定することはできないと思います。自治大臣の御見解をお聞きします。
 第二に、類似の問題として、課税最低限についてお伺いをします。
 住民税においては、扶養控除等の引き上げにより課税最低限は若干引き上げられますが、所得税の課税最低限との格差は厳然としております。課税最低限の格差は何ら合理性のあるものではなく、非課税限度額という当面の方便ももはや改めるべきと考えますが、自治大臣の御所見をお伺いします。
 第三は、八月七日の与野党幹事長・書記長会談において、所得税の刻みをさらに動かすことによって二千四百億円の減税上積みが約束されました。所得税の刻みと住民税の刻みは整合するものでなくてはならないはずです。私は、個人住民税減税も所得税と同様に上積みし、刻みのアンバランスを是正すべきだと考えますが、自治大臣の所見をお伺いいたします。
 また、総合課税とのかかわりにおいて新たに利子課税制度の見直し規定が盛り込まれましたが、今後どのような検討作業を進めていくのか、自治大臣にお伺いをいたします。
 次は、地方財政対策について若干お伺いします。
 今年度補正予算による地方財政の財政需要額は、その大半を地方債によって措置するとされています。これにより地方財政の借金構造はさらに深化するとともに、交付税制度の硬直化も進行せざるを得ません。地方交付税法第六条の三の二項の趣旨を今後どのように尊重されていこうとされているのか、具体的に自治大臣にお示しをいただきたいと思います。
 また、その関連で、NTT株売却益の相当部分は、無利子貸し付けによる地方債への組み込みという形ではなく、地方財源として配分されるべきであると考えますが、自治大臣の御所見をお伺いします。
 さらに、緊急経済対策においては、地方単独事業の八千億円の追加要請は、修正された地方財政計画にどのように盛り込まれているのか、自治大臣の明快な御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、補助金カットと国民健康保険財政について伺います。
 財政再建計画が破綻した以上、自治体に対する補助金カットを続ける合理性はなくなったと考えます。また、新たな負担転嫁など論外と言えます。この際、カット中止と原状回復、そして新たなカットは絶対に行わないことを約束していただきたい。大蔵大臣の明快な御答弁をお願いいたします。
 また、国民健康保険財政は、今や市町村財政圧迫の一番大きな要因となっています。その上、国の施策の見込み違いによって国保に対する市町村一般会計からの持ち出しは限界に達しています。そこで、国保の今日の現状からも、ましてや国保の仕組みからいっても、当面、国は直ちに補助率をもとに戻し、不足分の手当てを行うべきであります。そして、国保の経過から見ても、私は国民健康保険制度を抜本的に変改しなければ解決しないと思いますが、総理の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 110915254X01019870904_011

発言者: 渡辺四郎

speaker_id: 19526

日付: 1987-09-04

院: 参議院

会議名: 本会議