大渕絹子の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○大渕絹子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、議題となりました昭和六十二年度決算と当面する我が国の諸問題について、海部総理大臣及び関係大臣に質問いたします。
社会党を含む野党共同提出の消費税廃止関連法案は、一昨日、本院において可決され、現在衆議院において審議が開始されています。ところが政府は、自民党が十二月一日に発表した消費税見直し案に基づき、見直しで負担がふえる中小業者に対して、平成元年度の補正予算で歳出面から支援していく方針を固めたとの報道がされていますが、これは事実ですか。
いまだに法案さえ提出されていない自民党の見直し案を本院で可決された消費税廃止関連法案よりも優先させるということは、議会制民主主義国家としてあってはならないことです。自民党の見直し案を正当化させるために補正予算を利用することは許されません。消費税は速やかに廃止し、税制改革をやり直すべきです。総理の見解をお伺いいたします。
昨年は、政治及び行政の中枢で発生した驚くべきリクルート事件の発覚や消費税の強行導入によって多くの国民が政治不信に陥りました。その責任は重大なものであります。総理は所信表明において、「政治への信頼の回復こそ内閣の最も緊要な課題であります。そのため、政治改革の前進に誠意を込めて取り組んでまいります。」と声高らかにうたい上げました。しかし、総理、あなたは具体的にどのような指導力を発揮されましたか。マスコミなどが指導力欠如の総理大臣とやゆしているのを御存じですか。
今、総理を取り巻く政治情勢を見ておりますと、どんどん外堀が埋められてしまい、総理の御意思はともかく、通常国会召集後の政治日程案までまことしやかに流布されております。衆議院解散を念頭に置いて、来年度の予算編成まで、党指導型で選挙対策の項目がメジロ押しの編成作業が行われています。このような批判にどのようにこ
たえられますか。速やかに衆議院を解散して民意を問われる意思はありませんか。それはいつですか。端的にお答え願います。
「増税なき財政再建」の旗印のもと、昭和五十八年度予算以降、一般歳出予算がゼロベースに抑制される中にあって、防衛費は毎年六%前後の伸びを見せ、平成二年度予算案ではついに四兆円を超える見込みです。総理、あなたが師と仰ぐ三木元総理大臣が遵守されてきたGNP比一%枠を一体どうなさるおつもりですか。
今や、東欧諸国の政治改革やマルタ会談によって米ソの歩み寄りが見られています。世界の動向は軍縮への具体的行動に着手し始めています。そんな中で、我が国だけがアジア情勢は不安定であるとか、基盤的防衛力整備の充実が必要であるとか勝手な理由を主張してみても、世界の人々には軍事大国への道を歩んでいるとしか映らないでしょう。今こそ軍縮を進め、世界平和に貢献し、社会福祉の充実、環境保全を図るために強力な指導力を発揮されることが求められています。総理の御所見をお尋ねいたします。
経済企画庁の国民経済計算によると、昭和六十二年中の民間部門の実需を伴わない有形資産及び金融資産の増加額、いわゆる評価額の増加は、土地で三百六十兆円、株式で百二十六兆円あります。当該年度の国民総生産三百五十一兆円の一・四倍になります。平たく言えば、その一年間、日本の企業、労働者、農民などすべての国民が稼ぎ出した所得の一・四倍分が土地、株式の持ち主の資産としてふえたということです。しかし、国民総生産三百五十一兆円はそれぞれコストがかかりますから、資産として残るのは多く見てもその二割の七十兆円ですが、土地や株式の評価額の増はそのまま資産の増加となるわけです。こうした持つ者と持たざる者との格差の拡大がこの年の政府の経済運営の結果であり、これにより国民の中流意識は消え去ったと言われています。政府は、昭和六十二年度の経済運営によって生じたこの資産格差をどう評価しますか。また、是正策を講ずるお考えはありますか。
ことしの経済白書に指摘されているように、土地と株式のキャピタルゲインは昭和六十一年以降急拡大しています。特に法人企業部門における昭和六十三年末の含み資産は、土地で三百四十二兆円、株で百七十兆円、合計五百兆円に達しています。一方、国の財政状況を見れば、来年度には特例国債依存体質を脱却できるとはいえ、本年度末で百六十二兆円に達する国債と二十九兆円の借入金を国は抱えているわけです。臨調・行革審路線による財界主導の行財政改革によって、社会保障費、教育費などを切り詰め、定員削減と賃金抑制によって公共部門の人件費を圧縮しても、なお百九十一兆円の借金があるのです。法人企業の含み資産は、国の財政支出による経済効果を享受してきた結果ですから、この際、臨時特例的な措置として、法人企業の土地及び株式の帳簿価格を再評価することも必要ではないでしょうか。大蔵大臣、このことにどうお考えでしょうか。
