森井忠良の発言 (本会議)
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○森井忠良君 昨年の秋、いわゆる中東国会で自衛隊の海外派遣を目的とする国連平和協力法案が国民の猛反撃に遭って廃案になり、本来なら海部内閣は、その政治責任をとって総辞職すべきはずでありました。(拍手)その海部内閣は、年改まった今日、今度は国会審議にとても耐えられないと見て、法案も出さず、自衛隊法を勝手に拡大解釈して、憲法に違反する自衛隊の海外派遣を強行しようとしているのであります。(拍手)そればかりか、アメリカ軍など多国籍軍の戦費調達のため、一兆二千億円、国民一人当たり一万円もの支出を強要し、しかも、このままでは、さらに歯どめなく追加支出を余儀なくされようといたしております。
こうして今、国民の不安と不満が渦巻く状況の中、私は、日本社会党・護憲共同を代表して、海部総理に質問をいたします。(拍手)
総理、つい二、三カ月前のことですから、よもや忘れてはおられますまい。丸々一カ月、国連平和協力法案をめぐって論戦は沸騰し、ついに衆議院で廃案となり、あたら貴重な時間を空費をいたしたのであります。不思議なことに、あなたの口から一言の反省の弁も聞いたことがありません。答弁はしどろもどろ、閣内不統一、国際的な信用は丸つぶれ、そして国民は憲法違反と口をそろえて抗議の大合唱であったと思うのでありますが、総理は一体どのように考えておられるのか、まずお伺いをいたしたいと存じます。(拍手)
総理は、昨年末、年内内閣改造はやらないと明言をされながら、その言葉を翻し、結局内閣改造を行いました。世間では、ガス抜き改造あるいは定期異動とか申しまして、なかなか評判が悪うございます。考えてみますと、宇野内閣の六十九日よりは長いものの、海部内閣発足時で七カ月、第一次内閣改造で十カ月、今度の第二次改造も、自民党総裁としてのあなたの任期から見て長くはないと思うわけでございます。閣僚の任期が余りに短く細切れで、大臣の粗製乱造であって、これでは官僚の言いなりになり、とても国民の期待にこたえる政治などできようはずがありません。(拍手)
今回の改造で、外務、大蔵、官房長官の三大臣が留任になっていますが、国連平和協力法案の政治責任を全く感じていないということでしょうか。また、リクルート、ロッキードの汚染議員は入閣させないと意気込んでおられましたのに、リクルートに汚染され、県知事選挙の立候補を取りやめたような人が入閣しておられますけれども、これは派閥の大きさによる例外でしょうか。派閥の言いなり、総理のリーダーシップなどどこかへ消え去っているではありませんか。しかも、この内閣をぬけぬけと清新実行内閣などと称されているのではありますが、その理由を明らかにしていただきたいと思うのでございます。(拍手)
早速、中東湾岸戦争について伺います。
今こうしている間も、戦火は一段とエスカレートして、とうとい生命財産が失われ、かけがえのない地球環境が破壊され続けているのであります。昨日、我が党の土井委員長の質問に対する総理の答弁は、この戦火に進んで油を注ぐという無責任きわまりないものでございました。(拍手)
私は、事の重大性にかんがみ、土井委員長の質問と重複することを承知で、再度総理の再考を促し、明確な見解を求めたいと存じます。
イラクのクウエート侵攻は許せません。だからといって、米軍など多国籍軍が武力を行使して戦争を始めたことについて、総理、あなたは確固として支持するとは何事ですか。この戦争を支持しなければ世界の孤児になると言われますが、我が国の憲法は、国際紛争を武力で解決しないと宣言し、アジア諸国を含む世界各国の信頼を得ているのです。平和憲法を持つ我が国の総理として、極めて遺憾であるとなぜ言えないのですか。(拍手)
一兆二千億の血税を戦費につき込むのに、国民ひとしく痛みを分かち合えと言われますが、納得できません。この大金は、大部分がミサイルや戦闘機など殺りく兵器に回ると国民は感じております。まだ開戦十日余り、向こう三カ月間戦争が続くものとして支出をすると言われます。算出根拠もまことにずさんで、しかも追加もあり得るわけですね。地方自治体などが国の補助金を受けるような場合を考えてごらんなさい。山ほどの書類を出させて、そして、一々細かくチェックするのとは対照的であります。補正予算はいつお出しになるのか。我が党は、特例公債や増税法案の内容が明らかにならなければ予算審議等に支障が出ることを、この際明確に申し上げておきたいと存じます。(拍手)
