中村哲の発言 (沖縄及び北方問題に関する特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○中村哲君 沖縄の場合は、御承知のように広島、長崎とは違いまして戦場になりましたものですから、私は戦前は台北の帝大にいたものですから、台北の隣でありまして、本来ニミッツは台湾から対岸である中国のアモイ、あの辺に進出して、そこから日本に対する攻略をという考えをしておりましたところ、ハワイの会談でルーズベルトの調整によってマッカーサーがレイテから、台湾でなくて沖縄にいきなり進出するという作戦をとりました。このために非常に沖縄にとっては不幸でありましたのは、戦場になることを予想していたのでなくて、一般の子女がいきなり戦場化したそういう現場で被害を受けました。普通は、これは戦場で戦ったことのある私どもの場合、ああいう軍隊の進攻がありますと、普通の市民は山に上がってしまうわけです、これは中国大陸の場合。したがって子女は被害を受けない。つまり戦闘員だけが戦うというようなこと、一種の戦場のモラルというのじゃないかもしれないが。
 ところが、いきなり沖縄の場合は作戦が変わったということで、台湾で戦うんじゃなくて沖縄だということになったためでありましょう、一般の女子、子供等が砲火の被害を受けまして山に逃げるということもできなかったわけです。これは私のように台湾でそういう問題を考えさせられ、そして実は私個人は、ちょうど終戦のときは緒方、後の副総理が情報局総裁でありまして、台湾の作戦どうなるか、そういうことに関連して終戦に持っていこうというのが我々の運動の一つでありましたために、緒方さんにも会ったりして、戦線が変わることは東京で聞きました。しかし、そのために沖縄の人が被害を受けましたことを私は他人事のように思えないわけであります。
 それから回復しまして、戦後かなり健全な社会情勢になっているわけですけれども、なお失業は全国一である、それから県民の所得は最下位である、こういう状態でありますので、先ほどの政府の財政援助も、今後ともほかのところと違って、NTTに限らず特別に援助されることが望ましいと思うんです。
 それで沖縄につきましては、私は大学の関係があり、文部省の関係がありまして、沖縄の大学の新設、それから審査等に参りました。琉球大学以後幾つかの私立がつくられまして、ただ条件は必ずしも満たしてなかったんです。それを認可しようじゃないかという方向で、文部省もそういう考
え方になってくれましてやっておりますけれども、したがってそのために沖縄の大学の設置条件というのは非常に弱い、ないし本土とは違って今でもそんなに条件を満たしていないと思うんです。見ただけでも、芸大というものができているけれども、がらんとして学生がいるのかどうかわからぬ。それからあそこには看護学部というのがあったのを医学部をつくりましたけれども、医学部の学生、現地の県民がどれだけ入れるのか、何のために医学部をつくったのか等々問題がありまして、長年教育に関係しておりました限りでも問題が非常に残っている、こういうふうに思っております。
 今回の経済、それから財政援助でも第三次産業を頭に置いているようですけれども、やはり第二次産業をもっと育成するというような積極的な考えでおやりになることが望ましいと思うのです。その点について御意見をちょっと承りたい。

発言情報

speech_id: 111213895X00319880330_010

発言者: 中村哲

speaker_id: 17126

日付: 1988-03-30

院: 参議院

会議名: 沖縄及び北方問題に関する特別委員会