和田一仁の発言 (本会議)

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○和田一仁君 私は、民社党・民主連合を代表いたしまして、ただいま議題となりましたいわゆる在日米軍労務費特別協定を改正する議定書について、総理並びに関係大臣に対し質問をいたすものでございます。(拍手)
 現在、日米間にはさまざまな懸案が存在しており、特に貿易摩擦問題は重大な政治問題となっております。現にきょうもワシントンにおいて、牛肉・オレンジの自由化問題をめぐって極めて厳しい交渉が続けられておるわけでございます。しかしながら、日米関係は我が国外交の基軸であり、アメリカは我が国の安全保障にとって死活的な重要性を持つ国家なのであります。第二次大戦後今日まで、四十年余りにわたりまして世界各地において幾多の国際的な紛争、動乱が発生したにもかかわりませず、我が国は一貫して平和を維持し、繁栄を続けてくることができました。その理由は幾つか挙げることができますが、その最たるものは、日米間の友好、信頼関係をつくり、日米安保体制を基盤とした日米の同盟関係を堅持してきたということでございます。これによって、我が国は、憲法の平和主義を踏まえた必要最小限の自衛措置を講じ、足らざるところはアメリカの強力な軍事力を後ろ盾として、平和と安全を維持することができたのであります。それに加うるに、我が国はアメリカとの同盟関係を通じていわゆる西側自由陣営の一員として自由な貿易体制に参加をし、経済を発展させ、そして今日の繁栄を築いてまいりました。アメリカとの安全保障体制は、まさにその基盤をなしてきたと言っても過言ではないと存じます。(拍手)
 さらに、このことは今やアジア・太平洋地域の複雑な力のバランスを支える重要な柱となっているのであります。韓国、ASEAN諸国、そして中国といった我が国の友好諸国が日本の安全保障政策に基本的な信頼を置いているのは、我が国が憲法の平和主義を踏まえた防衛政策を堅持するとともに、日米安保体制によって決して独自の軍事大国とはならないという路線をとっているからにほかなりません。かつて、日米安保体制は日本を戦争に巻き込むと言われ、今日もなお一部でそうした主張が繰り返されております。しかし、それが的を得ていなかったことは今日までの事実が明白に証明しているところであります。我が党は、今後とも我が国の平和と安全を確保するため、日米安保体制を堅持するよう主張するものであります。(拍手)
 安保体制を堅持し、これを有効に運用する上で最大の保証となっているのは、言うまでもなく在日米軍の存在であり、また、在日米軍の駐留が円滑に行われ、一たん有事の際にはこれらが日本の防衛のために直ちに行動し、さらにアメリカ本土からも来援部隊が速やかに駆けつけることによって、日米安保体制は初めて有効に機能すると言うことができるのであります。したがって、我々は、在日米軍の円滑な駐留を実現するため、駐留軍労働者の費用についても、国民的な合意と日米地位協定の原則を踏まえつつ、適正な限度において我が国が負担することの必要性を認めるものであります。
 私は、以上述べてまいりました我が党の基本的な立場に立って、以下諸点について具体的に御質問をいたすものでございます。
 まず第一は、今回の協定の改正と日米地位協定との関係についてでございます。
 在日米軍の費用の問題については、日米地位協定の第二十四条において、米軍の駐留に関するものはアメリカ側が出し、日本側は基地や施設を提供するという原則が定められておるのであります。しかるに、昨年、日米地位協定についての特別協定によって、駐留軍労働者の期末手当など八つの手当につきまして、二分の一を限度として日本側が負担するということになったのでございます。我が党は、本協定は日米地位協定の精紳を踏まえたものであるとの理解から、これに賛成をいたしました。しかし、今回の改正でこれを全額日本側の負担とした場合でも、果たして地位協定の精神を逸脱していないと言い得るのかどうか、十分納得のできる説明が必要であると考えます。この点についてまず総理の御見解を承りたいと思います。
 第二は、在日米軍の費用負担の限界についてであります。
