塩川正十郎の発言 (本会議)

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○塩川正十郎君 私は、自由民主党を代表して、政府提案の消費税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案並びに四野党の提出に係る消費税を廃止する法律案外三件について、総理大臣、大蔵大臣及び四野党の提出者を代表し伊藤議員に質問いたします。
 まず、消費税を廃止する法律案等についてお伺いいたします。
 御承知のとおり、先般の抜本的税制改革は、所得、消費、資産の間でバランスのとれた公平な税体系を構築するとともに、高齢化社会に対応すべく、大幅な所得減税、消費税の創設などを一体として実施し、簡素でわかりやすい税制を確立したものであります。
 一昨年、抜本的税制改革を審議した国会において、社会党は、税制改革関連法案について、すべて反対の態度をとられました。特に、中堅所得者層に重点を置いた所得減税についてまで、金持ち優遇という教条的な主張をもって反対されました。まことに残念至極であります。(拍手)
 昨年四月に新税制が実施されましたが、このうち消費税は、新税なるがゆえに、実施当初、国民の間に不安や不満を呼び起こしたことは否定いたしません。そこで、野党は、自由民主党の税制改革のうち、所得税減税などは追認しつつ、消費税にだけ反対してこられました。確かに、昨年の東京都議選や参議院選では、その影響はあったと思います。しかし、消費税を初めとする新税は、それ以降日々国民生活に定着し、本年二月実施されました衆議院総選挙の結果につきましては、引き続き自由民主党が政権担当すべきであるという国民の冷静な判断が下ったのであります。(拍手)したがいまして、選挙は、何も税制だけが選挙ではないということであります。いまだに消費税の廃止を提案しておられるのは、現実を見据えた野党の対応ではなく、まことに残念でなりません。
 この状態を、中国の故事にこういう言葉があります。「執理の病はいやしがたし」という言葉があります。棒をのんで凝り固まった病気というものは治しようがないという意味でございまして、野党の態度はまさにそういうものではないかと思うのであります。
 しかしながら、最近は、少し野党の方も姿勢が変わってきたと思うのであります。すなわち、五月十五日、海部総理と土井委員長が会談をされました。その席において、土井委員長は、消費税について、国民の意思はあくまで反対であります、したがって我々は反対ということで取り組んでいきますということを言われたのであって、廃止ということは一言も言っておられないのであります。このことは、廃止ではなくして、現在の消費税には反対である、こういう意思表示をぶったものでございまして、これは大変な変わりようであるということが言えるのであります。また、この前の国会の論戦におきましても、社会党議員の中には事実上消費税の見直しの中身を論じておられる方もあるということは、まさに変わってきたということが言えると思うのであります。(拍手)
 そもそも、今回御提案の税制再改革基本法案の中には、サービス、流通に課税しようという考え方が出ております。このことは現行の消費税とどう違うのでしょうか。社会党は消費税は廃止せよと言われますが、形を変えた大型な間接税ならばいいとおっしゃるのか、この点明確にお答えいただきたいと思うのであります。
 もう一つ野党の皆さんにお聞きいたしたいことがございます。それは地方交付税法改正法案についてであります。
 消費税が含まれているということで当初はこの法案に反対の姿勢をとっておられましたが、最終的には賛成されました。御承知のとおり、消費税収のうち約一兆二千億円は交付税として地方自治体に配分されることになっております。すなわち、社会党を初め野党の皆さん方は、消費税には反対するが、消費税によって入ってくる税金を使うことには賛成する、こういう突然の変身であります。消費税を取るのは反対だが、使うのは賛成だ、ならば消費税にかわる代替案を出すべきであるが、そこが知恵がないから仕方なしに消費税の使用を認めるということ、全く納得がいきません。この突然の変身についてぜひひとつ御説明していただきたい。
 次に、仮に消費税を廃止するとした場合の財源措置についてお尋ねいたします。
 今回、消費税廃止の法律案を提案されながら、その代替財源は提案されていません。共同提案をされている野党の中には、責任政党としての立場から廃止の裏づけとなる代替財源法案もあわせて提出すべきであるとの意見がありました。私どもは、立場の違いはあるにしても、見識のある意見であると受けとめておりました。ところが、結局、野党の皆さん方は、代替財源法案は廃止法案が成立した段階で提出するとされておりますが、他方では、野党の方々は、廃止法案も見直し法案
も両方について、再三指摘しておられますように、ねじれ現象からこれは成立しないという見通しを持っておられます。そういたしますと、結局、代替財源案を提出するつもりはないということになるのではないでしょうか。あるいは、野党間で代替財源についての意見がまとまらないので提出できないのでしょうか。どちらであるか、はっきりしていただきたいと思うのであります。また、野党四党の意見の調整の経過をお知らせいただきたいと思うのであります。(拍手)
 先ほども提出者伊藤議員の中にございましたように、野党の皆さんは、常々、税の不公平是正について非常にやかましく議論されます。ところが、実際にこれを執行しておる面から、非常に不公平な面が多々出てきておるように思うのであります。