我が国の農業は、長期にわたる米の減反政策、農産物の輸入自由化によって縮小されてきました。今、農村は衰退し、後継者も育たないまま、全国の農家は将来の行く末に不安を抱いております。農業後継者数がどのように推移をしてきたか、お尋ねいたします。
政府は、米の輸入自由化は絶対しないと確約できますか。適地適産を指導するとともに、穀物の自給率をせめて今の倍ぐらいにすることを目標として掲げるつもりはないですか。農林業は国民の生命維持と再生のために不可欠なものです。また、自然環境保全、水資源の確保など、その社会的、公益適な機能ははかり知れない大きな役割を果たしております。その意味で、農林業に対する保護は、単に農家を保護するだけでなく、国民全体に対する保護なのです。アメリカから市場開放を迫られて、政府は輸出産業が上げた利益のツケを農民に払わせようとする態度をいつまで続けるつもりですか。政府の農業問題に取り組む姿勢についてお聞かせください。
昭和六十二年度の決算書や参照書及び決算の説明を見ても、財政運営の姿がわからないことを痛感しました。そこで、わからない原因を追求してみました。
第一に、予算と決算の比較が補正後でなされているため、当初予算の説明文書の是非を検討できなくなっています。第二に、予算書には、参考書類ではありますが、項の下の事項というところがあるんですけれども、その数字があるのに、決算にはその事項の数字が示されていないんです。第三に、予算は幅広いのに決算は歳入歳出のみです。
具体的な例を挙げてみますと、昭和六十二年度当初予算の一番の論点は売上税の導入だったんです。それをめぐって二カ月近い暫定予算を組んだわけですが、決算の数字には売上税関係は見事に無視され、最初から売上税などなかったかのようになっています。財政運営の恥部を隠す姿勢のためか、今の仕組みのためなのかは不明ですが、国民に財政運営を正しく理解してもらうという積極的な姿勢からはほど遠いと言わなければなりません。財政当局は、今の決算制度を改革し、予算と対比しやすい決算にするお考えはありませんか。
次に、昭和六十二年度の税収入について伺います。
補正後予算と比較して三兆七千億円の増収だけでも誤差率八・六%ですが、当初予算の税収見込みと比較すれば、年度途中の減税額一兆八千億円余を含めても七兆四千億円余の増収になり、実に一八%の誤差が生じたことになります。これだけ大きな見込み違いを出した財政当局が過去にあったでしょうか。売上税導入のため、故意に税収を低く見込んだと非難されても仕方がないでしょう。仮に故意でないとするなら、今までの税収見積もり作業に大きな欠陥があると言わざるを得ません。去る十月、政府は本院の予算委員会で税収見積もり方法の見直しを約束されましたが、その見直し点はどこですか。平成二年度にそれは生かされるのですか、明確な御答弁をお願いします。
会計検査院の昭和六十二年度決算検査報告においては、二百九件の指摘がなされ、総額百七億九百四十七万円の税金のむだ遣いがありました。中でも、不当事項に指摘されたのは百七十件に上り、その金額は四十一億三千九百九十九万円になっています。
そこで、総理にお尋ねをします。
政府は毎年、検査院の指摘については、再発防止に努めるというような答弁を繰り返していますが、実効が上がっているとは思えません。総理、国民の血税のむだ遣いをなくするために、予算執行に当たってはこれまで以上の不正防止策を講ずるべきです。会計検査院の指摘事項について、再発防止策を明確な形でお示しください。
本院において、六十二年度一般会計予備費(その2)、六十三年度一般会計予備費(その1)、特別会計予備費(その1)が否決されましたが、これは、政府の予備費使用の姿勢に対し強く反省を求める国民の意思の反映であります。この国民の意思に対し、政府はどう政治的責任をとられますか。
また、ただいま大蔵大臣から御報告がありました昭和六十二年度決算ですが、この中には否決された予備費の使用部分が含まれています。予備費につき再び審査を求めるに当たっては、今後否決されるという事態が繰り返されないような是正措置を確実に講ぜられる御決意があるか、お答えください。
最後に、私はわずか半年前に消費税に対する国民の怒りを背景に当選させていただきました。女性議員の立場から総理にお尋ねをいたします。
本院に女性議員がふえたことをどのように評価されますか。自民党や閣僚の中には、女には政治ができないとか、女は家庭を守っていればいいと
かという声がありますが、これらについて総理はどう思いますか。さらに多くの女性議員の進出を望まれるかどうかお尋ねをして、私の質問といたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