公職選挙法改正に関する調査特別委員会

1991-03-06 衆議院 全211発言

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会議録情報#0
平成三年三月六日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 石井  一君
   理事 塩崎  潤君 理事 武村 正義君
   理事 羽田  孜君 理事 穂積 良行君
   理事 山崎  拓君 理事 佐藤 観樹君
   理事 山花 貞夫君 理事 河上 覃雄君
      浅野 勝人君    奥田 敬和君
      奥野 誠亮君    鹿野 道彦君
      戸塚 進也君    町村 信孝君
      村田 吉隆君    小岩井 清君
      仙谷 由人君    日野 市朗君
      堀  昌雄君    松原 脩雄君
      井上 義久君    東中 光雄君
      川端 達夫君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 吹田  愰君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      大森 政輔君
        自治省行政局選
        挙部長     吉田 弘正君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   石附  弘君
        自治大臣官房審
        議官      田中 宗孝君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  谷合 靖夫君
        自治省行政局選
        挙部管理課長  牧之内隆久君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       井戸 敏三君
        特別委員会第二
        調査室長    岩田  脩君
    ─────────────
二月十八日
 小選挙区制反対、議員定数の抜本是正に関する請願(小沢和秋君紹介)(第一一九五号)
 同(金子満広君紹介)(第一一九六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第一一九七号)
 同(児玉健次君紹介)(第一一九八号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第一一九九号)
 同(菅野悦子君紹介)(第一二〇〇号)
 同(辻第一君紹介)(第一二〇一号)
 同(寺前巖君紹介)(第一二〇二号)
 同(東中光雄君紹介)(第一二〇三号)
 同(不破哲三君紹介)(第一二〇四号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一二〇五号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一二〇六号)
 同(正森成二君紹介)(第一二〇七号)
 同(三浦久君紹介)(第一二〇八号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一二〇九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一二一〇号)
 地方選挙の公営制度拡大に関する請願(井出正一君紹介)(第一三九一号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第一三九二号)
 同(小坂憲次君紹介)(第一三九三号)
 同(田中秀征君紹介)(第一三九四号)
 同(羽田孜君紹介)(第一三九五号)
 同(宮下創平君紹介)(第一三九六号)
 同(村井仁君紹介)(第一三九七号)
同月二十六日
 地方選挙の公営制度拡大に関する請願(中島衛君紹介)(第一六一九号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 公職選挙法改正に関する件
     ────◇─────
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石井一#1
○石井委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武村正義君。
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武村正義#2
○武村委員 三十分間、御指名をいただいて、政治改革、特に衆議院の選挙制度の改革について大臣にお尋ねをいたします。
 大臣は御就任になってもう数十日ぐらいになるのでしょうか、海部総理大臣が内閣の命運をかけて取り組む、不退転の決意で取り組むとおっしゃっております政治改革、なかんずく選挙制度の改革について御所感をいただくわけでございますが、数十日やられて、いよいよこれから秋に向かって国内の政治課題としては最大のテーマになってこようかと思いますが、吹田大臣の御所見をお伺い申し上げます。吹田大臣は、市町村の政治、都道府県の政治、そして国の政治と、いわば日本の統治構造を三段階すべてくまなく御経験をされた大臣でございます。そんな意味で、御期待を込めて御質問を申し上げます。
