坂野重信の発言 (地方行政委員会)
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○国務大臣(坂野重信君) 委員各位には、平素から地方行政及び警察行政の推進に格段の御尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。
この機会に所管行政の当面する諸問題につきまして所信の一端を申し上げ、各位の深い御理解と御協力を賜りたいと存じます。
さて今日、我が国社会は、高齢化、国際化、情報化が急速に進みつつあります。今日の地方行政は、このようにさまざまな面で大きな変貌を遂げつつある社会情勢に的確に対応しつつ、個性豊かな活力ある地域社会の実現を図ることが期待されており、地方公共団体の果たす役割は一層増大するものと考えられます。
一方、地方自治を取り巻く行財政環境には依然として厳しいものがありますが、国、地方を通ずる行政改革と地方財政の健全化を一層進めていくとともに、今後とも地方税財源の確保を図り、各地域において住氏が誇りと愛着を持てるふるさとづくりを推進するための施策を積極的に展開していかなければなりません。
私は、二十一世紀に向け時代にふさわしい地方自治の確立のため最大限の努力を払ってまいる所存であります。
まず、国、地方を通ずる内政上の最重要課題であるふるさと創生の実現を期するには、各地方公共団体が地域の現状を踏まえ、それぞれの特色を生かし、独創的、個性的な地域づくりを自主的、主体的に進めていく必要があります。このため既に実施中でありますふるさとづくり特別対策事業に加え、このたび地域総合整備財団、いわゆるふるさと財団の支援を得て民間事業活動等に対し長期低利資金の供給を行うための地域総合整備資金貸付制度を創設いたしました。
さらに、地方が知恵を出し、中央が支援するという、これまでとは異なった発想に基づく自ら考え自ら行う地域づくり事業を新たに実施いたしているほか、広域市町村圏の重点的な振興整備を図るためふるさと市町村圏を新たに選定し、所要の財源措置を講ずることとしているところであります。
また、自治省、外務省、文部省が共同で実施している語学指導等を行う外国青年招致事業(JET事業)の招致人数を大幅に増加させるとともに、ドイツ、フランスの二カ国を加えて招致国を八カ国とし、地域レベルでの国際交流の進展と外国語教育の充実を一層推進してまいる所存であります。
次に、地方行政の充実について申し上げます。
地方公共団体がその機能を十分発揮し、住民福祉の向上、ふるさと創生の実現等を進めてまいるためには、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化を図るとともに、地方公共団体の自主性、自立性の強化を図っていく必要があります。
このためかねてより、用と地方公共団体の間の事務・権限の再配分などに努めてきたところでありますが、現在、臨時行政改革推進審議会においても、国と地方との関係等について審議が行われているところでありますので、このような機会にさらに地方公共団体への権限移譲等が進められるよう努力してまいります。また、機関委任事務制度の改革等所要の地方自治制度の改革についても進めてまいる所存であります。
地方公共団体における行政改革につきましては、地方行革大綱に沿って自主的、総合的な取り組みがなされてきているところでありますが、今後さらに事務事業の見直し、組織・機構の簡素合理化、給与・定員管理の適正化等が積極的、計画的に推進されるよう強力に指導してまいりたいと考えております。
次に、地方財政に係る施策について申し上げます。
平成元年度以降の国庫補助負担率の取り扱いにつきましては、国から地方への恒久財源の移譲等による地方一般財源の充実を図りつつ、総合的な見地から所要の見直しを行い、もって国と地方の安定した財政関係を確立することとしたところであります。この見直しに係る額一兆三千七百八十六億円につきましては、国庫補助負担率の復元、国のたばこ税の地方交付税対象税目への追加、地方交付税の増額及び建設地方債の増発等により、地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう措置することとしたところであります。
