海部俊樹の発言 (国際連合平和協力に関する特別委員会)

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○海部内閣総理大臣 今、日本の国が非常に豊かな国になったという前提がございましたけれども、私は戦後四十五年を顧みて、我が国は人に迷惑をかけなければいい、逆に言うと迷惑をかけちゃいけない。その迷惑というのは、歴史の反省に立って、侵略戦争をやってはいけない、軍事大国になってはいけない、他国に脅威を与えてはいけない、これが我々が教えられてきた人に迷惑をかけちゃいけない、それを国家と国家のつき合いで言えばそこに限定しておったような感じがするんです。
 したがいまして、安全保障の問題はアメリカに依存をして、日米安全保障条約のもとで我が国の安全は確保できるという安心感と、同時に世界が自由経済、自由貿易でしたからあらゆるところと貿易をどんどんふやしていった。約七億トンのものを輸入をして八千万トンのものにつくりかえて輸出をして、その差額が大体六百五十億ドルというような、粗っぽい計算ですが、今日の日本の実情なんです。六百五十億ドルというものが年間世界の国からずっと日本へ来るからこそ、日本の経済が強くなり国民生活が豊かになってきた。しかも、安全のことは日米安保条約に依存しておけばいいからこちらに全力を挙げよう、世界の環境もそれでよかったわけです。ですから、そういうときでありますから、世界の人々に言わせると、ちょっと待った、お金出す、お金出すと言うけれども、あなたが出すお金はおれのところからもうけていったお金ではないか、こういう説も成り立つわけです。また事実、貿易の帳じりを見ておるとそれが言えると思うのです。
 そういった角度から物を申し上げると、今いろいろ行われております途上国の累積債務を、ブレイディ構想に従って先進国がいろいろ還元、面倒見ておりますのも、金利その他の流れを見ておると、貧しい南から豊かな北へ金が逆流しておるんではないか、それなれば、それはある程度スケジュールのやり直しとか債務の免除とか、自助努力をすることを前提に協調していこうというような動きすら国際的な社会の中にあるわけですから、ある意味では世界の平和な仕組み、自由貿易の仕組みの中で貿易を通じて日本の富はできたものだということからいいますと、そういった世界の危機に対してお金を出すというのは、これはある意味では当然の国際協力の一つであって、それさえしなかったら、これはもう何とかいう形容詞をつけられて村八分になることは容易に想像できることだと思うのです。それが大前提で一つ。
 それからもう一つは、お金のことを抜きにしましても、国際社会でこれだけみんなが希望に満ちて、東西の対決が終わって、さあ仲よくしようというときに、とんでもない型破りが一人出てきて悪が暴れておる、これはみんなで抑えなきゃならぬ。
 これは委員も文教委員会に長らくおいでいただいて、私も質疑さしてもらったことを思い出しますが、あのころ校内暴力の議論をしましたときに、見て見ぬふりをするのは校内暴力をはびこらせる、皆が言うべきことは言わなきゃならぬ、特に、言うべき立場の大人がもっと物を言って、いいこと、悪いことはやっぱり教えるべきことは教えていかなきゃならぬ、それが校内暴力をはびこらせておる原因で、見て見ぬふりというのはよくないんだということが、大方の議論の中で私は一致した結論だったと覚えておりますが、そうであれば、国際連合のような場所で、ここに平和の破壊者がおる、今の場合に、暴力でもって、武力でもって一国をとにかく侵略してつぶすことは許されないことだとわかったならば、皆で物を言おう、国際社会の敵として糾弾しよう、そしてそれは武力で片つけるんじゃなくて、平和的解決で何とかできないかというので、経済制裁措置というものが今厳しく行われておるわけであります。
 先ほど来の御質疑を聞いておりますと、日本にとっても、自分の国に油がないんですから、これはかつての御職業柄よくおわかりだというお話でした。くどくど申しませんが、一日二十二万バレルというものをイラクからもクウェートからも輸入しておった日本としてみれば、全輸入量の約一二%がそこでとまるわけですから、日本にとってもそれは非常に厳しいことではありましたが、平和のためですから御協力ください、言うべきことを言うという立場に日本も立って、国際社会の大義を守るという立場、そういう政治的な意思表示を明確にするのです、それが国際社会の一員として果たすべき責任であると感じております、こういうことで経済制裁にも踏み切り、厳しいことはありますけれども努力をしておるさなかでありますから、こういった国際社会の努力というものが目に見えて実っていくように、そのためにはお金だけではなくて、なし得ることは何であろうかということを今の新しい時代の中で探し出して、できるだけしたいというのが平和協力法案の中にいろいろと書いてあることでございますから、どうぞ、率直な意見を申し上げましたけれども、御理解の一助にしていただければ幸いだと思います。

発言情報

speech_id: 111904310X00719901031_013

発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1990-10-31

院: 衆議院

会議名: 国際連合平和協力に関する特別委員会