神崎治一郎の発言 (地方行政委員会)

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○神崎参考人 私は、全国市長会の副会長をいたしております益田市長の神崎でございます。
 衆議院地方行政委員会の諸先生方におかれましては、日ごろ地方行政の諸問題につきまして、格別の御尽力を賜っておりますことに対しまして、心から感謝と厚くお礼を申し上げます。
 本日は、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べる機会を与えていただきましたので、直接都市行政に携わっております市長の立場から、当面する諸問題について意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
 まず、現在審議されております地方交付税法等の一部を改正する法律案の早期成立についてであります。
 申し上げるまでもなく、地方交付税は、地方団体共有の固有財源であり、地方団体の自主性を維持しながら、地方財源の均衡化を図るとともに、必要な財源の保障を行うことが制度の基本であります。
 今回の改正案は、平成二年度における国の予算及び地方財政計画に計上された事業について財源措置を行おうとするものであり、改正案による普通交付税の決定がなされないといたしますと、たとえ国の予算が成立をいたしましても、また地方団体を通じて行われる各省庁の施策につきましても、さらに地方独自の事業につきましても、その円滑な執行ができなくなりますので、本法案の一日も早い成立が緊要であります。
 なお、仄聞するところによりますと、この地方交付税法等の一部を改正する法律案と消費税とを絡めて議論をされる向きもあるやに伺いますけれども、私ども地方団体といたしましては、この点大変に心配をいたしているところであります。
 申し上げるまでもなく、地方団体は、既に平成元年度において消費譲与税や消費税を原資の一部とする地方交付税の配分をいただいているところであり、今年度においても消費譲与税や消費税を含んだ地方交付税を歳入とした予算を編成し、財政運営に当たっているところであります。しかも、今回の改正案は、消費税にかかわる規定を改正するものではないと承知いたしております。
 したがいまして、本法案につきましては、消費税問題とは切り離して審議を促進され、ぜひとも早期に成立を図られますよう強く要望いたします。
 次に、地方財政の現状についてであります。
 御高承のとおり、平成二年度の地方財政は、累積した多額の借入金残高を抱えるなど引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一基調により、歳入面においては、地方債の抑制に努めるとともに、地方一般財源の所要額の確保を図り、歳出面においては、地域住民の福祉の充実と地域の特性を生かした魅力ある地域づくりを推進するために、限られた財源を重点的に配分し、かつ経費支出の効率化に徹する節度ある行財政運営を行うことを基本としております。
 地方財政計画の規模は、総額で六十七兆一千四百二億円、対前年度比で七・〇%の増となっておりますが、国の一般会計の伸び率九・六%よりは低いものとなっております。その歳入に占める一般財源比率は六九・一%と地方財政計画策定以来の高い比率となっておりますが、先ほども申し上げましたとおり、地方財政の現状は、六十七兆円にも上る巨額の借入金残高を抱えるなど極めて厳しい状況に置かれ、個々の地方団体につきましても、公債費負担比率が危険信号である二〇%を超える地方団体が六百七十二団体と、全体の約二割を占める実態であります。
 また、地方財政は、国の財政構造とは異なり、義務的経費のウエートが高い上、歳入構造から見ても自主財源が極めて乏しく、その上、国の制度、施策の影響を強く受けるという特質を持っているとともに、三千三百団体余の財政主体の集合体であることなどを考えますと、現下の地方財政の実態は全く予断を許さない状況にあり、地方財政の健全化はまだまだと言わざるを得ないと思います。
 もとより、私ども地方団体におきましても、事務事業の見直し、組織、機構の簡素化、職員の給与、定員管理の適正化、経費の節減合理化等に努め、みずから努力をいたしているところであり、今後も引き続き一層の行政の簡素合理化、財政の効率的な運用を積極的に推進してまいる覚悟でございます。
