小川国彦の発言 (本会議)

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○小川国彦君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、竹下総理及び竹下内閣に質問をいたします。
 昨夜は、リクルートの前会長江副浩正を初めNTTの元取締役等合計四人が逮捕されました。世の中はかつてなく騒然とし、混乱しております。騒然となっている理由は、この逮捕によって疑獄と化しつつあるリクルート事件のほかにもう一つあります。それは、自民党によって消費税の強行が目前に迫っていることであります。
 一昨日行われた福岡県の補欠選挙において、我が党公認の渕上貞雄氏が大勝利を得、自民党候補が地すべり的惨敗を見せたのは、この悪税とリクルート疑獄に対するものであって、国民の賢明にして手厳しい回答であったのであります。
 そこで、私は、この日本社会の目下まれに見る混乱について、竹下総理及び竹下内閣にその政治責任と政治家としての倫理を改めて厳しく問いたいと思うのであります。(拍手)
 まず第一点は、消費税の問題であります。
 強行されようとしている消費税は、空気以外は何でも税金三%、生活必需品にもダイヤモンドにも同じ税率という国は世界のどこにもございません。社会政策がないということであります。ここに、国民大多数の新税への非常な怒りが存在するのであります。
 その中で、自動車メーカーを初めとする大企業が新税をもって利益を上げるという不当な現象が表面化しております。中小企業者は泣いておりさす。例えば、仕入れの商品は新税によって事実上の値上げをされているにもかかわらず、年商三千万円以下の業者は商品にそれを転嫁できず、泣き寝入りせざるを得ないことが大きく懸念されております。また、中小の下請業者は、三%の上乗せ分の見返りに、大手企業によって値引きやコストダウンを強要され始めているのが現実であります。消費税を納入する業界、業者の中では、今、連日会議が行われ、業者間で新税の負担をいかにするかで大変な紛争が起こっていると聞いております。
 結局、消費税は、大なる者に巨額の利益をもたらし、弱き者にその負担を強いるという不公正、不公平が今まさに露呈しつつあります。各地の自治体は、待っていたとぽかりに公共料金の一斉値上げを決定しつつあります。JR、私鉄、タクシーが相次いで値上げの申請を出しました。こうした騒然とした一斉値上げは、やがて諸物価のインフレ的値上がりを招くことは必然であります。
 消費者は今怒りと恐れに包まれているというのが現状であり、福岡の参議院補選に見られました国民、消費者の回答は、まさに消費者一揆という様相を呈し、自民党を惨敗に追い込んだのであります。この消費税をつくる中心となった政府税制調査会長小倉武一氏をして堕落の税制、堕落の税制と言わせたその真の姿が、今国民の大衆の前に姿をあらわしてきたというのが現実であります。
 竹下総理、私たちは、このように国民の大多数を苦しめ、大きな欠陥を有することが明らかとなった消費税については、四月一日の実施を取りやめ、改めて国民合意の税制改革に取り組むよう、政府の決断を強く求めるものであります。(拍手)
 第二の問題点として、私は、リクルート疑獄の底知れぬ拡大について、特に竹下総理の責任を問いたいと思うのであります。
 昨日、リクルート疑獄は、ついに検察による逮捕が行われるに至りました。まさに歴史に例を見ない疑獄が、ここに白日のもとにさらされようとしております。この疑獄は、リクルートという会社及びその会長を務めていた江副浩正自身が、リクルートコスモスという子会社の株式を、上場寸前に、高級官僚、企業幹部及び政治家に目的を持ってばらまいたという、世にもまれな事件であり、ここにいわゆるリクルート疑獄の本質があることは言うまでもありません。株券は、一夜にして巨額の現金と化したのであります。
 昨夜の逮捕は、贈賄側の江副等二人と、収賄側のNTTの元役員二人でありました。しかし、事件は周知のように労働省から文部省にまで及び、そのトップである元事務次官にまで検察の手が伸びようとしております。二省庁のトップにまで嫌疑が及んでいる事実は、自民党政権下の行政府が腐敗の極に達している証明と言っても過言ではないでありましょう。(拍手)腐敗は断固として正さねばなりません。さらに言及するなら、国民の消費税への不安、反感の意識の底には、こうした官僚たちの堕落、腐敗も大きく影響していることは見逃せない事実であります。
 ここで今国民が厳しい目を向けているのが、リクルートからの株を得た政治家たちに対してであります。けさのマスコミが一斉に指摘しているように、リクルート疑獄の本質は、多数の政治家に対する株券、すなわち金の贈与、言ってみれば贈賄であります。ここにこそ国民は、高級官僚に劣らぬ堕落と腐敗の証拠を直視しているのであります。私は、ここに、職務権限に関係して株を得た政治家に対しては、当然厳しく法による究明を法務大臣、法務当局に求めるものであります。