また、地方財政は、累積した多額の借入金残高を抱えるなど依然として厳しい状況にあり、早急に財政構造の健全化を図る必要がありますので、平成元年度におきましては交付税特別会計借入金の返済等所要の措置を講ずることとしております。
平成元年度の地方財政計画は、以上の措置を前提としつつ、おおむね国と同一基調により節度ある行財政運営を行うことを基本とし、次のような方針に基づき策定いたしました。
歳出面におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、生活関連施設等の整備と地域の特性を生かした個性豊かで魅力ある地域づくり・ふるさとづくりを推進するため必要な地方単独事業費の確保に配意する等限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹することであります。
歳入面におきましては、地方債の抑制に努めるとともに、地方税負担の公平適正化の推進と地方交付税の所要額を確保することであります。
この結果、平成元年度の地方財政計画の規模は、歳入歳出とも六十二兆七千七百二十七億円となり、前年度に比べて八・六%の増となっております。
また、地方公営企業につきましては、住民生活に必要なサービスの安定的供給と経営の健全化、活性化を図ることとし、このため社会経済情勢の変化、住民ニーズの多様化に伴うサービスの需要動向等を踏まえ、企業債の所要額を確保する等所要の措置を講ずることとしております。
次に、地方税制について申し上げます。
平成元年度の地方税制改正につきましては、最近における社会経済情勢等にかんがみ、個人住民税均等割及び所得割の非課税限度額の引き上げ並びに法人事業税の分割基準、自動車税の税率構造及び軽油引取税の課税の仕組みについての見直し等を行うごとといたしました。
また、基地交付金及び調整交付金につきましては、基地所在市町村の実情にかんがみ、所要の額を確保することといたしております。
次に、公務員行政について申し上げます。
従前に引き続き、公務能率の向上、厳正な服務規律の確保、正常な労使関係の樹立等に努めるとともに、地方公務員の週休二日制につきましては、各地方公共団体において創意工夫による公務能率の一層の向上を図りつつ、住民の理解を得ながら、月二回の土曜閉庁方式が導入されるよう指導してまいりたいと考えております。
地方公務員共済年金制度につきましては、公的年金制度の一元化に向けた他の被用者年金制度との間における負担調整の措置等を実施することとしております。
次に、消防行政について申し上げます。
我が国の消防は、自治体消防として発足して以来四十年余りの間に、制度、施策、施設等の各般にわたり着実な発展を遂げてまいりました。しかしながら、社会経済の進展に伴い、災害は複雑多様化、大規模化、広域化してきております。
私は、このような状況にかんがみ、何よりもまず人命の尊重を基本とし、安全な地域社会づくりを進めるため、消防力の充実強化はもとより、住民、事業所及び消防機関が一体となった地域ぐるみの消防防災体制を確立することが重要であると考えております。
このため消防施設の整備・装備の高度化等による消防力の充実強化、防災まちづくり事業の推進、広域応援体制の整備、消防防災通信ネットワークの強化、救急救助体制の整備、危険物の安全対策の充実、消防団の一層の活性化対策の促進等を図ってまいる所存であります。また、防火対策の推進、国際化への対応、大深度地下空間の利用に係る消防防災対策等消防を取り巻く環境の変化に対応した積極的な消防行政の推進に努めてまいる所存であります。
次に、警察行政について申し上げます。
申すまでもなく、法秩序の維持は法治国家の根幹であり、国民の安全で豊かな生活の基盤をなすものであります。我が国の治安のよさは国際的にも高い評価を受けてきたところでありますが、最近における内外の諸情勢はまことに厳しく、現在の治安水準を維持していくためには今後一層の努力が必要であります。
私は、このような情勢を十分に認識し、国民の皆様の御理解と御協力を得て、治安の確保に万全を期してまいる所存であります。
初めに、犯罪情勢についてであります。