 私はある多くの支持者から強く言われますことは、特定の団体が、その団体に加入することによって税の扱いが有利になるということを宣伝し、その勢力の拡大を図っていることが多々あるのでございます。こういう問題に対し、野党諸君のこれに対する態度はどのように臨んでいかれようとするのか、お聞きいたしたいと思うのであります。
 特に、私はなぜこれを質問するかと申しますならば、野党の予算修正の要求で、消費税廃止の代替財源として、納税環境の整備で二千億円の増収が見込めると言っておられるのであります。そのことは、すなわち納税環境の整備ということは、簡単に言えば、ただいま申し上げたような一部の圧力団体を含めて、脱税を厳しく取り締まるという意味であろうと想像できます。納税環境の整備とはどういう意味なのか、あるいはこの二千億円が増収ができるということは、どういう算定の基礎のもとで言っておられるのか、お伺いいたしたいと思うのであります。
 次に、税制再改革基本法案についてお伺いいたします。
 昨年、参議院に四野党から同様の税制再改革基本法案が提出されました際、国民税制改革協議会の報告を受けて内閣及び国会は速やかに措置を講ずるものとするとされていました。これに対し、国民税制改革協議会なるものの結論に国会や内閣が拘束を受けるのは憲法違反ではないかという我が自由民主党議員の指摘を受けて、現在の条文に修正されたのであります。国権の最高機関である国会に税制再改革法案を提出しておきながら、その具体的内容について問われれば、五十人の協議会にすべてお任せすると言われます。このような姿勢は、まさに議会制民主主義を否定するものであると思います。
 野党は、自由民主党の税制改革にかわる税制の姿を、野党みずからの考え方として国民の前に具体的に示す責任があります。どの税をどのように改正して増税するのか、あるいはどれをどのように減税するのかを国民にわかるよう説明していただきたいと思います。(拍手)
 我が党は、先般の抜本的税制改革の中で、物品税を廃止し消費税を創設する間接税改革を実施いたしましたが、これは、これまでの物品税等が我が国の経済社会の変化に対応できず、さまざまな問題が生じていたことなどを根本的に改革するものでありました。消費税のような間接税は世界の税制の潮流に沿うものであり、我が国の間接税改革は国際的にも高く評価されているところであります。
 このような点を意識してか、野党の諸君も、今回の税制再改革基本法案の中では、再改革後の間接税として、サービス、流通に対する適正な課税を検討するとされております。この文言を見れば、消費税をつくるということにも読めるのであります。しかしながら、総選挙期間中、社会党は、恒久的な間接税は個別限定列挙方式の間接税だと提言されました。これに対し、世間が余りにも無責任な提案であると批判したことから、すぐにあの提案は単なるたたき台でございますと引っ込めてしまったのであります。(拍手)
 そこで、重ねてお尋ねいたします。
 この法案に言うところのサービス、流通に対する適正な課税とはどのようなものでありましょうか。個別物品税以外はだめだという趣旨なんでしょうか。また、この点について野党各党の考え方は一致しているのでありましょうか、お伺いいたします。
 最後に、総理大臣及び大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。
 先般の税制改革は、国民の長期的かつ全体的利益にかなうものであったと確信しております。したがって、その一環として創設された消費税につきましては、国民各層からいただいた意見や御指摘を踏んまえた上で、見直すべきは見直し、我が国の現在及び将来のための新税制を全体として定着させていくことが極めて重要であります。
 特に、見直し法案の内容は、国民から要望の多かった出産費用や住宅家賃の非課税化、食料品の特例などが盛り込まれております。また、消費者から意見のあった制度の公平化のための措置も、できる限りのものが盛り込まれております。
 これに対し、野党の諸君は、消費税廃止を主張してきたというメンツを守るためにも、見直し法案にも反対すると言っておられますが、そうすると、この法案は成立しなくなるおそれもあろうと心配しております。消費税見直し法案に対する総理の御見解と大蔵大臣の決意のほどを承りたいと思います。
 確かに、国民生活に密着した税制を改革していくということは、一時的には摩擦を伴い、国民のすべてから直ちに賛成を得られるものではありません。しかしながら、過去において、国論を二分し、我が国の進路を左右する節目となった戦後の多々重要な問題、例えば平和条約の締結であるとか日米安保条約の締結、日韓国交回復、沖縄返還などに際し、我が国の進むべき道を責任を持ってこれを示し、実現してきたのは我が自由民主党であります。自由民主党の政策が現在の日本の繁栄の礎となってきたのであります。(拍手)
 そして、国際的にも豊かになった日本が今後進むべき道は何か。それは、まさに経済構造の改革と世界との協調であります。そのための第一歩として、今回我が国が真に必要な税制改革を勇気を持って実現してきたのであります。これすなわち、今回の税制改革であります。

発言情報

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発言者: 塩川正十郎

speaker_id: 27804

日付: 1990-06-11

院: 衆議院

会議名: 本会議