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吹田愰#3
○吹田国務大臣 おはようございます。
 お答えいたしますが、ただいまの武村先生のお話は、政治改革というものへの取り組みの姿勢についてであります。このことにつきましては、特に基本理念として、政治は国民のものであるという基本的な理念に立ちますと、まず何といっても、従来から国会でも決まっておりますが、政治倫理の確立という問題が、まずそこに基本がなければなりませんし、そして政治資金制度の問題、さらに選挙制度の問題、国会の改革といったようなことが政治の改革の中で今日最も大事な要素ではなかろうかなと思っております。
 そういったことから、今後も私は政治家としてこの問題に全力を挙げて取り組んで、立派にその実を上げていかなければならぬ、こう思っておりますが、いずれにしましてもやはり議員の皆さん方の御理解と御協力をいただかなければできません問題でありますから、今後ともよろしくひとつお願いを申し上げたい、かように考えております。
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武村正義#4
○武村委員 どうぞ、大変難しい課題でございますが、文字どおり全力投球で御苦労を、心からお願いを申し上げます。
 さて、この政治改革の論議の中でたびたび私どもに聞かされる言葉でありますが、経済大国になった日本を例えて、内外からの批評であろうかと思うのですが、日本は経済は一流である、そして政治は三流だというふうな、我々にとっては大変悔しい、残念な言葉をちょいちょい聞くわけであります。確かに、政治改革がなぜ必要かということを振り返りましても、最大の理由は、昨今の国民の政治に対する不信にこたえる、真剣にこたえていくというのが動機でございます。戦後四十六年を迎えているわけでございますが、さまざまな仕組みが改革の対象になってきている中で、日本の政治もまた例外でない。内外の批判にこたえて真剣な、新しい政治のシステムの構築が必要になってきております。
 そういう背景の中に、国外からの日本の政治を見詰める目というものもだんだん厳しくなってきているのではないか。自民党の羽田選挙制度調査会長はたびたびおっしゃっておりますが、国外に行かれても、あるいは国外のさまざまな政治家に会われても、いよいよ日本の政治の仕組みとか体質に先進国の政治家の目が向きつつあるのではないか。私もそう感じておる一人であります。
 日米構造協議がございましたが、あのときには、主としては大店法の問題でありますとか独禁法の問題でありますとか予算、三点が焦点になりました。大店法も、その奥を見詰めれば我々政治家にとっても大変大事なテーマでありますように、日本の政治と大きなかかわりがございます。同時にまた、独禁法には建設業界の談合が云々されますように、これまた政治との関係がないとは言えない、そんな批評が新聞紙上ではされているわけでありまして、あのときの日米構造協議のテーマを振り返ってもやはり、裏と言うと変ですが、表裏一体の中で政治が大きくかかわっているということがアメリカからも見詰められているわけであります。
 日本は異質な国である、変わった国である、そんな国とは対等につき合えないという理屈が欧米で出ているわけでありますが、そんな中で、遠からず日本の政治の特異性というものが世界全体の中で一つの問題にされることも考えられると私は思います。世界から言われる前に、日本みずからが、もちろん国内の期待も受けながら思い切った改革を断行すべしと思いますし、我が自由民主党としましてはそういう意気込みで政治全般の改革について今日まで真剣な論議を重ねて取り組んできたところでございます。
 先般自民党にイギリスのジェフリー・アーチャーという作家がやってまいりました。ちょうどメージャー首相が誕生した翌日ぐらいでありましたか、話を聞いておりまして、最後に私が、日本の政治についてどういう感想をお持ちですかと簡単に聞いてみたのでありますが、彼の答弁は、サミットにしろいろいろな国際会議にしろ、会議が開かれるたびに日本の大臣はかわる、「アイ アム ニューミニスター」ということで新しい名刺を出して大臣があいさつしているのがおかしいということを言いながら、最後にずばり言いましたのは、日本にも四十七歳の――メージャーが四十七歳ですから、四十七歳の女性の総理大臣が誕生することですねと、何か皮肉を込めて、最後はそう結びました。政治改革を象徴している言葉、批評でもあろうかと思って聞いておったのですが、とにかくそういう中で経済一流、政治三流という批評、大変心外ではありますが、半ば認めざるを得ない状況もあると思いますし、この点について、国外からの政治改革の要請といいますか、日本の政治批判を踏まえた要請から出たこの言葉について、吹田大臣、どうお感じでございましょうか。
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吹田愰#5
