渡部一郎の発言 (本会議)

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○渡部一郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました平成二年度予算政府三案につきまして、反対討論を行うものであります。
 私が本予算案を拝見いたしまして遺憾に思いますことは、日本国民が日々実感し苦悩している諸問題に対して、海部内閣、いわば自民党政治が全くこたえていないということであります。
 すなわち、土地高騰、物価高、貧弱な下水道、公園などの生活関連施設、あるいは来るべき高齢化社会への不安、教育、対外経済摩擦、危うい環境の保全などに的確な対応が示されていないことであります。しかも、日米構造協議では、米国政府が、一部は当たり外れもあるにせよ、しばしば日本側消費者、生活者の立場から発言するのを聞き、唖然とする日本国民があったことを注目しなければならないのであります。アメリカの代表が日本の政府のようではないか、こうした国民の声を何と聞いておられたのでありましょうか。
 特に、国民生活を圧迫し続けている物価は異常であります。日本の生鮮食料品に至ってはアメリカの三倍も高いという現在の日米物価格差は、政府の失政という以外の何物でもないと言えることでありましょう。その上、政府の長年にわたる土地金融政策の失敗と怠慢は、天文学的な地価上昇を都心のビルから住宅地まで波及させ、東京から地方都方へと全国に拡散させ、サラリーマンからマイホームの夢を完全に奪い取っただけではなく、富の不平等をぐいぐいと押し広げたのであります。東京都全体の土地の値段はアメリカ全土の土地の値段より高い。若いサラリーマンの中には絶望感が広がっております。
 本予算のどこに、私の言った、今まで言っただけの設問にこたえる施策があるのかと私は聞きたいのであります。今や、生活関連資本の充実に対して全力を挙げて取り組まなければ、日本の構造そのものに重大な危惧をもたらすのではないか。これは私ひとりの意見ではなく、恐らくここに参会される諸氏の胸の中にある危惧ではなかろうかと私は訴えるものであります。
 今、世界が、軍拡・対立から軍縮・協調へと歴史的な転換を遂げようとしている中にあって、我が国が積極的に平和軍縮外交を展開し、極東の緊張をさらに緩和し、軍事費の大幅削減、核兵器の廃絶などを強力に推進し、アジアと世界の平和実現への先頭に立つのは当然の義務であり、諸外国もそれを待望しているのであります。
 こうした大所高所から拝見いたしますと、今回の予算原案は、これらの要請にこたえるものとは到底言いがたいものであります。
 各論的に申し上げれば、問題点の第一は、やはり、本予算が国民の相当数が絶対反対している消費税の存続を前提としているところであります。
 国民を欺いて導入された消費税は、実施後一年有余を経過した今日でも、年金生活者や生活保護世帯など社会的に弱い立場の人々の生活を圧迫し、消費税の持つ逆進性などの構造的欠陥を改めて浮き彫りにしております。また、消費者が支払った税金が正しく国庫に納付されていないという国民の疑問は強く、欠陥に対する不満は増大しております。このような対立感情は、国民を深刻に二つに分けてしまう、そしてこれは到底年月をもって消化されるものではないのであります。
 政府の提出された消費税見直し法案は、詳細にはまだ拝見はいたしておりませんが、現在、消費税の欠陥の是正とは称しておりますけれども、ただでさえ国際価格より高額の食料品については、値下がりさせるという保証は全くない。また、生産・卸段階における複数税率の導入により、事業者の事務の煩雑化や負担の増大を招くなど、むしろ多くの問題を持っているものであります。
 今や消費税は、この際一たん廃止をし、国民合意の税制の形成を図るということが当然であります。我が党は、日本社会党、民社党、進民連とともに予算組み替え要求を提示し、この中で廃止のための代替財源案を示しました。設置の決まった税制改革特別委員会で議論を尽くさせていただく考えであります。
 第二に、政府は生活者優先の政治という課題に真剣に取り組んでいないということであります。