 何とぞ、諸先生方におかれましては、地方財政の厳しい実情を御理解をいただき、一層の御支援
を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
 次に、平成二年度の地方財政対策上の措置について若干の所感を申し述べたいと思います。
 第一は、国民健康保険の見直しに伴う措置についてであります。
 国民健康保険制度の見直しにおいては、暫定措置となっていた保険基盤安定制度について、国の助成の強化と制度の安定化が図られるとともに、高額医療費共同事業については現行暫定方式を三年間継続することとし、その地方負担額については、地方交付税の特例加算等により対処することとされております。また、これに関連して、私ども市町村の長年の懸案でありました老人保健法加入者按分率の一〇〇%が実現することとなりました。
 しかしながら、国民健康保険をめぐる状況は、高齢化社会の進展、医療費の増高などによりますます厳しくなってきており、これが及ぼす国保財政への影響もはかり知れないものがあります。
 つきましては、医療費の適正合理化、保険料負担水準の平準化、医療保険の一元化等、制度の抜本的改革につきまして、引き続き諸先生方の格別の御尽力を賜りたいと存じます。
 第二は、国庫補助負担率の暫定引き下げ措置についてであります。
 これにつきましては、平成元年度の地方財政対策の中で、経常経費につきましては恒久的な地方一般財源の充実を図りつつ、原則として補助負担率の恒久化を図ることとされましたが、公共事業を中心に一部の補助負担率につきましては、暫定措置を継続することとされたところであります。
 この暫定措置による影響額については、平成二年度においても所要の財源措置がなされてはおりますが、いずれにいたしましても、我々地方公共団体は平成二年度までの暫定措置と考えておりまして、平成三年度以降の補助負担率の取り扱いにつきましては、昭和五十九年度当時の補助負担率に復元するとともに、今後、安易な地方への負担転嫁を行わないよう強く要望いたします。
 第三は、地域の特性を生かした魅力ある地域づくりについてでございます。
 御案内のとおり、昭和六十三年度から平成元年度にかけては、全市町村に地方交付税により一律一億円が措置され、各地域が広く住民の参加のもとに「自ら考え自ら行う地域づくり」事業が推進されており、これを契機として、それぞれの地域の特色を生かした、自主的、主体的なふるさとづくりの取り組みが行われているところであります。
 平成二年度におきましては、さらに、魅力あるふるさとづくりと多極分散型国土の形成を図るために、地域づくり推進事業を創設するとともに、地方単独事業については七%増とするなど、住民生活に身近な生活関連施策等の積極的な推進を図ることとされており、まことに時宜を得た適切な措置であると考えております。
 第四は、財源対策債償還基金の計上及び交付税特別会計借入金の一部返済等の措置についてでありますが、これらは、先ほども申し述べましたように、多額の借入金残高を抱える地方財政の状況にかんがみ、その中期的な健全化を図る見地から、いずれも必要な措置であると考えております。
 次に、これは私からの意見のまとめということになりますが、この際、地方財政の長期的、安定的な財源を確保し、地方の自主性、自律性を維持する観点から、特に、次の三点について御配慮を賜りますようお願いをいたす次第であります。
 まず第一点は、地方税財源の充実強化についてであります。
 地方団体の事務は、住民福祉の向上、公共施設の整備、維持など住民に身近な経常的なものが多い上に、人口の高齢化、経済の一層の国際化、価値観の多様化などによって行政需要は増加の一途をたどっております。これらの要請にこたえ、地域の特性、多様性を生かし、魅力ある地域づくりを進めるためには、安定した財源が必要であり、さらに、地方財政の健全性を回復するためにも自主的な地方税財源の拡充強化がぜひとも必要であります。
 先般の税制改革におきましては、来るべき高齢化社会への対応など、将来の展望を踏まえ、消費税の創設を初めとする国税、地方税を通じた大幅な改革が行われ、これに伴う地方税財源の減収を補てんするため、消費税の約四割が地方の一般財源として措置されたところであります。