○吹田国務大臣 ただいまの、経済は一流であるけれども政治は三流であるということの国外からの声があるではないかということでありますが、確かに経済につきましては、戦後の四十数年間でここまで成長したということを考えますと、これはまさに一流の経済大国になったことだけは間違いありません。しかし、政治が三流であるとは私は思っていないのでありまして、やはりそれは基本的には政治体制というものがそれなりにしっかりしており、政治家もそれなりに非常な努力をして、今日の勤労意欲、そして資源のない国家としてここまで盛り上げるというところに政治の大きな力が注がれておるということは、これは否定できないと思っておるわけであります。
 しかし、政治家そのものでなしに、政治の制度というものを、少なくとも今日の時点まで参りますと改革をしなければならないという声は、今や国民の中にほうはいとして起きておるわけでありまして、そういう意味では、この際取り組むべきものは取り組んでいくという姿勢をとることが、みずからそれを改革していくことが必要であるという考え方でありまして、これだけすばらしい政治家がたくさん我が国にはいらっしゃるわけでありますから、その政治家の英知と努力を結集してこの際政治改革を推進していくということが必要ではなかろうかな、こう思っているわけであります。
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武村正義#6
○武村委員 さて、去る二月八日でございますが、東京高裁が判決を下しました。昨年の私どもの衆議院選挙の憲法違反に基づく無効訴訟でありますが、結果は、公選法の定数配分の規定は憲法の規定に違反していたものということはできないという判決でございました。理由はいろいろ述べられておりまして、もう一つこの要旨を読んでも鮮明ではないなという印象を私個人は持ったのでありますが、特に、六十一年の定数是正の努力、そして昨年の衆議院の状況が三・一八でございましたか、という状況であったことや、あるいは六十一年の国勢調査で見れば三対一の枠内にはまるということが前提にございまして、そんなことから違憲とは言えないという判決になったわけであります。他方、この判決の中では、御承知のように格差の問題にも触れておりまして、一対二を超えないものとすることが、その性質上当然に要求されるというふうにも述べております。
 そんな判決でございましたが、この判決について大臣の御所見をまず承ります。
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吹田愰#7
○吹田国務大臣 お説のように、平成二年の二月選挙というものに対しましてのこの二月八日の東京高裁の判決というものは、確かに人口当たりは当時二・九九倍、選挙の当時の一人当たりの有権者ということになりますと三・一八倍であるということでありまして、このことから合憲の判断を下したものでありますけれども、これはもはや放置できないということで、国会の裁量権を超える著しい不平等とは言えないという前提で、しかしながらということで、今お話がありましたようなことで出ております。したがいまして、私どもとしましては、速やかにこの定数是正の問題も、国会決議もこれあり、是正して少なくとも一対三未満、願わくば一対二という割合にこれを推し進めていくという努力をみずからしなければならない、こう思っております。
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武村正義#8
○武村委員 そこで、この定数是正に関連してでありますが、各党の方針がまだ出そろっていない嫌いがございますが、新聞紙上で拝見をしておりましても、野党の御主張の中には定数是正が先であるという御見解がちらほら出るわけであります。自民党は、もちろん定数是正を軽視しているわけではありません。定数是正も、国会決議がございます以上、最も大事な改革のテーマの一つではありますが、同時に、あの決議が行われてかなりの時が流れております。その間、特に事件も起こりまして、政治倫理が問われ、政治家と金のかかわりが国民の皆さんから厳しく御批判を受けてきているわけであります。そういう時の流れの中で、国民の皆さんの世論を受けながら、定数是正だけ取り組めばいいという考え方はもはやあり得ないという認識を持つものでありますし、定数是正も一体に政治改革あるいは選挙制度全般に真剣に取り組んでいくことが大変大事だという認識を持つものであります。
 何となく定数是正か抜本改革かというふうな二者択一のような問いかけもあるわけでありますが、私は、五年前の定数是正だけやって済まそうという考え方は国民の御期待にこたえる姿勢ではないというふうに思いますし、また、定数是正が先であるという御主張もあるわけです。先、後の問題もありますが、これは論議はあるにしましても、何か消費税のときもそうでございましたが、間接税の導入というと不公平税制が先だ、こういう主張もありました。いささかそんな感も私ども自民党の立場ではしなくもないわけでありますが、同時に、リクルート事件以来の今申し上げた政治全般、各政党の体質や国会運営まで含めた国民の御批判に真剣にこたえていかなければいけない状況に立っております。
