國松孝次の発言 (地方行政委員会)
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○國松政府委員 暴力団の勢力でございます。暴力団の勢力と申します場合、私どもは、大体どのくらいの団体があるのか、あるいはその中にどのくらいの構成員などがおるのかということをいうわけでございますが、その暴力団の勢力は平成二年度末におきまして約三千三百団体、八万八千六百人となっております。この数は、過去最高でございましたのが昭和三十八年でございまして、その当時は五千二百団体、十八万四千人おったわけでございますが、それに比べますれば半分以下に減少してきておるということでございますが、最近二、三年の傾向を見ますと、昭和六十二年ごろからやや団体数、構成員等の数も漸増傾向にあるということでございます。
ただ何と申しましても、最近の暴力団の動向の最大の特色は、山口組、稲川会、住吉会と申します、私どもはこれを指定三団体と呼んでおるわけでございますけれども、こういった大規模な広域暴力団の勢力が非常に拡大をしておるということでございまして、平成二年末で見ますと山口組が約九百四十団体、構成員が約二万六千百人、それから稲川会が約三百三十団体、構成員が約八千二百人、それから住吉会が三百八十団体、構成員約八千百人となっておりまして、これら三団体の合計は約千六百五十団体、構成員等約四万二千四百人となっておりまして、全暴力団勢力の半数、四八%というような大きな数字になっております。
特に山口組につきましては、このところその勢力伸長が極めて顕著でございまして、過去五年間でその勢力はほぼ倍になっておるというような状況でございます。昨年末におきましては二万六千百人と先ほど申しましたけれども、この数は言ってみれば、全国の暴力団員の三人に一人は山口組の組員であるというまでに至っておるわけでございます。そしてこの山口組は現在もなお全国各地でさらに組織の膨張を企図しておるわけでございまして、本年に入りましてからでも愛知県下におきまして地元の、本当に地元のローカルな暴力団でございますが、それと対立抗争事件を引き起こしまして、それを契機といたしましてその団体を傘下に吸収をするというようなことがございまして、そういったことでその対立抗争を背景として威力をまさに示してその勢力を拡大を図っておるわけでございます。
特に最近の顕著な山口組の傾向といたしましては、やはり首都圏に豊富な資金源があると彼らは考えておるようでございまして、この首都圏地域へ競って進出する傾向を強めております。昨年二月には八王子市内で地元の暴力団との間で同じような対立抗争事件を引き起こしました。今後も、在京の有力な暴力団体、住吉会であるとか稲川会というものは、山口組の進出には大変な危機感を感じておるわけでございます。そういったものとの間で大規模な対立抗争の発生が強く懸念される状況にあります。こうした山口組の首都圏地域への進出は、同地域の住民の安全で平穏な日常生活に対する重大な脅威となっております。
このように、暴力団が国民に与える加害行為の最たるものはやはりこうした対立抗争でありまして、これが起こることによりましてその過程で使用される銃器の犠牲となりまして、最近、先ほど長官が御説明いたしましたように、昨年は三名の方が命を落とされる、警察官も二名殉職するというような形になっておりまして、こうした加害行為というものが今後こうした三団体、特に山口組の寡占化状態と申しますか、勢力の肥大化が進むにつれてより大規模な形で、より激烈な形で起こってくる、その過程で多くの何の罪とがもない一般市民が巻き込まれる可能性があるということが一番大きな加害行為であろうと思います。
さらに、その暴力団はやはり国民に財産的な損害も与えておるわけでございまして、どの程度それを与えておるかということでございますが、それを推計する手がかりといたしまして私どもでは、平成元年の二月に暴力団の年間収入に関する調査をいたしました。それによりますと、概略を申しますと、これは推計でございますけれども、総額で大体一兆三千十九億円に上る収益を彼らは得ておるということでございます。そして、そうした稼ぎの中身を見てみますと、合法的か否かということになりますと、これはもう当然のことでございますが、非合法的な資金の集め方というのが圧倒的に多いわけでございまして、一兆三千億のうちの大体八〇%というものが非合法的に集められておる、合法的な資金集めというのは二〇%弱にすぎないというような推計が出ております。
また、この非合法資金の内訳を御説明いたしますと、やはり何と申しましても一番多いのは、最近の傾向でございますが、覚せい剤によるものが非常に多い。これは四千五百三十億円、全体の三四・八%ということになっておりまして、続いて賭博、のみ行為といったものでの収入が全体の一六・九%、みかじめ料、いわゆる暴力団料ということで、各地域のスナックであるとかバーであるとかそういうところを回りまして、いわゆる守り料、みかじめ料、用心棒代というような形で集めて回るものが大体全体の八・七%。
それから、いわゆる民事に介入をしてまいりまして、交通事故の示談に介入をしてまいりまして不当な示談金を要求し、一部は自分が巻き上げるというような民事介入暴力が全体の七・三%でございます。この七・三%でございますが、この民事介入暴力という手法を使っての資金集めというのが最近非常に多くなっているというのが一つの特色でございます。また、企業対象暴力といいますか、各企業を回っていろいろな形で金を集めるというのが全体の三・四%というようなことになっておるわけでございます。最近では、今申しましたように、民事介入暴力あるいは企業対象暴力といったような犯罪行為すれすれの資金源活動が増大をしていると見られておるわけでございます。
なお、縄張りの実態というようなことがございましたが、彼らは、今申しましたいろいろな活動をする場合に多くの暴力団が全国にひしめくわけでございますので、一つ独特のものといたしまして、何の権限もなく何のいわれもないわけでございますが、それぞれ彼らなりに自由に行動ができるといいますか、そういった稼ぎをする範囲をお互いに決めまして、これはおれの縄張りだということでやるようなしきたりというものがかねてからございます。そして、そういったものの実態といいますものは各地によっていろいろ違うわけでございますが、この縄張りをめぐりましての対立抗争というのが非常に多いということが指摘できると思います。
いずれにいたしましても、この縄張りと申しますものは彼らにとっては生命線でございまして、この縄張りの実態というものにつきましては、我我としてもこれから大いにその実態を解明していかなければならぬというように考えております。