武村正義の発言 (公職選挙法改正に関する調査特別委員会)
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○武村委員 ありがとうございます。おっしゃるとおりここへ来ますと、私は家の改築か新築かというふうな例えをしてみたりしているのでありますが、思い切ってこの際は古い家を、新しい時代に合った設計を基本にして建てかえるべきだという考え方であります。
御承知のように明治二十二年に我が国の選挙制度がスタートを切りました。当時は三百議席の小選挙区制でありました。そして明治の後半で大選挙区制度に変わりました。そして大正年代に入りますと再び小選挙区制に戻りました。それが大正十四年、普選法の制定と軌を一にして現在の中選挙区制に変わってきているわけであります。戦後二十二年、一時都道府県単位の選挙制度が一年だけございましたが、それを除けば大正十四年から今日までざっと六十数年間、我が国は中選挙区制、世界にもまれな現在の定数三、四、五を基本にした中選挙区制を進めてきたわけであります。
一軒の家に例えますとちょうど六十数年ですから大分傷みました。雨は漏れるし、柱は虫が食っているし、壁は汚れているし、家具、調度品も時代感覚に合いません。そういう意味で、後藤田先生は金属疲労という表現をされましたが、家に例えるなら、定数是正という考え方は雨が漏れないように屋根だけ直そうという考えのようでありますし、いや腐敗防止もやろうということになれば壁も直そうということになります。あるいは私どもが主張しておりますように選挙制度そのものも変えようというのは、大黒柱を初めとして、家の骨格も虫が食っているし、思い切ってこの際は新しく取りかえようという主張にもなるわけでありまして、その方が効率的でもありますし、全体を思い切って改革するためには一番すっきりする。屋根だけ直してみても、選挙制度や政治資金や腐敗防止の問題に一体的に取り組まなければなかなか効果が上がらないということにもなるわけで、そんな意味で、自民党としては政府の審議会の答申を受けながら全体として思い切って取り組むという姿勢を一貫しているところでございます。それに、定数是正だけを取り上げるというといかにも抜本改革よりは、全体の改革よりは簡単でやりやすいような印象を与えがちでございますが、私は政治の経験は浅うございますが、それでも先輩のさまざまな経験を伺っておりますと、五年前の八増・七減一つとっても、ある政治家の言葉をかりると、おれの政治生活で一番しんどい、難しい仕事だったということをおっしゃった方がありましたが、そのぐらい直接議員の利害にかかわる変更、改革というのは難しいということだと思うのですが、これを例えば自民党が主張しておりますように定数四百七十一、本則定数で二対一という先ほどの判決の趣旨、あるいは野党の皆さんの御主張にそろえた前提で計算をいたしますと、もう九十とか百とかいう百三十選挙区の大半を増減でいじらなければならない。単にふえる、減るということでありますが、やはり合区、分区、境界変更どれ一つをとっても私どもの政治的生死がかかわっておりますだけに最大の関心を向けることになりますし、同時にまたその利害によってさまざまな衝突が起こります。これをどうして調整するか。特に定数が減る、不利な方向で境界変更が行われるというような場合に、これをどう民主的な話し合いで調整ができるだろうかというふうに想像いたしますと、言葉で定数是正と言いましても、百近い選挙区を大きくいじるということは、逆に定数是正だけで取り組むならこれはもう不可能に近いぐらい難しいこと、道のりである。むしろ選挙制度その他の制度を思い切って改革する中で利害調整をしながら定数是正も思い切って実現することの方が私は道はなだらかで容易であるというふうに思っております。
ところで、自民党は御承知のように十二月二十五日でございますが、党の政治改革基本要綱を決定をいたしました。これも野党の先生に言わすと党利党略だと一刀のもとに切り捨てたような言い方もされますが、自民党とてもといいますか、自民党であるからこそ、この選挙制度の改革は大変苦しい決断でありました。むしろ、できないことをどうにか決めた。個々の議員の利害から見れば、本当は今の制度は、なじんでおりますし自信がある、現職の代議士は大半がそうでございます。しかし、国民の批判にこたえなければいけない、新しい時代の政治をつくり上げていかなければならない、そういう思いで、みずから血を流しても、どんなに苦労を強いられても、やはりこの際は政治改革を進めていかざるを得ないという立場から、まさに小異どころか中異、大異も捨てて大同について要綱が決まったというふうに私は認識をいたしております。
ところが、私どもは政府の答申も最大限尊重をさせていただく前提で真剣な論議を展開してきたわけでありますが、何点か答申を修正する内容になっております。これは党略で修正したというよりも、現実の政治の場にいる者が政治や選挙の現実を踏まえて真剣に議論をして、この方がベターではないかということで合意をしたものであります。
例えば総定数は、国民のまず議員の数を思い切って減らせという強い御意見がございます。そのことに真剣にこたえることも含めて本則定数の四百七十一で決定をいたしております。これは大変つらい決定でありますが、数の問題は諸外国と比べましても必ずしも日本が多過ぎるということはないのでありますが、まずみずからが一番つらいことを決断するという意味で本則定数に戻そうということを内容にいたしております。
定数の配分につきましても、国会決議もございますが、小選挙区三百を、まず都道府県に一名ずつ優先配分をいたしまして、残る二百五十三名を人口比で配分する、こういう前提で割り振りをしていこうということであります。都道府県という政治的単位の重みを率直に認識をするということも一つの理由でございますし、国会決議の過密・過疎に配慮するということや、いささか激変緩和というふうな現実的な考え方もありまして、こういう判断をしているわけでございます。
また、比例の問題につきましては、まだ党としては論議が続いているところでございますが、答申は十一ブロックに割ってそれぞれ定数を定めて、集計も名簿もブロック単位で行うということでございました。そのことの是非も議論をいたしましたし、また都道府県単位でやったらどうだろうという、その利害得失も議論をいたしました。そして全国一本でやった場合はどうだろう、こんな議論が続いているところでございまして、まだペンディングでございますが、近々党としては最終の決定をすることになろうかと思いますが、この点が答申と変わる可能性もございます。
最後に二%、一%という論議でございますが、比例区の中で、参議院の現在の定数が五十ということを前提にいたしますと比例区は事実上二%条項が働いているとも言えるわけでありますが、そのことも踏まえながら、答申は一%でございましたものを、党としては政治の安定といいますか選挙の後の責任の遂行ということに焦点を置きながら、二%ぐらいがいいのではないかというふうな、いわば答申の――今四点申し上げましたが、修正して要綱を決定いたしております。
るる申し上げましたが、この自民党の政治改革基本要綱について、答申とのかかわりも踏まえながら吹田大臣の御所感を承りたいと存じます。