伊吹文明の発言 (物価問題等に関する特別委員会)

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○伊吹委員 大臣のおっしゃったことは私も全く同感でございます。確かに、自由社会、自由主義経済のもとで頑張れば何とかなるんだという気持ちで日本人が一生懸命頑張った結果、生産面あるいはその分配面においては日本は非常にいい国になったと私は思うのですが、しかしながら、確かにストックが不足しておる。現実の生活の豊かさというのは、そのストックが解け出して私たちの日常生活を潤してくるという面が非常に大きいと思うのです。そういう面からいうと、現在不足しているのは、大臣がおっしゃったように住宅、そして公共資本、それから迫りくる高齢化社会への備え、こういう物的なもの以外に、社会の秩序というか、人間の生きざまというか、お互いに日本に住んでてよかったという安心感、こういうものがすべて一体となって我々の豊かさというものを形成していると思います。そういう面からいうと、大臣の御認識のとおり公共資本あるいは迫りくる高齢化社会への備えというものが非常に不足しておるのではないかという危惧を抱かざるを得ません。
 一方、大臣がおっしゃった第二の柱である「自由貿易体制の維持、強化」という点でありますが、現在自由貿易体制の恩恵を受けまして、私どもは、経済企画庁の見通しによると、貿易収支で八百十億ドル、経常収支で七百二十億ドルの黒字を予想しておるわけでありますが、今一ドル百三十円といたしまして、この金額は約十兆円になります。これは、当然のことでありますが、外為会計を通じて過剰流動性として国内に存在するわけでありまして、円が比較的安定して、しかも外国に貸したお金が返ってくるという安心感があれば、これは外国へ貸せます。しかし、現状はなかなかそうではない。貸した債権は返ってこないし、円は非常にフラクチュエートする。貸して少し利子がついたと思えば円高差損で企業は大変な損をするということですから、お金の行き場がない。
 田中内閣、池田内閣のころは高度成長と言われて民間の活力が非常に高かったです。ですからこのお金は民間で使えた。私たちはこのお金を民間で民間の判断によって私たちの生活が潤う方向に使ってもらいたいと思いますけれども、現実にはこれはそうじやない。とすれば、これを民間で使い切れるような経済構造をつくっていかざるを得ないと思うのです。これは大臣がおっしゃった内需を中心とした景気の持続的拡大ということだと思いますが、新たな技術開発を行い、イノベーションの種を見つけ出して民間で使えるような経済構造にするには率直に言って私はかなり時間がかかると思いますが、そのあたりの大臣のお見通しはいかがでしょうか。

発言情報

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発言者: 伊吹文明

speaker_id: 3636

日付: 1988-04-21

院: 衆議院

会議名: 物価問題等に関する特別委員会