塚本三郎の発言 (本会議)

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○塚本三郎君 私は、民社党・民主連合を代表して、竹下総理の施政方針演説に対して質問をいたします。
 質問に先立ちまして、まず、国民統合の象徴として私どもが敬慕してやまなかった昭和天皇の崩御を悼み、みたまの平らかならんことを衷心よりお祈り申し上げます。
 私は、二十二日に開かれる民社党大会において党委員長に立候補しないことを表明いたしました。理由は、リクルートコスモス社株取得に対し、秘書を通じてのこととはいえ、私がかかわったことであります。昨年の夏以来リクルート疑惑が日とともに高まり、私の名前も報道され、それが政治不信をかき立てられる結果を招き、その疑惑の渦中の一人になったことに対して、国民の皆様及び党員に改めておわび申し上げます。
 ただ、私の不徳は不徳として、正直に申しますと、私はリクルート疑惑は一体何かと深刻に考えております。
 利益を得るについて、私の場合、リクルート社からの請託もなければ、その会社に対する職務権限ももちろんありませんでした。株価が公開直後に値上がりする可能性を秘書が聞かされて、自己資金でそれを購入し、翌月に売却いたしましたが、当時、株式公開前のインサイダー取引については何らの論議さえなされておりませんでした。まして、リクルート社がこんなに多くの政官財の各方面に自社株購入と売却の勧めをしていたとは、問題が起きるまで夢にも想像できませんでした。
 私は、株売却の翌月、元金を含めて全額党活動のために使用させていただき、一円たりとも私しておりません。
 竹下総理、あなたもその疑惑の渦中の一人として、世間の冷たい眼の集中する中で耐えておられるはずであります。だが、あなたは、一党の党首であるばかりでなく、一国の最高の指導者であり、行政の責任者でもあります。リクルート社とのかかわりは、あなたと私とは性格も異なり立場も違っておりますので、私は、今あなたにどうせよと責めるつもりはありません。しかし、このまま放置しておけないことだけはよくおわかりと思います。
 最近では、リクルート社から正規の法に基づいて受けた献金はもちろんのこと、パーティー券を買ってもらった政治家に至るまで、すべて同じ扱いで疑惑の対象とされております。そればかりではありません。マスコミ界、官界から財界、果ては一般の知名の方々にまでその累は及んでおります。
 司法当局は、昨日、疑惑の中心人物とされる四名を逮捕いたしました。しかし、問題は、違法の対象に限らず、リクルート社にかかわったすべての人に非難が向けられているところに、今回の疑惑とされる混迷の深さと広がりがあります。
 いま一度、リクルート疑惑とは何だったのか。あさほかにも利益に手を出した私の不明を恥じ、千慮の一失と反省いたします。
 だが、このままでは、政治不信がそのまま政党政治の崩壊につながり、果ては自由経済の否定にもつながりかねないことを憂慮せずにはおられません。この際、竹下総理御自身のことを含めて、日本政界のためにどのような解明とそれに基づぐけじめをおつけになるのか、お示しをいただきたい。(拍手)
 政治改革について。
 政治家にとって最も不名誉なことの一つは、命にまつわる非難であると思います。リクルート疑惑こそその金をめぐっての政治不信となっているだけに、きれいごとだけで済ましてはならぬと信じます。それは、日本の民主政治の原点が問われているとも考えられます。ゆえにこそ、竹下総理は、政治改革にみずからのすべてをかけてと明言されました。
 そこで、まず金のかからない選挙が最も理想とされることは当然であります。今の中選挙区制よりも小選挙区制をとの声もあります。地域が狭く、有権者の数が少ないからでありましょう。だが、小選挙区制になれば金が少なくて済む保証は全くありません。狭い地域となれば、主義主張よりも、候補者対有権者の密着した運動は逆に地域中心主義となり、きめの細かい運動はより多くの金がかかることも、地方議員の運動に多く見られます。また、参議院の全国区が、地域が広いからということが主たる原因で今回の比例区となったのにもかかわらず、よりたくさんの金がかかるとの声が圧倒的に多く、今回をもって改めたいとの声が自民党を初め各党の中からも聞こえてまいります。