 しかし、リクルート株によって巨額の利益を受けている政治家たちは、職務権限にかかわりがない、法に触れないなどと言って今平然としておるのでありますが、実はここに国民は、現在の政治と政治家の倫理観の根本的な欠如を見ているのであります。地位ある政治家が何ら汗することなく、無造作に数千万円の札束を懐に入れて平然としているのを許していいでしょうか。これはまさに悪行であります。
 イギリスの経済誌エコノミストはこう言っているのであります。日本の政治家は金で売ったり買ったりできるのか。つまり、イギリス人は、この事件を通して、日本では政治家そのものを金で売り買いできるととの不思議さを指摘しているのであります。日本人にしても、心ある者は、この明白な贈収賄を嫌悪の目をもって見ているのであります。
 私が、竹下総理に譲渡されたと見られる一万二千株の行方及びその処分金の始末について、竹下総理自身の明快な答弁を求める理由もここにあるのであります。
 第三点として、私は、竹下総理とリクルート株疑惑については、いまだに真相が解明されていないという事実を指摘したいのであります。
 すなわち、竹下総理秘書青木伊平氏名義の二千株、竹下総理の実弟の妻の兄に当たる福田勝之氏名義の一万株については、リクルート社のだれからその株を受け取ったのか、だれの名義で買ったのか、だれの名義で売り払ったのか、入金はだれの名義か、そしてだれがこの金を使ったのか、これらの重要な問題点について、竹下総理自身全く真実を明らかにいたしておりません。入った金は約二千六百四十万円と言われますが、これは世のサラリーマンが一生働いて得ることができる退職金の二倍、三倍の額であります。明白な答弁は、日本の働くサラリーマンの疑問に答えるものでなければなりません。
 今まで竹下総理は、リクルート株の譲渡を受けたのは秘書であり、また親戚の福田氏であるとして責任を逃れんとしております。しかし、秘書と総理が表裏一体の関係であることは世の常識と言うべきでありましょう。公職選挙法には連座制という規定があります。この法の心は竹下総理自身十分に理解していることと存じますが、リクルート疑惑においても、青木秘書と竹下総理は、まさに連座の責任があると言えるのではないでしょうか。(拍手)この点、竹下総理の見解を伺いたいと存じます。
 さらに、第四の問題点として、私は、政治家の倫理という観点から、竹下総理の個人の家計収支について、あえて庶民の観点から率直な疑問をお尋ねしたいと存じます。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━すなわち、総理が大蔵大臣であった昭和六十年の総理の処分可能な収入は、あなたの納税額から推定いたしますと約三千百万円であります。しかし、この年の支出は、所得税が一千五十五万円、住民税と固定資産税が約五百万円であります。一方、総理の資産公開で見ると、この一年間に預貯金した金は二百一万円、買った国債が二百十万円、そして一千九十九万円の借金を返済しております。これで昭和六十年度の収支はとんとんであります。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 さらに、昭和六十二年度の例についてお尋ねしたい。この年の処分可能な収入額は、納税額から推定いたしますと四千二百万円であります。しかし、この年の支出は、所得税が一千六百二十九万円、住民税、固定資産税合わせて五百万円、家賃、これは佐藤栄作邸の家賃でありますが、一千二百万円、さらに河口湖の別荘の敷金及び家賃二千九百五十万円などを合計いたしますと、これだけで支出が六千二百七十九万円に達してしまいます。━━━━━━━━━━━━━━━
 最近発表された総理の公開資産を拝見いたしましても、土地や株を売った様子もなく、また借入金をふやした形跡もございません。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━この点、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━失礼とは存じますが、あえて質問にお答えくださるよう要求いたす次第であります。
 第五点として、私は政治家の資産のあり方についてお伺いをいたしたいと存じます。
 さきに竹下内閣は、中曽根内閣以来の方針に基づき、全閣僚の資産を公開されました。まことに結構な制度であり、ぜひこの制度を充実徹底させてほしいものだと考えるものであります。
 竹下総理も世田谷区代沢の宅地、住宅を初め郷里の財産を公表しておりましたが、なぜか山梨県鳴沢村にある別荘が公表から外されているのであります。
 この別荘地は、富士観光開発という会社によって売り出され、最初は総理夫人の直子さん、次いで竹下総理秘書の青木伊平氏が代表取締役である新樹企画、新しい樹木の樹と書くのでありますが、新樹企画が合計六区画を取得しています。約五千平方メートルの敷地に延べ二百二十五平方メートルの広大な建物があり、さらに昭和六十二年七月、新たに別棟も完成し、これは本年二月一日、新樹企画の名義で登記されました。建物は、竹下氏女婿の内藤武宣氏の名義になっております。
