能登和夫の発言 (地方行政委員会)
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○能登参考人 私は、ただいま島村地方行政委員長さんから御指名をいただきました北海道三笠市長の能登でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
平素当委員会におきましては、地方行政の円滑なる推進とともに、その充実、発展を期するため格別の御尽力をなされ、また私ども地方行政を預かる者に対しまして温かい御支援、御指導をいただいていることに対しまして心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
三笠市は、明治十五年開基以来百七年間にわたり炭鉱の町として歩み続けてまいりましたが、昨年九月、ただ一つ残されておりました北炭幌内炭鉱が閉山となりましたが、この閉山に当たり当委員会を初め政治、行政の各御関係機関の皆さん方から大変な御心配をいただくとともに、温かい御支援、御協力、御指導を賜り、本当にありがとうございました。町の再生のために精いっぱい頑張ってまいりますので、今後とも何とぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。
さて、私は、産炭地自治体の長としての立場から意見を申し述べさせていただきます。
戦後、日本経済の復興を支えた国内石炭産業は、昭和三十年代に至りエネルギーの変革により需要が減退し、深刻な不況に陥りました。こうした中、産炭地域におきましては炭鉱の閉山、合理化が相次ぎ、炭鉱離職者の発生と滞留、石炭関連事業の衰退、商工業の転廃業等によって地方財政にも多大な影響を与えるに至りました。その上、昭和六十年代に入って日本の経済構造調整の進展を受けた第八次石炭政策が昭和六十二年度より実施され、既に五炭鉱が閉山し、残る炭鉱も合理化が進められており、産炭地域は国内の好景気とは対照的に人口の激減とそれに伴う高齢化、厳しい雇用失業情勢とともに財政状況の悪化等極めて深刻な打撃を受け、疲弊著しい状況にございます。
そこで、産炭地自治体の具体的な例として、北海道の中でも第八次石炭政策の実施により最も影響を受けている石狩炭田に所在する夕張、芦別、赤平、歌志内、三笠の五市と上砂川町の五市一町の実態についてこの機会に申し述べたいと思います。
まず、人口について申し上げますと、炭鉱が不況に陥る前の昭和三十五年の国勢調査人口は、五市一町総計で三十五万七千人でございましたが、その後石炭産業の不振が続き、二十五年後の昭和六十年の国勢調査では十二万五千人と大幅に減少し、人口数で二十三万二千人の減、減少率では六五%の高率を示しております。ちなみに、同様比較による全国市町村の平均では三〇%の増加でございますので、さらにはまた、全道市町村におきましても一三%の増加を示しておりますので、当地域の人口減が極めて厳しいことが御理解いただけるものと存じます。さらに、昭和六十年の国勢調査人口と平成二年三月三十一日現在の住民基本台帳人口との比較におきましても、住民基本台帳人口が十万三千人となっておりますので、四年ほどの間でさらに二万二千人が減少している状況にございます。
次に、税収入状況でありますが、これを収入総額に占める住民税の割合について申し上げますと、昭和三十五年度の五市一町の平均は四七%となっておりますが、以後、六十年度一五%、六十三年度では一二%と低下を続けております。ここで全国市町村平均ではどうかと見てみますと、昭和六十年度が四〇・五%、昭和六十三年度では四二・三%と景気動向に関連して年々増加を示しております。
このように人口減と税収入の減少によって当地域における自主財源は大幅に低下する反面、閉山、合理化対策の財政需要の増加により財政力は減少の一途をたどっております。これらの実態を最近における財政力指数にどうあらわれているかについて申し上げますと、昭和六十年度におきましては、五市一町の平均が〇・二七二でございますが、これに対して全国市町村では〇・七四五、昭和六十三年度におきましては五市一町の平均が〇・二一六、これに対して全国市町村では〇・七五九となっており、全国市町村平均を一〇〇といたしますと五市一町平均は、昭和六十年度では三六、昭和六十三年度では二八程度にとどまっております。