 そういう中で、我が自民党としましては、全般の改革の中にこの六十一年の国会決議も消化をして取り入れて取り組んでいこう、定数是正抜きの選挙制度改革だけを主張しているわけじゃありません、定数是正、格差是正も包含した全体像として選挙制度の改革に取り組んでいこうというのが自由民主党の考え方でございます。今後この公選特の委員会を通じて、各政党の考え方についても議員同士で意見交換、意見討議をぜひさせていただきたいと私どもは願っておりますが、そういう意味で、定数是正と衆参の選挙制度、これにはもちろん政治資金も入りますが、全般の改革とやはり一体に取り組んでいくことについて、野党の主張も踏まえながら、吹田大臣の御所見を承りたいと存じます。
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吹田愰#9
○吹田国務大臣 今先生のおっしゃるとおりでありまして、定数是正という問題等を含めて、六十一年の五月の国会決議があることも私、承知しております。それはあくまでも中選挙区の現行制度の中においてこれを是正しようではないかというような考え方が前提に置かれておると思っております。しかし、先ほどお話がありますように、答申から出ました一対二というような割合等から考えますと、もうこの場合、抜本的にこの制度の問題について、選挙制度そのものから検討しかえなければならないという時期に来ておるのではないかというふうにも思っておりますし、特に私は、さっき申し上げましたけれども、政治改革という問題は、自治大臣を拝命いたしましたときも、そのように公開の前で国民に向かってはっきりと、これは推進し、是正いたしますということを申し上げておりますし、断じてこのことにつきましては推進しなきゃならぬ、それはただ単なる小手先で事を進めるということでは、もうこの事態まで参りますといかぬであろう、何としても抜本的にその制度そのものから見直す時期が来ておるのではないかというふうに思っておりますから、そういう意味では武村先生と意見はおおよそ一致しておるのではないかなというふうに思っておりますが、頑張っていくつもりであります。
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武村正義#10
○武村委員 ありがとうございます。おっしゃるとおりここへ来ますと、私は家の改築か新築かというふうな例えをしてみたりしているのでありますが、思い切ってこの際は古い家を、新しい時代に合った設計を基本にして建てかえるべきだという考え方であります。
 御承知のように明治二十二年に我が国の選挙制度がスタートを切りました。当時は三百議席の小選挙区制でありました。そして明治の後半で大選挙区制度に変わりました。そして大正年代に入りますと再び小選挙区制に戻りました。それが大正十四年、普選法の制定と軌を一にして現在の中選挙区制に変わってきているわけであります。戦後二十二年、一時都道府県単位の選挙制度が一年だけございましたが、それを除けば大正十四年から今日までざっと六十数年間、我が国は中選挙区制、世界にもまれな現在の定数三、四、五を基本にした中選挙区制を進めてきたわけであります。
 一軒の家に例えますとちょうど六十数年ですから大分傷みました。雨は漏れるし、柱は虫が食っているし、壁は汚れているし、家具、調度品も時代感覚に合いません。そういう意味で、後藤田先生は金属疲労という表現をされましたが、家に例えるなら、定数是正という考え方は雨が漏れないように屋根だけ直そうという考えのようでありますし、いや腐敗防止もやろうということになれば壁も直そうということになります。あるいは私どもが主張しておりますように選挙制度そのものも変えようというのは、大黒柱を初めとして、家の骨格も虫が食っているし、思い切ってこの際は新しく取りかえようという主張にもなるわけでありまして、その方が効率的でもありますし、全体を思い切って改革するためには一番すっきりする。屋根だけ直してみても、選挙制度や政治資金や腐敗防止の問題に一体的に取り組まなければなかなか効果が上がらないということにもなるわけで、そんな意味で、自民党としては政府の審議会の答申を受けながら全体として思い切って取り組むという姿勢を一貫しているところでございます。それに、定数是正だけを取り上げるというといかにも抜本改革よりは、全体の改革よりは簡単でやりやすいような印象を与えがちでございますが、私は政治の経験は浅うございますが、それでも先輩のさまざまな経験を伺っておりますと、五年前の八増・七減一つとっても、ある政治家の言葉をかりると、おれの政治生活で一番しんどい、難しい仕事だったということをおっしゃった方がありましたが、そのぐらい直接議員の利害にかかわる変更、改革というのは難しいということだと思うのですが、これを例えば自民党が主張しておりますように定数四百七十一、本則定数で二対一という先ほどの判決の趣旨、あるいは野党の皆さんの御主張にそろえた前提で計算をいたしますと、もう九十とか百とかいう百三十選挙区の大半を増減でいじらなければならない。