 ところで、この別荘は、当初鳴沢村に提出された建築工事名では竹下登名義で行われ、地元ではだれもが竹下さんの別荘と言っておりますが、途中から名義が新樹企画に変わったようであります。
 この新樹企画の役員は三十年も竹下さんの秘書を務めてこられた青木伊平氏であり、あと一名の取締役は竹下総理の女婿とのことでありますから、三名の取締役中二名が総理の身内ともいうべき人物であります。この身内の会社が、総ヒノキで約三百六十一・四六平方メートル、一億一千二百万円と言われる豪華な別荘を有し、竹下総理も毎年夏を中心に約一カ月ぐらい使用されているということであります。そして、この別荘を使用するに当たって、竹下総理が年間九百六十万円の家賃を支払っているのであります。これは、まさに個人資産隠してはございませんか。
 竹下総理、なぜ私があえてあなたの別荘問題を取り上げたかと申しますと、私は先日、総理を初めとする各閣僚の資産公表をつぶさに検討いたしました。その際、最も不思議に感じましたことは、先祖から引き継いだという部分を除きまして、一般国民の常識を超える資産を政治家としてつくり上げているということであります。国会議員の歳費は限られたものであります。その政治生活の中で、何億円もの邸宅をつくり上げ、有名ゴルフ場の会員権を数多く蓄えているのはおかしなことと言わなければなりません。ここに、日本の政治の最大の欠陥として、政治資金が個人資産に流用して使用されているという問題がうかがわれるのであります。
 政治資金規正法は、御存じのようにしり抜けであります。政治の世界では一千万、二千万、あるいは億の金が無造作に出たり入ったりしている事実が今回のリクルート疑獄で白日のもとにさらされました。しかし、このような金の動きは、殖産住宅事件を初めとする多くの事件でもわかるように、政治の世界では日常茶飯のことなのであります。このことは、日本の政治が極めて後進的な状況にあると言っても過言ではないのであります。
 民主主義諸国では、既に政治家の金、資産については大変厳しい法をつくり上げていることは御存じのところであります。アメリカの一九七八年政府倫理法では、例えば百ドル以上の贈り物、二、百五十ドル以上のもてなし、一千ドル以上の株、不動産の取引については、大統領以下、議員も高級官僚もその報告を義務づけられているのであります。虚偽の報告には罰則があります。レーガン政権のもとで大統領補佐官であったリチャード・アレン氏が、妻に贈られた一千ドルのお金と腕時計のためにその職を辞任した例は有名であります。
 数千万円という巨額の金をリクルートを初めとする企業から無造作にもらってしまう閣僚や議員が輩出している日本の政界は、こうした民主主義国の政治倫理の目で見れば、異常としか言いようがないのは当然であります。
 最近におきましてロンドンのエコノミスト誌がリクルート株と日本の政治を論じました軽べつ的な文章を読みまして、日本の国民は激しい屈辱を感じているのであります。このエコノミスト誌の論評は、「日本の暗やみ」と題したものであります。論評は、株を受けた者の中には現職の首相と前職の首相の側近の名前も挙がっているし、大蔵大臣も含まれている、この株は地位と影響力を買うことを目的とする明白なわいろなのだと言っているのであります。そしてまた、なぜ竹下氏はまだ首相でいられるのかとも論じていることに注目していただきたいのであります。
 最後に、私は、竹下総理の政治改革について伺いたいと存じます。
 リクルートの渦中にある竹下総理は、政治改革をこれからの最優先課題にすると言っております。しかし、福岡県において自民党を惨敗させた国民は、こうしたリクルート株に汚染された総理による政治改革を完全に拒否したのであります。まことに、竹下総理の資産の不可解、そしてリクルート株をめぐる疑惑を考えたとき、当事者たる総理自身がみずからの疑惑を晴らそうとせず、ただ題目のように政治改革を唱えるのは全くおかしなことと言わざるを得ないのであります。(拍手)乱は、今総理がなすべきことは、みずからリクルート株一万二千株の真相を明らかにすると同時に、その進退をも明確にすべきことではないかと判断するものであります。
 竹下総理、リクルート疑獄における政治責任の大きさは、はかり知れないものがあります。この際、竹下内閣は総辞職をしてその責任を明らかにすべきであると存じます。同時に、国会解散によって消費税実施の賛成、反対を改めて国民に明い、政治改革のあり方についても国民の審判を仰ぐべきときであると信じます。
 竹下総理が政治家としての出処進退を一日も早く決断されるよう切望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 小川国彦

speaker_id: 11979

日付: 1989-02-14

院: 衆議院

会議名: 本会議