沢藤礼次郎の発言 (本会議)
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○沢藤礼次郎君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
ことしに入ってからのポーランドを初めとする東欧諸国の激動と改革は、東西冷戦の象徴であったベルリンの壁さえも事実上消滅させ、戦後世界の古い秩序を足元から揺るがそうとしております。
二日から地中海のマルタで開かれた米ソ首脳会談は、世界の多くの人々の戦後世界の枠組みを書きかえる大転換となるかもしれないという期待を裏切ることなく、世界平和と相互協力に基づく新秩序構築への理念を示すとともに、米ソ冷戦時代の終えんを告げるものとなりました。
今や、国際情勢は、従来の米ソ両国による軍縮・軍備管理の枠を超えて、経済的にも両国が相互に協力し助け合う、まさに新デタントの時代に突入しようとしているのであります。
加えて、米ソ両国は、一昨年のINF全廃条約調印後も、戦略核戦力、通常兵力及び国防費の削減など、矢継ぎ早に表明しており、軍拡から軍縮へという国際情勢の趨勢は動かしがたいものになっております。
また、欧州での米ソ両国による軍縮・軍備管理の話し合いが一層促進されれば、必ずや極東の軍事情勢にも大きな影響を及ぼさずにはおかないと考えるのが常識であります。
しかるに、中曽根内閣以来の歴代内閣は、米ソ間でINF全廃条約が調印されようが、戦略核戦力の削減などについて対話路線の定着化が図られようが、米ソ対立の枠組みは変わらないとか、極東ソ連軍の質的増強傾向にも変化が見られないとする国際情勢及び極東軍事情勢についての旧態依然とした認識を切りかえようといたしておりません。「防衛計画の大綱」を達成するためにと称して、中期防衛力整備計画の達成こそ最優先課題であるとして、防衛力の増強を推し進めてきたのであります。
現在、政府は、「防衛計画の大綱」では想定もされていなかったシーレーンの防衛や洋上防空の概念を新たに導入し、OTHレーダー、イージス艦、早期警戒機などの最新兵器を装備しようとする中期防衛力整備計画の来年度での達成を目指すとともに、防衛協力と共同訓練を一層促進することによって、米軍と自衛隊のより緊密な協力関係を確立しようとしております。
さらに、昭和五十一年に閣議決定されました防衛関係費の対GNP比一%枠は、その後防衛費の膨張の歯どめとしての役割を果たしてきたのでありますが、昭和六十二年一月に撤廃されて以来、防衛関係費は三年連続して一%枠を突破したばかりか、去る八月二十五日、防衛庁は、F15やP3Cなどの主要装備の調達や大幅な人員増を盛り込んだ対前年度比六・三五%増の約四兆一千六百八十八億円に達する一九九〇年度概算要求を決定しており、防衛費はとめどもなく膨張を続けているのであります。
米ソ両国が国防費の削減を表明し、国際情勢は明らかに軍拡から軍縮へと転換されようとしている今日、我が国のみがこれまでのような防衛費の伸び率を確保し続け、防衛力の増強を図る必要性はなくなったと言わざるを得ないのであります。
マルタでの米ソ両首脳会談を報じたある新聞の第一面、大きな見出しに「冷戦は終わった」という文字を見たとき、深い感銘に打たれたのは私ひとりではないでありましょう。まさに一つの戦いが今終わったのであります。東西協調の新しい時代の到来をうたい上げた両首脳に拍手を送りたいと思います。(拍手)
と同時に、この両首脳をしてマルタに赴かしめたものは一体何だったのか、両首脳をして冷戦に終止符を打つことを決意させたのは何の力だっただろうか、これを考えるとき、それが……(発言する者あり)両首脳をして冷戦に終止符を打つことを決意させた力は何だったのかを考えるとき、それが世界の中の人々の一人一人の胸の中にある平和への熱い願いの積み重ねであり、平和をつくり出そうとする一人一人の心のエネルギーの総和であることに気がつかなければなりません。(拍手)
平和を願う心が平和をつくり、戦争に傾く心が戦争をつくる。とすれば、自民党政府のかたくなな軍備増強の姿勢は、まさにその後者の範疇に属すると言えましょう。
国際情勢が平和と軍縮に向かいつつある今日、政府が増税を強行し、巨額の予算を使って防衛力の増強を進めようとしていること、これは国際的なデタントの大きな流れに背を向けるものと断ぜざるを得ません。今、我が国がなすべきことは、新デタントと言われる時代にふさわしい平和外交や経済協力などによる非軍事的分野でのより積極的な国際協力、軍縮に寄与することでなければならないと思うのであります。
本改正案は、自衛官の定員増、予備自衛官の増員を図ろうとするものであります。これは、自衛隊が米軍の補完的役割を担いつつみずからの規模と能力を際限なく増強しようとするものであり、このような軍拡路線を盛り込んだ本改正案には強く反対することを表明して、私の反対討論を終わります。(拍手)