加藤万吉の発言 (本会議)

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○加藤万吉君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました平成二年度政府予算案外二件に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 今年度予算審議は、四月六日から予算委員会で開始をされ、初めから異例な日程でありました。二月半ばに総選挙が行われたとはいえ、粛々と平成元年度補正予算が審議をされていたにもかかわらず、衆議院では安定多数を確保した自民党は、突如として同予算関連法案の同時決着を持ち出し、この審議を拒否し、おくらせたのであります。
 その結果、五十日にわたる暫定予算を組み、あまつさえ、まれに見る暫定の補正さえ必至という状況と国政停滞を生み出したその責任は重大であり、国民生活をないがしろにした党利党略の政治姿勢には、消費税の強行実施やリクルート事件を契機として自民党政治に対し国民の反発と非難、不信が強まったという経過に対するみじんの反省さえ見られず、強い憤りを感ぜずにはいられません。海部総理の標榜される対話を重視した政治など、望むべくしてあり得ないのであります。
 予算審議で明らかになりましたように、今我が国は国の内外において重要な課題が山積をしております。
 米ソ関係は対立から対話へ転回し、東欧の激変を中心としたヨーロッパ情勢も、二十一世紀に向かって新たな秩序づくりが日々速度を速めており、アジア情勢も、タイムラグはあるにせよ、こうした情勢と無関係ではいられません。いわんや、一九八七年で世界経済のGNPの一四%を占める我が国は、軍縮に向かう国際情勢の中で平和への貢献を目指し、経済再建と貧困からの脱却を求める国々に対して、ココム規制の廃止や中国に対する第三次円借款の凍結解除を行うことなど、今こそアメリカに対する従属姿勢を改め、日本独自の責任と役割を果たすべき時期であります。防衛問題にしても、政府・自民党がいまだに固持しようとする、冷戦構造を前提としたアメリカの戦略下の防衛力の整備という発想そのものを転換する必要性に迫られているのであります。
 また、最近の日米構造協議に象徴される対外経済摩擦は、世界の中でアンフェアである日本の政治経済構造のあり方の問題性を浮き彫りにしているのであります。立ちおくれた生活関連の社会資本を計画的に整備することなどは、二十一世紀に向けて、アメリカから指摘されるまでもなく、我が国自身の責任で取り組まなければならない課題であり、今日まで自民党政権を支えてきた土壌そのものの改革を迫る問題として厳しく受けとめなければなりません。こうした課題は、自民党の今日までの党利党略優先で対処できるものではありません。従来の自民党政治の限界を露呈していることと言わなければならないと思うのであります。
 今、政治を預かる政治家には、国民とともに目指すべき目標を明らかにできる先見性と国民の理解を得るための論理性を備えるとともに、国民の信頼を獲得できる人格性を持つことが強く求められております。口先では対話の重視と言いながら、野党の理にかなった主張や国民の声を無視して、一方ではリクルート問題に関係した閣僚の居座りを認める海部内閣には、この重大な局面に立ち向かえるだけの資格も能力もないと言わざるを得ません。猛省を促してやまないところであります。(拍手)
 さて、平成二年度予算案は、その海部内閣の手による予算案であるだけに、問題点も多く、反対する第一の理由は、救いがたい欠陥を持った消費税を不十分きわまりない見直しによって存続させている予算案であるということであります。
 さきの総選挙は、消費税存廃問題を大きな争点としていたことは言うまでもありません。しかし、この選挙で自民党が過半数を制したからといって、政府・自民党の見直しによる消費税の存続が最終的に国民から認められたと断定することは、極めて不遜であり、独断と言わなければなりません。なぜならば、自民党首脳の中には、消費税の凍結、再見直しを公言をし、また廃止を公約した公認候補さえいたのではありませんか。少なくとも自民党が消費税問題を回避しようとしていたことは明らかであります。