 昭和五十三年から始まった在日米軍に対する思いやり予算や、昨年の地位協定についての特別協定に伴う労務費の追加なども加えまして、在日米軍の駐留に伴う我が国の負担は増加の一途をたどっているのであります。六十三年度予算案においては、我が国の負担総額は二千五百九十億円、うち、思いやり予算は一千二百三億円に達しているのであります。特に、思いやり予算は何ら制度的な基準を持つものではありません。事実上無制限に膨張を続けてまいりました。重大な問題であります。しかも今後、アメリカの国防予算は横ばいあるいは減少という事態が予想されておるわけであります。円高の進展と相まって我が国に対する一層の費用負担が求められることは必至であります。したがって政府は、今回の特別協定の改正を契機として、思いやり予算と特別協定に基づく労務費の負担、この双方について、我が国の費用負担の基準、限界を明確にして国民の理解を得る必要があると考えます。これについての総理の御見解を求めるものでございます。
 第三は、今回の改正によって生じる新たな負担増と防衛費の歯どめとの関係でございます。
 今回の改正によって生じる労務費の負担増は年間二あるいは三百億円程度と言われております。それは現在の中期防策定時には想定をしていなかった新たな防衛費の発生であります。しかし一方、昭和六十一年から六十五年までの防衛費は中期防の総額十八兆四千億円を歯どめとすると決定をいたしました以上、今回の改正に伴う新たな負担増も当然中期防の総額の枠内とすべきであると考えますが、これについての総理の御決意を改めて確認をしておきたいと存じます。
 第四は、ペルシャ湾の安全確保に対する貢献についてであります。
 今回の特別協定の改正は、急激な円高に対処してアメリカの負担軽減を図るということとともに、我が国がペルシャ湾の安全確保に対する貢献の一環として、その防衛に当たっている米国に間接的に協力することを目的としたものでありまして、このことは総理御自身がこの一月訪米された際にレーガン大統領に約束されたことでありまして、御自身が一番よく御存じのはずでございます。しかるに、イラン・イラク戦争は今日もなお継続をして、激しさを増しておるわけでございます。ペルシャ湾における危険も一向になくなってはおりません。現に、先日も我が国の海運業者がチャーターした船が攻撃を受けまして、日本人船員が亡くなっておるのであります。しかるに、昨年打ち出された政府のペルシャ湾の安全確保に対する貢献策というものは、今回の協定の改正も含めて、要するにすべて金を出すというものだけであります。果たしてこれだけでよいのでありましょうか。各国もまた同様の思いで我が国の対応を注視いたしておるのであります。我が国としての今後の貢献策のあり方について、総理並びに外務大臣に対して改めて質問をいたすものでございます。(拍手)
 第五は、有事における米軍の来援に関する共同研究についてであります。
 去る一月の日米防衛首脳協議において、有事における米軍の来援問題について共同研究を行うことが合意されました。有事における米軍の速やかな来援は、在日米軍の存在とともに日米安保体制の有効性を保証するものであります。かかる意味合いで私は共同研究の必要性を認めるものであり、むしろ遅きに失していると言いたいのであります。そこで、この研究を進めていくならば、来援する米軍についての有事法制の問題や、またいわゆるホスト・ネーション・サポート協定の問題は避けては通れない課題となるのであります。しかるに、これまでの政府の答弁は、現在進められている自衛隊についての有事法制研究の問題も含め、これらの研究の相互の関連性が必ずしも明確にされておりません。特に外務省は、これらの問題は防衛庁だけの問題と認識している傾向があるように思うのでございます。とんでもないことでございまして、これはまさに政府が一体となって政府の責任において取り組むべき課題であると思います。よって、ここにこの際、有事における米軍の来援に関する研究とこれらの相互関係につきまして、総理並びに防衛庁長官、そして外務大臣から明確な御答弁をいただきたいのであります。
 我が国が西側の同盟国として安全保障分野においていかなる貢献が可能であるかについての真剣な検討を行い、何ができ何ができないかということを我が国の立場を明確に内外に示す必要があると考えております。どうぞ、以上述べました諸点に対しまして、責任ある御答弁を改めてお願いをいたしまして、私の質問を終わりといたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕

発言情報

speech_id: 111205254X01219880331_019

発言者: 和田一仁

speaker_id: 28005

日付: 1988-03-31

院: 衆議院

会議名: 本会議