単にふえる、減るということでありますが、やはり合区、分区、境界変更どれ一つをとっても私どもの政治的生死がかかわっておりますだけに最大の関心を向けることになりますし、同時にまたその利害によってさまざまな衝突が起こります。これをどうして調整するか。特に定数が減る、不利な方向で境界変更が行われるというような場合に、これをどう民主的な話し合いで調整ができるだろうかというふうに想像いたしますと、言葉で定数是正と言いましても、百近い選挙区を大きくいじるということは、逆に定数是正だけで取り組むならこれはもう不可能に近いぐらい難しいこと、道のりである。むしろ選挙制度その他の制度を思い切って改革する中で利害調整をしながら定数是正も思い切って実現することの方が私は道はなだらかで容易であるというふうに思っております。
 ところで、自民党は御承知のように十二月二十五日でございますが、党の政治改革基本要綱を決定をいたしました。これも野党の先生に言わすと党利党略だと一刀のもとに切り捨てたような言い方もされますが、自民党とてもといいますか、自民党であるからこそ、この選挙制度の改革は大変苦しい決断でありました。むしろ、できないことをどうにか決めた。個々の議員の利害から見れば、本当は今の制度は、なじんでおりますし自信がある、現職の代議士は大半がそうでございます。しかし、国民の批判にこたえなければいけない、新しい時代の政治をつくり上げていかなければならない、そういう思いで、みずから血を流しても、どんなに苦労を強いられても、やはりこの際は政治改革を進めていかざるを得ないという立場から、まさに小異どころか中異、大異も捨てて大同について要綱が決まったというふうに私は認識をいたしております。
 ところが、私どもは政府の答申も最大限尊重をさせていただく前提で真剣な論議を展開してきたわけでありますが、何点か答申を修正する内容になっております。これは党略で修正したというよりも、現実の政治の場にいる者が政治や選挙の現実を踏まえて真剣に議論をして、この方がベターではないかということで合意をしたものであります。
 例えば総定数は、国民のまず議員の数を思い切って減らせという強い御意見がございます。そのことに真剣にこたえることも含めて本則定数の四百七十一で決定をいたしております。これは大変つらい決定でありますが、数の問題は諸外国と比べましても必ずしも日本が多過ぎるということはないのでありますが、まずみずからが一番つらいことを決断するという意味で本則定数に戻そうということを内容にいたしております。
 定数の配分につきましても、国会決議もございますが、小選挙区三百を、まず都道府県に一名ずつ優先配分をいたしまして、残る二百五十三名を人口比で配分する、こういう前提で割り振りをしていこうということであります。都道府県という政治的単位の重みを率直に認識をするということも一つの理由でございますし、国会決議の過密・過疎に配慮するということや、いささか激変緩和というふうな現実的な考え方もありまして、こういう判断をしているわけでございます。
 また、比例の問題につきましては、まだ党としては論議が続いているところでございますが、答申は十一ブロックに割ってそれぞれ定数を定めて、集計も名簿もブロック単位で行うということでございました。そのことの是非も議論をいたしましたし、また都道府県単位でやったらどうだろうという、その利害得失も議論をいたしました。そして全国一本でやった場合はどうだろう、こんな議論が続いているところでございまして、まだペンディングでございますが、近々党としては最終の決定をすることになろうかと思いますが、この点が答申と変わる可能性もございます。
 最後に二%、一%という論議でございますが、比例区の中で、参議院の現在の定数が五十ということを前提にいたしますと比例区は事実上二%条項が働いているとも言えるわけでありますが、そのことも踏まえながら、答申は一%でございましたものを、党としては政治の安定といいますか選挙の後の責任の遂行ということに焦点を置きながら、二%ぐらいがいいのではないかというふうな、いわば答申の――今四点申し上げましたが、修正して要綱を決定いたしております。
 るる申し上げましたが、この自民党の政治改革基本要綱について、答申とのかかわりも踏まえながら吹田大臣の御所感を承りたいと存じます。
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吹田愰#11
○吹田国務大臣 ただいま武村先生るるお述べになられましたが、今日まで党内におきまして非常に意欲的に先生自体もこのことに長年取り組んできておられますし、まさにおのれをむなしゅうしなければできないこういった制度に熱心に取り組んできていらっしゃることにつきましては、本当に心から敬意を表するわけであります。特に自由民主党が自民党としての基本要綱というのを定めるまでの御努力というのは、私も党内におりましてよく承知しておるわけであります。