以上、具体的な例を二、三申し上げて産炭地域の財政事情を大まかに御理解いただいたことと存じますが、産炭地域に共通する問題といたしましては、一つには、産炭地は町の条件のいかんにかかわらず、その地に石炭資源が埋蔵されていたことにより、かつて産業が急激に発展し、人口が急増したため、その対策に集中し、計画的な町づくりが立ちおくれたことであります。二つ目には、石炭産業の後退に即応した産業配置が進展しなかったことが挙げられます。三つ目には、産炭地は共通して地形、所在環境に恵まれないため、地域の回復には相当の期間が必要とされることであります。さらに四つ目には、北海道といたしましては特に積雪寒冷等の気象条件等による影響がございます。以上、これらの点が考えられるわけでございます。
これまで産炭地対策につきましては新立法の制定、行財政の運用上における支援対策をお考えいただき、私どもは非常にありがたく存じておりますが、さらにただいま申し上げましたような産炭地域の地域事情と急激な社会経済の変化に対応できる地域対策あるいは財政対策を見出すことが急務であると考えております。
ここで、地方財政制度の中で最も重要とされる地方交付税制度について申し上げたいと存じますが、申し上げるまでもなく、本制度のねらいは地方公共団体の自主性、独立性を確保しつつ、一つにはその財源の均衡化を図ること、二つには地方行政の計画的な運営を保障することを目的とされておりまして、その目的達成のためには今後とも時宜適切な検討が加えられることを切望いたすものであります。
炭鉱の閉山、合理化によって地方交付税制度上顕著に影響するものといたしましては、一つには、先ほど申し上げましたとおり税収入が激減することであります。本市の場合、収入に占める税収入の割合は、平成元年度一〇・三%、さらに平成二年度には八・六%と急激な低下が見込まれます。
二つには、離職者の発生によって再就職問題が生じ、地元に就業の場が少ないために、他地域へ転出することによる人口減が生じます。本市の場合、昨年九月の閉山時から七カ月後の先月四月までに人口が千三百四十人減少し、総人口は一万七千九百三十六人でございまして、最高時であった昭和三十五年住民基本台帳の六万三千三百六十人に比較し三分の一以下となり、なお減り続けるものと心配をいたしております。
三つ目には、生活保護世帯が増加することであります。本市の場合、昭和六十三年度の保護率は三六・三パーミリとなっており、全国平均の一〇・四パーミリを大幅に上回っております。
四つ目には、高齢化現象の進行であります。産炭地域は経済環境等の条件から若年者の流出が続き、相対的に高齢者比率が高まる傾向が著しい状況にございます。本市の場合、平成二年三月三十一日現在で高齢者比率が二〇・三%となっており
ますので、全国平均の推計一一%のほぼ二倍に達しており、我が国における二十年先の社会現象があらわれております。
以上、産炭地の実情は極めて厳しい現状にありますが、この現状に対処するためにも、ぜひ産炭地域における財源対策の充実強化が急務であると考えます。したがいまして、普通交付税の算定に当たりましては、次の諸点について意見を申し述べさせていただきます。
一つには、現行制度において人口減をもとにした産炭地域補正、人口急減補正並びに短期人口急減補正についての継続、さらに児童生徒の減少に伴う算入を含め、内容の充実強化が必要であると考えております。
二つには、先ほど申し述べましたとおり、産炭地自治体の特殊財政需要に対応するため、離職者の発生数並びに高齢者数について測定単位の創設等によっての算入が講ぜられることが必要と考えております。
三つ目には、税収入の減少によって生ずる留保財源分二五%相当額についての財源措置が必要であると考えます。
四つ目には、生活保護費の算定に当たって、保護率が高い自治体に対しての配慮が必要であると考えます。
さらに、産炭地域財政の安定を図る上からも、過疎債等の元利償還金に対します交付税算入率の引き上げ措置並びに閉山対策事業に対する特別対策として事業費補正への算入が講ぜられることが必要であると考えております。
以上、産炭地自治体の実情並びに問題点、さらには当自治体の財政対策の必要性について申し上げた次第でございます。何とぞ深刻なる実態を御確認をいただきまして、適切な御配慮を賜りますよう切にお願いを申し上げるとともに、今次の改正案が早期に成立されることを心から御期待申し上げて、私の陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)