伊藤英成の発言 (本会議)
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○伊藤英成君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております野党四会派の共同提案である消費税廃止関連四法案及び政府提出の消費税
法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に関連し、一括して質問を行うものであります。
まず、私は、このたび消費税廃止法案等を提出をした四野党の皆様方の御努力に敬意を表したいと存じます。(拍手)
さて、消費税廃止関連四法案について伺います。
我々は、高齢化社会に向かって、直間比率の是正や勤労所得者に偏った課税など、税の不公平、不公正を抜本的に是正することを強く求めてまいりました。しかし、竹下内閣のもとで実施された消費税は、まず第一に、国民の合意や国会の審議が不十分なまま強行されたこと、第二に、資産課税の強化、適正化を見送ったことなど、不公平税制の是正も国民の期待にこたえておらず、我々が求める抜本改革とはほど遠いものでありました。その結果、国民の間にさまざまな混乱を招き、政治もまた混迷の中にあると言わざるを得ません。したがって、我々は、税制改革全体について、国家国民の立場から改革を進めるべきだと確信をいたします。
以上の立場に立って、まず消費税廃止についてお尋ねをいたします。
今日、消費税廃止についてさまざまな意見が提起をされております。
まず第一に、消費税を廃止すればコンピューターソフトなどの更新等で膨大な経費を要する、税収六兆円もの消費税廃止はインフレを招く、あるいは、一度上がった物価は消費税を廃止してももとに戻らないとの声もあります。こうした意見に対する提出者の明確なる御所見を求めるものであります。
質問の第二は、有価証券の譲渡益についてであります。
提出者は、消費税廃止の代替財源確保策の一つとして、有価証券譲渡益課税の源泉分離課税を強化し、有価証券取引税の引き上げを打ち出しております。株式市場が低迷している今日、このような改正を実現すれば、我が国の資本が海外に逃避し、金融が空洞化し、証券業界の壊滅的な打撃は免れないとの懸念が提起されております。また、昨今の株式市場の状況からすれば、期待どおりの増収が得られるか疑問視する声もあります。これらについて、提出者の見解を求めるものであります。
質問の第三は、法人課税についてであります。
提出者は、法人税の基本税率を三七・五%から四〇%に引き上げることを考えているのか。その場合、昨年の参議院の代替財源案当時とは異なり、現在既に基本税率が三七・五%となっていることからすれば、今回は企業増税となります。国際的視点に立った税制の確立が求められている今日、このような企業増税は問題であること、と同時に、法人の競争力を低下させ、我が国経済にはかり知れない打撃を与えかねないとの批判が噴出するおそれが予測されます。この声に対して提出者より責任ある回答を求ます。また、一年後の法人税率はどうするのか伺いたいと思います。
質問の第四は、消費税廃止に伴う財源措置として予算の組み替え要求の中で想定されておる物品税など旧間接税の復元についてであります。
これについては、はるかに合理的で公平な消費税を廃止をし、わざわざ旧態依然とした物品税等を復元することは、国民生活の現状、経済のソフト化、サービス化を無視している、あるいはゴルフ用品は課税、テニス用品は非課税という矛盾がまた復活する等々の手厳しい批判があります。この批判に対して提出者より納得のいく答弁を求めるものであります。(拍手)
次に、政府の見直し案について総理並びに大蔵大臣に質問をいたします。
まず、食料品の扱いでありますけれども、生産・流通段階で一・五%の課税、小売段階で非課税とする政府案は、税の理論を欠いた無節操かつこそくなやり方であり、極めて大きな問題があることを明確にしておきます。
消費税は、仕組み自体に欠陥がありますけれども、唯一のメリットは課税ベースが極めて広いことだとする論があります。課税ベースを縮小しようとすることは、税理論から一歩後退したものだとの意見がありますが、いかなる税の理念からの見直しを行うのか、総理の明確なる御所見を求めます。