 この要綱案とそれから選挙制度審議会が出しました答申案というものにつきましては、一致しておる点もありますし一致していない点もあります。しかし、何といっても原則的ないわゆる個人中心主義と言われておる現制度については、これはひとつ政策中心あるいは政党中心に基本的に切りかえていこうではないかという考え方だけはきちっとしておるわけであります。ただ、さっきお話がありました、まあ古屋の造作と申しますか、そういった表現の中身につきましては、私もこれにはこれなりのまた意見があるわけでありますが、現在の中選挙区がすべて悪い、古屋だということには必ずしも申し上げにくいわけでありまして、これはこれとして今日まで厳然としてその制度が今存在しておるわけであります。ですから、それはそれとして大事にしていかなければなりませんし、また国会の決議というものもこれまた全会一致でなされておる問題でもありますから、それも尊重していかなければならぬという立場もあります。政府という立場からいたしますと、何としましても選挙制度の問題を中心とする、この政治資金規正の問題等を含めて政治改革という問題はぜひとも実施してもらいたいものだな、やらなきゃならぬというふうに、我々としてはそういうことで答申もきちっと位置づけておりますから、それを尊重していかなきゃならぬ義務もあります。したがいまして、国会における各党各会派の御論議というものがなされまして、この委員会におきまして速やかにひとつまとまるように御配慮いただければというふうに考えておるわけでありまして、どうぞ皆さん方の御理解と御協力をお願いしたい、こういうことで私としては意見を申し上げておきます。
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武村正義#12
○武村委員 ありがとうございました。
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石井一#13
○石井委員長 次に、戸塚進也君。
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戸塚進也#14
○戸塚委員 まず、昨年十月の国勢調査の結果につきまして、俗に言う違憲状態というような現にそういう数字になっているのかどうか、それから参議院の逆転現象があるかどうか、簡単にお答えください。
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吉田弘正#15
○吉田(弘)政府委員 平成二年の国勢調査人口によりますと、衆議院議員一人当たりの人口による選挙区間格差でございますが、最大で三・三八倍になっております。八選挙区で三倍を超えている状況になっているところでございます。
 過去の最高裁判決で違憲が出された例も幾つかございますが、それらとの関連でございますが、昭和五十八年十一月及び昭和六十年七月の最高裁判決でございますが、このとき衆議院議員の定数配分に関しまして、国会における裁量権をしんしゃくしても、それぞれ一対三・九四あるいは一対四・四〇という格差、これは当時の選挙人の数でございますが、これを国調人口に置き直しますと、国調人口でございますとそれぞれ一対三・七二とかあるいは一対四・五四でございましたが、これらにつきましては合理性を有するとは考えられないということにいたしておりまして、一方最大格差を一対二・九二といたしました昭和五十年の定数是正につきましては、この改正によりまして投票価値の不平等状態は一応解消されたものと評価をいたしているわけでございます。
 なお、昭和六十三年十月二十一日の最高裁判決でございますが、六十一年の選挙当時、議員一人当たりの選挙人の格差でございますが、これは一対二・九二、また人口にしますと一対二・九九になっていたわけでございますが、この格差が示します選挙区間の投票価値の不平等の問題につきましては、「不平等が存するものというべきであるが、その不平等は、」「国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお、一般に合理性を有するものとは考えられない程度に達している、とまではいうことができない。」という判断を示しております。
 現在の選挙区間格差でございますが、先ほど申し上げましたように一対三・三八になっておりますが、これはまだ、当然のことでございますが最高裁の判断は示されておりません。また、私どもが違憲状況か否かを判断すべき立場にもないわけでございますが、これまでの判決内容を総合的に勘案してみますと、現状において定数訴訟が出されました場合には、最高裁として厳しい判断がなされるのではないかと考えているところでございます。
 なお、平成二年の国調人口によります参議院選挙区選出議員の都道府県別の議員一人当たりの人口の格差でございますが、これは六・四八倍でございます。また、人口が多いにもかかわらず配分された議員数が少ないという、いわゆる逆転でございますが、これは七府県で生じております。
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戸塚進也#16
○戸塚委員 法制局に伺いますが、仮に今度このままの形で解散があって新しい議員ができた、そこでいわゆる違憲訴訟が起こって最高裁判決でこれは違憲だと出た場合に、その違憲だと言われた選挙区だけが議員の身分を失うと考えますか、それとも全部の衆議院議員が身分を失うと考えますか、法制局のお考えを伺いたい。