 我々は、予算組み替え共同要求におきまして、土地・住宅、福祉・医療、教育、環境対策などの歳出面について実行可能な範囲で組み替え要求を提示したのでありますが、これらが全く無視されてしまったことはまことに遺憾であります。特に、為替変動に伴い加速された日本の通貨膨張に政府は適切な手を打たず、かえって金融の緩和で土地や株への投資を加速させ、土地の高騰を招くという金融政策の初歩的な失敗を重ねたのであります。これが住宅問題や生活関連社会資本整備のおくれの主な原因となっていることは、日銀の報告にすら掲載されているところであります。
 さらに、生活者の視点に立った政策の実現を図るため、世界一高いと言われている物価水準、西独より年間六十五日分も多いと言われている労働時間、年金、医療・介護制度の改革、環境保全対策など、もう言うをまたないのであります。国民生活の質的向上に視点を合わせた内需主導の経済成長を図ることが、対外摩擦解消にも資することは言うまでもありません。そして、これは内需主導ではなく、今までが外需主導であり過ぎたのであって、それを修正するものなのであります。
 次に、行政改革への取り組みが十分でないということであります。
 平成二年度予算は、確かに赤字公債から脱却いたしました。これはしかし、政府の努力というよりも、好景気による税の自然増収に支えられたものでありましょう。しかも、一般会計に占める国債費比率は二一・六%、平成二年度末の国債費残額は百六十四兆円にも達しており、いわゆる隠れ借金も数兆円に及ぶことが指摘されているところであり、我が国財政は依然厳しい状況にあることは何ら変わりがありません。
 今必要なことは、小さくて効率的なしっかりした政府をつくること、政策の優先順位をつけ、これに予算措置をすることであり、一方、既得権化いたしました経費に対して思い切ってメスを入れることであります。平成元年度の補正予算では、六千百億円の既定経費の削減額を計上しておりますが、まだまだ不要不急の経費の削減は十分可能であります。財政健全化のための新たな目標を設定するとともに、首都機能の移転あるいは遷都等も考慮した中央省庁、地方出先機関、特殊法人等の移転、整理合理化、国家公務員の適正配置を要求するものであります。
 次に、防衛関係費についてであります。
 防衛関係予算は、経済が大きな伸びを示したことにより、GNP対前年度比は辛うじて一%枠にとどまったものの、他の政策経費の伸び率が三・九%増に対して六・一%増という大幅であり、四兆円の大台を突破いたしたのであります。
 米ソ冷戦構造の終えん、東西の緊張緩和、世界情勢は大きく変化し、国の形が変わり、いわんや防衛政策まで大変更しているときであるにもかかわらず、我が国ひとりが既定のとおりの軍備増強路線をとり続けていることは、全く納得しがたいのであります。最近のいわば日本の相対的な軍拡というものに対しては、東南アジア諸国はもとより、ソ連でも、あるいは友邦アメリカでさえも敏感に反応を示しており、これは将来日本の安定にも大きな影響を与えていくものと危惧するところであります。
 しかも、世界情勢の変化に対応し、政策の転換を求めた我が党の指摘をも顧みようとしない政府の姿勢は、世界の潮流に全く逆行したものである。議会政治の良所は、多数の数を頼むより、その前提として、その討議の内容の中から酌み取るべきものを酌み取るという姿勢がなければ到底成り立ち得ぬことを、この際、苦々しく指摘しなければならないと存じます。
 この際、国際情勢の変化も踏んまえ、我が国の行政のあり方も踏んまえ、段階的に、我が国の姿勢を内外に示すためにも、防衛費の削減や定員の削減に取り組んでいくべきときであると考えるものであります。
 以上、主な理由を申し述べまして、平成二年度政府予算原案三案に対する反対討論とさせていただく次第であります。(拍手)

発言情報

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発言者: 渡部一郎

speaker_id: 28576

日付: 1990-05-10

院: 衆議院

会議名: 本会議