 我が党は、四月十九日、公明党、民社党、進民連と共同で、消費税廃止関連三法案と税制再改革基本法案を本院に提出しております。政府の提出した見直し案も我々の廃止関連法案もいまだ審議にさえ付されていないにもかかわりませず、消費税廃止を盛り込んだ予算組み替え要求を無視し、消費税の存続を前提とした予算案を成立させようとする政府・自民党の態度は、一方的であり、遺憾きわまりないものと言わなければなりません。政府提案の見直し法案と我々の消費税廃止関連法案を同じ俎上にのせ、消費税存廃問題、税制改革について正々堂々と論議を行った上、その決着を図ることを政府・自民党に対し強く要求するものであります。
 反対の第二の理由は、本予算案は、国際情勢に背を向け、防衛費が依然として優遇され、突出しているということであります。
 昨年十二月初めに開かれたマルタでの米ソ首脳会談に象徴されるように、米ソの対話は進展をし、ソ連、東欧の改革を原動力として冷戦構造の虚構性が明らかにされつつある今日、世界は対立から友好協調の新しい時代に本格的に突入しようとしております。
 それにもかかわりませず、政府・自民党は、従来の軍拡路線を継続することに躍起となっているのであります。予算審議の過程でも、政府・防衛庁は、冷戦構造を前提とした防衛計画大綱の必要性を殊さらに強調し、それに基づく総額十八兆四千億円の現在の中期防をはるかに上回る総額二十三兆五千億円の次期中期防を策定しつつあります。
 海部内閣には、平和軍縮に積極的に取り組む姿勢が見られないだけではなく、昨今の情勢に真っ向から反する防衛戦略をとり続け、「つつましやかな防衛力の整備」の言葉とは裏腹に、軍事大国への道を着実に歩もうとしております。こうした政府・自民党の態度を看過することは断じてできないのであります。(拍手)
 第三の理由は、防衛費などが突出的に増額される一方、生活関連の歳出が相変わらず抑制され、いわゆる予算の二極分化が進展し、生活の質の向上を十分配慮した本予算となっていないことであります。
 確かに政府予算案ではいわゆる赤字国債発行から脱却できており、さらには予算案の規模も前年度の当初予算比で随分と膨らましております。赤字国債の発行が当初予算案で予定されないのは実に十五年ぶりであります。また、予算規模が膨らみ、一般会計の総額が前年度当初比九・七%増の六十六兆二千七百三十六億円、うち国の政策経費とされる一般歳出が同じく三・九%増の三十五兆四千九十二億円と、いずれも九年ぶりの高い伸びになっております。しかし、それは決して財政運営の適切さや予算が国民生活の質の向上に十分貢献していることを意味するものではありません。それは、好景気や資産インフレの継続による税収増と消費税による大衆課税の結果ではありませんか。
 また、社会保障費がふえたとはいっても、これまで当然増経費さえ賄えなかった状況が若干緩和されただけであり、新規施策も消費税隠しの色合いが濃く、高齢化社会の進展に向けての施策が初歩的にも確立されたとは到底言い得るものではないのであります。防衛費ばかりが優遇される一方で、国民がゆとりある生活を実感として受けとめられる施策が乏しく、労働時間の短縮、住宅、都市公園、上下水道など生活者の基盤の整備は、欧米に対比するまでもなく、決定的に立ちおくれをしているのであります。教育、農林業、中小企業対策なども同機に十分なものではありません。
 国民への負担転嫁を基本に据えた従来の臨調行革路線の継続と大衆増税の結果が如実に示された予算案と言わなければならないのであります。
 したがいまして、我が党は、国民的な要求として、公明党、民社党、進民連と共同で、予算組み替え要求を政府・自民党に申し入れたのであります。それには当然、消費税の今年十月一日からの廃止を中心に、その他、高齢者、医療、教育、農業、中小企業対策などの充実を柱としており、国民生活の質の向上という観点から必要最小限の要求であります。にもかかわらず、政府・自民党は我々の共同要求に対しゼロ回答を示し、全く受け入れなかったのは、まことに遺憾と言わなければなりません。
 自民党一党によって国政が運営できる時代は既に終わろうとしております。この時代認識を持たず、従来の政治手法をとり続ける自民党は、みずから墓穴を掘ることになるのではないでしょうか。今こそ議会制民主主義を徹底し、生活者を中心とする政策形成に全力を傾け、名実ともに与野党間の対話を選択する道こそ政府・自民党のとるべき態度であり、猛省を促して私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 加藤万吉

speaker_id: 21476

日付: 1990-05-10

院: 衆議院

会議名: 本会議