 また、選挙の公営を拡大せよとの声は賛成であります。だが、私どもの経験を申し上げれば、我々議員候補者は、選挙公示に至るまでの日常の広報、宣伝、教育活動とそ、選挙のときの大勢を決める決め手であることを知っております。よって、そこに至るまでの日常の活動こそが極めて重要であります。
 例えば、十万余の私の支持者に手紙を一回出すその切手代のみで六百万円となり、私設秘書十人の人件費と活動のための交通費のみで月数百万円とならざるを得ません。民主政治にはある程度のコストがかかることを無視できない。最低限の公費負担、すなわち、政党法の制定を検討すべきではありませんか。私どもは折々に井戸塀政治家として昔の政治家の美徳を耳にいたしますが、それではなくする資産のある人しか立候補できないこととなりかねません。かくて、勢い、企業及び個人の浄財を仰ぐ今日の方法に走らざるを得ないのが実情であります。
 しかし、リクルートに見るがごとく、何が浄財なのか、また、その時点で浄財と信じながら、時が過ぎて疑惑の一人となりかねない今の風潮にあって、いま一度浄財について問いが投げかけられております。さればとて、特定の集団、組織などにその金を全面的にゆだねれば、当然その支援団体の代弁者とならざるを得ず、政治家の持つ資質、個性、能力の発揮を期待する民主政治にあっては、その政治家の見識を狭めかねません。
 今我々に問われているのは、政治家に対する余の入手についてでありますが、しかし、ごく例外を除いては、政治家はすべて支出捻出のために腐心しております。そこに有権者の政治に対する自覚、批判力を高めることがなければ、今日の政党政治は成り立たないと言うべきでありましょう。それがために、今政府も政党も何をなすべきかを問いかけてみなければなりません。
 また、官僚天下り立候補、特に比例区がさまざまの影響を及ぼしていることを私はたびたび本院で訴えてまいりました。竹下総理は、権力の乱用に至らざるように注意すると答えられますが、官僚がその権力の乱用に至らずしてどうして当選し得ましょうか。個人としては、御無礼でありますが、五万から十万票が限界とされる人たちが、百万票を超す票を集められたのは、まさに官庁総ぐるみの選挙をされるからにほかなりません。
 例えば、大蔵省は金融、保険、証券の各業界を、建設省は許認可から公共事業発注の業界に向かって、郵政省は保険、郵便から切手の売りさばき先に至るまで、各省それぞれに、それこそ許認可権、補助金、監督権の力の及ぶ限りを尽くしての運動が行われていると見られます。とれが果たして民主政治のもとで、あってよいことでありましょうか。私は、この際、少なくとも参議院比例選だけは退官後一定の期間は立候補を制限すべきだと思いますが、いかがでありましょう。(拍手)
 次、税制改革について。
 昨年一年は税制に明け、税制に暮れました。税制の抜本的改革について、民社党は、第一に所得税、法人税の大幅減税、第二に不公平税制の是正を行った後に、第三段階として間接税の改正に取り組むことを決め、その手順の大切なことを力説してまいりました。
 しかるに、竹下内閣は、我々の強い反対にもかかわらず、消費税導入を柱とした税制改革関連法の成立を強行いたしました。そのため、消費税はなお欠陥と矛盾が残されており、国民生活や企業経営を圧迫するおそれがあります。ために、好景気と安定の中で幕があけた平成の時代の出発に、消費税が暗い影を落としております。とにかく導入さえすればよいとか、将来の増税に備えての仕組みさえつくっておけばよいとの視点でつくられた安易な税制と言わねばなりません。
 そこで、指摘しなければならぬ第一は、転嫁を保証する仕組みが余りにも乏しいことであります。このままでは、中小企業者にとっては第二法人税となるのおそれが極めて多い。立場の弱い下請業者は、泣く泣く消費税分を値引きという名でみずからがかぶらざるを得ないと訴えておりさす。