昨年における刑法犯の認知件数は約百六十四万件と戦後最高を記録しております。内容的にも、朝日新聞襲撃事件や幼児誘拐殺人事件などの重要凶悪事件が相次いで発生し、また、国際的職業犯罪者による事件も多発するなどまことに厳しい情勢となっております。さらに、近年の科学技術の進歩、国際化、都市化の進展、国民意識の変化等に伴い捜査活動は困難の度を深めてきております。このような状況に対処するため、今後とも犯罪の広域化、国際化などに対応する体制の整備充実を推進してまいりたいと考えております。
また、最近特に武装化の傾向を強め、国民の平穏な生活を脅かしている暴力団に対しましては、組織の壊滅を目指し、徹底した取り締まりを行うとともに、暴力団排除のための諸施策を強力に推進していくこととしております。
覚せい剤、麻薬等の薬物乱用の問題は国際的に共通の課題でありますが、我が国でも覚せい剤の乱用が深刻な状況にあり、中毒者による無差別殺人事件が発生するなど社会に大きな不安を与えております。このような状況に対しましては、密輸入事犯の水際検挙、暴力団を中心とする密輸、密売組織の壊滅、末端乱用者の徹底検挙に努めるとともに、薬物乱用を拒絶する社会環境づくりを推進してまいることとしております。
経済事犯につきましては、海外先物取引などをめぐる悪質商法が依然として多発し、国民に多大な被害を与えているところであります。このような犯罪に対しましては、消費者保護の立場から、被害の未然防止と拡大防止を最重点として広報啓発活動を推進するとともに、先制的取り締まりに努めるなど的確な対応をしてまいりたいと考えております。
次に、警備情勢についてであります。
極左暴力集団は、組織の非公然化、軍事化を一層強め、成田闘争や皇室闘争などにおいて爆弾など殺傷力の強い凶器を使用し、あるいは対象を個人にまで拡大した凶悪なテロ、ゲリラ事件を引き起こしております。極左暴力集団は今後もこのようなテロ、ゲリラ事件を多発させるものと見られ、また日本赤軍も、丸岡修などの奪還を目的とした要人誘拐などに出るおそれがあり、厳重な警戒を要するところであります。また、右翼の一部には、反体制、国家革新を標榜して直接行動に走る危険性がうかがわれるところであります。
このような状況に対しましては、今や国際社会共通の脅威となっているテロ、ゲリラを根絶することを当面の重要課題として、国民の皆様の御理解と御協力を得ながら、関係各国とも密接に協力し、的確に対処してまいることとしております。
次に、少年の非行問題についてであります。
我が国の将来を担う少年の非行を防止し、その健全な育成を図ることは国民すべての願いであります。しかしながら、最近の少年非行は依然として高い水準で推移しており、社会の耳目を集めるような凶悪粗暴な事件も後を絶たない状況にあります。
このため青少年問題に携わる関係機関との連携のもとに、国民の皆様の御理解と御協力を得ながら、少年補導、少年相談、非行を誘発させない環境づくりなどの各種非行防止対策を総合的に推進していくこととしております。
次に、交通問題についてであります。
道路交通をめぐる情勢は、十三年ぶりの交通事故死者の一万人突破、都市部を中心とした交通渋滞や違法駐車など一層厳しさを増してきております。このため、交通安全施設の整備、交通安全教育、駐車対策などの諸対策を総合的に推進し、安全かつ円滑な道路交通の確保に努めてまいりたいと考えております。また、最近問題となっております暴走族につきましては、国民生活の静穏、安全を確保するため的確に対処してまいることとしております。
以上、警察行政の当面する諸問題について申し上げたのでありますが、流動する社会経済情勢に迅速かつ的確に対処し、治安の万全を期するためには警察体制の整備充実を図ることが肝要であります。
このため平成元年度におきましては、テロ、ゲリラ対策、広域重要事件対策及び覚せい剤事犯の根絶対策を最重点として、人的、物的基盤の整備を図ってまいりたいと考えております。さらに、職員一人一人が誇りと使命感を持って職務に精励できるよう第一線職員の処遇の改善を進めるとともに、適切な市民応接の推進、職員の実務能力の向上、規律の保持などに努め、国民の期待と信頼にこたえる警察活動の推進に心がけてまいる所存であります。
以上、所管行政の当面する諸問題につきまして所信の一端を申し述べましたが、委員各位の格別の御協力によりましてその実を上げることができますよう、一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。