吉田正雄の発言 (文教委員会)
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○吉田(正)委員 衆議院では初めて質問をいたすことになりますけれども、私の方でも思っておることを率直に申し上げたいと思っておりますし、また文部省当局からも、官僚的な答弁ではなくて、本当に心の通い合うようなひとつ論議を行わせていただきたいというふうに思っております。
それで、極めて時間が限られておりますので、高等教育の改革、充実に絞ってお尋ねをいたしたいというふうに思っております。
御承知のように、我が国の高等教育は戦後目覚ましい量的拡大を遂げております。文部省資料でも、平成元年五月現在、大学四百九十九校、短期大学五百八十四校、高等専門学校六十二校であり、在学者数では大学二百七万人、短期大学四十六万人、高等専門学校、これは四、五年次ですが、一万九千人で、進学率は平成元年度三六・八%となっております。
今さら高等教育の重要性を申し上げるまでもないわけでありますけれども、しかし大学院教育の改革、充実は、科学技術の驚異的な発展、学問研究の高度化、社会の国際化、情報化などに伴い日本がこれから国際社会の一員として名誉ある地位と信頼を得ていくために、社会的要請も踏まえた緊急不可欠の課題であります。しかしながら、我が国高等教育の現状は解決すべき多くの問題を抱えております。
時間の関係で本格的な論議はできませんけれども、これはまた馬場委員が後ほど行いますので、それに期待をいたしまして、以下、幾つかの点に絞ってお尋ねいたします。
ちょうど二十年前でありますけれども、一九七〇年一月十一日から二十四日にかけてOECD、経済協力開発機構の教育調査団が日本を訪れ、日本における教育政策及び教育計画の調査を行いました。私は、翻訳でありますけれどもその報告書を読んで、調査団が日本の教育の現状、問題点、政策を的確に把握し、しかも私たち日本人の気づかなかった点や見落としがちな点を含めて鋭い分析を行い、解決策も提示するのを見て、当時大きな衝撃と感激を受けたことを今でも鮮明に覚えております。
報告書の序論では、重要な三つの一般的問題点の指摘を行っておりますけれども、残念ながら、それらは今日なお本質的に解決されていないのではないかと思われます。
その指摘の第一点では、次のように述べております。
学生が生まれながらに持つ能力を開発することよりも、選抜の方を重視することは、事実上、教育のすべての段階を通じて起こっている。
この傾向は、高等教育と大学入試制度の持つ極めて階層的な性格に大きな原因があると考えられる。どの大学に入学するか、とりわけそれが東京大学や京都大学であるか、それとも他の学校であるかは、その人の人生に決定的な重要性を持っている。しかも、入学は十八歳のときに行われるたった一度の試験によって決定されている。こうした選抜制度は、大学教育は言うまでもなく、高等教育以下の教育まで大きくゆがめている。その意味で、日本の教育の中心的な問題点の一つだと思われる。
というふうに指摘をいたしておるわけです。換言すると、このような日本の社会には、出生による階級はないが、十八歳の大学入試によって階級が発生するというふうに言っている人もおるわけです。
この指摘が行われた一九七〇年、昭和四十五年でありますけれども、各省庁の国家公務員上級試験合格者の採用状況を見ると、東大出身者が断然多いわけです。八百二十六人の採用者のうち二百五十二名、三一%が東大卒であり、御三家と言われる大蔵省では三十九人中十八人、通産省三十八人中三十一人、自治省十四人中十三人と東大卒が圧倒的に多くなっております。今日でもこの傾向はさして変わらないのではないかと思われますが、この問題は非常に大きな問題でありまして、単に学校教育だけの問題ではありません。
そういう点で、この問題を今ここで論ずるには余りにも問題が大き過ぎますので、これはさておいて、高等教育の質と量の両面の充実というものが今日の社会的要請でありますので、そういう点で大学院強化の必要性が叫ばれておりますから、そこでこの大学院、とりわけ博士課程について若干お聞きをいたします。
大臣も御承知のように、日本で博士号制度が定められたのは明治二十年であり、最初に授与された人は法学、医学、工学、文学、理学の五分野から五名ずつの二十五名で、それらの人たちは、帝国大学教授十一名を含むいわゆる大家として世間から認められている人たちであったわけです。これらの博士は、大学院の博士課程を修了した者と同等以上の学力を有することを確認されたものとして授与された者、いわゆる論文博士であります。これは日本独得の制度だというふうに思われます。この論文博士の数は、理工系・文科系別、国公私立別にそれぞれどれぐらいの人数になっておるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。