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大森政輔#17
○大森(政)政府委員 ただいま委員のお尋ねは、仮に定数規定が違憲であると判断された場合ということでございますが、当該訴訟の対象となった特定の選挙が失効して当該選挙で選出された議員は失効するかどうかということにつきましては、何分にも最高裁判所でこれまで定数訴訟において当該選挙が無効であるというふうに判決が下された例がございません。そしてまたお尋ねの問題と申しますのは、判決の主文でどのように宣言するかということと密接に関連する問題でございます。したがいまして、現段階で一般論として意見を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと考える次第でございます。
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戸塚進也#18
○戸塚委員 グレーゾーンだと思いますので、私は全部の議員が身分を失うという心配もある、こういう事態に現在が立ち至っている、そのように認識しております。
 そこで大臣、やはりこういう状況でありますので、ともかくこの選挙法を何らかの形で改正しなきゃならない。その方法としては、各党が各党の案を出す方法もあるでしょう。しかし、私はやはりできるだけのコンセンサスを得て、できるなら政府が提案されて選挙法の改正を出されることが好ましいと思うが、この点については大臣どうお考えになりますか。また、その目安、めどがあったらお聞かせ願いたい。
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吹田愰#19
○吹田国務大臣 お説のとおりでありまして、これはできるだけ早いにこしたことはないと思いますね。私の方は御承知のような答申もいただいておるわけでもありますから、それに基づきましてなるべく早い時期に成案を得るようにしなきゃならぬというふうな努力を重ねてまいりたいと思います。ただ、こういう問題につきましては、先ほどからも武村先生にお答えいたしておりますように、各党各会派でひとつよくお話し合いを進めていただいて、速やかにそういった問題が一つの成案として――強引にこれを引っ張っていくというものでもありませんから、やはりできるだけ理解と協力の中で、こういうおのずと議員の身分に直接関係してくる問題でもありますから、よろしく御協力を願いたいものであるな、こういうふうに思っております。
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戸塚進也#20
○戸塚委員 各党各派の考え方、すり合わせ、話し合い、当然でございます。しかし、大臣みずからもあるいはまた選挙の問題を所掌していらっしゃる自治省みずからも、野党の関係の皆様の意見を十分お伺いなさる、そういう姿勢は私は必要だと思いますが、いかがですか。
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吹田愰#21
○吹田国務大臣 全くお説のとおりでありまして、私もこれからそういう点について各党各会派にお伺いいたしまして、そうして関係の皆さんの御意見を伺いながら、事務局に対しまして十分の督励をしていきたい、こう思っております。
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戸塚進也#22
○戸塚委員 仮に現行の中選挙区で二倍以内にとどめるということになりますと、私がどこか新聞か何かで読んだ、どこかで試算をしますと、現在の選挙区の中でそのまま現行どおりの定数でいけるのは十二、三といったか、一割か一割五分かぐらいしかなくて、あとは全部総変えせなければならぬというふうなことを聞きましたが、自治省では試算しておられますか、おられるとするならば幾つぐらいの選挙区が変わりますか。
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吉田弘正#23
○吉田(弘)政府委員 現行の中選挙区制のもとで二倍以内におさめるために是正をした場合にどの程度の選挙区に影響が出るかということでございます。手法はいろいろあると思いますが、仮に、総定数を現行の五百十二人というままで平成二年の国調の要計表人口を使いまして、選挙区ごとの議員一人当たり人口の多い順、そしてまた少ない順に順次同数だけ増減をしていくという方式をとった場合でございますが、そして格差を二倍未満とするということにいたしますと、五十二の選挙区が影響を受けることになります。さらに、六人区を解消するとか二人区を解消するというようなことをあわせてやりますと、現行の百三十選挙区のうちの約半数程度の選挙区について定数の増減または区域の変更等が生ずるというようなことがございます。
 なお、いわゆる逆転というのはその上でもなお残っているというような状況でございます。
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戸塚進也#24
