北川石松の発言 (外務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○北川(石)委員 じゃ、後ほど私のところへ報告を願う。
それから、私はなぜこのようなことを申し上げたかというと、過去、これは戦時中にさかのぼりまするが、昭和十三年といえば日本の官憲の非常に強いときである。このときに当時の日本の三井、三菱というものが対外的ないろいろなことをやられた歴史があるのです。それをひとつ私は申し上げたい。
なぜこんなことを言うかといいますと、先ほどソ連の大使が、あなたが何ぼ言われてもソ連という国は安易に日本の企業と独自に自由契約をいたしますよということを私にうそぶいておる。これは、日本語のわかる大使を派遣されて歓迎しますと私は申し上げていろいろな話をした。いやしくも衆参両議員が二十名余り寄っている中でそういうようなことを平気で言えるということは、日本の企業の中に何かの形があると言わざるを得ない。
私はかつては外務政務次官もし、外務委員長もいたしました。その任の中にあったときにこういうことを聞き、いろいろ憂いをいたしておりますので、昭和十三年当時の電報をひとつ引用いたしまして申し上げたいと思います。
イラン産阿片は年額六百万円に上る大取引なるうえ、これをおいて他に相当なる商売なきため
ということで始まっておる。そうして、イランのアヘンを日本の商事会社が大きな量を持って帰った。
そこで外務省がこれに対して注意を促しても、利益のためにはいかなる仕打ちに出るやもしれぬ、はかりがたいものを感じますということを報告している。こういう中で、信じられない一通というものを、全文じゃない、一部を読み上げますならば、
イラン産阿片買いつけに関する件。右十三日午後五時接受。ただちに電話通達したるも両社とも責任者不在なりしをもって、更に書面通達したるが、三菱側は十四日午前九時出頭、十三日夜すでに契約を了せる旨申し出あり。よって、報告の正確を期するため署名ある契約書の一覧をもとめたるところ十四日午後一時に至り、出頭提示したるものはペルシャ語の文書にして何人の署名もなく、右に添付したる英訳文なるものは西洋罫紙に朱書きしたるものにて、もとより何人の署名もなし。三菱のいうところによれば署名済み契約書は単に一通にて右は大蔵次官が預かりおり。三菱にはなき趣なり。
三井も十四日午前出頭。本社より三菱の契約済みたるに付き、二千箱買いつけ差し支えなき旨の指令ありたる旨を述べ、外務省が調停の名のもとに商談の進行停止を命じ置きながら三菱の契約済みたるに付き三井はいまより自由たるべしというが如き取扱は了解し難きにつき、日満(関東州と満洲国)の阿片を輸入せしむるならば、支那は三井の市場たるべく、したがって三菱の三千箱中より満洲、大連を通して支那に流入せしめざるよう外務省の監視を希望す。なお、今回は三井は外務省の停止命令を正直に遵奉しおりたるがために、
以下云々、こう書いてある。そして、
外務省の命を奉じ難きこととなるべしと申しおりたり
以上である。
当時イランのアヘンについてこういうことがありました。私はまことにゆゆしきことと思うんですよ。
当時は日本の官憲の言うことは商社も皆ごもっともで聞いた。聞きおらなくてはならぬ日本の政治体制の中で、なお安易に商社というものは外務省の命令も、いかなる命令も無視してこれを強行している。しかもアヘンというものによって悲惨なことが随所その国に起こっていることは事実である。今、日本の警視庁が全力を挙げてこれの対策をやっておる。しかるにかくのごとき状態にある。
私の申し上げたいのは、ココムの問題が、一東芝が出てまいりました。そうして、ココムによって、自民党政調会だ、総務会、またいろいろな委員会その他でこのことに集中はしておっても、その以外の中でいろいろなことが行われておると断ぜざるを得ないような形を感ぜざるを得ない。
私は、こういうことを思うときに、今日とは比較にならないほど政府の権限が強かったときにあえてこういうことを三井、三菱がやった。この事実を踏まえるならば、私は自民党の議員として、西側自由諸国のメンバーである日本の大企業の首脳がソ連との関係においていささかも疑念のある行動をされないよう願ってやまない一人である。そういう意味においてきょうの質問を申し上げたのでありますが、宇野外務大臣の所見を一応聞かしていただきたいと思います。