 指摘しなければならぬ第二は、消費税は高い免税点、簡易課税及び限界控除制度を採用したため、業種や企業規模によって損得が生じ、新ただ不公平を拡大せしめたことであります。また、消費者は消費税の導入にかこつけて便乗値上げが行われることを最も警戒しております。
 民社党は、自民党の単独強行採決による消費税法の原案どおりの成立という最悪の事態を回避するため、やむなく、粘り強い努力によって、第一に半年間の弾力的運営、第二に転嫁の明確な条文、第三に見直し規定創設という修正を行いました。
 したがって、まず四月一日より実施するに際しては、広報宣伝に重点を置く立場から、半年間を準備期間と心得て、政府は実施延期に等しい施策をとる趣旨を守っていただかなければなりません。それが弾力的運営の条文と受けとめております。
 問題は、第二点の転嫁の問題であります。事業者間の取引は、信用を土台としてはいるものの、双方の力の関係が決定的になります。その結果、転嫁できなかった場合にどうするか。消費税は消費する相手が払うべき法の趣旨からして、もしこれができなければ、事業継続を採算上あきらめざるを得ない場合あるいは決算の結果赤字となつも場合、政府はあらかじめ納めたこの税は返却すべしとの論が出てくることも予想されます。見直し規定はそのことも含めて設けられたものと解すべきであるが、いかがでありましょう。
 ともあれ、拙速にして、無理に無理を重ねて押し通した法律であってみれば、今にして各業界では困った困ったの声の連発であります。政府は、我が民社党の主張した修正の趣意を今こそ冷静に受けとめ、約束どおり納税者の立場に立って指導されることを重ねて要求いたします。
 不公平税制について。
 我々民社党は、消費税の審議に入る前にまず不公平税制の是正を行うべきだと強く主張いたしましたが、ほんの一、二点の是正を行ったのみで、あとは放置されたままで今日に至りました。
 その第一は、資産に対する課税の問題であります。
 近年、土地と株式の高騰によって資産保有の右無がアンバランスとなり、社会問題化しつつあります。持てる者と持てない者との格差は日ごとに広がり、平等と公平を誇ってきた日本の社会は佃底から崩れていきつつあります。国民生活白書によれば、ちなみに昭和六十二年の持ち家世帯の土地資産額は、全国平均で三千八百万円、東京圏外は八千六百万円とはね上がっております。
 居住資産に対する格差は別にして、保有する出産については、その使用と目的を十分に考慮することはもちろんであるが、政府が常に本議場から唱えておられるがごとく、所得と資産と消費の一ランスをとるという、その資産に対する課税が風抜きとなっているところに国民の不満が募っております。
 また、与野党が協議の途中にあります幾つかの不公平税制是正問題が中断されたままに放置され、政府・与党は消費税成立のためやむなく我らにつき合ったにすぎないという魂胆を露骨に見へております。一体、政府及び自民党はいつから不公平税制是正の協議に応じられるのか、再開の時期を明示していただきたい。
 行政改革についてお尋ねします。行政改革と財政再建について。
 本年度予算は、税収増を理由としたばらまき予算であり、行財政改革の緩みが懸念されております。このような状況が放置されるならば、再び行政経費の肥大化を招き、消費税率の上昇を通じて歯どめなき国民負担の増大をもたらすことになりかねません。我が党は先国会で、「行財政改革の推進と消費税率の歯止め」という自民党との間に合意文書を取り交わし、その中で、「今後とも引き続き行財政改革を強力に推進し、平成二年度特例公債依存体質からの脱却を図り、公債依存度の引き下げに努めるとともに、国債の償還財源については、政府保有の土地、株式などの資産の適切な売却に努める」旨の合意に達しました。
 総理、さきの合意に基づき、行財政改革を推進し、百六十二兆に及ぶ国債残高を減らすため、具体的にいかなる施策を講じるおつもりか。と申し上げるのは、政府は今年度の予算編成で一兆八千二百億円の特例国債の減額を行いましたが、今日のごとく好況でしかも財政余剰のあるときに、どうしてなお一層の減額をしなかったのでありましょうか、不思議でなりません。明確にお答えを願いたい。