自衛隊の派遣を超法規的に強行することを本気で考えているのですか。昨年の廃案になった国連平和協力法案でも、自衛隊法を改正しなければ海外派兵はできないと政府自身が認め、法案に書いたではありませんか。このたびは国会抜きで、国賓や内閣総理大臣、天皇、衆参両院議長の送迎が可能との自衛隊法の規定を拡大解釈し、戦争周辺国の避難民の輸送に自衛隊を派遣し、海外派兵に道を開こうとしています。法律の委任の範囲を逸脱し特例政令を設けることは、明らかに無効ではありませんか。また、派遣すると言っているヨルダンは、受け入れに難色を示しているではありませんか。真相を明らかにしてください。とにかく断じて許すわけにいきません。(拍手)
総理、なぜそれなら法案を提出をして国会で堂々と論戦しないのですか。自衛隊のシビリアンコントロールは、政府と国権の最高機関たる国会によって成り立つのではありませんか。少なくとも予算委員会を中心にした国会での十分な審議を経るまで、自衛隊機の派遣を決めた政府方針を撤回すべきでございます。重大な決意を持って申し上げておきます。いかがでしょうか。
我が国としてやるべきことは、即時停戦、和平のための徹底した努力と、非軍事、民生分野で難民、被災された方々を人道的立場に立っての輸送、そして医療、救援に積極的に取り組むべきであります。既に国際移住機構から要請があると言われる難民、被災民の輸送については、民間航空機によって積極的に対応すべきであると考えます。また、医療分野での貢献については、国際赤十字や世界保健機関、ユニセフなどの国際機関を通じて貢献すべきであります。そのために必要な財源をということであれば、国民の皆さんは快く応じてくれると存じます。これが昨年秋の国会論議以来、国民の合意する我が風の貢献策であります。この点についての御答弁をいただきます。(拍手)
湾岸戦争が我が国及び世界経済にどういう影響をもたらすのか。戦争が長引けば、原油価格の値上がりによる世界的な景気後退は避けられず、インフレと高金利と不況という深刻な事態に突入することが予想されるのであります。現在、我が国経済は、景気拡大五十カ月目を迎える一方、他方では金利高、貿易摩擦などを背景に景気の減速感を強めながらも、結局戦後最長のイザナギ景気を追い越すことに期待をするという楽観的な空気が漂っているように思えます。しかし、今回の湾岸戦争による米国経済の後退、ソ連の政治経済の混乱など、先行きは不安材料がいっぱいであります。総理、我が国経済あるいは世界経済に及ぼす影響をどのように見ているのか、明らかにしていただきたいと存じます。
続いて、内政問題に入ります。
総理、あなたは施政方針で、豊かな国民生活の実現をしていくとおっしゃっておられます。結構なことでございます。ぜひやっていただきたい。もし総理が本気でやるというのであれば、社会党は、共通の土俵を求めて積極的に協力をいたしましょう。しかし、残念なことに、海部内閣が言っていることとやっていることには余りにも違いがあり過ぎます。具体的に二、三の問題について御指摘を申し上げ、見解を求めたいと思うのでございます。
生活の豊かさを実現していくためには、まず欧米先進国に比べて著しく立ちおくれている生活基盤の整備充実を急ぐことであります。その根幹である土地問題は、何ら解決できていないではありませんか。さきに発表したことしの最高路線価を見ましても、地価上昇が全国的に拡散されていく様子がはっきりとあらわれております。政府は、地価税の創設などでこれに立ち向かおうとしているのでありますけれども、新しい土地保有税は、最初から大骨小骨を抜いた惨たんたる骨抜き案でございまして、国民に明らかになってまいりました。極めて遺憾であります。低い税率に加え、基礎控除、課税最低限、さらに損金算入措置などによって、土地投機で巨額の利益を懐にした大企業などは、ほとんど痛手を受けない仕組みになっておるのでございます。これでは、立案当時のうたい文句であった地価の三割引き下げなどは到底無理であり、土地投機バブル経済は再び繰り返され、結局、土地神話はなくならないと思われます。総理の御見解はいかがでございましょうか。
