米山久美子の発言 (税制問題等に関する調査特別委員会)
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○参考人(米山久美子君) 私は江戸川区に住んでおります一主婦でございます。今回の参考人としての意見を、家計を預かる主婦、消費者、生活者の立場から述べさせていただきます。
今、多くの国民は本当に怒っていると思います。十一月十六日の衆議院での採決の強行には、私も本当に腹が立ちました。私たち国民の生活に大きな影響をもたらす税制の改革を、単に時間をかけただけで、中身の審議はろくにもしないで、採決を強行するなどということは絶対に許せません。
なぜ、今の時期に三兆円もの自然増収があって、景気も上向きになっているというのに、無理やりに増税を私たちに押しつけようとするのでしょう。とても不満でございます。一たん撤回して、時間をかけて審議を尽くしていただきたいと思います。
私たち町の主婦の素朴な疑問と怒りは、内閣の中軸にいる方々や高級官僚のお歴々が、リクルート疑惑の汚れた手で国民大衆に新しい税金を負担させようとしていることです。率直に言って、今の政府にはそんな資格はないと思います。自分たちは、ぬくぬくとぬれ手にアワで、一千万円も二千万円ももうけさせてもらって、ばれてもその責任をとらずに知らぬ顔で私たちに増税を押しつけようとするなんて、全く許せないわよねえというのが、私たち主婦の町の会話になっております。こうした庶民の感情について、どうお答えになるつもりでしょうか。私は、まず、リクルート疑惑を徹底的に明らかにしていただいて、きれいな身になってからこの問題を通していただきたいと思うのです。最初にどうしてもこのことを言わずにはいられません。
今回の消費税については、いろいろ主婦の立場としては疑問がございますが、これだけはどうしても納得がいかないという点、二つに絞って言わせていただきます。
まず一つ目は、今度の消費税は、すべて最終的には消費者に負担をかぶせるというのが前提になっているということですね。これがまず第一に気に入らないんです。新聞やテレビでも、金持ち優遇、一般庶民や弱者にしわ寄せという形で多々指摘はされておりますけれども、とにかく不公平を一層に拡大するとんでもない税制だということでは一致していると思うのです。内閣は、今回の税制改革に当たって、不公平の是正ということを強調していたはずなのに、実際には全くの逆で、中身を知れば知るほど、私たちとしては不公平感が深まるばかりでございます。
いろいろ勉強してみますと、非課税になるものがほとんどなくて、何を買ってもそれに税金がかかる。つまり、私たちには逃げ場がない、選択の余地がないということなんです。毎日食べるお肉とかお魚、電気代、水道料金、郵便料金、家賃など、暮らしに欠かせないものにすべて税金がかかるなどということは、本当に考えてもみないことでした。サービスにまで課税されるというのも驚いたことです。お産の費用や火葬場の手数料にまで税金がかかるなんて、本当に信じられません。言ってみれば、生活すること、生きていくことそのものに税金がかけられるということではないでしょうか。そうなれば、イギリスのように揺りかごから墓場までの社会福祉の完備ではなくて、私たちの住んでいる日本では、揺りかごから墓場まで税金、税金で一生苦しめられるということなんですね。
宝石や毛皮など、ぜいたく品に一五%の税率で課税されていた物品税を廃止して、今度は一律三%にするということですが、これは私たち多くの消費者から見れば、ダイヤモンドなど、生活になくても済む品物をうんと安くして、御飯とか飲み水とか、どんな所得の低い人でも、暮らしていくためには節約できない生活の必需品を値上げするということになると思います。一体皆さんの頭の中はどちらの方を向いて政治を行っているのかというふうに、私たち主婦としては疑わずにはおられません。
二番目に申し上げたいことは、三%という税率と、物価の便乗値上げの問題です。これは歯どめがないということです。この点は、リクルートでこれだけ国民を欺いて平気な顔をしている政治家の言うことは、本当は信用できないということもあるのですけれども、実際には国会のいろいろな答弁を聞いていても、非常に不安になります。
付加価値税を実施している西ドイツ、フランス、イギリスなどヨーロッパの共同体十二カ国でも、一律税率は負担を不公平にするという理由で、デンマークを除いては、複数の税率を採用しているということですから、今回の税制改革で、竹下内閣の行おうとしていることは、非課税なしと三%の一律税率とを組み合わせた、とにかく世界一不公平な税制をつくろうとしていることではないでしょうか。
私は、税金の負担が、言われているように三%で本当に済むのかなという不安がございます。税率の一律引き上げを牽制する仕組みが全くないわけですから、将来、情勢がちょっと変われば、必ず増税になるような気がいたします。既に大蔵省は、五%にすることを要求するとおっしゃっているのですから、これを聞けば、竹下さんがどんなに私の代ではやりませんとおっしゃっても、代がかわればフリーハンドですよ、というようにしか聞こえないわけです。
消費者物価への転嫁の問題でも、便乗値上げは数限りなくあると思います。転嫁カルテルとか表示カルテルなどいうのは、複雑でわかりにくいですし、個々の商品ごとではなくて、売り上げ全体の消費税負担額を見込み計算でできることとか、免税や簡易課税など業者の側のいろいろな納税特例など、私たち消費者にはわかりにくいことが多過ぎます。私たちが負担させられたことになる三%の消費税が、本当に国庫に税金として納められることを約束してくれるでしょうか。
再販商品のように、たとえ免税業者であっても、同じ価格で売ってもよいということになれば、三%前後の値上げがされても、便乗値上げとはみなさないということになって、実際には政府自身がある程度の便乗値上げは業界に対して認めているということになりはしませんでしょうか。
要するに、かつての売上税に反対した中小業者に対して今度は受け入れやすいように配慮はしたけれども、私たち消費者には相変わらず犠牲をかぶれということだと思うのです。私たち消費者は一向に守られていないのだと思います。
さらにもう一つ申し上げたいことは、共働き世帯の不公平の問題です。これは所得税減税のわかりにくい大きな一つの落とし穴になっていると思うのですが、増減税の損得分岐に関する計算というのもいろいろあって、プロの税理士さんに聞いてさえ、どれを信じていいのかわからない状態だというほど複雑だと思います。いずれにいたしましても、上に厚く下に冷たい減税だという不公平は、既に多くの方々が指摘していらっしゃると思います。
これに加えて、共働き世帯の年収八百万円以下では増税になってしまうという問題がございます。日本生協連の試算では、年収六百万円世帯では、いわゆる片働きと共働きの格差が八万八千円にもなってしまいます。
東京都の女性の有業率は、既に十五歳以上で四七・五%、二十から五十歳では六〇%近くになっております。この比率はこれからもどんどんふえていくと思います。私たちがこれからの生活を少しでも豊かにと願えば、何らかの形で働きに出るというのが時代の流れだと思いますが、そういう共働き世帯が働くことがばかばかしくなるというような時代逆行の税制改革は、ぜひとも考え直していただきたいと思います。
一人一人でしかない私たち主婦は、今非常に無力さを感じておりますけれども、これ以上なめられてなるものかという声は大きく大きくなっていると思います。恨みをどうして晴らしてやろうかとも考えております。どうしてもこの消費税を押し通そうとするんだったら、直ちに国会を解散して、総選挙で民意を問うていただきたいと思う思いでいっぱいでございます。お笑いになっていらっしゃいますけれども、私たちの国民の素直な感情というのを素直に耳を傾けてくださるということが為政者としての態度ではないでしょうか。一主婦の立場としてはこれだけは申し上げたいと思います。
よろしくお願いいたします。(拍手)