 我々民社党は、「政府保有の土地、株式などの資産の適切な売却に努める」という言葉は、まず、NTT、たばこ産業及びJRという以前の三公社を民営化した以上、速やかに株式を発行、売却して、その代金を借金である国債の償還財源に充てるとの意味であります。これらの資産及び株式を、やってみなければわかりませんが、五年間かけて仮に八十兆円で売却することができ、それを償還に充て得たとすれば、百六十兆円の国債は半分に減ります。したがって、その年間の支払い利息も半分となります。このことは、本年度の支払い利息十一兆数千億の半分、すなわち約六兆円に減額できる勘定となり、それだけ支出金が浮きます。
 我々は、政府が行財政改革を強力に推進するのみならず、自民党との間に取り交わした文章のごとく実施されれば、さきに述べたごとく、あるいは年間六兆円が浮いてまいります。それは、年三%の消費税が六兆円と試算されておりますので、さらに六兆円が浮けば、そのままで五年後には六%をいただいたと同じ結果となると試算いたしますが、いかがでありましょうか。
 我々民社党が、行財政改革の中期計画を示せと迫り、自民党との合意文書を取り交わしたのは、一に行政改革の推進を迫り、二に財政再建を進め、三に消費税率三%の歯どめの実を上げるためでありました。今、ここに改めて、国民の前で、総理の明快な御答弁を求めます。(拍手)
 次に、年金問題について伺います。
 政府は、厚生年金の支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き上げる厚生年金保険制度の改正案を年金審議会に諮問しております。年金は国民の老後生活を支える柱であり、雇用保障との連携なくして老後の所得保障としての年金制度を論ずることはできません。六十歳定年制すらようやく一般化してきた状況の中でこのような提案を行うことは、社会保障に関する国の責任を放棄するものであり、公的年金制度に対する国民の信頼を著しく損なうものと言わなければなりません。
 高齢化社会への対応を大きな理由として消費税を導入したのにかかわらず、高齢者の福祉を切り下げるような提案は断じて行うべきではありません。政府は、雇用、年金、医療、福祉、住宅等、高齢者対策を総合的に体系化し、財政的な裏づけのある新たな福祉ビジョンを改めて提示すべきだと考えます。政府の考え方は、いつも福祉の充実を後回しにし、財政の充実を先行させているように、何もかにも順序が逆になっていることを強く指摘し、総理の御所見を承りたいのであります。(拍手)
 民社党は、一昨年秋から「生活先進国づくり」に全力を尽くしております。国民の勤勉な努力によって経済大国日本となり、国民一人当たりの所得は世界のトップに立つことができたと報道されております。確かに名目賃金は世界一となったでしょう。しかし、私たちの生活が世界一だと実感を持って受けとめる人はほとんどおりません。それは、余りにも生活費が高いからであります。土地の高騰によって住宅はますます手の届かないところに逃げていき、食糧は欧米諸国に比べて三、四倍であり、公共料金は平均二倍となっております。住宅も食糧も公共料金も、政府の施策よろしきを得れば、これを改めることは決して不可能ではありません。我々民社党は、毎年毎年本院においてこれが是正のために幾たび提案したことでありましょう。
 民間企業が力いっぱいの努力を傾けて世界一の経済を築いているのに、一たび政府の手にかかるものは、すべて国際競争の中で手かせ足かせの役果たして、世界各国に比べて何倍か高い生活費となってはね返っているのが実情であります。国民は、今、賃金にふさわしい生活を求めております。一たび外国を訪れた人は、一様に日本国民の生活費の高さに驚かされております。
 特に、諸外国に比べ高い食糧費を下げるためには、農業の近代化が不可欠であります。今自由化のあらしの中で、農業、農民は苦境に陥っています。これは、ひとえに農政の貧困に原因があると言わざるを得ません。日本人の生命産業である農業をこれ以上疲弊させてはなりません。政府は、今こそ自立化できる農業をつくり、内外価格差を是正しなくてはなりません。我々は、この見地から二十一世紀へ向けての農業先進国ビジョンを策定いたしましたが、政府としても農業の長期ビジョンを策定するよう強く求めるものであります。
