黒河内久美の発言 (内閣委員会在外公館に関する小委員会)

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○黒河内政府委員 領事移住部長の黒河内でございます。
 ただいま官房長より説明がございましたように、近年、海外渡航者、また、日本に入国する外国人ともに急増しており、人の国際化が大幅に進展しております。こうした新しい状況に対応して、海外に進出する邦人の活動環境を整備することは、我が国が国際社会に貢献していく上で、今後ますます重要となっていくものと思われます。
 最近特に、南ア航空機墜落事故、上海列車事故、あるいはイラン・イラク紛争に伴う邦人保護等、大きな事故や緊急事態が相次いで発生いたしましたが、例えば上海列車事故における重傷者の日本への移送への対応、あるいはモーリシャスといったような遠隔の地における、公館のない地における通信体制等、在外公館の通信体制の整備が求められております。
 また、外国人不法就労の急増に対応し、査証審査の厳格化が求められておりますが、申請者数の飛躍的な増加とも相まって、特にアジア諸国公館では事務量が急増しており、早急な人的強化が焦眉の急となっております。さらに、海外渡航者の急増に伴い、旅券発給件数も、六十一年の約二百七十万件から六十二年には約三百三十万件と、一年間で二五%近く増加しております。このように領事・査証事務がますます増大しており、また、竹下総理の推進される「さわやか行政サービス運動」の趣旨にもかんがみ、直接国民に接し、行政サービスを行う在外公館及び本省の領事体制を一層充実強化することが引き続き緊急の課題となっております。今後とも、諸先生方の御理解、ご協力をお願い申し上げます。
 それでは、六十一年十二月の小委員会所見で御指摘のございました海外子女教育、緊急時の邦人保護につきまして、御説明申し上げます。
 まず、子女教育でございます。
 御指摘のとおり、子女教育問題は在留邦人にとって最大の関心事の一つでございます。海外に長期間にわたり在留する邦人の増大に伴い、義務教育相当年齢の子女数も昭和五十一年の約一万八千人から昭和六十二年には約四万一千人に増加しております。
 外務省といたしましては、文部省と協力しつつ、現在全世界に八十三校ある日本人学校、百十九校ある補習授業校を中心に、海外子女教育に関する援助を行ってきております。六十二年度予算では、上海、パキスタンのイスラマバード、六十三年度予算ではチューリヒの日本人学校の新設が認められましたが、このほか、毎年、校舎借料補助、日本人学校及び補習授業校における現地採用教員及び講師に対する謝金補助等の増額を要求し、海外子女教育施策の拡充に努めております。
 海外子女教育関連予算は、現下の厳しい財政状況を反映し、現地負担の原則がより厳しく適用される傾向がございますが、このところ海外在留子女数は年平均約二千人のベースで増加しており、今後とも海外子女教育に対する政府援助を強化していく必要があります。引き続き先生方の御支援をお願い申し上げます。
 次に、緊急時の邦人保護につき御説明申し上げます。 緊急時の邦人保護につきましては、緊急事態発生時における通信連絡手段の確保並びに在留邦人及び本邦関係者に対する迅速かつ的確な情報の提供を二本の柱として、鋭意体制の整備に取り組んでおります。
 戦争、内乱、クーデター等の緊急事態発生時においては電話やテレックス等の一般回線が途絶するのが通例であり、かかる事態においても政府、在外公館が邦人保護の責務を果たし得るよう、六十二年度までに四十六の公館に本省及び在外公館間通信用の無線網を整備し、さらに六十三年度予算には十公館分を計上いたしました。また、六十二年度より四十二公館を対象に在外公館と在留邦人との無線網の整備を開始し、六十二年度は固定式短距離用無線機、六十三年度は車載式短距離用無線機の予算を計上いたしました。
 また、在留邦人及び海外進出企業本社等の本邦関係者に対し、海外での安全確保に必要な情報を積極的に提供しております。各在外公館は、在留邦人との間に安全部会等の定期的な情報交換の場を設けるとともに、「治安・防犯の手引き」を作成し在留邦人に配布しております。本邦におきましても、昨年四月に海外での安全確保に必要な情報を各国別に網羅した「海外安全ハンドブック」を刊行、同五月には、海外進出企業や旅行業者等に対する情報提供、相談窓口として本省領事移住部領事第二課内に海外安全相談センターを設置いたしました。さらに、この夏からは在外公館より寄せられる情報をパソコン通信を用いて海外進出企業等に提供する海外安全ネットワークを開設する予定でございます。
 このような施策を実施するための予算上の手当てにつきましては、まだ十分とは言えないまでも着実に努力しており、昭和六十三年度予算においては緊急時邦人保護対策関連経費として、前年度比約六千万円増の四億一千五百万円が計上されております。
 安全と水はただとの風潮が依然強い我が国にあって、海外における安全確保のための体制整備は緒についたばかりであり、今後とも本小委員会におきます一層の御支援をお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 黒河内久美

speaker_id: 32427

日付: 1988-05-23

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会在外公館に関する小委員会