○戸塚委員 ですから、ほとんどの選挙区が大きな影響がある。大臣も選挙なさっていらっしゃって、政治家でいらっしゃいます。この間の八増・七減のときに、俗に死人が出るじゃなかろうかというくらいに自民党内のあの委員会でも大変なことでした。これは与党だけではない、野党の議員さんだって人数が極端に減ってくるとかふえてくるとかということになれば、あるいは選挙区の区割りが全く変わってしまうとなったら、これは私は死活問題だと思う。すると、八増・七減でもそういう状態であるのに、こんなたくさんの選挙区があっち行ったりこっち行ったりするような選挙が、事実上区割りが可能でしょうか。私は、不可能だ、不可能に近い、こう思うけれども、どうでしょうか。
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吹田愰#25
○吹田国務大臣 このことにつきましては、私が一概に不可能であると言い切るわけにもまいりませんが、今お話がございましたように、非常に困難な作業になってくるであろう。しかも、地域地域によってそれなりに今日までの選挙区割りを定めておるものを是正していくという話になりますと極めて難しい。抜本的な制度の改革によって事を進めるということであれば、むしろその方があるいはやりいいというようなことも考えられないことはないと思うのです。
 それにしましても、今自治省から選挙部長が答弁しましたように、百三十のうちの半分を区割りを変える、定数を変える、その他もろもろの問題を起こしてくるということになりますと、これは容易ならざる問題であるというふうに私は思っておりますので、極めて困難な作業になるなという感じを持っておりまして、その点は先生のお考えと全く同一でございます。
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戸塚進也#26
○戸塚委員 先日、委員長招待のパーティーのときに、社会党の堀先生が、自分は政治家としての長い期間すべて公選特におって、そして政党本位の選挙を目指してこられたというスピーチをなさって、私本当に感激しました。立派な方だなと思いましたけれども、仮に政党本位で選挙をしていくということであるならば、これは中選挙区でお互い同じ政党同士が相戦うような形よりはやはり小選挙区にして、そして少数政党の死に票をなくすために比例代表も活用してやっていくといういわゆる欧米型の選挙方法。と同時に、大臣に特にここで申し上げたいのは、政治改革がこれだけ国民的に議論があったのは、やはりリクルート事件とかそういう一連の問題だと思うのですよ。政治家が朝から晩まで金のことばかり考えていなきゃいられないなんというようなことじゃとても立派な政治はできない。
 そこで、公的助成の問題、その法案等のことも含めて、これはペアで、この小選挙区比例代表制の提案ということは非常に意義があると思うし、私は政府はそういう決断をしてほしいと思っていますが、大臣いかがですか。
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吹田愰#27
○吹田国務大臣 公的助成というものにつきましては、それぞれ御意見はあると思うのですけれども、個人中心の選挙というような立場で事を進める場合は、この問題は非常になじみにくい問題ではないか。やはり政党本位の、政策本位の政党というものに対しての公的助成ということであるとすれば、それはそれなりに非常な理解と協力ができる問題ではないかなというような感じを私は持っております。選挙制度審議会の答申におきましても、小選挙区比例代表並立制が適当である、そういう場合の公的助成という問題もそれなりに取り上げているわけでありまして、私も長い政治活動を続けておりますが、そういう点につきましては、まさに今日の選挙制度の姿から、そのまま公的助成を取り入れるということについてはいかがであろうかなという感じを持っております。
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戸塚進也#28
○戸塚委員 小選挙区の制度の場合の区割りの問題ということが話題になっておりますけれども、これについて仮にもし国会の方が、審議会の方にお任せするからひとつすぱっとやってくれ、こういうことを委任した場合は、大臣、これは公平に責任を持ってやっていただくことができますか。
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吹田愰#29
○吹田国務大臣 これは一番大事な問題で、非常に困難な問題ですね。ですが、それだけに私はやはり第三者に公正に取り扱ってもらうということでなければならないであろうと思いますね。そういう意味からいたしますと、少なくとも審議会の方にこれを委任するということで進めていかなければ、これに私心が入るというようなことになってまいりますと、それだけで問題になるわけでありますから、そういう点では公正無私な立場で第三者の機関においてこれを決定していくということが必要であろうと思います。
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