 さて、経済大国日本として今国民がひとしく心配しておりますのは、衣食足りて礼節を知るという言葉がありますが、逆に、衣食足りてなお礼節を失いつつありはしないかという危惧の念であります。
 日本の社会が学歴社会から脱皮しつつあることは評価されますが、それでもなお学歴偏重の社会であり、特に国家機関が偏重の最たるものであろことを指摘するとともに、これを前提として、子を思う親の立場から受験戦争がますます激化しつつあるのが今日の実情であります。現に今、東京都内のホテル、宿舎は超満員であり、その原因は、日本じゅうの受験生が東京に集中したかの観を呈しております。
 しかるに、この受験生は、文部大臣がかわるごとに猫の目のように変わる大学入試制度に振り回されております。政府は改善、改革と信じておられるでしょうが、受験生や父兄にとっては単なる小手先の制度いじりと映り、大変な混乱を来しているのが実情であります。共通一次試験は、公平にして公正で難問奇問をなくすと言ったのに、ことしの試験はその前提さえ崩されています。
 この際、百害あって一利なしとの非難の強いこの種の共通試験制度は、廃止を含めて検討する意思はありませんか。受験は、当面とっての問題下はなく、じっくりと目標に向かって生徒が対応下さる制度でなければなりません。その意味で、曲府は、中長期的視野に立った抜本的入試制度が必要であると考えます。
 政府は、今こそ経済大国の国民にふさわしい生活を真剣に考え、土地、住宅、食糧、公共料金及び教育について、原点に返って検討すべきことを提案いたします。これなくしては真のふるさと創生はあり得ません。
 次に、外交について。
 アメリカのブッシュ新大統領がいかなる姿勢下日本に臨まんとしておられるかは、日本国民の最も大きな関心事であります。とりわけアメリカの議会が日本に対して特に経済問題で厳しい発言が相次いでいるときだけに、殊さら気になるところであります。日本はアメリカとはよきパートナーの立場に立ち、是は是とし、非は非として対処していくべきでありましょう。過日ブッシュ新大統領と会談された竹下総理はどのような印象を持ち、どのような話し合いをされたのか、まず伺わねばなりません。
 米ソの関係改善、中ソの話し合い、朝鮮半島の統一への話し合いは、いずれも、楽観は許さないが着実にその機運が盛り上がりつつあると言うべきでありましょう。日ソ外相会談を皮切りに、一方領土問題が、道は遠いが、粘り強い努力を重わることによって希望のある年になることを願ってやみません。世界の中の日本として、政府は重い責任を担い、その指導力を示さなければならなくなってきつつあると信じます。
 特に、世界のGNPの一割を超える国家として、西側自由陣営の重要な一員として、世界平和と繁栄に対し、より一層の貢献をしていかなければなりません。その最も有効な経済協力は、本年度予算にして七千五百五十七億円に達し、世界一の援助大国になります。
 問題は、それが公正かつ合理的に行われ、その国の国民生活の安定向上に役立ち、感謝されているかどうかが重要であります。と申し上げるのは、過去においては、せっかくの経済援助が単にその国の政権を支える手段として使われ、その国の一般国民からはむしろ反発を招いている例なしとしないからであります。よって、政府開発援助については、その計画の概要を国会に提出するとともに、その国の安定向上、ひいては周辺地域の平和に役立っているかどうか、大局的見地から評価できる制度を確立すべきであると考えますが、いかがでありましょう。
 次に、国の安全は地道な外交努力と着実に整備された防衛力によって確保されることは改めて述べるまでもありません。防衛力の整備は近代的な正面装備と訓練された自衛隊員によって達成されるもので、総理みずからも、常に精強な自衛隊たれと隊員に訓辞されておられます。しかるに、総理が訓辞されるごとくに隊員は育成されているとは思われない。すなわち、隊員の制度的改革、処遇の改善、生活環境の整備等々、いずれの面を取り上げても、正面装備に比べて劣悪な条件のもとに全国二十五万人の自衛官はひたすら忍従しているのが実情ではないでしょうか。