一方、庶民が負担する固定資産税は大幅に引き上げられ、生活を直撃しています。平均で三割、札幌、千葉、横浜、名古屋、京都、神戸など大都市では、軒並み大割以上という大きな負担増となります。極めてささやかなマイホームであっても、ローンの支払いに加えて、これまで例えば年十万円であった固定資産税が、これらの都市及びその周辺では十六万円以上にもなるのであります。私は、このような増税を回避し、むしろ住宅や店舗の固定資産税の軽減の特例を五分の一、六分の一へと大幅に拡充することを求めます。いかがでありましょうか。
政府は、ととしをスタートとし、向こう十年間に四百三十兆円の公共投資を内外に公約しておりますが、問題はその中身であります。我が国の公共事業は、長年の惰性で、各省庁ごとの配分枠や河川、道路、港湾、空港などのシェア、都道府県ごとへの割り当てなど、縦、横、斜め、十文字にがんじがらめになっているのであります。来年度予算編成に当たって政府が設けた二千億の国民生活関連枠は、がんじがらめの固定化した配分を変えようとしたものと承っております。しかし、でき上がった予算案を見るとき、その配分比率は、各省庁の権益のバランスの上に従来の産業基盤育成を中心にしたものとほとんど変わっていないのであります。
端的にお聞きします。四百三十兆円の七〇%を住宅、下水道、ごみ処理、公園など、国民生活の基盤となる社会資本の拡充と人材の養成や確保を含む福祉の充実に充てること、また、自治体の計画、選択を尊重した予算配分に制度、運営の抜本的改革を図るべきであると思います。例えば、住宅が高齢者向けにつくられていないことから、浴槽等で事故を起こして不幸にして死亡している方々が、厚生省の調べでも三千数百人もおられるのであります。やれ建設省、やれ厚生省といった
縄張りをやめ、高齢者に対応した住宅建設を進める、そのために大胆に配分枠を変えていく、そうでなければ不幸な事故を防ぐことはできません。また、現在大きな社会的関心を呼んでいる廃棄物について、我が党は、再資源化と適正な処理を行うため、国の責任を明確に盛り込んだ法案の提出を準備していますが、政府もこうした方向で速やかに法改正に取り組むべきであります。
総理の明確な御答弁をいただきたいと存じます。
労働時間の短縮の問題も重要であります。このままでは、四年前に約束した完全週休二日制、週四十時間労働の実現は不可能であり、海外から貿易摩擦の問題とも関連して批判が強まることも予想されます。ことしじゅうに労働基準法の見直しをしなければならないわけですから、その際、九三年四月から完全週休二日制、週四十時間労働、学校の五日制の実施を明確にすべきであります。お答えいただきます。
消費者物価の内外価格差、つまり諸外国に比べて我が国の物価が高いという問題はなおざりにされたままであります。食料品など、ニューヨークより東京が大方四割も物価が高いのは問題です。我が国の高い物価の要因について、諸外国からは各省庁が持つ許認可権、規制にあるとも指摘されていますが、政府は、どこに原因があり、どういう手順で消費者の納得のいく内外価格差の解消に取り組むのか、お尋ねをしたいのであります。
また、競争によるメリットを消費者に還元するためには独禁法強化の改正が必要であると考え、我々社会党は既に、違法カルテルに対する課徴金の引き上げや、同調的値上げに関する原価の公表などを盛り込んだ改正案をまとめているのであります。御見解を伺いたいと存じます。
同時に、自動車とか医薬品、化粧品、冷暖房機器など、製品の欠陥によって国民、消費者が被害をこうむったとき、これを救済するために、米国やEC諸国で既に法制化されている製造物責任法の平法化に取り組むべきであります。我が党は製造物責任法案の立法作業に取り組んでいるところでありますが、政府は九二年の国民生活審議会の答申を待って検討するということであります。それでは遅いのです。明確な御答弁をいただきたいと存じます。
次に、農業問題についてであります。
アメリカは日本に対して米市場開放要求を一段と強めてくることが予想されますが、我が党は、三度にわたる米の完全自給をうたった国会決議を守り、米の市場開放はすべきではないと考えております。すべての国はその国の必要性と生産の可能性を考慮し、合理的な生産形態を実現することを目標とするという国連食糧農業機関の決議もあり、我が国が食糧安全保障と基礎的食糧の自給を主張するのは当然であります。消費者が危惧を抱いている食糧の安全性の確保を含めた新しいルールづくりのために、政府は強力な主張をすべきであります。御答弁をいただきたいと存じます。