 以来、一年余が経過し、政府におかれては、このたび、消費税につき国民の理解を深め一層の定着を図る観点から、食料品に対する特例や非課税範囲の拡大などを内容とする所要の見直し法案を国会に提出され、一方、野党四党におかれましては、消費税廃止法案など関連四法案を国会に提出されているところであります。
 私ども地方団体といたしましては、消費税の約四割が現に地方の一般財源として配分されており、地方団体にとって極めて重要な財源になっていることなどから、消費税をめぐる今後の動向に重大な関心を抱いているところでありますが、いずれにいたしましても、地方団体の収入の中心をなす地方税の充実強化と地方団体の共有財源である地方交付税総額の安定的確保につきまして、諸先生方の特段の御配慮を賜りたいと存じます。
 なお、平成二年度の地方税制改正におきまして、地方団体の貴重な自主財源である特別地方消費税、ゴルフ場利用税及び入湯税が存続されましたことは、ひとまず安心をいたしておるところでございますが、特別地方消費税の五分の一を納税地市町村に交付する制度の創設については、今回成立した地方税法改正案から削除され、事実上廃案となりましたことは、極めて残念に存じております。
 特別地方消費税の課税対象となる旅館、飲食店等における利用行為は、市町村の行政サービスと密接な関連がある上、市町村におけるこれらの行政に要する経費も相当多額に上っていること、また、市町村における地域振興を一層推進させるためにも、本制度の早期実現を強く要望いたします。
 第二点は、国庫補助金等の整理合理化についてであります。
 国庫補助負担率の引き下げ問題につきましては、先ほど申し述べましたので重複を避けたいと存じますが、私ども地方団体が問題としておりますのは、単に費用の負担を地方に転嫁するという、そのやり方に対してでありまして、筋の通った整理合理化に対しましては、むしろ協力を惜しまないものであります。
 すなわち、国庫補助金等の整理合理化に当たっては、国と地方の機能分担、費用負担のあり方について、徹底的な見直しを行い、地方団体の自主性にゆだねるべきものについては、その廃止と一般財源化等を図るとともに、これに伴う所要財源については十分な措置が講じられるべきであると考えているところでありますので、よろしく御理解を賜りたいと存じます。
 また、補助金等に係る超過負担の解消につきましては、年々その解消措置がとられてきているところではありますが、引き続き御配慮を賜りますようお願いを申し上げます。
 第三点は、地方団体への権限移譲についてであります。
 私どもは、かねてから地方分権による地方自治の充実強化を目指して、地方団体、特に都市への権限移譲を強く要請してきたところでありますが、その主張は、昨年十二月の新行革審の答申の中でも積極的に取り上げられているところであります。特に、一定の条件を満たす地域中核都市に対して、大幅な権限移譲のための必要な制度の整備を図ることとし、また、その他の都市についても人口規模等に応じ、各種事務権限の移譲を推進すべきであるとしております。これは、都市自治体への大幅な権限移譲について、一定の方向が示されたものであり、私ども地方団体といたしましてもその一日も早い実現を願うところでありますので、具体的な取り組みが早急に行われますよ
う、諸先生方の御配慮をお願いを申し上げる次第であります。
 以上、当面する地方行財政の諸問題について、お願いかたがた忌憚のない意見を申し述べさせていただきましたが、とりわけ、私ども地方団体の現下の最大の関心事は、地方交付税法等の一部を改正する法律案の早期成立についてであります。
 これにつきましては、先ほどるる申し上げたところでありますが、地方交付税が地方団体の極めて重要な財源であることを改めて御理解を賜り、消費税問題とは切り離して、本法案を速やかに成立させ、私ども地方団体の事務事業の執行に支障が生じないようにしていただきますよう、重ねてお願いを申し上げて、私の公述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 神崎治一郎

speaker_id: 23097

日付: 1990-05-30

院: 衆議院

会議名: 地方行政委員会