 防衛は、人と物の両面から成り立ちます。政府の中期防衛力整備計画は、一言で言えば戦車、航空機、艦艇の調達計画にすぎない。自衛官の質的向上が防衛力の一大支柱であることを考慮すれば、自衛官の処遇改善について、法制面を含めて、人の育成強化を図る全般的な計画が必要であります。
 例えば、訓練中の事故についてさえ、問題が裁判に移されるとき、裁判費用は隊員の個人負担で国は一切の面倒を見ていないと言われるが、私どもの常識では信じられない話であります。
 また、不幸にして訓練中に死亡した場合の国の弔慰金は、他の公務員より低額で、遺族は国を相手取って裁判で増額を訴えている事例さえ起きております。
 また、海上勤務の自衛官の航海手当が一日わずか四百五十円であるとか、昭和六十年八月の日航機事故の際の災害出動手当が一日当たり六百六十円で、同じ場所で働いていた警察官の七千余円と比べて十分の一以下では、金の面よりも、彼ら若き隊員の心はいたく傷つけられていることに気づかなければなりません。
 最近、自衛官募集が好景気のゆえに集まらないとの声をたびたび耳にいたしますが、問題の根本はそれ以外にもあると気づかなければなりません。若者は、今集団生活を嫌う傾向にあることも事実です。また、愛国心を強要されて素直に受け入れられない教育下に育った人の多いのも事実です。しかし、私が部隊を訪れて第一に気づくのは、その環境の悪さであり、法制面からくる扱いの低さを指摘しなければなりません。
 総理、一体どうして自衛官は一般公務員より一ランク下げた扱いをしなければなりませんか。私は、いにしえの軍国主義のごとくすべて軍事優生の法をつくれと主張するつもりは毛頭ありません。しかし、国の平和と国民の安全を守ることに生きがいを持ち、公のために犠牲を払うことを諮りとする日本の若者のために、政府は、及び腰でなく堂々と、そして魅力ある環境をつくることに最善を尽くすことを強く主張いたします。(拍手)
 最後に、昭和天皇の大喪について触れます。
 大喪の礼及び皇位継承に伴う行事を滞りなく上り行うことは、圧倒的国民の望んでいるところと信じます。また、日本のよき文化と伝統を守ることは、我々の世代の者が後世に伝える大切な仕事でもあります。政府は、憲法に示された政教分離の精神と伝統的儀式とを尊重し、一部の目的を持った人々の非難におもねらず、列国元首を初め賓客多数御参列のもとに行われる大喪を厳粛かつ荘厳に行われることを心から願うものであります。(拍手)
 単一宗教を国教とする多くのヨーロッパ諸国軒別として、政教分離の最も厳しいアメリカにして、例えばケネディ大統領の国葬は、彼がカソリック信者であったがゆえにセントマタイ教会怖行い、葬送の列には宗教宗派を問わない三百万人が連なり、アイゼンハワー大統領の場合は、プロテスタントであるがゆえにワシントン大寺院でこれを行いました。また、世界一政教分離の厳しいフランスでさえも、ドゴールの国葬拒否の遺志を知りながら、なおフランス政府はパリのノートルダム教会で厳粛なミサを行いました。政教分離とはかかわりなく、王制であれ共和制であれ、国の儀式となればこのようにとり行われることは文明国の常識でありましょう。
 昭和天皇の崩御に対し、何と世界三十一カ国の国々が、それぞれ王室及び国家として喪に服されました。ノルウェー王室は三週間、ベルギー王室は一週間、インドは国家として三日間、ブータンは六日間、タイは三日間等々、日本に劣らないほどの敬愛を喪に服する形で示してくださったことを忘れてはなりません。大喪のとき、それらの国及び王室の代表がすべて出席されると聞いております。このときこそ、日本国民の自由と平和と温かい国民の心をあらわす大切な機会であり、同時に、それは国際社会の中に生きる我が日本国の文化的個性を示すゆえんであると信じます。
 以上、各項目について総理の所信を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕

発言情報

speech_id: 111405254X00519890214_003

発言者: 塚本三郎

speaker_id: 16478

日付: 1989-02-14

院: 衆議院

会議名: 本会議