ここで、人権、差別の現実について伺います。
さきの閣僚の差別室言や弁護士による戸籍謄本など統一請求用紙の不正横流し事件は、いかなる社会情勢を反映したものと考えているのか。一年半も休眠状態になっていた地域改善対策協議会の再開で被差別部落の当事者を委員に加えたことは、国民世論の動向からして当然のことでありますが、この際、部落差別を初め少数民族差別、障害者差別などあらゆる差別撤廃のための所信をお伺いしたいと存じます。
次に、毎日が納税日ということで国民を悩ませている消費税問題についてお伺いをいたします。
税制問題等両院合同協議会で合意に達せず、現行消費税が無傷のまま適用されていることは、まことに遺憾であります。もともと、この両院合同協議会は、昨年の特別国会で我々野党が提案した消費税廃止法案と政府提出の見直し法案が否決、廃案になったことを受けてスタートしたものであります。すなわち、野党の廃止の主張と政府・自民党の見直しの主張とをどう調整し、歩み寄っていくかということであったはずであります。
社会党の究極の目的は廃止でありますが、いわゆる衆参逆転現象のもと、国民の被害を少しでも緩和するための緊急是正を行うよう現実的な措置を提案したのでありますしかるに自民党は、昨年の総選挙のときの公約からはるかに後退した見直し案に固執し、飲食料品の見直しすら拒否したのであります。協議会では、納めた税金が国庫に入らないことの是正や、大企業等の益税をなくすこと、出産、入学金、家賃、福祉の一部で消費税をかけないなど合意に達したのでありますが、国民の切実な要求であり、逆進性緩和の基本である飲食料品非課税は、自民党がかたくなに拒否をしてまとまらなかったのであります。(拍手)この結果、合意に達した部分の消費税減税額はわずかに合計一千四百八十億円にすぎず、海部内閣が飲食料品の軽減税率など含めて公約し、国会に提案した見直し法案による減税額一兆一千三百五十億円を大幅に下回っているのであります。
せめて食べ物や公共料金だけでも非課税にという我々の要求に耳をかさなかった裏には、消費税を無傷で現行のまま定着させたいという意図があったと受け取られても仕方がないのではないでしょうか。(拍手)今国会が再開され、我々も約束に従い引き続き協議を重ねますが、総理も、公約があるのですから、与野党合意に達した部分だけでも政府提出法案として実行に移すべきであると考えますが、いかがでありましょうか。御答弁を承っておきたいと存じます。
総理、私は、重要な幾つかの問題について、我が党としての対案を示しつつ政府の見解を求めてまいりましたが、今、政治のリーダーシップのもと、急いで解決を求められている課題が山積をしております。政治の停滞は許されません。もはや、数の力に物を言わせた国会運営は許すことができません。
国民の皆さんは、さきの衆議院選挙で与党自民党に多数を与え、そして、参議院選挙で社会党など野党に多数を与えるという衆参勢力逆転を選択して、我々国会に対して新しいルールによる問題解決への取り組みを求めているのであります。話し合い政治の実行を求めているのであります。
既に、育児休業の法制化については、参議院における与野党間の真摯な話し合いによって、今国会で実現することで意見の一致を見たのであり、これが確実に実を結ぶこととなるように総理も格段の努力をしていただきたいと存じます。
同じように、私はこの際、特に原爆被爆者援護法の制定の実現を強く要求したいのであります。
御承知のとおり、一九七四年以来全野党が一致して主張してまいりました原爆被爆者援護法案は、さきに参議院で可決したのでありますが、残念なことに、政府・自民党は衆議院でこれを葬ってしまったのであります。私たち野党が再び提案した被爆者援護法案は、現在参議院で継続審議中であり、やがて可決をされてまた衆議院に送られてくることと存じます。国会を構成する二院のうちの一院、一つの院で二度も可決されるという重みを考えなければなりません。総理、この事実経過を深く受けとめ、援護法の制定に与野党、政府の積極的な話し合いを進めるべきであると存じますが、いかがでございましょうか。
以上、総理に明確な御答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