政府の見直しは、事業者には事務負担増をもたらし、消費者には値下げのメリットが薄くなるだけで、新たな混乱や不公平をもたらすことになります。これらの批判に対して総理はどう考えているのか、答弁を求めるものであります。
次に、帳簿方式について伺います。
消費税の最大の特徴は帳簿方式にありますが、これを改めない限り、今回の政府案のように小手先の見直ししかできないのであります。まさに今回の見直しは帳簿方式の限界を明確にしたと思わざるを得ません。付加価値税であるならば、当然インボイス方式をとることが税の公平、公正という基本理念に合致するものでありましょう。この帳簿方式を改めなかったのはなぜか、また、政府はインボイス方式についてどのように考えているのか、将来、インボイス方式に改める考えはないのか、総理の具体的な見解を伺いたいのであります。
次に、消費税の欠陥として指摘されてきた簡易課税、限界控除、高い免税点について伺います。
消費者の間に、必要な税は払いましょう、しかし消費者の払ったその税が本当に国庫に入っているのかとの批判や不満があります。今回の見直しは、これら国民の期待に全くこたえておりません。簡易課税は、みなし率を政令とするのみで内容は全く不透明であり、あまつさえ課税売上高五億円に全くメスを入れていないのは問題であると私は考えます。簡易課税制度に今後どのようにメスを入れる方針なのか、大蔵大臣の見解を伺いたいのであります。
また、非常に高い免税点の水準も問題であります。三千万円という免税点は、世界的に見ても高過ぎます。諸外国では六百万円から七百万円あるいはそれ以下と聞いております。この高い免税点は、簡易課税と相まって、消費税の負担関係があいまいになったり、価格体系がゆがめられる要因となっております。適用課税水準を思い切って引き下げる考えはないか、大蔵大臣の明確なる答弁を求めるものであります。
次に、限界控除制度でありますが、この制度は、間接税の世界に直接税方式を持ち込んだものであり、廃止すべきだとの意見が強いのでありますが、廃止を含め見直す考えはないのか、大蔵大臣の見解をただしたいのであります。
次に、消費税と高齢化社会との関連について伺います。
政府は、消費税導入は高齢化社会を支えるために不可欠であることを強調し、今回の見直しでは福祉に優先的に配分をする規定を盛り込んでおりますが、これはあくまでも訓示規定であって、本当に福祉に使われたか否か判然といたしません。私は、消費税が福祉に使われていると国民に明確にわかるように、例えば年金について、基礎年金の国庫負担は将来は税で賄うことを基本として、当面三分の一の国庫負担を二分の一に引き上げることをセットで国民の前に示すことこそ国民の期待にこたえた政治だと考えます。この私の考えに対して、大蔵大臣の積極的な答弁を期待してやみません。
次に、税率の歯どめに関連をして伺います。
税率を三%のまま変更しないと総理は明確にしておりますが、問題の根本は、本格的な行政改革を断行し、その環境を整えていくことであります。行政改革はいまだ道半ばと言われております。しかも、行政改革について、最近はかけ声だけで忘れられてしまっているとさえ言われます。行政改革について本気に取り組むのか、総理の明確なる決意をいただきたいのであります。(拍手)
最後に、現在のいわゆるねじれ国会のもとでは、廃止法案もそしてまた見直し法案もともに廃案となり、現行消費税が残ることになるでありましょう。そのような決着だけでは、与野党ともに国民の期待に反することになり、政治不信を増大させるだけであります。また、土地税制を含めた資産格差の是正、いわゆる不公平税制の改革など、税制の課題は山積をしております。特に深刻な土地問題の解決は、大都市サラリーマンを初め国民が強く政治に期待する課題となっており、土地税制の思い切った見直しが求められております。したがいまして、早急に与野党で税制協議機関を設置して、各党が国民のために本当のことを本音で語り合い、公平、公正、活力、国際性を基本理念とした税制を確立すべきであると考えます。(拍手)
今、世界の情勢は激動しております。内外の課題は山積をしているわけでありますから、いつまでも決着のつかない議論を続けていることはできません。この問題は早急に結論を出さなければならないと私は考えます。このことを強調して、かつ、総理の見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